電光少女グリッドガール第3話 プールにご用心!?(ポロリもあるよ) 後編
シチュエーション


「はぁ、はぁ……。ここまで来れば。てっ、何よこれ!!」

かろうじて女子更衣室まで逃げてきた光莉が見た光景は凄惨な光景だった。
まず、右を向けば

「いやぁぁぁん!!」

と、ポニーテールの女の子が恥ずかしそうに裸を隠していて、左を向けば、

「う、うそやろっ……!!」

と、ショートカットの胸の小さな女の子が胸だけを手で必死に隠していた。
それもそのはず。なんと恐ろしいことにエリンノイドの酸はロッカーの中に入っているはずの服がロッカーごと溶かしていたのだ。
普通の服も、下着も、なにもかもだ。もう裸体を隠すものはこの場には残ってない。
中で途方に暮れている全裸の麗しき女性たち。だがエリンノイドに慈悲という二文字はなかった。
最後のこの場所すら安全ではなかったのだ。
スプリンクラーが男子更衣室と女子更衣室を隔てる壁のほうを向く。
どうやらこの壁すら溶かしてしまう気である。
全裸でパニックに陥る女性たち。

「だ、ダメっ!!」

しかしエリンノイドにそんなことが聞こえているわけがなかった。
プシューっと勢い良く飛び出る水。
そして、ジュー、ジュジュジュジュと景気のいい音を立てて溶け始める壁。
そして壁の向こう側には男の人がいた。あまりの幸運なハプニングに驚く男たち。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

と、更衣室の中にいる女性はいっせいに悲鳴をあげた。
そして次々と壁を溶かされた更衣室はその機能を果たさなくなってしまった。
その中で光莉は正義の怒りに燃えていた。

「女の子を辱めるなんて絶対に許さない!!見つけたらタダじゃすまさないわよ!!」

光莉は何も付けずに更衣室を飛び出した。もはや一刻の猶予、そして自分の着るものはない。
そして光莉は諸悪の根源の怪獣を倒すためにコンピュータ室を探しに行った。

「怪獣の奴、やってくれるじゃない!!」

そう言いながら光莉は恥ずかしそうに人目を避けて物陰に隠れながらコンピュータ室を探していた。
当然、今の光莉は何もつけてない丸裸で管理棟に侵入していた。
未熟といえば未熟。それでもほんのりとした色気のある身体。それを光莉は必死に隠していた。
そんな中、先の廊下から声が聞こえてきた。

「おいっ。どうすんだよ、あのコンピュータ……」
「知るかよ!!」

どうやらこっちに近づいてくるようだ。

「まずいわっ……」

と掃除ロッカーの中に身を隠す光莉。
今の姿を見られるのは二重の意味でまずい。
だが運命の女神は意地が悪いようだ。
男二人が掃除ロッカーの前で話し始めてしまったのだ。

「だから、お前のウイルス対策プログラムの更新し忘れが原因だろ!?」
「だけどもよ……、あのウイルスは絶対に変だって。怪しい叫び声がするんだぜ?」

と二人は口論をしているようだ。その様子を聞いていた光莉は思わず、

「そんな、ワクチンで怪獣が倒せるなら苦労はしないわよ!!」

と言ってしまいかけた。だがそれを踏みとどまる。
そして外の状況に身震いする。あの二人に見られているような錯覚がして、とても恥ずかしいからだ。
確かに今までも光莉はネットで裸を公開してしまったことはある。
だが、今までネットで晒してしまった全裸はあくまでグリッドガールのものであって自分ではない。
そしてネットでは視線は伝わってこないのだった。
だが今は自分の生身の体でその視線もひしひしと伝わってくる。
だんだんと火照っていく光莉の体。

「お願い……、一秒でも早くここに気づかないで早く行って!!」

それは光莉の悲痛な心の叫びだった。だが状況はさらに悪化する。

「ん?何か人の気配がしねぇか?」

(まずいっ!!)

どうやら男の二人が光莉に気づいたかもしれなかったのだ。

「おい、話を誤魔化すんじゃねぇよ!!」
「違うって……、ほんとに気配がするんだ!!」

(お、お願いだから気づかないでよっ……)

と縮こまる光莉。この姿を見られたら乙女の沽券に関わる。
キョロキョロと辺りを見回す職員A。
その間、一糸纏わぬ光莉はロッカーが開けられないように必死に祈っていた。

「あれれ、おかしいな……」
「見間違えじゃないのか?」

(お願いっ、気づかないでっ!!)

「確かに気配がするんだよ……」
「そうやって話を逸らすんじゃねぇよ。とりあえず報告、行くぞ!!」

(ふぅ……)

と少し安心する光莉。だがそこで油断した光莉は壁を肘で小突いてしまう。

(しまった!!)

