シチュエーション
「くっ、素早い……!?」 建物の影から影へ。尋常ではないその速度。 戦い慣れているはずの自分ですら、目で追うので精一杯という有様。 「これは、どうやら長期戦になりそうですね……」 ここ数日、世間を騒がしていた魔物を、学校の敷地内まで追い詰めたのが今からちょうど15分前。 だがそれ以降、決定打どころかまともに捕捉すらできない状況が続いていた。 自分の不甲斐なさに腹が立って仕方が無い。思わず唇をかみ締め、 「……ふ、ふぁい……。がんばりまふ……」 同時に、力の抜けた声が耳に届いた。私のパートナーである少女のものだ。 そう、いま戦っているのは私一人ではない。 それどころか、本来、私には魔物を倒すことなど出来ないのだ。 全てはパートナーである彼女の特別な力のおかげ。私はそのサポートこそが役目であり、与えられた使命なのだ。 ……先走ってはいけない。自分がやるべきことをきっちりとこなすこと、それが一番大事……。 気持ちばかりが先行し、そんな当たり前のことすら忘れていた。ゆっくりと深呼吸をして、熱くなっていた頭を覚ます。 そうして今さらのように、手に力が入りすぎている事実に気が付いた。 「申し訳ありません。痛かったですか?」 「……う、うん。ちょっと……」 抱き締めているパートナーから、バツの悪そうな声が届いてくる。 私は力を緩めてから、手で握り締めているものを大事そうにさすった。 「ふ、ふあぁぁっ!?」 腕の中で、彼女の身体がびくんと動く。後頭部が私のあごにぶつかった。 彼女の『特別な力』は実にデリケートであり、扱いは慎重に慎重を重ねる必要がある。 私が焦りで自分を見失っているときに、何らかの異常があった可能性も捨てきれない。 しっかりと確認しておかなくては。 「すみません、スカートをめくり上げて下さい」 「……ふぁ、い?」 「ご自身のスカートをめくり上げて、その中身を私に見せて下さい」 「ふぁ、ふぁい……」 やたらおどおどとした様子で、彼女は自身のスカートをめくり上げる。 肩越しに覗き込むようにして視線を送った先、 そこには、 ペニスがどんっ! 「異常なし、と」 このどこからどう見てもペニスで男性器でイチモツなナニこそ、パートナーの『特別な力』の証! 彼女はこのペニスを刺激し、おっきおっきすることによって大地から魔力を吸収し、 絶頂と同時に高出力のレーザー(通称:魔導キャノン)を発射することができるのだ! ぎゃおーん! 「はっ!? あちらに魔物が!」 彼女の身体の向きを強引に変えて、そのいきり立ったペニスを魔物に構える! 魔物を倒す大チャンス! 今こそ発射だ! 放て、魔導キャノン!! しこしこしこしこしこしこしこしこしこしこ…… 「ふぁああぁぁぁあぁっ!!」 ぎゃおーん! 「くっ、素早い……!?」 彼女が絶頂を迎える前に、また姿を消されてしまった。慌てて手の動きを止める。 魔導キャノンを発射できるのは一回こっきり。決して外すわけにはいかないのだ。 「ふああっ、ぁ?」 「ストップです。まだ絶頂してはいけません。これはやはり、長期戦になりそうですね……!」 「……ふ、ふぁ、ふぁい。がんばりまふぅぅ……」 先ほどと同じく力の抜けた声が耳に届く。こみ上げてきた笑みを隠すように、彼女の柔らかな髪に口元を埋める。 ……もう大丈夫、本当に大事なものは思い出した……。 何度も何度もその気持ちを反芻しながら、私は心地よいパートナーの体温を感じ続けた。 「すぐに発射できるように、もう少ししごいておきましょう。しこしこしこ」 「ふぁ!? ふぁっ、ふぁああぁぁぁっ」 「あ、待って下さい! 達してはいけません! 我慢して下さいがまんがまん!」 「ふあっ、あっあっ、うっ、うえええぇん……!」 SS一覧に戻る メインページに戻る |