シチュエーション
日本有数の大豪邸、五十嵐家のものだったが、現在では臣斗とかいうワケの分からない学生の所有物件になっている その大広間、大きく長い見慣れた食卓、いつまで経っても見慣れない顔立ちの面々 「おーい、そのソース取ってくれ」 臣斗、どこにでも一人はいるタイプの若い男 中肉中背、少し背が低いメガネ、目、鼻、口、言動、特に目立ったところは無く、彼の羽織っているブレザーがアイデンティティの全てに見える 「イエス、ボス」 ジェーン真柴、かなり長身の黒人女性、今日は男モノのタキシードで決めてきたようだ、似合いすぎて怖い 食卓を挟むとかなり距離があるのに手をギリギリまで伸ばし、身を乗り出して必死にソースを手渡そうとしている だが残念、その食卓の幅は3m強、70cm弱の手を必死に伸ばしたところで無駄 「ヌオオオオオ!!!」 いくらスゴんだところで現実は変わらない 「全く、アナタじゃありませんよ、どうぞ、臣斗」 メイド服をした若い女性、どこか落ち着いていて大人しい雰囲気がする 少し日本人離れしているが整った顔立ち、全体的に線が細い感じ 銀髪はサラッサラのロングヘアー、男はああいうのに憧れるんだろうな、と思ってし・・・ 「チョット待てェェ!!」 「「「・・・?」」」 いきなり大声をあげたお陰で三人の視線がこっちに集まる 「この人誰!!何で当たり前のようにここでゴハン食べてるの!?」 「やだなぁ、ハウスメイドのナギサさんじゃないか」 「コナイダモ帰リハ迎エニ来タ人ジャナイデスカ」 「そうですよ、お忘れになられたんですか?」 アハハハハ〜・・・と全員が食事に戻る 何・・・?何なの、この忘れ去られた感・・・迎えに?全然覚えてないよ・・・ 「よろしくお願いしますわね、サツキお嬢様♪」 「あ、はぁ・・・こちらこそよろしく・・・」 ナギサの隣から、眠そうな臣斗の声が 「あーそうだサツキ、一つだけ忠告しとくぞ」 「もし怒らせたら、全身全霊をかけて謝れ、自分が正しくても謝っとけ」 「え?どういう・・・」 「あとで分かる、ナギサさん相手にする時は覚えとけ、絶対に忘れるな」 「ところで臣斗、女の子にその喋り方は失礼じゃないかしら・・・」 一瞬、特にスゴんでいるわけでも低い声を出している訳でもない、やたらと冷たい棒読みの声が聞こえる そのナギサ?の声が聞こえるやいなや、臣斗の体が一瞬飛び上がり、数秒の硬直、その直後 ゴメンナサイ!! 臣斗の口から出た言葉はそれだったと思う そんな事より、目の前のショッキングな光景が目に焼きついて離れなかった 何のためらいもなく、土下座、正真正銘、大の男の土下座 前に無理矢理やらせた事があるが、それとは違う、臣斗から進んでナギサさんに服従のポーズを取ったのだ 「「・・・・・・!!」」 私とジェーンは、呆気に取られて完全にフリーズしていた その凍りついた空気の中、柔らかな笑顔で微笑みかける 「臣斗さん、何もそこまでしなくても・・・謝るならそっちに、でしょ」 臣斗の土下座が私に向き直る 「・・・え?え?え?」 「よく出来ました、食事に戻りましょうか、臣斗」 「は、はい・・・」 その後食事が終わり、臣斗が部屋に引き上げるまで見ていたが、背中がやけに小さく見えた・・・気がする 「一体あの人なんなの・・・?」 いそいそと食事のあとの皿を片付けているメイドさん・・・特に筋肉が付いてるわけでもアブない人にも見えない・・・ バン!!と部屋に入るなり荒々しくドアを閉める 「あのアマ・・・一体何なのよ・・・」 「サツキお嬢様、あのアマ・・・とは私の事でしょうか」 部屋の中には、先程のメイド、『あのアマ』が既にいた 「なっなっなっ・・・何で入ってきてるの!!?」 「紅茶でも飲まれるかと思って淹れてきたのですが・・・」 少しうつむき、残念そうな顔を向ける テーブルの上にはティーカップと紅茶を入れるのに必要な諸々が置かれていた 『謝るべきか・・・言わなかった事にするか・・・』 「心配なさらずとも先程の不適切な言葉は聞かなかった事にしておきます」 「えっ・・・」 聖母のような笑顔で、 「そんな事よりこの紅茶はいかがですか?気持ちを落ち着ける効果があるそうですよ♪」 「あら・・・美味しいっ」 『この人、ナギサさん、案外良い人かも♪♪♪』 紅茶一杯に買収されるけっこう単純なお嬢様 「どうもありがとうございます、もう一杯いかがですか?」 この紅茶美味しいしなー・・・ 「ええ、頂戴」 「はい♪」 事は、3杯目の紅茶を注いでる時に起きた 「ん・・・あれ・・・」 「どうかなされました?」 