「おい、今、物音がしなかったか!?」
「き、気のせいだろ?」

(や、やばっ!!)

光莉の体中から汗が零れ落ちる。
この扉を開けられてしまうかもしれない。その緊張感で光莉は頭の中が真っ白になってしまっていた。
そんな中で声が聞こえる。

「いくぞ!!」
「ま、まてって……」
「うるせえ。てめぇの時間稼ぎに乗るかってんだよ」
「お、おいっ!!」

男二人はなんとか光莉に気づかずに去って行った。

「助かった〜。あの怪獣、絶対に許さない!!」

と、乙女の危機をかろうじて抜け出した光莉。怪獣のせいで自分も、みんなも散々な目に遭った。
あの怪獣を絶対に許しておくわけにはいかなかった。

そしてしばらく行くとコンピュータールームにたどり着く。
窓から覗くと画面ではイカの怪獣が大暴れをしていた。
それを見た光莉は迷わずアクセプラーを自分の胸に当ててアクセスコードを入力する。

「アクセスフラッシュ!!」

と、窓越しにアクセスフラッシュをする光莉。
これは超赤外線通信なので窓を通して使うことが出来るのだ。
そして画面の中には悪と戦う正義の女戦士がいた。

「正義と女の子の味方、電光少女グリットガール、ただいま参上!!
悪行三昧のこの変態怪獣、あんただけは絶対に許さないんだからね!!」

と名乗りを上げる。グリッドガールは闘志に満ち溢れていた。そして

「キョ〜キョキョ〜」

怪しげな叫び声を上げる怪獣エリンノイド。これからグリッドガールと怪獣エリンノイドの死闘が始まるのだった。

その頃、プールに取り残されたマナはパニックに陥っていた。

(け、健二君に裸を見られちゃってる!!これだと恥ずかしくて動けないよ〜。

でっ、でも、早くグリリンの援護に行かないと……、だけど、動いたら……!!)
と、光莉同様に水着を溶かされてしまっていたマナは光莉が行ってから手で裸を隠してその場にとどまっていた。
それを目の前にしてオタオタする健二。明らかに今回の作戦はやりすぎた。
目の前の哀れな犠牲者を見て健二はそう思った。慌てふためくマナを見ていると罪悪感すらしてきた。

「あの……。能登川、大丈夫か?」

と声をかける健二。だが健二の声はマナに届いていないようだった。
実はこれでもうこの言葉も30回目だ。だが、マナの方では

(健二君に何か言われてる……。でも何を言えばいいのか分からないよ〜)

と返事が出来なかったのだ。そして健二はこれからどうするのかを考えていた。
心情的には今すぐにエリンノイドの応援に行ってやりたかった。
だが目の前のマナを放って行く訳にはいかない。放っておいたら大変なことになる。健二はそう考えたのだ。
健二は世界征服を目指すにはなんだかんだでお人よしなのだ。
当然、憎き怨敵グリッドガールを強敵たらしめているゴッデスゼノンの開発者がマナだということを彼は知らない。
そこで彼は思い切ってマナの肩を叩いた。これは女性経験のない健二にとっては大決断だった。

「け、健二君!!」

と驚いた声を出すマナ。循環する思考の中から現実に戻ってきたようだ。

「やっと反応してくれたか、能登川。とりあえず裸、隠しながら岸までいけるか?」
「えっ、あっ、あっ、で、でも……」
「心配するな。えっと、その、後ろは隠してやるから」

もう少し気の利いたことは言えないのか……。
健二は自分の思慮の軽薄さに自己嫌悪する。だがマナにはそれで十分だった。

「う、うん。その後、健二君はどうするの?」
「岸まで行けて、もしお前のタオルが残っているのならそれを取りに行ってくる。
その間、お前は壁を使って恥ずかしいところを隠せ。」
「わ、わかったわ。で、でも、その……、一ついいかな。健二君?」

とりあえず健二の提案を理解するマナ。そうした上で彼女は一つ提案をした。

「何だ?」

と聞き返す健二。

「後ろじゃなくて前の方を隠して欲しいんだけど……、だ、だめよね……」
「!!」

と驚く健二。前を隠すということはつまりアレが背中にぶつかる訳でして、えー!!

