神聖騎士エルシオン 魔人スサノオ編
-2-
シチュエーション


ちゅくっ……


かすかに汗ばみ、湿った秘処を堅い指先が撫でていく。
悔しげに震える美貌を、魔人の手が押さえ込む。
頬を両手で挟み、まっすぐに瞳をのぞきこんだ。

「美味そうな唇だ。亭主一人に独占させておくには惜しいな。味わわせてもらうか」
「いやよ、誰があなたなんかと──うぐっ!」

抗弁しかけて百合子の唇を魔人の唇が塞いだ。
エルシオンは呆然と立ち尽くす。
大切な人が凌辱されていく様を、ただ見つめることしかできなかった。

ちゅくっ、ちゅくっ……


魔人の唇が百合子の清廉な唇を貪っている。夫以外に許してはいけないはずの聖域を汚されてい
る。

「うぐぐ……んっ」

舌を思い切り吸われ、百合子はかすれた鼻声をもらした。

「ふん、亭主との接吻よりも感じたか」
「ふざけないで……きゃあっ」

無骨な指先が、トロメアの胸元に食い込んだ。
ぐに、ぐに、と真紅のコスチュームに包まれた双丘を揉みしだく。豊かに肉の詰まったバストが
横に大きくひしゃげた。
びりっ、と音がして、胸元のスーツが横一文字に裂ける。破れ目から鮮やかな赤色に息づく乳首
が露出した。

「あ……」

スサノオがすかさず顔を下げて、乳首に吸いついた。赤ん坊がミルクを飲むときのように、音を
立ててむしゃぶりつく。


ぴちゃ、ぴちゃ……


「や、やめて……あぁぁぁっ!」

屈辱的な音を立てながら、左、右、左……と赤い乳首を交互に吸われ、乳輪の周辺を舌先でつつ
かれる。純白の双丘に噛み付かれ、無数のキスマークを刻まれていく。

「ふん、本当にやめてほしいのか」
「いや、いや……」

乳房をねっとりと責められながらトロメアは首を左右に振り続けた。

「口ではそういいながらも、乳首が勃っているぞ。すっかりコリコリだな」

長大な舌で乳首を転がし、指先でもう一方の乳首をつまむ。人妻の乳房を傍若無人に責めながら、
スサノオが勝ち誇った。
いまや百合子の乳首は左右とも隠しようがないほどに尖りきっている。

「お前の相棒もあきれているぞ。敵である魔人になぶられながら、はしたなくも感じてしまってい
るとは、な」

「馬鹿なことを言わないでちょうだい。私は淫らな気持ちになんて──ああぁっ!」

ふたたびバストを鷲づかみにされ、トロメアは甘い鼻声をもらす。

「百合子さん──」

瞳子は愕然と師匠の痴態を見つめていた。
半ば驚きで、だが半ば魅入られたように。
自分にとって憧れの対象である女性が、妖しく乱れていく様子を凝視する。

「さて、と。そろそろ犯してやるか」

スサノオがトロメアの体を地面に横たえた。すらりとした両脚が割り開かれ、股間に怒張しきっ
たモノがあてがわれた。

「そ、それだけは──」

百合子の瞳に悲痛な懇願が浮かぶ。
さすがの神聖騎士も真っ青な顔で唇をわななかせた。

「夫がいるの……愛しているのよ。だから、お願い貞操だけは!」
「ほう、麗しい夫婦愛だな」

スサノオが顎をしゃくりながらうなった。

「なら、お前の代わりにあっちの小娘を犯してやろうか」
「駄目!」

たちまちトロメアの顔が恐怖に引きつった。
瞳子も、矛先が突然自分に向けられ、ギョッとなる。
スサノオは面白がるように、トロメアとエルシオンを交互に見やった。

「あの子だけは──」

トロメアが弱々しくうなだれる。

「あの子だけはゆるしてください……お願いします」
「ならば、お前が犯されるしかないな」

魔人の宣告に、百合子の表情が硬直する。
重々しい沈黙が流れた。

「どっちなんだ。自分の貞操が大事なのか。それとも仲間を護りたいのか」
「わ、私は……」

トロメアは唇をかみ締め、うめいた。

「私を……犯してください」

次の瞬間、

「あああああっ!」

トロメアの悲痛な叫び声がこだました。
魔人の醜悪なペニスが熟れた秘孔にあてがわれ、一気に奥深くまで埋め込まれたのだ。
瞳子は愕然と目を見開いた。
生まれて初めて目にした、男女の交わり。
それがまさか、憧れの百合子と、憎むべき魔人のものだとは──

