春は遠くに、
シチュエーション


「先生、これ、どうぞ」

私はバッグから取り出したチョコを差し出す。

「ありがとう、牧野」

先生は私のチョコを手に取った。
良かった、受け取ってもらえた。安堵と喜びが胸に広がる。
うちの学校は比較的自由な校風だけれども、気合い入れてあまり高いチョコを渡そうとすると、先生は受け取ってくれない。そんな話を先輩たちから聞いていた。
だからデパートで買った安物のチョコ。目立つようにと真っ赤なリボンをかけるのが、精一杯の私の勇気だった。

私、牧野芽依は、テニス部の顧問で数学教師の、藤原照人に恋している。
教師と生徒、叶う見込みのない片想いだ。
イケメンではないし地味な人だけど、やさしくて誠実な人柄に心惹かれている。

「先生、私らもあげるー」
「義理だけどね」

他のテニス部の子も、先生にチョコを渡している。

「ありがとう、嬉しいよ」

やっぱり他の子のも受け取っちゃうんだ。分かりきっていることたけれど、私だけ特別扱いじゃない。
まあ、誰にでも優しくて親切なのが先生の良いところなんだけど…。
私のチョコも、あの義理チョコの中に埋もれてしまうのか…。やっぱり手作りにすれば良かった。
先生からみれば、私なんてただの生徒の一人でしかないんだ。そう思いしらされただけの、17才のバレンタインだった。

4月、私は三年生になった。
クラス分けの張り出された掲示板を見て驚いた、先生のクラスだった。
これからは毎日ホームルームで先生に会える、文化祭や体育祭なんかのイベントも一緒だ。
それに担任のクラスで部活も同じなら、少しは特別な目で見てもらえるかもしれない。
そんな期待に、胸が躍る。

「それじゃ、進路指導の個別面談の日程表を貼り出しておくから、都合の悪い人は後で先生にいってください」

早速先生と二人きりで個別面談。嬉しいけど、なんだか少し緊張してしまう。

「牧野は進学か。うん、志望校の合格ラインはクリアしているし大丈夫だな。成績も上がってきているし、今から頑張ればもう一ランク上の大学も狙えるぞ」
「卒業した先輩達の話だと、この大学は設備も充実していて、かなり良い大学らしんですよ。ここなら家から通えるし」
「そうか、情報収集もちゃんとやってるんだな。大学選びもちゃんと考えているようだし、特に問題ないな。このまま成績を落とさないよう気を付けるように。
よし、終り。時間余ったな」

先生は笑いながら私を見つめる。

「牧野、最近機嫌良いな。何か良いことでもあったのか?」
「えっ、はい、ちょっとだけ、良いことありました」

先生と二人きり、何気ない会話でも、先生と話せるならすごく楽しい。

「そうか、良かったな。
二年の頃は、何だか元気が無かったから心配してたんだ。でも元気が出たのなら安心したよ」

先生、私のこと心配してくれてたんだ。何だか少し嬉しい。

「牧野は真面目で責任感も強いからな、お前悩みは人に相談しないで一人で抱え込むタイプなんじゃないのか?
考えが煮詰まった時は、誰かに相談すると、意外にあっけなく解決したりするもんだ。それに、話すだけで楽になることもあるしな」

先生、ちゃんと私のこと見てくれてるんだ、ちょっと感動。それにすごく優しい。

「まあ、進路のことでも部活のことでも、困ったことがあったら気軽に相談してくれ」
「はい、悩みが出来たら先生に相談しますね」

ウソを付いてしまった。私の悩みは、先生にだけは相談出来ない悩みだ。
相談出来るなら、悩んだりしないのに。

「先輩まだ帰らないんですか?」
「うん、個別面談で遅れたから、少しランニングしてから帰る」
「そうですか、じゃあお先に失礼します」

人影もまばらになったグラウンドを、私は一人で走った。
先生にあんな優しい言葉をかけてもらえるなんて、すごく嬉しい。でも、優しくされると、その分切なくなる。
先生を身近に感じれば感じるほど、教師と生徒との距離が、私の心を締め付ける。
体を動かせば少しは気が紛れるかと走ってみたけど、心のもやもやは少しも晴れない。
誰もいないテニスコートで、ぼんやりと星の輝き出した空を眺めていた。