「お、お前はそれでいいのか!?後ろの方が……」
「で、でも、私、手が小さいから……」

とオドオドするマナ。確かにさっきの光景を見るにマナの手は魅力的な体を隠すには小さかった。

「わ、分かった……けど、本当にいいのか?」
「う、……うん」

と弱々しく返事をするマナ。
思考回路がオーバーヒートしちゃっているマナには自分が何を提案しているのかよく分かっていなかった。

「だ、大丈夫か……、能登川……」

と赤面する健二。それもそのはず。
今、健二の後ろにはマナがいてそれが胸を背中に当てているのである。
しかも裸。ポッチの感覚まで敏感に感じ取れる。

「う、うん。この手を絶対に振りほどかないでね……」

それに引き換えマナは比較的、落ち着いていた。いや、落ち着いていたというよりは麻痺していたというのが正しいのだろう。
そして今日、自分がやったことに気がつくのは後々の話である。

(能登川って思ったより大胆なんだなぁ……)

と、赤面する健二。健全な男の子なら当然の反応だ。

「その、健二君。大丈夫……?恥ずかしくない?」

そうやって健二に話しかけるマナ。

「あっ、あぁ……。男のを見ようって物好きはいないからな……」
「そうよね……。私ったら何を言ってるんだろ……」

と、二人はゆっくりとプールを歩いていた。二人の足並みは自然とゆっくりにならざるを得ないのだ。
そして気まずい雰囲気を変えるためにマナは話題を切り出した。この状況がマナを大胆にしたのだ。

「ねぇ、健二君。初めてに私に会った時のこと憶えてる?」
「えっと、あぁ、憶えてるぜ。確かあれは……」

と記憶の中を探り出す健二。

「私のノート、あなたが取り返してくれたこと。今でも憶えてるの。
周りの人はガリ勉眼鏡は自由帳まで計算式だらけって笑ってたのに、あなたは笑わなかった……」
「あっ、あぁ。そんな事もあったな……」

と返す健二。二人の初めての出会いはノートを届けたことである。
そのノートにはプログラムが書き込まれていた。
そしてそのノートをクラスの意地悪な女子たちが笑っていたのを健二が取り返したのである。
健二はパッと見でプログラムを理解してマナに少し感想を言って手渡したのだった。
それがマナの恋の始まりだった。だが実は健二はその事をすっかりと忘れ去っていたのだ。

「私、頑張るから。絶対に」

と力を込めて言うマナ。
実はマナはこの出来事の前までは世界がどうなってもいいと思っていた。
それを変えたのはなんと健二だったのだ。
そして今のマナは世界を守るためにプロテクトシールドやゴッデスゼノンを必死に開発している。
だが、それは厳密には正義のためではない。健二と親友を守るためにマナはグリッドガールの武器を作っていたのだ。
しかし、その武器を必死に作れば作るほど健二を苦しめるという事実は皮肉としか言いようがなかった。

「あぁ。プログラム製作、頑張れよ」

と、健二。もはや笑い事だ。
そういった話をしながら、なんとかプールサイドに着く二人。

「と、とりあえず、タオル、取りにいってくるぞ!!」
「うん」

と返すマナ。今の健二の頭の中にはさっきの感触とエリンノイドのことがあった。
今頃、エリンノイドはグリッドガールと交戦中だろう。そう健二は思っていた。
だが、応援には行きたいが不思議と心配にはならなかった。
俺の作ったエリンノイドがそんなに簡単に破られるわけがない。そう思ったからである。

だが、エリンノイドは苦境に立たされていた。

「この変態イカ!!よくも私とマナに大恥をかかせてくれたわね!!」
「キョ〜キョ〜!!」

とエリンノイドを何度も殴りつける。エリンノイドはその攻撃に怯んで何も出来ない。
乙女の怒りとばかり、グリッドガールは一方的な試合展開をしていた。
エリンノイドは必死に抵抗して触手をグリッドガールに触手を伸ばす。
それは自らの白く濁った体液でぬるぬるとしていた。

「ふんっ。そんなのろまな触手に掴まるものですか。」

しかし戦いなれているグリッドガールには何も問題はなかった。
その触手を逆につかんで怪獣を振り回して投げ飛ばす。
乙女は怒らせたらとても怖いのである。
そしてエリンノイドは壁に叩きつけられてぐったりとしている。
今がチャンスだ、グリッドガール!!

「あんたなんか、三枚に下ろして刺身にしてあげるわ!!
グリッドォォォ・ビーム・セイバァァァァ!!」

グリッドガールは両手を合わせ、巨大な光の刃を作り上げた。
そして飛んでいった光の刃はエリンノイドを見事に切り裂いた!!

