君の笑顔
シチュエーション


・綺麗すぎて近寄れない
・美人だけど冷たそう
・常に落ち着いていて隙がない
・蔑んだ目で見られて罵られたい  他諸々

多少おかしな点はあるがこれらが他人から見た彼女の印象。
目の前で真剣に鏡を見つめている女の印象。

確かに彼女は綺麗だ。
いつも背筋は伸びていて涼しげな顔立ちは見る者に緊張感を与える。
道を歩けば誰もが振り向く。
彼女の魅力は外見じゃない。 と言いたいところだが俺も一目惚れしたようなものだからな・・・


今日はせっかく部屋に呼んだのにずっと鏡と向き合っている。
面白くなくて頬を引っ張ると睨まれた。・・・面白い。

「ほーいひろーはん」
「なんだ?」
「はらひれふらはい」
「離してください。か?」

こくりと頷いたので離してやる。

「珍しく鏡なんて見つめて、何かあったのか?」

少し考え込んでしまったので彼女の髪を三つ編して遊ぶ。
しばらく待って言わなかったら押し倒してしまおうと思ったところで彼女が口を開いた。


「今日は人生で初めてお・・・お友達が出来ました」

お友達。という言葉に少し照れているらしい。

「あぁ、あの昼に一緒にいた?」
「えぇ。それで部活見学に連れて行ってもらったんですけど・・・
 初めて話す人も何人もいました」
「男か?」
「いえ、違いますが・・・こわいと・・・」
「あ?」
「恐そうな人だと思ってたと言われました。
 なので笑顔の練習をしようかと・・・」
「お前はたまに変なことをやりだすな」
「あなたは学校であれだけ爽やかな青年風にしているのですからすごいですね
 家ではこんな・・・なんでもありません」
「今失礼なことを言おうとしたな?まぁいい。付き合ってやる」

今夜は彼女に色々したかったが、一緒に過ごす時間は何をしていても楽しい。たとえ他人から見たらくだらない内容でも。

ベッドの上で向き合って座る。

「まずは表情だけでも作ってみろ」
「はい」

よし。と意気込んで、ギギギ・・・と音がしそうな程・・・

「い、いい!わかったからもういいっ!」
「はぁ、難しい・・・」

「あーなんだっけなー
 俺もあんまテレビ見ないしな。
 確か・・・そうだ、俺イケメン!」
「・・・そうですね」
「ちょっと待て。これは俺へのダメージが・・・
 かなり恥ずかしいな・・・」

甘いものを食べさせたり色々試している内にだいぶ時間がたった。
隣で目を擦る彼女。眠くなると仕草が子供っぽくなる。
部屋に戻ると言い出すだろうか?
まだ・・・まだ離れたくはない。

「そういえば、これはどうだ?」

服越しにわき腹をくすぐる。

「あの・・・ちょっと・・・」

困ったような顔をして身をよじる彼女。

「これは昔から苦手で・・・ひゃぁぁ」

抵抗する両手を捕まえて密着する。

「くすぐったい?」

耳元で囁いて軽く息を吹きかける。

「んっ耳はやめっ・・・」

軽く甘噛みをすると彼女が震えた。

「くふぐっはい?」
「あっ・・・う・・・くぅぅ・・・」

触れ合うのは好きなのにこういう感覚にはまだ慣れないらしい。
ずりずりと後ろに下がろうとするので体重をかける。

「ちょ・・・はなしっ・・・ってきゃぁ!!」
「おっと」

ベッドから落ちそうになった彼女を支え、そのまま二人して仰向けに寝転ぶ。

「すまんな。調子に乗りすぎた」
「いえ、ご協力ありがとうございました。」

息を整えてから彼女が呟く。

「私・・・才能ないんでしょうか?」
「なんの?」
「だから・・・笑う・・・」
「笑う才能ってなんだよ」

思わずこちらが笑ってしまった。
頬を摺り寄せてくる彼女。
よしよしと頭を撫でてやるとじっと目を閉じる。

甘えベタで人に頼ろうとしない彼女のこんな姿を見れるのは自分だけだ。
そう思うと不思議な気持ちになる。
ずっとこの安心した顔を見ていたいような。
困らせて、泣かせてしまいたくなるような。

「おい、美夜子」
「なんですか?総一郎さん」
「そりゃもっと笑ってくれたら嬉しいが・・・

 俺はお前がどんな仏頂面だって愛してるからな」

ゆっくりと身を起こした彼女に思わず見とれる。
満面の笑みとまではいかないが、とても優しくて柔らかい笑顔。

「はい。私も愛しています・・・」

可愛い、すごく可愛い。好きだ。大好きだ。愛してる。

「あの、総一郎さんなぜ服を脱ぐんですか?」
「野暮なことを聞くな」
「ちょっとこっち来ないでください!」
「俺のこと愛してるんだろう?」
「この状態でその台詞は最低な・・・ひっ・・・あっ・・・んむぅ・・・」

結局この日も痛がるので断念したが、彼女が一緒にいてくれる。それだけで満足できた気がした。
決してその際の彼女の一言に傷ついてなんかいない。・・・傷ついてなんか。






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