「ちょっと・・・トイレ・・・」 ちょ・・・何コレ・・・ 本当に、本当に突然襲い掛かってきた猛烈な尿意 「フフ・・・」 ナギサが何やら意味深な笑みを浮かべた事に、サツキは気付く事なく部屋を出た 目指すは一番近いトイレ、部屋を出たあと、曲がり角を2つ超え、長い廊下を超え、 ふら付きながら、尿意をこらえ、やっとの事で目的地が見えてきた 「・・・・・・ふぅ」 我慢の限界を通り越しながら、溜まりに溜まった小水は勢い良く排出されていった 「・・・」 自分一人しかいない個室、用を足してスッキリした時、微かに持ち上がった興味 『・・・誰も・・・見てなんか・・・』 二日前の、あの行為を思い出すだけで、段々と股間がジンジンと疼き始めていた 「んっ・・・はぁっ・・・」 ほんの少し指を中に入れただけでも背中に電撃が走る 最初は恐る恐る、と言った感じだったが、慣れるにつれ性感は昂ぶり 性器を手でイジるという、今までの生活ではあり得なかった背徳感も入り混じり 「くっ・・・くぅぅっ・・・ん、はぁっ・・・」 もう既に思考は停止し、脳味噌はふやけ、性感を刺激し続ける事数分 『これ、何・・・?』 「ひァっっ!?」 勃起した陰核に気付き、何だか分からずにそこをツツー・・・っとなぞった為の小さな悲鳴 彼女は、そこの用途を一瞬にして悟った 「あっ♪んぁんっ♪ こ、これ・・・イイッ☆」 個室便所の中にクチャリ・・・クチュ・・・と淫靡な音が響き渡り 指の腹でクリトリスをなぞりながら、急速に上り詰めていく 「んっ・・・くっ・・・ひぁぁぁああっっ♪♪♪」 小さな個室便所の中で、彼女は思いっきり一人で果てた クリトリスを使った、ただの出し入れとは比較にならない程の圧倒的な快感 とても声を堪える事など出来なかった 「はぁっ・・・はぁっ・・・」 絶頂を迎え、やっとの事で我に返ったサツキ 小さな個室の中から響き渡るあの嬌声 思い返すだけで顔が赤く染まるのが分かるようだ 「───ッッ」 結局、部屋に帰ったのはそれから30分程トイレの中で悶々としてからだった 「ハァ・・・何であんな事を・・・」 ナギサ、このメイド服に身を包んだ女は、少し足早に歩いていた 向かう先は屋根裏に作られた簡易な自室 「臣斗・・・あんな立派になっちゃって・・・」 倉庫の扉を閉める、自室は倉庫の天井の隠し扉から上がれる・・・だけど、もう我慢の限界だ 少し、胸のツンと尖った突起に手を伸ばす 何もしてないのに、あの子の事を思うだけで興奮しているのが、体の状態で如実に見て取れた もうダメだ、始めてしまったら止められない・・・止めたくない ダンボールの山にもたれかかり、その一つに腰を下ろす 手袋を外す、細く白く・・・傷だらけに手が露になる 下の方に手を伸ばし、靴下に中に仕込んだ写真を取り出す 痛まないように加工したその紙の中では、笑顔の子供と、何年か前の自分の姿が写っている この頃の臣斗は本当に何も知らず、無力で・・・それが自分には、たまらなく眩しく見えた 写真の中の臣斗と、今の・・・成長した臣斗を重ね合わせる 「やだ・・・こ、こんな・・・」 息が荒くなってきた・・・少しだけ涙で目が潤む 鏡があれば、赤くなった自分の顔が映るんじゃないだろうか 成長した男の子は、今では自分の手が届かない場所にいる 傭兵上がりの女と、巨大企業を弄ぶ人間・・・臣斗からしたら、自分なんて周りにいるその他大勢の一人・・・ 自分には、臣斗は一人しかいないのに・・・ エプロンドレスに入った切れ込みから、スカートの中に手をのばす ショーツの上からでも、既に十分な湿り気を帯びているのが分かる 「シン、斗・・・、臣斗ォ・・・」 回想から現実に戻り、もう一度写真を見やる、幼き日の臣斗の笑顔と 小さな体、そして小さな足の付け根、このズボンの下には男根が・・・ 「はぁっ・・・あっ・・・あぁっ・・・」 『シン、斗・・・、臣斗ォ・・・』 (|li゚д゚)・・・・・・ ナギサがおかしな事をしでかさないように、見張りついでに付けた盗聴器から拾ったのは 明らかに悦の入った女・・・ナギサの艶っぽい声 何故俺の名前が・・・? 真性パソオタだとしても、流石にそこまでニブい訳じゃない 「え・・・え・・・ナギサさんだよ、「あの」ナギサさんだよ・・・??」 完璧主義者にして絶対零度という言葉のよく似合う そして戦場ではサブマシンガンを携帯し、容赦無く敵を殺し そして味方であろうと・・・ 昔の自分に、稽古を付けてやると言い、5歳の俺を容赦なく投げ、骨を折って この間日本に付いた時も空港でサブミッションをキメたあのナギサさんだよ・・・?? 混乱している臣斗の耳に、パソコンから水音が聞こえた 「ッッ・・・・!!!」 クチリ・・・パチュ・・・チュプ・・・ ─強制終了─ ─思考停止─ ─再起動─ ─アタマも再起動─ これ以上聞いちゃダメだよな・・・人として・・・うん、こんな事してる場合じゃない 「さーて次はどんなワーム作ろうかなー♪」 俺はまずはサツキの会社に忍び込むっていう仕事があるんだよ・・・ こんなアブない人のプライベート盗み聞きしてる場合じゃない!! SS一覧に戻る メインページに戻る |