同棲
シチュエーション


「おーっす、帰ったぞ〜〜」

空がとっぷり暗くなった頃、俺は同棲中の彼女が待つ、とある賃貸アパートの角部屋の扉を開けた。
ちなみにこの先独り暮らしを予定している君、悪いことは言わん、レオパレスだけはやめとけよー(防音が駄目駄目なんだな、アレ)
ってか、そんなことはどうでもいいや。

「お帰り、長坂さん」

素晴らしきかな、お出迎え。
靴を脱ぎ、スリッパに履き替えたあたりで唯緒(イオ)は姿を現した。さらさらと腰まで伸びる長い髪が揺れ、女子大生ならではの恥じらい無きミニスカートからのびるスラリとした形の良い脚が眩しい。
ま、この程度なら日常茶飯事なのでいちいちドキドキしないが、出逢った頃は頻繁に目を奪われたものである。いやぁ〜懐かしいなぁ、と。
「人の脚じろじろ見るの止めなさいよ」

呆れた、と彼女のハキハキとした口調と細やかな表情。

「そりゃあアレだ、UFOを目の前にシャッターを切るなっつってるよーなもんだぞ?」
「はいはい、ご飯できてるから着替えてね」
「ったく、話を逸らすなよ」

パタパタとスリッパを鳴らしながら歩く彼女の背中を眺めながら短い廊下を進む。途中後ろから抱きつきたいような気もするが、肘鉄を食らうのが目に見るので、自粛。

寝室に付くと、唯緒の手はごく自然に俺の背広を背中から支え、新妻のそれのようにハンガー、ブラッシングと業務的にこなす。
もはや同棲生活ではなく新婚に思える。職業が刑事の俺と、学生で比較的暇が多い彼女の生活時間を考えれば、家事を全面的に任せることは在る意味普通なのかも知れないが。

「いつもありがとな。仕事忙しくてなかなか構ってやれなくてスマン」

だから偶にはこんな気の利いたセリフも重要である。しかしながら彼女はきょとんと動作を止め、

「──怒らないから、言いなさい。何しでかしたの?」
「何もねーよ。そう勘ぐるなっての」

唯緒は半眼で「ふーん」と納得のいかないような反応。一筋縄では手懐かない猫の様に、先に部屋を出た。

食後のビールを飲みながらリビングでバラエティ番組を見ていると、片づけを終えた唯緒がソファーの隣に腰を掛けた。そしてひょいっと俺の手から缶ビールを奪い取り、

「飲み過ぎ」

とだけ言って、中に残っていた分をごくごくと飲み始める。

「飲みたいなら自分で取れよ」
「ビールはあんまり好きじゃないの。梅酒、また買ってこなきゃなぁ・・・」

そして俺の肩に頭を乗せてきた。さらりと横髪が垂れ、そこからはシャンプーの心地よい香りがする。組まれた腕からはぺちょんと胸の感触が。ぴったりとくっついた身体からは暖かさが。この状態が俺にとって彼女にとって、安らげる理想的なそれだ。
上目遣いが可愛く思えて、つい柔らかい頬をぷにぷにと摘んで遊ぶ。

「くすぐったいわよ・・・、むぅ」

むぅ、に激しく萌えるぞコレ。

「なー」
「んー?」

俺は気まぐれに提案をしてみた。

「一緒に風呂はいんねーか?」
「誰と?」
「俺とお前以外に誰がいるってんだ」

唯緒はほんのりと頬を染め、じっと眼を伏せて思考する。いちいち恥ずかしがってくれるのは嬉しいが、その度に見る初々しいリアクションはどーにも心臓に悪い。
決断。

「独りで入る」
「・・・そうか」

こういうときちょっと悲しい。けれど案ずる事なかれ、きっと今回もアレなんだろう。
さて、アレとは一体何なのか。

「ふい〜生き返る・・・」

じじくさいセリフを吐きながら、我が家の狭い浴槽に身を沈める。洗ったばかりで水気たっぷりの前髪を掻きあげ、天井を仰いだ。

───流石に今日は無いかな〜・・・

諦めかけた、その瞬間だった。

「長坂さん、」

声に反応してスモーク扉の向こうを覗くと、艶めかしいシルエットがぼんやりと映り、ごそごそと布擦りの音が聞こえる。

「やっぱり・・・一緒に入っていい?」

オフコース!