「くくく、とうとう貫いたぞ。犯してやったぞ、神聖騎士」

スサノオが歓喜の咆哮をあげる。

「どんな気分だ?自分よりも弱い相手に敗れ、貞操を汚されたんだぞ」
「卑怯者……!」

あまりの恥辱にトロメアが声を震わせた。

「ふん、本心じゃ、亭主よりもぶっといモノを突っ込まれて喜んでいるんじゃないのか。俺のモノ
の味はどうだ?亭主よりも気持ちいいだろう?」

百合子は魔人をにらみつけ、頬に唾を吐きかけた。
人妻としての、精一杯の矜持だろう。
犯されながらも、トロメアの瞳はまだ力を失っていない。

「淑やかそうに見えて気の強い女だ。ますます気に入った」

スサノオは頬についた唾をぬぐうと、にやりと微笑んだ。

「何が何でも、お前をヨガらせてやるぞ」

スサノオの腰がダイナミックに律動する。
パワフルな外見とは裏腹に、魔人の動きは繊細なものだった。まっすぐにペニスを突きこんだか
と思うと、腰を回すような動きで熟れた秘孔を丹念に責めてくる。
右手が乳房を這い回り、ボリューム感のある肉球をぐにぐにと揉んでくる。さらに左手が結合部
を撫でながら、クリトリスを柔らかくさすっていく。
あらゆる性感を責めながら、魔人は激しいピストンを全く緩めようとしない。
はあ、はあ、とトロメアの噛みしばった唇の合間から、荒い吐息が漏れはじめた。

「口ではどう言おうと、体の反応までは止められないようだな。さっきよりも息が荒いぞ」
「あ、あなたが下手すぎて、痛いからよ」

百合子は甘い息を弾ませながらも、頑として魔人の言葉を否定する。
ぱんっ、ぱんっ、と互いの腰がぶつかり合い、湿った音が響きあう。正義のヒロインと魔人が淫
靡に交わる様を、瞳子は息を止めて見つめていた。

「くっ、それにしても締まりのオマンコだな、俺のほうがイキそうになってきたぞ」

先に音をあげたのはスサノオだった。

「とりあえず、一発出してやるか。中にたっぷりと注いでやるからな」

スサノオの腰が一気にピッチを上げた。それに合わせて、百合子のスラリとした肢体が縦横に揺
れ動く。

「ま、待って、中は──妊娠してしまう!」

人妻の瞳が恐怖に見開かれた。
嫌々をするように何度も首を振り、哀願する。

「せめて外に──外に出してぇ!」

「うるさい、出す!出してやる!」
「やめてぇっ!」

トロメアの悲鳴が響き渡る。女騎士の懇願が、スサノオの欲望をかえって増大させた。

「たっぷりと注ぎ込んでやる。そうら、孕め!」

深々と埋め込み、腰を震わせる。

「い、嫌ぁぁぁぁっ!」

百合子の美貌が恐怖にゆがみ、すらりとした肢体が痙攣する。


びゅるっ、びゅるっ、びゅくぅっ……!!


射精の音がここまで聞こえてきそうな気がした。
魔人が、百合子の胎内に子種を注ぎ込んだのだ、と瞳子は悟った。

「中に出すなんて……!」

夫以外の男に子種を植え付けられて、トロメアの声に絶望感がこもる。はあ、はあ、と肩で息を
しながら、虚ろな瞳を魔人に向ける。

「くくく、まだ終わりじゃないぞ。次は」

スサノオはずるり、と膣孔からペニスを引き抜いた。人妻の秘孔におさまりきらなかった精液が、
後から後から垂れ落ちてきて、地面に白く溜まる。
魔人の肉茎は体液にまみれ、妖しく濡れていた。