「何黄昏れてるんだ?」

不意に話しかけられて我に返る。

「先生」
「個別面談やっと終ってな。一応顔出してみたんだが、牧野一人か?」
「はい、みんなはさっき上がりました。私は遅れた分走ってから帰ろうと思って」

先生は私の隣で空を見上げている。今日は、なんだかとても幸運な日かもしれない。

「なあ牧野、やっぱりお前何か悩んでいるんじゃないか?」

先生は空を見上げたままいった。

「ええ、まあ、ちょっとだけ。でも、そんな大した悩みじゃないですから」

またウソを付いてる、本当は真剣に悩んでいるのに。

「そうか、なら良いんだ。しかし辛い時には何でも言ってくれていいぞ。進路のことでも恋愛でも、何でも相談に乗るからな。
…もっとも、三十過ぎても結婚できない男に恋愛のアドバイスされても、何の参考にもならないよな」

先生は冗談ぽく笑う。
やっぱり教師として心配しているだけで、私の気持ちなんて、これっぽっちも気づいていないんだ。

「先生は何で結婚しないんですか?」

思い切って、ちょっと大胆な質問をしてみる。

「痛いことを平気で聞くな。考えた人はいたけど、まあ縁が無かったのかな」
「彼女いるんですか?」
「いやいや、考えた人も『いた』って話だよ。昔そう思った人もいたって話」

なんか、安心したような、がっかりしたような。
恋人いないのは安心したけど、昔ってことは私じゃないんだ。
分かってはいたけど、少しショックだった。

あの日から、悶々とした日々が続いている。4月、季節は春なのに、私の心は冬のままだ。
部活の時間、後輩達が雑誌を見ながら騒いでいる。テニス誌に載った、プロテニスプレイヤーの金田美和子選手の記事を見ながら、先生を指差している。

「ほらあ、藤原のリストバンド、金田選手と同じだよ」
「あの先生金田選手のファンなの?」
「同じリストバンドとかキモっ」

先生、金田選手のファンだったのか。今までそんな話聞いたことなかった。

「いいなぁ、私もこのリストバンド欲しい」
「どこで買ったんだろ?」
「本人に聞いてみる?」

後輩達がぞろぞろ移動するのに紛れて、私も話を聞きに行く。

「先生〜、そのリストバンドどこで買ったんですかぁ?」
「これか? これは大学の時に買ったんだ」
「大学って、そんな昔の何年使ってるだよ。新しいの買いなよ」
「これは大学の仲間で揃えたやつで、思い出がいっぱい詰まってるんだ。大切な物なんだよ」

先生が大学時代から使ってるってことは、8年以上使っているのか。よっぽど大切な思い出があるんだろうな。

「お前達、何んでそんなこと聞くんだ?」
「そのリストバンド、金田選手が使ってるのとそっくりだから。ほら」

後輩の一人が雑誌を見せる。近くで見比べてみると、ホントにそっくりだ。

「あっ! もしかして先生、金田選手と同じ大学なんですか?」
「え、ああ…。 大学の後輩なんだ」

辺りが、わっ、とざわめく。

「ホントですか? スゴイじゃないですか? もしかして、サインとか貰えます?」
「ムリだよサインなんて、もう何年も会ってないんだから」
「ええー、つまんない。頼むだけ頼んでみてくださいよー」
「ダメダメ! 向こうも忙しいんだから。ほら、さっさと練習始めろ」

先生はパンパンと手を叩きながら、後輩達を追い立てる。

その日の練習も、いつもと同じように終わった。
帰り支度を終え、制服に着替えた私の目に、一人コートの整備をしながら、時折溜め息を着いている先生の姿が映った。

「何黄昏れてるんですか先生、コートの整備なんか部員にやらせればいいのに」
「牧野か。いいんだ、初心を忘れないようにやってるんだから」
「なおさらズルいですよ、私にも手伝わせてください」

もう日も暮れかけた校庭には人影もまばらで、テニスコートには私と先生しか残っていない。

「先生が結婚を考えていた人って、金田選手だったんですね」
「な… 何で分かった?」
「金田選手の試合があれば、みんなその話題で盛り上がってたじゃないですか。なのに今まで隠していた理由なんて、だいたい想像できます。」
「さすが、鋭いな牧野は」