「ああ。来いよ」

からりと扉が開くと、タオル一枚の唯緒が姿を現した。長い髪を揺らしながらシャワーのコックを捻り、頭から暖かい雨を浴びる。
俺はその一部始終を観察することにした。

「見られると恥ずかしいわよ・・・」

頬を上気させ、シャンプーで泡泡になった髪をこねくりながら、ぷっと口を膨らませた。その体を隠すものは無く、もう充分見慣れたはずの唯緒のしなやかな肢体についつい眼を奪われてしまう。
きめ細かな白い肌は水気を弾き、綺麗な水滴にして垂れて行く。細くくびれたウエスト、くりんと丸いお尻、折れそうな手足首。その総てが女性を意識させる。

────ヤバイぞこりゃ。

その場を咄嗟に繋ぐように、俺は会話を切り出した。

「唯緒さ、アレ・・・」
「何?」

うーん、と、ある部分を凝視する。最近言おう言おうと思って言えず仕舞いだったある事柄について。

「なんかよー、胸、大きくなってねーか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・は?」

彼女の手が止まる。

「見ただけで解るの?」
「んー・・・前々から感じてはいたんだけどな。ひょっとして一カップ上がったんじゃねーか?」

素っ気なく首を振りながら、

「ううん。確かに大きくはなってるけど・・・サイズが変わる程じゃないわ」
「そんなもんか?そろそろDカップになっても良い頃だと・・・」
「────何でサイズ知ってるのよっ!?」

ぱこーんと桶でド頭を叩かれる。むちゃくちゃいい音がした。

「ちょっと詰めてよ」
「おう。背中向けてここに座れよ」
「ええ〜」

狭い風呂にいい大人が二人ではいると、ザパーという気持ちの良い音と共に湯があふれ出す。嗚呼、勿体ない・・・

「ほら、もうちょっとコッチに寄れよ」
「いいけど、変なことしないでよ!」

しないわけねーじゃん、と心の中でふて腐れながら唯緒を後ろ抱っこ的に抱きかかえた。本人は俺の顔が見えないのが不安なのか、ちょろちょろ後ろを振り返っては甘える目つきで俺を誘う。
アンダーバストの辺りに腕を回し、彼女を自分側に抱き寄せる。

「きついよぉ・・・」
「我慢我慢。そのつもりで入ってきたんだろ?」
「でも、長坂さんが誘ったのが元々でしょう」
「一度断ったのは誰だっけかな〜♪」

俺からは見えないが、口を尖らせて拗ねの表情をしていると思われる。こういうのはただ見るだけじゃなく、想像するのもまた楽しい。

「そんな事言うと出るわよっ」

しかし一向に動く気配はない。ここまでからかいがいがあると逆に迷うぞ、俺。取りあえず黙っているおろおろする彼女を宥め、

「なぁ、何で一緒に風呂にはいるのか解るか?」

訊ねた答えはすっぱりと、

「ただの節約でしょ」

違う、違うよ、いおちゃん。ちゅーかふざけてんのかこの女は。
居たたまれない思いに駆られ、悪戯にでることに決めた。

「・・・・・・教えてやるよ」

耳元で囁くと、彼女は腕の中でびくりを身を竦ませ、とろんと垂れた目つきで振り返り、俺を見る。
にやり、と嗤う自分。
こめかみにタラリと汗を伝わせる唯緒。
その表情から時は満ち足りと判断し、遂に自らの掌を唯緒の双丘へ這わせた。