「ふっ。正義は勝つのよ」

戦いが終わって安堵するグリッドガール。確かにエリンノイドは真っ二つになった。
しかし戦いはまだ終わってはいなかったのだ。

「キョ〜キョキョキョキョ!!」
「キョ〜キョキョキョキョ!!」

「うそっ、分裂したっ!!」

切り裂かれたところを修復して、なんと二体に増えたエリンノイド。
これが健二の秘策であるホウライシステムだ。
なんと恐ろしいことにエリンノイドは破壊されるとその破片が砕け散って再生して増殖する。
力任せのメリケンには倒せないというのはこういった仕組みだったのだ。
これではサンダーグリッドビームも通用しない。グリッドガール、ピンチ!!
そしてエリンノイドは油断していたグリッドガールに触手を伸ばしそれを絡め取った。

「しまったっ。このっ!!」

とエリンノイドの腕を引きちぎる。
だがエリンノイドに新しく腕が生えてくる。しかも腕からもエリンノイドが生えてきたのだ。

「嘘っ、これじゃぁキリがないじゃない!!」

そしてフリーになっているエリンノイドがグリッドガールのウエストに触手を巻きつけた。

「ちょっと、離しなさいって!!この変態怪獣!!」

そう言うがエリンノイドがそんなことを聞くわけない。

「キョ〜キョキョキョキョ!!」
「キョ〜キョキョキョキョ!!」
「キョ〜キョキョキョキョ!!」

3体に分裂してグリッドガールを追い詰めるエリンノイド。
形勢はすっかり逆転していた。エリンノイドは健二の期待以上の仕事を見事に果たしたのだ。
暴れて次々に触手を引きちぎるグリッドガール。
だがエリンノイドの増殖を止めることは出来ない。

「このっ!!離しなさいよ!!」

気づいた頃にはもう自分ではどうしようも出来ないほどのエリンノイドがいた。
その数、およそ5体。恐るべき繁殖力である。

「うそっ、こんなに増えてるっ!!」

さしものグリッドガールも5体総がかりでは分が悪い。
手が、そして足が、次々と絡め取られていくではないか。
そしていやらしい表情をするエリンノイド。

「まさかっ!!そこはだめっ!!」

グリッドガールはそんなことを言いながら必死に抵抗するがそんな事は無意味だ。
それは胸のあたりを、こそこそと刺激しだす。
敏感な急所を突かれてはさすがのグリッドガールも一溜まりもない。

「あっ、あぁっ!!そっ、そこはっ!!」

キョ〜キョキョキョ

そして下腹部のあたりにも触手は伸びていった。
乙女の秘所を堂々とゴソゴソと刺激しだすエリンノイド。

「きゃぁぁぁぁん!!」

敵の知恵に圧倒されて手も足も出ないグリッドガール。
だがエリンノイドの勢いは留まるところを知らない。
まず、エリンノイドは胸の上で触手を動かすのを止めた。

「な、何をする気なの!?」

敵の怪しげな挙動に警戒するグリッドガール。乙女の勘は嫌な予感でいっぱいだった。
だがエリンノイドはそんなことは気にしない。そして恐ろしい責めをエリンノイドは開始した。

「んんっ!!あぁん!!そ、そこはだめぇぇぇ!!」

なんと、エリンノイドは触手の吸盤を巧みに使って、グリッドガールのスーツ越しに乳首を刺激し始めたのだ。
あまりの快楽に乳首を勃起させてしまうグリッドガール。

「くっ、くやしいっ!!こんな変態怪獣に手も足も出ないでこんなことされてるなんてっ!!」

思わず悔しさを露にするグリッドガール。
今までにも健二の作った怪獣はロクなことをしなかった。
だがここまでたくさんの女性に迷惑をかけた怪獣はこれが初めてである。
だからグリッドガールはそんな変態に為す術もなくやられていて、
しかも変態の思い通りになっている自分に腹を立てていた。
だが、グリッドガールがもがいて抜け出そうとするたびにエリンノイドは締め付けを強くしていった。
そして触手が空いているエリンノイドがグリッドガールに墨を吹き付ける。
その墨はプールの水と同じ効果を持っていた。グリッドガール、最大のピンチ!!

「いやぁぁぁぁん!!」

まずは露になったのは乳房だった。グリッドガールはスーツの胸部に大きな穴を開けられてしまったのだ。
唯一の救いは大昔のエロ本のように乳首が墨で黒く塗られていることだ。
だが、それも恐るべきエリンノイドの攻撃の一つだった!!

「う、うそっ、なんでっ!!乳首が……、か、かゆいっ!!」

突然、乳首が不自然な痒みに襲われるグリッドガール。
どんな薬物でも作り出せるエリンノイドにとっては女の子を苦しめる薬を作るなど造作もないことだった。
今、もし誰も見てないならグリッドガールは恥も外聞もなく乳首を掻き毟っていただろう。
だが、手足が縛られている今ではそうはいかない。
次にエリンノイドは一切の責めをやめてしまった。グリッドガールが自滅するのを見ているのだ。
この怪獣はかなりのサディストに違いない。
そして上を剥ぎ取ったのだから次にくるのは当然下だった。

「お、おねがいだから、そ、そこはやめて……」

あれだけ憎んでいたエリンノイドに思わずお願いをしてしまうグリッドガール。
胸も大事だろうけど女の子がそんなところを剥き出しにされるとなったら気が気でないだろう。
足をガクガクとさせるグリッドガール。
だが空気を読まないエリンノイドは下半身にも墨を発射した。
次々に露になっていく乙女の神秘!!