そんなことはない、確信なんてなかった。ただ浮かび上がった疑念を消したかっただけなのに、何故かこういう時の勘ほど当たってしまう。

「何で、別れちゃたんですか?」

よせば良いのに、聞いてしまった。
昔の彼女の話なんか聞かされても、落ち込むだけだと分かっているのに。二人きりの沈黙に堪え切れず、聞いてしまった。

「うちの母親が寝たきりになったんだ。前から病弱だったんだけど、遂に起き上がれないようになってな」

先生のお母さん、寝たきりなんだ…。

「寝たきりの看護なんて嫌だっていわれたんですか?」
「違う違う! 逆だよ、テニスは辞めてお袋の面倒見るって言い出したんだ…。
だから別れた」

むきに成って否定する先生の顔が、私にはとても痛い。嫌いになって別れたわけじゃないんだ。

「なら、何で別れちゃったんですか。相手も納得してるなら、何の問題もないじゃないですか」
「彼女は長年の夢が叶って、やっとプロになったんだ。それをお袋のために棒に振るなんて、承知できるわけないだろ」
「そんな、だってテニスより先生を選んだんじゃないですか。なのに何で別れちゃうんですか、そんなのおかしいですよ」
「プロに成りたくても成れない人間はいくらでもいるよ。せっかく才能があるのなら、それを活かすべきだ。
彼女にはその才能がある、そんなことで夢を諦めてほしくなかったんだ」
「でも二人とも好きだったんでしょ? それなのに…」

あれ? 私変なこと言ってる。これじゃ金田選手の応援してるみたいじゃない。
私、何言ってるんだろう…。

「先生の気持ちはどうなるんですか。先生はそれで良かったんですか?」
「俺なんてどうでもいいんだ、彼女が夢を叶えてくれるならそれでいい。
それに高校教師の安月給より、彼女は何十倍も賞金稼いでいるんだ。これで良かったんだよ」
「お金なんて関係ありませんよ、大切なのは気持ちでしょ? 自分を犠牲にして、先生は本当にそれで良いんですか?」
「世の中いろいろあるんだよ。あちらを立てればこちらが立たず、すべて上手く方がむしろ少ないよ。
良かったんだよ、あれで。後悔はしてない」

あれで良かった、そう言っているのに、うつむいた先生の顔はとても寂しそうだ。
そんな先生を見ていると、何か熱いものが込み上げて来る。

「ダメですよ、そんなの。本気で好きなら放しちゃダメ、先生は自分の幸せを考えなきゃ」

興奮して、なんかとんでもないこと言ってる。いつもの私なら、先生に意見するなんてとても考えられない、どうかしてる。
それでも先生は、そんな私に、優しく微笑みかけてくれた。

「牧野は強いな。そんな風に自分の気持ちを素直にぶつけられるのは、正直羨ましいよ。
大人になるとズルくなってな、妥協して諦めて、大成功でも大失敗でもないそこそこの結果で満足して。いつの間にか、情熱も無くなってしまう。
そんな風に熱くなれるのは、ホントに羨ましいよ。
ありがとう牧野、心配してくれて」

ああ、先生はやっぱり優しい、逆に私がフォローされてる。自分が辛いなのに、なんでこんなに優しいんだろう。

「先生は優し過ぎます。そんな風に他人を気遣ってばかりじゃ損しちゃいますよ」
「俺は優しいんじゃないよ。ただ彼女の夢を奪ってしまうのが恐かっただけ、ただの臆病者だよ」
「そんな言い方、止めてください。先生は優しいですよ、優しくて温かくて、私の憧れです。
私…、先生のことが好きです」

私は先生の胸に飛び込んだ。
自分でも驚くほど大胆な行動、ただ夢中だった。
恋愛に慣れていないから、どうすればいいか分からなかった。
子供だと思われたくない、女として見て欲しい、ただただ、そんな想いが駆け巡り。気がつけば、先生の胸中にいた。