「ひきゃ・・・くすぐったい、くすぐったいってばぁ!」

両手を大きく使い、手中にすっぽり収まったふくよかな乳房を軽〜く揉みほぐすことから始まった。

「変なことしないでって言ったじゃないっ」
「この状態で無茶言うな!これでも随分我慢しとったんだぞ」
「知らないわよそんな・・・んっ、ヤダ、止め・・・」

いつの間にやらツンとそそり立つ彼女の胸の先端を、親指の腹で丁寧に擦り上げれば、甘い吐息。

「どーれ、もっと大きくしてやろう」
「うひゃぁ!やめてって言ってるでしょう!!」

可愛らしくも体をもぞもぞと揺り動かすが、そこからは逃げる程の素振りは見受けられない。(俺的には、ではあるが)

「目指すはパイ擦りだ」
「変態〜〜〜〜!!」

それでも時が経てば、段々と変化を遂げる。

「ん・・・しつこいってばっ」

声の質は確実に変わっている。勢いを失った言葉は本能のままに漏らす声に埋もれ、艶のかかった声色がこちらの性欲を持て余すかのように耳に残った。

「後ろ向いてくれ」
「んん?─────っ!!!」

強引に唇を奪う。彼女もそれを判って我先にと唇を割り、その隙間から生暖かい舌を俺の口腔に差し入れた。勿論、俺も負けじと自慢の舌技を炸裂させる。

「んむ・・・はっ、んちゅ・・・ちゅぱ、」

胸を揉んでいた手は自然と後ろ頭と肩にかけ、彼女の方も体を向かい合わせて、愛撫を受けた双丘を俺の胸板に擦り付けるように寄りかかってきた。

「唯緒、もうちっと顎を上げろ」
「うん・・・」

言われたとおりに上げられた顎に指をかける。お陰で動きやすくなった自らの舌を彼女のそれに絡め、深くなぶり上げ、唾液を吸いばむ。

「─────んぐ、は、もっと飲ませろって」

送り込まれた唾液を総て飲み干してもまだ足りず。一度唇を離すと、微かな糸を引いててらてらと光る。

「今度は私の番・・・」

懇願の声は儚く、しかし欲をそそるには充分だ。お互い舌を伸ばし、その先だけで触れ合う喜びを味わう。その間もそれぞれ涎が垂れ流れ、唯緒は俺の口周りの液をちろちろと舐め始めた。

「美味しい」
「ん、くすぐってぇな、コレ」

照れ紛れに言ったところで、彼女の舌が止まる事は無い。昔は受け気味だったクセに、味を占めると攻め側、否・・・リバか?教え込んできた本人が翻弄されっぱなしだった。
とか考えているうちに、下半身の方が準備を始めてくる。

「な、────いいだろ?」
「・・・・・・・・・ん。お手柔らかに、ね」

ほころばせた極上の笑顔に、愛おしい気持ちで胸がいっぱいになる。これだから病み付きになってしまう。

充分に潤った唇で唯緒の胸にしゃぶりつく。固くなった頭をころころと舌で弄び、空いた方の胸はしっかりと掴み上下に揺する。たゆたゆと弾むように揺れ、呼応するように彼女の口から吐息が漏れる。

「はふっ・・・んんっ・・・気持ちいい・・・」

それならサービスしてやろう。

「あっ、ああぁ・・・!」

ぷつんと立った乳頭を甘咬みすると、一層艶のかかった喘ぎ声が浴室に響き渡った。揺すっていた手では、先端を摘み上げる。

「い、イジワル・・・」
「ははっ、感じてたクセに」
「かっ、感じてなんて・・・あうっ」

唇を離し、両掌で乳房を遊ぶように回す愛撫をする。

「おー、でっかくなれよ〜〜〜」
「んんっ・・・人の体で遊ばないでっ!」
「とか言って、乳首ビンビンじゃねーか。カラダは正直だぜ」
「反論出来ないじゃない・・・む〜・・・」