「もうひとつの穴を犯してやる」

力強い手がトロメアの尻を抱え込む。

「ま、まさか、アヌスを」

さすがにトロメアも表情を変えた。

「お、その顔はもしかして後ろは処女なのか」
「当たり前でしょう!お尻の穴でなんて、そんな変態的なこと──」
「やめてぇぇぇぇっ!」

瞬間、瞳子が絶叫した。
自分のせいで誰かが傷つくのは、もうたくさんだった。

「百合子さんに、これ以上ひどいことしないで」
「なんだ、じゃあお前が身代わりになるか──ん?」

スサノオは下半身を剥き出しにしたまま、美少女騎士に向き直る。
魔人の視線を受けながら、エルシオンはもうひるまなかった。ゆっくりと聖剣を振りかぶると、
黄金の刀身が蒼いオーラに包まれた。

「百合子さんを放せ」

紫の瞳がまっすぐに魔人を見据える。
瞳子の中で、何かが切れていた。マグマのような闘志が胸の奥から湧き上がり、四肢が真っ赤な
熱を孕む。

「第二段階マギ開放」

白いバトルコスチュームを蒼い光芒が包み込む。黄金の剣をあふれるマギエネルギーでコーティ
ングする。
それは──今まで一度も成功したことのない、氷嵐系の上級術。

「待ちなさい、瞳子。あなたにはまだ」

トロメアがハッと表情をこわばらせた。

「下手をすれば自分の術で自分自身を傷つけることになるわよ、やめなさい!」
「いつも、百合子さんに助けてもらってばかりだったから」

少女の口元に穏やかな笑みが浮かぶ。最愛の、母代わりの女性に向かって微笑み、そして誓った。

「今度はあたしが百合子さんを助けるの」

黄金の刀身をかかげ、そして振り下ろす。


「砕けろ──ジャイロブラスト!」


渾身のマギを込めて、エルシオンが叫んだ。
圧倒的なマギの放出に、大気が震え、大地が揺れる。
同時に。
天空から地表の魔人に向かって、氷の嵐が降り注いだ。

魔力の強さは心の強さ──
だから、心を強く持ちなさい。


それは、神聖騎士として目覚めたばかりの瞳子に、夜神百合子が最初に教えてくれたこと。

(心を強く……)

聖剣を握り締める手に汗がにじむ。
目の前の敵は、自分を圧倒的に上回るマギ数値の持ち主だ。
だからこそ、強く。
そして鋭く。
まっすぐに魔人を見据え、瞳子は剣を掲げる。


「砕けろ──ジャイロブラスト!」


天空から召還した氷の龍が、地表の魔人へと降り注いだ。両腕に、両脚に、体全体に──凄まじ
い負荷がかかり、背筋が灼熱した。

「ぐっ……くっ……」

食いしばった歯から苦しい呼気が漏れる。息ひとつするだけで、瞬きひとつするだけで意識が遠
く、吹き飛びそうになる。
体内で荒れ狂うエネルギーを、エルシオンは必死で制御した。
マギのコントロールを誤れば、氷龍はばらばらに砕け散り、敵ではなく術者へと襲い掛かること
となる。
トロメアとの特訓では、一度も成功したことのない上級の術だった。

だが今──エルシオンの操る氷嵐の龍はうなりを上げ、動きを多少乱しながらも、まっすぐにス
サノオへと向かっていく。

「できた……初めて」

瞳子が叫んだ。
蒼きマギエネルギーをまとい、氷の嵐が爆風を伴い、スサノオの頭上で炸裂した。

「くっ……おおおおおおっ!」

魔人の咆哮が響き渡る。
同時にジャイロブラストが炸裂し、すさまじいエネルギー流が吹き荒れる。爆圧とともに周囲の
大地がクレーター状に陥没した。

「馬鹿な、小娘が……」

魔人の口から驚愕の声がもれる。張り裂けんばかりに瞳を見開き、エルシオンをにらみつける。

「これほどの術を!」

スサノオの顔にびっしりと浮かぶ、焦燥の汗。両腕を掲げて氷龍を受け止めるが、受けきれずに
手のひらが凍りはじめる。

「いける!このまま押し切って──」

瞳子が勝利を確信した瞬間。


ずあっ……!