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

すらっとした足を覆うタイツを邪魔だと言わんばかりになぎ払う触手。
これでグリッドガールは下半身裸だ。

「やだっ!!じろじろ見ないでっ!!」

必死に脚で隠そうとするグリッドガール。
だが、そんなことを無視してエリンノイドは黄色い粘着性の墨を吐き出した。

「ひっ!!いやっ、誰か、誰か、早く助けてっ!!」

秘所にかけられる液体を見てパニックに陥るグリッドガール。
あんな液体が秘所にかけられたらと思うと乙女には気が気じゃないだろう。
そして下半身に異変を感じるグリッドガール。それは誰でも普通にやっている生理現象だった。

「な、なんでこんな時におしっこがしたくなるのっ!?」

そう。エリンノイドの黄色い液体には利尿効果が含まれていたのだ。
そしてグリッドガールへの一切の手出しをやめるエリンノイド。
だがグリッドガールの苦しみは消えたわけじゃなかった。
むしろ前よりひどくなっていた。
乳首を襲う痒みと下半身を襲う尿意。
だが、グリッドガールの誇りは失われていなかった。
絶対にあんなやつの前でお漏らしなんか出来ない。そう思っていた。
だが、残酷なエリンノイドはそれをニヤニヤと笑いながら見ている。
絶対に負けられない乙女の自分との戦いがはじまったのだ!!

一方、健二はマナの自分とマナのタオルを取りに行っていた。
エリンノイドに事前にプログラムしてあったので、タオルもマナの携帯も無事だった。
そしてマナの所に急ぐ。健二もさすがにあれはやりすぎたと反省しているのだ。

「能登川……?」
「なっ、何っ!?健二君……」

マナの必死に体を隠す姿を見て何かを感じる健二。
いけない、いけない。

「あのさ……、お前のタオルと携帯を持ってきたぞ」
「あっ、えっと……、あっと……」

(あー、もう。バカ、バカっ、なんでお礼の一言も言えないのよ……)

「あと俺のタオルも置いていくから、これで体をしっかりと拭いてからタオルは羽織れよ。じゃないと溶ちまうからな」
「えっ!!でもそれだと健二君が……」
「俺はいいっての。男だからな。じゃなっ」

と颯爽と去っていく健二。
それを見てマナは健二に惚れ直していた。

(やっぱり健二君、紳士的でかっこいいよね。私なんかには勿体無いくらいに……。)

もし、これが健二のやらかしたことだと知ればマナは間違いなくこんな感情は持たないだろう。
だが健二も健二だ。この携帯を渡したことはかなり致命的な行為だということを知らないのだから。
そして、そのころ健二はこんなことを考えていた。

「さてと。これで能登川も大丈夫だろうしエリンノイドの応援にいくか。
いまごろ力押し一辺倒のグリッドガールがムフフなことになってるだろうからな……」

とエリンノイドの所に急ぐ健二。第三者からすればこんな男がマナに惚れられてることこそ勿体無い。
そして、ふくらんだ胸や恥ずかしいところを自分のタオルで拭いていくマナ。
エリンノイドの特殊溶液でタオルは次々と溶けている。
そして素早く健二のタオルを身にまとう。

(後で返さないと……。うん。また話す機会が出来た。)

と少し前向きである。そしてマナはとりあえず安全な状態になった。
もうホースは役目を終えて動かなくなっている。だが、もう更衣室は穴だらけで役に立たない。
その状況を見て、健二がいなくなって冷静さを取り戻したマナはまずグリリンに電話をかけようとした。
だがその電話は繋がらなかった。

「おかしいわ。グリリンがこんな状況で電話に出ないなんて……。まさかグリリン、一人で!!」

電話に反応がないことから、マナはグリリンが今どうなっているのかを一瞬で悟った。
そしてマナは取り返しのつかないことにならないように、大慌てで家のパソコンにアクセスする。
果たしてマナはグリリンのピンチに間に合うのだろうか!?