耳まで真っ赤にして恥じらう姿。これまたオレは身を焼く。

さて、そろそろ下の方も可愛がろうと腰に手をかけたその時、

「待って・・・・・・」

唯緒の掌が重ねられた。

「何だ?」

今更になって、今日は駄目だ、なんて言い出さないか心配になるが、どうやらそうでは無いらしい。

「お風呂のお湯・・・洗濯に使いたいから、その、濁っちゃうのは・・・」

ああ、なんだそんなことか。

「んじゃ、一旦出るか」
「うん、ゴメンね・・・」

しゅーんと俯く様子に激しく悶えそうになるのを堪え、俺はサブリと浴槽から上がった。彼女も俺に続いて上がると、慌てて視線を逸らされる。

「?どうかしたか?」
「そ、そうじゃなくて、その、元気だなぁって・・・」

イマイチ意味が判らない。

「だからその・・・女の子に堂々と見せつけるのはどうかと思うのよ」

視線を下にやると、知らぬ間に硬く勃起した息子が。

───普段はともかく、戦闘状態ではそれなりに自信があるけどなぁ・・・

だが、俺以外のそれを知らない唯緒に、大きさ云々を語る余地はない。ということは彼女本人の心境がそっち方面ってことか。

「何なら好きに触っていいぞ」

驚愕と戦きの形相。

「・・・言い方悪かったな。ここはお前に任せるよ、頼む」

俺は改めてその場に直立し、頬笑んで彼女を迎える。

「・・・・・・・・・わ、わかった。その代わり文句言ったら止めるわよ」

優々子はぺたりと俺の足下に跪くと、指を揃えて男根の根元に据えた。
そしてスリスリと棒をさすりだす。

「────っ」

遠慮無しにカリを擦り上げられるが、勿論この程度では出ることもないく堪えられる。

「長坂さん・・・」
「何だ?」

タオルで巻き上げられ、垂れた横髪だけが貼り付く頬を優しく撫でてやりながら訊き返す。唯緒は上目遣いで俺を見据え、

「・・・・・・口で・・・して欲しい?」

邪魔そうに横髪を掻きあげながら見上げる様子は、とても色っぽい。

「ああ、そうしてく・・・」

全部言い終わらないうちに、ぺろぺろと屹立物を舐め始めた。

「うあっ、あ・・・」
「ん・・・ちゅ・・・んちゅ」

強く吸い上げるキスが棒をランダムに刺激した。俺は彼女の頭をがっちりと掴み、嗚咽を漏らした。
くそっ、このままでは早々とイってしまいそうだ。

「いつの間に、そんな技・・・っ」
「あむっ・・・、ん、玄関の上の戸棚・・・何があるか覚えてる?」

玄関の・・・上の・・・戸棚の・・・中・・・っっっって!!!!!!!!!

「ちゃんと隠してよ。ぴちゃ、はっ・・・ちゅちゅっ」
「────ちくしょ、みっともねぇな・・・・・・あくっ、はぁ・・・」

記憶を辿ると、無修正洋モノ一つに、レンタルAVの無断コピーが三・四本・・・ソレ系雑誌が何冊だが仕舞い込んでた気がする。
尤もここ一年位はお陰で滅多に世話にならなかった。そんなことして独り寂しく抜くよりは、唯緒を誘って教え込む方が楽しい。

「心配すんな。誰よりもお前が一番エロイ」
「─────っ、失礼ね!」
「ほら、口、止まってんぞ」

返事もなく口淫が再開される。
亀頭の周りを小さな舌がぐるりと一周、先端がざらざらとした舌の感触で覆い尽くされる。

「くああ・・・すげー、いい・・・そうだ・・・」
「すぅぅ────、はむっ」

一気に彼女の口腔に包まれた。自分が仕込んだ技、急にやられると困る一方で仕込んだ甲斐があるというものだ。

「ちゅぱっ・・・じゅる、ちゅぅ・・・あむ、」

舌と口の筋肉が疲れたのか、頭ごと振った上下運動での刺激が俺の下半身を砕いて行く。ばっさばっさとした大きな動きで彼女の髪を纏めていたタオルが解け、湿った髪が垂れ下がった。