蒼い光芒がはじけ、爆風と爆炎が辺りを包み隠した。

「はあ、はあ、はあ……」

体中から力が抜けて、エルシオンはその場に膝を落とす。
全身が鉛のように重かった。ほとんどのマギを使い果たしてしまったらしく、四肢に力が入らな
い。

「やったか……!」

黒煙に覆われた前方へと視線を向けた。

オレンジ色の爆炎がゆっくりと晴れていく。
その向こうに、かすかに見える巨大なシルエット。
エルシオンは紫の瞳を丸く見開いた。

呼吸が、止まる。

「くくく、驚かせてくれる」

現れたのは、余裕さえ伴った哄笑だった。



激しい凍傷を追ったのか、右腕がドス黒く染まっている。
だが傷らしい傷はそれだけだった。
「小娘がとんでもないことをしてくれたな。おかげで右腕の感覚がないぜ」
スサノオの口元が歪んだ。
憤怒と嘲笑の中間のような笑み。

瞳子は愕然と目の前の魔人を見つめた。

「ぜ、全力のジャイロブラストが効かない……!?」

がしゃん、と聖剣が地面に落ちた。


勝てない。


敗北感が心を漆黒に染め上げていく。
高揚していた戦意が急速に薄れ、四肢から力が抜けていく。

「さあ、相棒も動けなくなったことだし、さっきの続きといこうぜ、トロメア」
「い、いや……」
「相棒を守りたいんだろ?あっちから先に犯してやろうか」
「…………!」

トロメアはすべてを諦めたように肩を落とした。
自ら四つん這いになり、下半身を高く掲げる。ところどころが裂けた紅のコスチュームから、雪
白の尻肉が露出していた。

「ど、どうか、私を犯してください……!」

百合子は恥辱に唇をかみ締めながら、屈従の言葉を口にする。魔人が犯しやすいように豊かな尻
を差し出した。
むっちりと脂の乗った臀部を見下ろし、魔人は舌なめずりをする。

「いい心がけだ」

スサノオは左腕一本で百合子の腰を抱え込んだ。
スリットの入ったスカートをまくり上げ、びり、びり、と股間部分の布地を破り去る。大きく露
出した尻肉へと、みずからのペニスを押し付けた。
怒張しきった切っ先が、菫色の窄まりへとあてがわれる。百合子は観念したようにギュッと目を
閉じた。
次の瞬間、

「はぁぁぁぁっ!」

人妻の哀切をともなった悲鳴が響き渡る。
堅い切っ先が未通の入り口を割り裂いたのだ。
百合子が、夫にすら許したことのない禁断の場所だった。


ずるり、ずるり……


生々しい肉の音が鈍く響いた。

神聖騎士の肛門を丸く押し広げながら、魔人の肉刀が押し込まれていく。直腸内部を拡張しなが
ら、野太いモノが突き進んでいく。

「ああっ、痛い!痛いっ!」

トロメアは首を左右に振って絶叫した。
艶やかな黒髪が乱れ、汗の珠が飛び散った。

「我慢しろ、もう少しだからな──ふんっ」

スサノオは呼気を吐き出し、下半身を思い切りぶつけた。その一押しで、魔人の肉茎が肛穴の奥
まで埋め込まれる。

「きゃぁぁぁぁぁっ!」

深々と貫かれた瞬間、トロメアは可憐な絶叫を上げた。
びくん、びくん、と尻の双丘が痙攣し、荒い呼吸がこだまする。

「くくく、後ろの処女を失った感想はどうだ?亭主にも許したことのないアナルセックスだ」
「痛い……抜いて、抜いてぇ」

百合子の瞳に涙がにじんでいた。
性経験が豊かな人妻とはいえ、初めて許したアナルセックスの衝撃はすさまじいものだったらし
い。

「苦しいの、だからお願い……」

許しを請うように、すらりとした肢体を左右に揺らし続ける。

「ふん、さっそく味わわせてもらおうか。なに、すぐにこっちの穴でも感じるようにしてやる」

魔人は左手一本で百合子の尻を鷲づかみにし、ゆっくりと抽送を開始した。


ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ!


初めての肛交とはいえ、スサノオの動きに容赦はなかった。
膣性交と同じ勢いで、肛門をえぐり、直腸内を激しく擦り上げる。

「うぐ、うぐぅ……!」

百合子の朱唇からもれるのは、貞淑な人妻とはほど遠い、獣のような唸り声だけだった。

「どうだ!どうだ、神聖騎士!亭主も、こんな交わりは教えてくれなかったろう!」
「いやぁ!こんなの……痛い!」

トロメアの朱唇から苦しげな嗚咽がこぼれた。
魔人はまっすぐなストロークを続けながら、微妙に腰を揺すり、あるいは乳房や性器に指を這わ
せ、じっくりと官能を刺激していく。