その頃、健二は更衣室で自分の服と携帯を入手していた。
男子更衣室のロッカーに溶かす価値などないというのは3者共通の見解である。
そして、管理塔に忍び込んだ健二は携帯の電源を入れた。
携帯の待ちうけ画像はサタンデジファー様だ。

「サタンデジファー様。夏は堪能できましたか?」
「ぐはははは。健二よ。たくさんの女性のあられのないすがたを堪能できて余は満足じゃ!!」

と身も蓋もないやりとりをする二人。サタンデジファー様は自ら望んで雑用をしたのだ。
いや、男なら誰でもこの雑用に憧れるだろう。

「それは何より。それで、緑河の映像は?」
「あ、あぁ……、それか、それがだな……」

いろいろと聞きたいことはあるが、まずは一番に大事なことを聞く健二。
彼の優先順位は緑河の画像>エリンノイドの勝敗である。
そして、微妙な表情をするサタンデジファー様。なんか怪しいぞ。

「楽しみにしています。それでエリンノイドは?いやグリッドガールはどんな目にあっていますか?」
「ふはははは、健二よ。勝敗は聞くまでもないということか。なら映像を送るぞ」

と映像を送るサタンデジファー様。グリッドガールは必死にエリンノイドの責めに耐えていた。

「な、なるほど。なかなかマニアックですね」
「なかなかの物だろう?健二よ。」

送られてきた映像のすごさに少しうろたえる健二。これはこれで至高の一品だ。
そしてその映像を見て、いてもたってもいられなくなった健二が最後の命令を下す。

「えぇ。さぁエリンノイドよ!!グリッドガールに止めを刺すのだ!!」
「キョ〜キョキョキョキョ!!」

健二がそう命令すると、今までグリッドガールに放置プレイをしていたエリンノイドが
触手を使ってグリッドガールを責め始めたじゃないか!!

「せ、正義は絶対にまけな……、ひゃぁん!!」

今まで必死に尿意に耐えてきたグリッドガールもかなりの所まで追い詰められてきた。
そんなところに触手がぺろんと秘所を刺激する。
もうダメっ!!そうグリッドガールは思った。そして陥落は目前だった。

「いやっ、おもらしなんて……、恥ずかしいよ〜!!」

二発めの触手もかろうじて耐えるグリッドガール。だが3発目に耐えることは適わなかった。
せき止められていたものが一気に溢れ出す瞬間である。

「あぁぁぁぁん!!」

とうとう黄金の水を秘所からだだ漏らしにしてしまったグリッドガール。
あれほどまで敵意を抱いていたエリンノイドの思惑通りになってしまったのである。

「も、漏らしちゃった……」

自分のしてしまったことに愕然とするグリッドガール。
その光景を見て興奮する健二とサタンデジファー様。

「やりまたね。グリッドガールがとうとう我々の前に屈しました」
「ふはははは。そうだな、健二よ」
「さぁ、前戯の次は本番と行きましょうか」
「あぁ。一思いに貫いてやるのだ!!」

「「ゆけっ、エリンノイド!!」」

画面前の男は二人して興奮していたがそんなことにグリッドガールが気づくはずもない。
なぜならグリッドガールの前には硬く固まった触手を秘所に伸ばしてくるエリンノイドがいたからだ。
エリンノイドが何をしようとしているのかは一目瞭然だ。
お漏らしをしてプライドを砕かれたグリッドガールはもう泣きじゃくっていた。

「いやだ……、それだけはお願い……、許して……、」

着実に迫ってくるエリンノイドの槍。失われつつあるグリリンの処女。

「ふはははは、あともう少しだっ!!」

あと秘所で5cm、4cm……。
もう、そこで泣きじゃくっていたのはグリッドガールじゃない。普通の女の子のグリリンだ。

「いけぇぇぇぇ!!」

グリッドガールをグリリンと知らずに応援する健二。

「もうだめっ!!」

そうグリリンは思った。もう目から涙がとどまるところを知らない。

だが、その瞬間に女神が救いの手を差し伸べたのだった!!
なんとエリンノイドは正体不明のドリル攻撃を地中から受けてその攻撃を中断させられてしまったのだ。

「あ、あれは、ツンドリラー!!」

そう。地中から出てきたドリルの正体はツンドリラーだったのだ。
そしてそれを操作しているのはマナだった。なんとか間に合ったのだ。

「遅れて本当にごめん、グリリン。まさか一人で戦ってるなんて思ってなくって……」
「お、遅いわよ!!でもいいわ……。大事なところには間に合ったみたいだし」

謝るマナに不機嫌そうに言うグリリン。だが処女が助かって満更でもない様子である。

「ライデンジェット、ゴッデスタンク、グリリンを助けてあげて」

とマナが携帯から二機に指示を飛ばす。こう見えてもマナはゲームセンターでは女王なのだ。
そしてそれを見て健二とサタンデジファーはうろたえていた。

「け、健二……、あ、あれは……、ゴッデスゼノンのパーツではないか!!大丈夫なのか!?」

と説明臭いセリフを言うサタンデジファー様。
そう。ゴッデスゼノンはツンドリラー、ゴッデスタンク、ライデンジェットの3機が合体することで形成される巨大ロボなのだ。
そしてゴッデスゼノンがここにいるということは電神合体してサンダーグリッドガールになってしまうという事でもある。