「ああっ・・・、たまんねぇ・・・」

徐々に速度はあがり、モノが縦横無尽に愛撫される。

───ちゅーか年下の女の子にイニシアチブを取られるとは思わなんだ。

「ん、んぐ、んんん・・・」

浴室内にじゅばじゅばと唾液と粘液の淫靡な音。
優々子の唾液で性器はベトベトにされ、混じって先走り液が零れる。

「ぐはぁ・・・で、でる・・・っく、」

唯緒は喘ぐ俺の様子を見て、ピッチを上げた。動きだけではない、懸命に口で奉仕する彼女の顔もまた俺を興奮させた。
最後に、白い歯が男根をカリカリと擦る。

「っつ、ぐあぁ・・・──────っ!!!!!!!」

掴んだ手に力が加わり、頭が真っ白になった。

「・・・っあ!」

白い欲望で唯緒の口と顔がぐちゃぐちゃに汚染される。飛び散った液は肩や胸元にもひっつき、あられもない顔周りになった。

「ごくん、ごくん・・・」
「おわ、無理に飲まなくても良いんだぞ?」
「いいの。私がしたいだけだから」

そういってしなしなと萎れた一物を再び握った。

「うおっ!」

ちゅうちゅうとバキュームの様に残り汁を吸い上げると、その刺激で再び───さらに威勢良く硬さを取り戻した。

「唯緒、・・・やろう」
「・・・・・・うん。今度は長坂さんが気持ちよくしてね・・・」

のっそりと立ち上がった彼女の手を取り、壁際に連れて行った。後ろから抱きかかえるように壁に追い込み、掌を導く。

「ここに手をつけ。しっかりな」

彼女は戸惑いながら俺の方に首を向ける。

「ここで・・・バック?」

俺は真剣にこくんと頷く。

「ベットまで・・・待てない?」
「あったりまえだ。誰のお陰だと思ってやがる」
「・・・ばか」

触れるだけの軽いキスを、ちゅっと気持ちの良い音を立て一回だけする。

「じゃ、行くぞ」

後ろからそっと抱きすくめる。その背筋に舌を這わせ、つつーっとうなじの方へ登って行く。

「ふぁ・・・・・・ぁはっ、」

耳元まで辿り着いくと、顔ごとびったり横付けして体を密着させる。

「長坂さ・・・っ!」

彼女の太ももに男根を挟み込み、前後運動でクリトリスを摩擦する。

「はぁぁ・・・入れてないのに・・・こんな・・・」
「素股ってんだ。危ない日なんかに使うといいんだぞ」
「でも、今日は大丈夫・・・っああ・・・」

少し腰を落とし、高さが均一な状態で速度を上げた。もぞもぞと閉じられた股の間は心地よく、結合相応の快感を得られた。

「んんっ・・・はぁ、はぁ、あくっ・・・・」

腰は忙しいが、手は暇なので後ろから乳首を摘んで遊ぶ。口も暇なのでうなじをすーっと舌の表面で撫でる。唯緒の肉体、全四カ所を同時に攻め立てた。

「だめっ・・・そんなにされたら・・・ああっ!」
「いい声だ・・・」

彼女の耳元でボソリと囁く。

「は、恥ずかし、いよ・・・」

急角度で重力に逆らう自らで、入り口をぐりぐりと練り上げる。けれどまだ入れない。唯緒には本番前に一度イッて貰おうと思っていた。その為には自分が先に行かないよう、相当気を付けねばならないのだが・・・