「うっ……はぁぁっ!」

豊かな性感を備えた人妻は少しずつ少しずつ、肛姦の魔悦になじまされていく。間断なくアヌス
を貫かれているうちに、やがてトロメアの様子に変化が起きた。
痛みを訴えていた声が、しだいに甘い鼻声へと変わっていく。直腸内部がこなれ、ペニスの感触
に慣れてきたのか、百合子の表情から苦痛の色が薄れていく。

「くくく、少しずつ感じてきたんじゃないのか。アナルセックスの快楽に」
「ち、違うわ」

トロメアは汗まみれの美貌を左右に振った。
菊穴を貫かれた女体は、全身から濃厚な牝の匂いを発散していた。
半開きになった唇から、断続的に甘やかな嬌声がこぼれている。

「違わんね。お前は自分からケツを振っているだろうが。そら、お仲間も呆れ顔だぞ」

スサノオが顎をしゃくり、エルシオンを指し示す。

「見ないで、瞳子……」

トロメアの顔が苦悶に歪んだ。

「お願い、私を見ないで!」
「くくく、見せてやればいい。仲間の前で惨めに犯され、あまつさえ牝犬のようにイカされるとこ
ろをな!」

スサノオの哄笑が響き渡る。
魔人の腰のピッチが一気に上がった。
肛腔を貫かれながら、女騎士の肢体が妖しくくねる。

「ああ、駄目!イク!イクうぅぅぅっ!」

なまめかしい喘ぎ声とともに百合子はがくん、と脱力した。半開きになった唇から唾液が一筋、
こぼれ落ちる。

「はあ、はあ、はあ……」
「相当良かったようだな、思いきりイクとは」
「非道な……」

トロメアはもはや動くこともできない。
性の愉悦で全身を細かく痙攣させている。

「非道?違うな、お前が淫乱なだけだ」

余裕たっぷりにスサノオが告げる。

「ここで殺してしまうには惜しい。お前は主への貢ぎ物としよう」
「貢ぎ物……?」
「我らが本拠である天魔宮へと案内する。きっと魔将軍様たちもお喜びになるぞ」
「こ、殺しなさい。あなたたちの手先になるくらいなら──」
「そうはいかないな。お前ほどの圧倒的なマギをこの場で消してしまうには惜しすぎる。それに
──」

ぬらりとした視線が、トロメアの肢体を這い回った。

「お前の体ならば、我が主もさぞかしご堪能いただけるだろうしな」
「まだ私を辱める気なの……外道!」

トロメアはキッとした顔でスサノオをにらみつける。

「行かないで、百合子さん!あたし──」

エルシオンは最後の力を振り絞り、立ち上がった。

このままでは百合子が連れ去られてしまう。
本当の親がいない瞳子にとって、愛する母同然の女性が。
永遠に、消え去ってしまう。

「邪魔だ、小娘」

スサノオは無造作に刀をつかみ、一閃した。
たっぷりとマギの籠もった衝撃波がエルシオンを直撃する。

「きゃあっ」

避けることも、防ぐこともできず、美少女騎士はなすすべもなく吹き飛ばされた。

「さようなら、瞳子。私は──」

爆炎の中にすべてが飲み込まれていく。
オレンジにかすむ景色の中で、魔人と女騎士のシルエットがかすんでいく。

「待って、待って……!」

瞳子は喉をからして叫んだ。
その悲鳴はむなしく響き渡り──
やがて炎が晴れると、その場にはエルシオンだけが残された。

「いや、いやぁぁぁっ!」

半狂乱になって、未熟な美少女騎士は絶叫する。
力なくその場にへたり込み、泣きじゃくる。

「おかあ……さん……」

最後にもれた言葉は、とうとう一度も百合子に告げられなかった言葉。
百合子のことを実の母親のように──
実の母親以上に慕う想いを告げる言葉だった。



──浴室の中で、瞳子の嗚咽がいつまでも響いていた。

「力が足りないから……百合子さんを護れなかった」

唇をかみ締めてうめく。

「力が足りないから……あたしは敗れて、犯された」

両腕で、みずからの裸身を抱きしめる。
白い肌に爪が痛々しく食い込んだ。

「強く、なりたい──」

凛とした瞳は強く……ただ強く、虚空だけを見据えている。



【魔人スサノオ編・終わり】






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