「大丈夫です。サンダーグリッドガールとはいえ、エリンノイドの増殖を止められません」

と言う健二。だが今までサンダーグリッドガールにやられたトラウマからその声には自信が欠けていた。

「グリリン、サンダーグリッドガールでいくわよ」
「でも、あれは千切ると分裂して、多分サンダーグリッドビームも……」
「それなら問題ないわ。健二君の前でよくも恥をかかせてくれたわね!!」

と怒り心頭のマナ。その怒りが本人にぶつかっていることをマナは多分、知らない。

「「電神合体サンダーグリッドガール!!」」

そして二人の心が一つになって最強の電神が姿を現す。

「グリリン、Ex00001001のアドレスにある技を使って!!」
「分かったわ。この技はっ……!!」
「いくわよっ!!」
「えぇっ。サンダーァァァ、グリッド……!!」

とグリリンがサンダーグリッドビームの構えで技を振りかぶる。

「ふー。やれやれ。相手が脳筋で助かりました。サンダーグリッドビームなら……」

と油断をする健二。確かにサンダーグリッドビームなら大丈夫だろう。
だが相手の攻撃は健二の想定の範囲外だった。

「ファイヤー!!」

なんとサンダーグリッドガールはその胸にあるクリスタルから火炎を放出したのである。
技の構えは最後を除いてサンダーグリッドビームと同じ。この技はもともとビームの分岐技なのである。

「キョキョキョ〜!!」

次々とマナとグリリンの怒りの業火に焼かれて干からびていくエリンノイド。
マナは分裂する敵を想定してこの機能をつけていたのだった。
またマナの努力が健二を苦しめたのである。

「そ、そんな……、俺のエリンノイドが、絶対無敵のホウライシステムが……」
「お、おいっ、健二、エリンノイドは絶対無敵じゃなかったのか!!」
「ううっ……。仕方がありません。アメリカに攻め込む前にエリンノイドの欠陥が分かっただけでよしとしましょう
グリッドガール!!これで勝ったと思うなよっ!!」
「おのれぇぇ、グリッドガールめ!!」

と、この場から逃げだす二人。今回は裸の女性がたくさん見れたのでよしとしよう。
絶対に口には出さないこれが二人の共通認識である。
また今回、健二は大事に至る前に携帯電話を切っておいた。これは学習効果というやつだろう。

戦いが終わって魂の抜けたような健二。さらに不幸なことに彼は道に迷ってしまっていた。

「……。忍び込んだのはいいが完全に迷ったな……、とりあえず怪しまれないうちに緑河と能登川のところに……」

そう思って道を進む。すると曲がり角で誰かと鉢合わせになってしまった。
まずいな、と思った健二。だが出くわした対象は別に意味でまずかった。

「……」
「……」

それもそのはず。健二が出くわしたのは何もつけていない緑河だったのだ。
もう緊張感の糸は切れ、すっかりと警戒心を失っている緑河は手でいろいろな所を隠していなく開放的だった。
乳首といい秘所といい見たい放題だ。そして予想外の事態に混乱する健二。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

緑河に右ストレートを喰らう健二。健二はここで見たものを一生忘れないだろう。

「……、まさかこんな奴に裸を見られるとは思わなかったわ。信じられないっ……」

とりあえず健二からシャツを拝借する緑河。
裸より幾分マシだが、そこ格好はその格好でそそられるものがある。そして意識を取り戻す健二。
この数分で健二は一生分の運を使い果たしたんじゃないのか?

「ごめん……、緑河。」
「ごめんで済むなら警察はいらないわよっ。まったく、散々な目に遭ったわ」
「そうだろうな。まさかあんなことになるとは思わなかったからな」

といろいろと思い起こす健二。今は亡きエリンノイドはいろいろとやらかしてくれた。

「そうね、今すぐにでも忘れたいわね。ところで、あんたはどうしてこんなところにいるの……?」
「!!」

緑河に痛いところを突かれる健二。もしかして正体がバレるのか?
慌てた健二は口からでまかせを言った。

「お、お前を探してたんだよ。あの後、マナはその場で固まっちまうし、大変だったんだぜ」
「そっか。それならどうして私のタオルとか持ってこなかったの?」
「一応、隠すものは持ってきたんだけど、スプリンクラーに溶かされた」