先生は、そんな私をそっと抱きしめてくれた。
やっぱり先生は優しい。こんな私を、何も言わずに受け止めてくれる。

「ここじゃ人に見られる、部室に入ろう」

そういって、先生は私の肩を抱いて部室に入る。

「先生、好き、前からずっと好きだったの、いつも先生のことばかり考えて、先生のことを想うと胸が苦しくて、嬉しくて、切なくて、先生のことが好き、ずっとそばにいたい、先生のこと知りたい、愛されたい… 」

抑え込んでいた想いが、堰を切ったように溢れ出す。留め処なく溢れる想いを、ただ一方的にしゃべり続ける。
拒絶されるのが恐い、返事を聞くのが恐いから、だから絶え間無く一方的にしゃべりつづける。
文章になんてならない、目茶苦茶な言葉なんだろう。それでも返事を聞くのが恐いから、ただ夢中でしゃべり続けた。

「先生、私を抱いて。お願い、先生に愛されたいの」

それが偽りの無い私の本心。でも、それだからこそ、拒絶されるのが恐い。

「お願い私を抱いて」

返事を聞くのが恐いから、私は唇で先生の唇を塞ぐ。
何も答えられないように、情熱的なキスで先生の返事を奪う。
そんな私を、先生は優しく抱きしめる。
重ね合った唇が、官能的な快楽を私に返してくる。
ただ押し付けるだけの私のキスとは違う、柔らかく唇を使った、甘く、とろけるような大人のキス。その快楽に私は、身も心も奪われてしまう。

「牧野… 後悔しないね?」

間近に迫る顔、先生の瞳が見つめている。

「はい」

とだけ、私は短く答える。
先生は、もう一度私に熱い口づけを交わした。そして頬に、首筋に、先生は官能的なキスを繰り返す。

先生が部室のカギを閉める。鍵は顧問の先生が管理しているから、内側から鍵をかければ外からは開けられない。
先生は振り返り、私をそっと抱き寄せ、もう一度キスをする。
先生の右手が、私の胸に触れる。手の平で撫で回しながら、制服の上着の下に滑り込ませ、ブラウスの上から私の胸を揉む。
左手は、スカート越しに腰をまさぐっている。
いやらしい手つき。先生が男として私を求めている。それが嬉しい。
先生の手が上着にかかる。私は逆らわず、袖から腕を引き抜いて、脱いだ上着を皺にならないよう、自分のロッカーのハンガーにかける。
そうしている間にも、先生は後ろから抱き着き、背中越しに手をまわして、私の胸を揉む。
その手は襟元のリボンを緩め、ブラウスのボタンを、一つ、また一つと、順番に上から下に外して行く。
そして一番下のボタンまで外すと、スカートのファスナーを下ろした。
留め具も外されたスカートが、脚を伝ってスルリと床に落ちる。そしてブラウスも、肩からゆっくりと脱がされる。
私は脱いだ制服をたたんでロッカーにしまおうと、足元のスカートを拾い上げた。しかし先生は私の肩を抱き寄せ、肩、腕、背中、腰と、私の身体を優しく撫でる。
衣服越しでなく、直接肌を撫でられると、それだけで感じてしまう。優しく繊細な手つきで、先生の手の平が私の肌の上を滑る。
肩や背中を撫でられているだけなのに、体がぞくぞくして、堪えられず身をよじってしまう。
緩んだ指先から、制服のスカートはハラリと落ちる。私は、先生に身体を委ねた。

日は沈み、明かりを消した部室の中は静かで薄暗い。
生徒は日没前に部活を終え帰宅するように、というのが学校の方針だから、もう生徒はほとんど残っていないだろう。
鍵もかけられた密室といっても、やっぱり部室というのは、なんだか落ち着かない。
下着姿というのが心細く、スタイルにもあまり自信はないから、見られるのが恥ずかしい。
さっきはあんなに大胆だったのに、受け身になると恥ずかしさが込み上げてくる。
先生も服を脱ぎ始める。トランクス一枚を残して上半身は裸、マッチョと言うほどではないけど、引き締まった体に男を感じずにいられない。
そんな先生の手がブラに触れる。男らしい手で乳房を揉まれると、私が女だという事実を再確認させられる。
これからセックスするんだ、という実感が涌いてくる。