「くうぅ、焦らさないでぇ・・・・・・するならさっさと・・・」

意外にも、彼女の股は棒をまるで膣内の様に甘く包み込み、これ以上時間を延ばしたら俺の方が音を上げてしまいそうだ。限界が来る前に、一度その動きを止め、離れた。

「え・・・どうしたの?」
「ちょっと待ってろ。今イかせてやるからな」

おろおろと後ろを向く唯緒を余所に、その場にしゃがみ込んでお尻をがしっりと鷲掴みにする。その手の親指で、ひくひくと充血した花弁をこじ広げた。

「なっ・・・やぁ・・・」

とろとろと蜜が潤うそこに自らの唇をあてがい、わざと音を立てて液を吸い取った。

「んんっ、そこは汚いわよっ」
「んなことねーよ。もっと尻上げろ」

ぐいっと尻を上げさせ、舌を中に挿入する。

「ひぁっ・・・入ってくる、んくっ・・・」

奥へ、更に奥へ。進めば進む程局部から滴る愛液が、舌を伝って自分の口内に流れ込んできた。

「ああ・・・腰がおかしくなりそうで、なんだか・・・もうっ・・・」

唯緒は無意識に腰を揺すり、ポイントを探っている。

「はあああぁ・・・いやぁ・・・」

熱い溜め息。
舌を一旦抜き、勃起したクリトリスを軽く咬むと、抑え付けていた筈の尻がひくりと疼いた。更に歯先でこりこりと弄んでみる。

「ああっ駄目ぇ、もうっ、私ぃ・・・ああっ、ああっ」

仕上げに肉襞を丸ごと吸い、吸引力で引っ張り上げた。

「っつ、あああっ・・・・・・・・・!!!!」

びくんと痙攣したかと思うと、秘部から潮が噴き出し、太ももを伝って垂れていった。充分な潤いを持ったそこは、軽いオーガズムだけでは満足できないらしく、依然と男のそれを求めるようにひくひくと蠢いている。

「・・・はぁ、はぁ、イっちゃった。なのにまだ・・・足りない・・・」
「おっし、行くか!」

俺は立ち上がり、勢い良く膣口を突き上げた。

「んくぅ・・・、はぁっはぁぁっ」

一発で入った男根は彼女の膣内を深く貫き、俺はその後ろからの行為によっての征服感を得る。普段は雄々しい唯緒が俺のモノで貫かれ、従わされ、それを貧欲に求めていることが興奮を呼び覚ます。

「ん・・・どうだ、ちゃんと繋がったぞ」
「つ、繋がってる・・・?私と・・・長坂さんと・・・」
「ああ。こんな風にな、一緒に感じるんだ」

言いながら俺は腰をくいくいっと∞の字に回した。棒が中で抉れ、唯緒の膣内をぐりぐりと掻き回す。

「ああっ、ながさかさん・・・そこ、いい・・・」

きゅっと肉壁が絡みつき、捕まえられた男根は形がピッタリのそこに丁度良く締め上げられる。

「──っああくっ・・・、おーし、動かすぞっ」

ピストン運動開始。彼女の腰をガッシリ支え、スピードに乗せて肉棒を出入させる。抜くときは求めるように吸い付かれ、押すときは待ち侘びたように包み込む膣内の触感は最高だった。名器と言うよりも俺の凸と彼女の凹が相性良く交わり、狂おしい快楽が生まれていた。

「ひぃ・・・ああ、あ、ああっ・・・」

喘ぎ声も動きに合わせて甲高くなる。唯緒は崩れ落ちそうになるのを必死に堪え、上半身ごと壁にもたれ掛かった。

「くはあぁっ、ぐぁ・・・唯緒・・・」

彼女の背中を見下ろしながら一心に腰を打ち付ける。パンッパンッと性器がぶつかり合う一定の音が浴室に響き、お互いの漏れ声が小刻みに震えていくのが判った。

「んくっ、あっ、んんっ、ふああぁ、ああ!」
「・・・ぐぅっ!」

とろけるような下半身の感覚。俺も唯緒も劣情に腰を振るい、お互いの快感を誘っている。
前戯のお陰で感じやすくなった体は、高みに登りやすくなっていた。俺も俺で強く熱くなった怒張から限界の近さを察知、漏れ声からするに彼女も良い線に行っているようだ。

「ぅんん───っは、んくっ・・・」
「優々子・・・俺、そろそろ・・・」
「うん、・・・一緒にっ、イかせてっ」
「っし、スパートかけるぞっ・・・」

Gスポ中心に引っかけていたのを外し、ぐいぐいと深いところに突き当てる。先端が子宮口に到達すると、唯緒の声の様子が変わった。

「やあぁぁ・・・っ、くぁ・・・んん・・・」

──お、良い感じ。

腰の疲労なんのその、がりがりと回転をかけて奥の入り口を貫く。

「ちょっと・・・あ、ああ、いあぁ・・・」

彼女にしては甚大な反応がいよいよ面白くなり、後ろから顎に手を掛けて口に丸めた指をあてがう。
彼女は素直に唾液でべちゃべちゃな口の中に俺のそれを含み、ちゅばちゅばとしゃぶっては荒れた息を吐き、小刻みに息を吸い、声を上げ、また指を舐め、という何とも忙しい動きをする。