緑河の鋭い指摘を適当に言いつくろう健二。彼は瞬間の閃きならマナにも劣らないものを持っていたのだ。

「それじゃぁ仕方ないわね。全くあの変態プログラムめっ!!後、このことは絶対に秘密よ」
「あぁ。分かった。口が裂けても言わない」

と約束を固く交す健二。でも絶対に忘れない。そう健二は思った。
そういえば携帯の電源は切ったままだからこのことはサタンデジファー様も知らないはずだ。

(二人の秘密か……。悪くないかもな……)

と思っている健二。その一方、緑河は緑河でマナと健二の間にどんなことがあったかを想像していた。
かなり犠牲が大きかったけど今回の目的はなんとか果たせた。それだけが緑河の唯一の救いであった。
処女も助かったことだし、都合の悪いことはなるべく頭の外に押し出そう。そう考えていた。

そして二人はマナと合流した。
いろいろと気が利くマナは緑河の分の服を持っていた。

「マナっ。とりあえず大丈夫だった?あの変態になにかされなかった?」
「……」

と歯に衣着せぬ物言いの緑河。それに対して心当たりがある健二は何もいえなかった。

「何もされてる訳ないじゃないっ!!健二君は……、とても紳士的だったんだからっ!!」

とマナ。その言葉は事の張本人の健二にグサリと突き刺さる。

「そっか……。それにしてもお腹すいたわね。もうこんな騒動はこりごり……」
「まぁ、確かにな」
「と、言うことで私もマナも財布が溶かされちゃったんで健二の驕りってことで」
「……、それが妥当だろうな」

といいながら、いろいろと思う健二。一応は今日は多めにお金を持ってきた。
しかし、それにしてもエリンノイドがロッカーを溶かすのは健二の予想外だった。

「で、二人は何か食べたいものとかあるか?」
「えっと、私は遠慮しておくわ。健二君に悪いし……」

そう健二に遠慮するマナ。

「いいのよ、こんな奴のことなんか考えなくって。だってあんな恥ずかしいの見られたんだよ、私たち」
「そ、そうだけどさ……」

正論を言う緑河。そして、それでもまだ遠慮しがちなマナ。
そんなマナを目の前に緑河は言った。

「ファミレスがいいわ」
「分かったぜ」

とファミレスに向かう3人。
そして騒ぎを起こした張本人は正義の味方にすっからかんになるまでに奢らされたそうでした。
これは健二にとっては相当の痛手なのだがこれは自業自得だろう。
ついでに余談だが緑河の財布のなかには初めからほとんどお金は入っていないそうだった。

「健二君、ごめんね……」
「何よ、マナ。まだ気にしてたの?」
「そうだぜ。気にすんなよ。」

と言う健二。そしてしばらく話した後、彼は言った。

「あのさ……、今回はロクな事がなかったけど、また3人でどっかに行けたらいいな」
「うん、そうだね。健二君」

と言うマナ。

「そうね。でも、さすがに今回見たいなのは御免よ」

マナのことを思ってそう言う緑河。今回のデートで分かったことはマナと健二は放っておいたら進展しないということである。
それでも緑河は親友には幸せになって欲しいと思っているのだ。

こうして市民プールに巣食う悪の怪獣は退治された。
だがこの皮肉な三角関係の続く限り怪獣は生まれ続けるだろう。
頑張れ、グリリン。そして、平和のために、戦えグリッドガール!!

そして事の初めに戻って健二邸。そこで健二は本日の収穫の確認をしていた。
このために健二はいろいろと努力をしていたのだ。

「……、サタンデジファー様。これは?」

と家でビデオを見て疑問を抱く健二。なんとビデオの映像に写っていたのはグリリンではなくマナだったのだ。

「すまんな……、健二よ。どっちが緑河なのか分からなくって余の好みの方を撮った」

あまりにも残酷な一言を言い放つサタンデジファー様。

「そんな〜!!俺の努力はなんだったんだ〜!!」

と心の奥底からの叫びをサタンデジファー様にぶつける健二。
このために頑張ってきたのだからこの虚脱感はひとしおだろう。

「健二よ。諦めるな、世界征服をすれば世界中の女がお前の思い通りだ!!」

さすがに何か気まずさを感じて誤魔化すサタンデジファー様。
なんとか健二の感情の矛先を変えることに成功する。

「そ、そうですね。仕方がありません。おのれ、グリッドガール!!次こそは必ず勝つぞ!!」

そしていつもの様にやり場のない怒りをぶつける為にグリッドガールへの敵対心を燃やす健二。
また来週あたりにはまた怪獣が大騒ぎを起こすことだろう。
だが、最後にサタンデジファー様が意味深なことを付け加えた。

(健二よ……、もう少し広い視野をもつのだ。そうすればお前はなぁ。本当に勿体無いぞ)と……。

だがその言葉を健二が理解するのはとうぶん先の話だった……。






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