「牧野…」

私の名前を囁き、先生は背中に手を回す。ブラの締め付けがスッと軽くなる。
そのまま先生は、私の胸からブラを剥がし取る。
裸を見られるのは恥ずかしい、恥ずかしさで体温が上がるのが自分でも分かる、しかし。

「牧野、綺麗だよ」

と、先生のその一言で、恥ずかしさは喜びに変わった。それまで感じていた不安も急に薄れていく。
先生の手が私の胸を弄ぶ。手の平全体で乳房を揉んだり、指先で乳首をいじったり、でもそれが気持ちいい。

「ああ、先生」

快感にうっとりと感じ入る。敏感な乳首は、刺激されて固くなり、更に感じ安くなっていく。ピンと立った乳首を、先生は指先で摘んでクリクリ弄ぶ。

「先生、気持ちいい」
「乳首感じるのか? ならもっと気持ち良くしてあげるよ、横になって」

先生にうながされ横になる。あいにく部室には布団なんて無いから、固い床の上に仰向けに横になる。
ひんやり冷たい床の上は、決して寝心地は良くなかったけど、直ぐにそんなことは忘れてしまった。
先生は私の上になり、私の胸に口を吸い付ける。一生懸命に乳首を吸いながら、唇で舐めたり、舌の先で転がしたり、私の胸を優しく愛撫する。

チュッパ、チュッパ、と音を立てながら、おっぱいに夢中になってしゃぶり付いいている。
左右の手でおっぱいを揉みながら、両方の乳首に交互に、繰り返ししゃぶり付いてくる。

「ああん」

あまりに激しく求められ、思わず声が漏れてしまう。先生はそれに答えるように激しく吸い付き、繰り返し何度も乳首をくわえて吸い上げる。
そして乳房全体を揉みながら、乳首の先を舌の先でレロレロとくすぐるように舐め回す。

「あん、んっ、 ああん」

私が感じて喘ぐほど、先生は強く求める。
我ながらスケベだ、甘い声で男を誘って、気持ち良くなろうとしている。きっと女の本能なんだろう、セックスの本能。私はそんな自分を拒まず受け入れる。
たぶん先生のリードが上手いのだろう。始めは戸惑ったけれど、先生に身体を預けているうちにその戸惑いも消えている。すべて先生に任せておけばいい、そんな安心感さえ今はある。
私は次第にセックスにのめり込んでいく。

「先生、下もいじって」

言ってから恥ずかしくなった。さすがに言葉にするのは恥ずかしい。
先生の手はアソコに伸び、下着の上から指先でなぞる。
それから下着の中に手を入れ、入口の辺りを指でいじる。指先で撫でたり押し広げたりしながら、少しずつ内側に指が入ってくる。
最初は指だけを動かしていたのがだんだん激しくなり、腕ごと動かしてアソコを責めてくる。
だんだん気持ち良くなってきたところで、先生は邪魔な下着に手をかける。脱がそうとするけど、なかなか脱がせないでいるので、私も腰を浮かせ脱がし易くする。
既にエッチなスイッチが入ってしまった私には、この少しの時間がじれったい。早くさっきみたいにいじってほしい、そんな気持ちで待ち切れない。

しかし先生は私から最後の一枚を脱がせると、自分も最後の一枚、トランクスを脱いだ。
先生のアレは、既に突っ張っている。正に肉棒という感じで、グロテスクだと思いながらも、不思議と目が釘付けになってしまう。
興奮し、欲情したそれを見れば、先生も待ち切れないんだと分かる。

「力を抜いて、楽にして」

先生は優しく太ももを撫でる。私はいわれた通りに股の力を抜いて、先生にうながされるままに脚を開いた。
アソコを見られるのは恥ずかしいけど、先生の欲情したアレを見せられて、なんだかこっちも欲情してくる。
もちろん不安はある、しかしそれ以上に期待している。本当に我ながらスケベだ、初めてなのに先生のを欲しがっている。

「牧野、行くぞ」

先生が私の中に入って来る。肉棒が入口を押し広げながら、私の中に入って来る。

「あうっ」

思わず声が漏れる。目一杯広げられ、裂けてしまいそう。肉棒は見た目よりもずっと太く感じる。

「痛いか?牧野」
「平気です、続けてください」

先生の言葉に、思わず平気と答えてしまう。本当は痛い、でも嫌ではなかった。
先生は更に奥まで入ってくる。そして上に覆い被さり、苦痛に耐える私の身体を抱きしめ、唇を重ねる。
下半身を挿入したままのディープキス、愛されることの幸せを、私は強く噛み締める。
痛みを伴う感覚はとても鮮烈だ。愛する人に抱かれている喜びが胸を満たす。憧れていた先生と、一つに繋がっている喜びに、私の胸を満たされる。