「あぁんっ、ちゅば・・・ちゅば・・・、はぁっはぁっ」

その必死さ加減がツボに嵌った。

「─────いいな。か、可愛いぞっ・・・」
「あ・・・誰がやぁせれんのよ、もっ、ううんっ!」

もちろん腰の動きも緩んだりはしない。絶頂が近くなった彼女の肉壁はきゅっと俺にまとわり、腰の動きは奥の入り口を練り上げるように押しつける。

「ああっ、来るっ・・・は、ちゅぱ、ひはっ」
「ああ、俺ももう、だ、」

結合部からは粘つく音が、くちゃりくちゃりと恥ずかしげもなくあふれ出す。もう歯止めなどはきく筈もなかった。

「い、イクぞ・・・」
「んんっ、中に、来て、・・・あくっ」

絶頂が近いのか、先程までべとべとにしゃぶっていた俺の指にかぶり付き、喉から声を絞り出す。

「んくぅ、く、んんん──────────────!!!!・・・くぅっ!」

尤も深いところに突き刺さった瞬間、威勢良くぶちまけた。

「─────────あああっ!!!!」

びくびくといつまでも中で精液を吐き出し続け、なかなか止まる気配がない。

「はぁはぁ・・・ああ、凄い、まだ出てる・・・」

頃合いを見計らって、搾り取られた棒をずるりと引き抜いた。膣口からは白濁液がとろとろと溢れ出し、我ながらしみじみと「溜まってたんだなぁ・・・」と感心してしげしげと。

「何、ひとのお尻見てるのよ・・・」
「・・・・・・気にすんな」

俺が視線を離すと、唯緒は力を無くし、ぺたりとその場に座り込んでしまった。俺もべったり尻餅をつく。

「あ〜〜〜、まだ下半身溶けてるみてぇだ・・・」
「私も、疲れて・・・」

顔にだらだらに垂れた汗を手で拭い取ると、右手の中指に違和感が。

「あ、」
「?」

唯緒の歯形が、がっちりと赤い跡を残していた。

「いてぇ〜」
「んもうっ、そもそも長坂さんが・・・・・・ご、ごめんね」
「ったく、謝るんだか・・・意地っ張るんだか・・・」
「もー、ばかぁ!」

がばっと俺の胸に飛び込んで、胸板をぱたぱたと拳骨でいたぶる唯緒。

───うおおおおおーーーーーー、可愛いじゃねーかぁぁぁぁぁ!

本能のまま強く抱擁。特に息切れして上下する胸をぐりぐり擦り付けて、ベッタリと互いの体を密着させる。

「ちょっと、何すんの・・・よ・・・」
「そんなでけー声出すな。ゼェハァいってんじゃねぇかよ・・・」
「ん。ちょっと離してよ」

大人しくした口調で懇願される。

「もーちっとだけ」
「・・・・・・ふーん。今日は一緒に寝てあげようかなぁって思ったんだけど」
「離します」

一時の至福より、一晩の添い寝だ。のちの千金逆バージョンだ。俺は素直に回していた腕を解き、膝を突いて立ち上がる。

「──っ、あ〜ケツ痛てぇ・・・」

壁に手を借りながらよろよろとバランスを取り、脱衣所に繋がる扉をカラカラと横に開く。丁度ふわふわのマットを踏んだとき、何か俺の足首に生暖かく握られる感触が。

「・・・・・・おい、ちょっとビビったぞ」

案の定、唯緒だった。

「力が入らなくて・・・立てない。な〜が〜さ〜か〜さ〜〜ん」
「上がる前にいっぺんシャワーで流せ。髪とか、その・・・くっついてるしな」
「た〜た〜せ〜て〜」
「はいはい。んっ・・・しょっと!」

俯せで這い蹲る唯緒の脇下に手を差し入れ、上腕二頭筋に残り少ない力を振り絞り、俺は彼女の身を起こし上げた。






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