「牧野、動くよ」

先生はそう囁くと、静かに腰を振り始めた。
先生のペニスが私の中を掻き混ぜる、そんな生々しい感覚が駆け巡る。
これがセックス、初めての経験、初めての感覚。
先生の熱い男のシンボルが、私の中で動いている。私は今、女に成る。
初めての私には、まだ気持ち良さは分からない。それでも私はセックスの悦びを、女の悦びを、愛されることの悦びを、確かに感じている。

「あっ、あっ、あっ、あっ、」

いつの間にか出ていた声が、腰のリズムに合わせて揺れる。先生の息遣いも早く、熱を帯びてくる。
始めはゆっくりだった腰の動きが、だんだんペースを上げて激しくなってくる。
普段の穏やかな先生からは想像も着かない、腰だけが別の生き物のように、絶え間無く動き続ける。
こんなに激しく求められている、そのことが嬉しい。私もそんな先生を求めている。
私と先生は裸で抱き合い、精器を擦り合わせて、お互いを激しく求め合う。

腰の動きは更に加速して行く。強く強く私を求めて来る。でも私には限界だ、初めての私には刺激が強過ぎる。これ以上は壊れてしまいそう。
「ああああああ」

悲鳴に近い声を上げた時、私の中から先生の感覚が抜けて行く。
そして次の瞬間、おへその下の辺りに温かい何かが、ポタッ、ポタッ、と垂れた。
何となく分かる、精液だ。先生は私のお腹の上に射精している。

「先生、イッたの?」
「うん。牧野、イッたよ」

良かった、先生ちゃんと感じてくれたんだ。ちゃんとイッてくれたのが、女として嬉しかった。

やっぱり先生は優しい。
がむしゃらにセックスしていると思ったけど、外に出してくれた。ちゃんと気を遣ってくれたんだ。
それから先生は、私に優しいキスをする。
とろけるような甘いキス、最後にチュッと軽いキスをする。
先生は私を愛してくれた、すごく幸せな気分だ。
キスを終えた先生の顔が、私の顔のすぐそばで囁く。

「牧野、一年だけ待ってくれないか。一年たって君が卒業したら、正式に交際しよう。
君の両親や学校に認めてもらうには、それしかないんだ。だから一年だけ、卒業するまで待ってくれ」

やっぱり、先生は大人だ。
後先考えずに抱き着いたりする、私とは違う。ちゃんと先のことまで考えてくれてるんだ。
誠実な先生らしい。そして、それが嬉しい。

「はい、待ちます。卒業まで。
でもいいんですか、勢いで生徒とそんな約束して?」

なんだか照れくさかったから、私はちょっとイジワルに切り返す。

「そういう情熱も、時には必要さ。
確かに生徒に恋しちゃマズイんだけどな。せっかく本気で愛せると思うヒトに巡り逢えたんだ、今度は君を諦めたくない。
だから卒業までは、我慢してくれ。みんなに認めてもらうには、それが一番なんだ。」

やっぱり先生は大人だな。
理性的で、しかし私のわがままを受け入れてくれた。
私は、この優しくて誠実な男性を本気で好きになってしまった。



一年か、 長いな。
先生と違って、私はまだまだ子供なんだ。一年なんて、長すぎる。
卒業するまで、ただの先生と生徒でいなければならないの?
本当はいつもそばにいて、甘えていたいのに。本当はその腕で抱きしめてほしいのに……


今はまだ4月中旬、卒業まで、まだ10ヶ月半。季節は春なのに、本当の春はまだまだ遠い…
それでも、終わらぬ冬は無いだろう。この恋は、決して希望の無い恋じゃない。
私の春はまだ遠い。でも、彼なら信じられる、彼だから信じられる。
いつか訪れる春が来るその日まで、私は彼のことを『先生』と呼ぼう。






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