ウイングナイト・アリスとファングナイト・悠馬
シチュエーション


そう遠くない未来、地球をかつてない危機が襲った。

次元の壁を乗り越えて現れた侵略者、プレールマによる攻撃が始まった。
圧倒的な力を誇る侵略者の前に、各国の軍隊はなす術もなく敗北し、人も、街も、全てが蹂躙された。

そんな中、絶滅の一歩手前にまで追い詰められた人類の命運を背負って、果敢にプレールマの侵略に立ち向かう少年と少女がいた。
輝くエナジーストーンの力を見にまとい、特殊金属の装甲に鎧われた二人の戦士。

その名をウイングナイト・アリスとファングナイト・悠馬。
大空を超高速の翼で切り裂く金髪の少女と、あらゆる敵を切断するファングブレードを自在に操る少年。
二人の姿に勇気を奮い起こし、人類は凶悪なる破滅の使者と戦い続けた。
だが、それも今は昔の事である………。

「うあっ…あっくうううっ!!…ああっ…や…そんな…つよすぎるのぉおおおおっ!!!!」

どことも知れぬ薄暗い部屋の中、かつてプレールマに立ち向かった金髪の少女は醜い触手に犯され、悲鳴を上げ続けていた。
彼女は、人類は、その存亡を賭けた最終決戦に敗れたのだ。
かつて大空を自由に飛びまわった鋼鉄の翼は無残にもぎ取られ、
生命活動にリンクしているエナジーストーンからエネルギーを奪うためだけに、彼女は生かされ辱めを受けていた。

「いや…むね…そんな吸わないで…また…ミルクでちゃうよおっ!!!」

輝くロングの金髪を振り乱し、イヤイヤと首を横に振るウイングナイト・アリス。
だが、触手達は彼女のそんな反応をむしろ楽しむようにじっくりと焦らし、たっぷりとその形の良い乳房をこね回してから、一気に吸引する。

「…うぁ…うああああ…いや…出るぅ…出ちゃうっ!!!…エネルギー…吸われちゃうよぉおおおおおっ!!!!」

ビクビクと全身が痙攣し、アリスの可愛らしいピンクの乳首がピクンと震えたかと思うと、乳白色の液体を大量に噴出した。
特濃ミルクを媒介に彼女の命と繋がったエナジーストーンから、エネルギーが奪い取られていく。
乳房だけではない。
媚薬漬けにされた体の前後の穴を犯され、子宮を抉られる度、アリスを襲う異形の快楽は全てプレールマ達の力に変えられてしまう。
「も…やだ…きもちいいの…いやぁ……」

果てのない魔悦に思考までも侵食されていく恐怖に、アリスは泣きじゃくる。
いまや全ての希望は失われていた。
人類側の戦力の要であるアリス達は敵に捕らわれ、あまつさえその力の源に変えられてしまった。
僅かに生き延びているであろう残りの人類が地球上から消え去るのも時間の問題だ。

「…にげなきゃ…にげて…戦わなきゃいけないのに…私…もう……」

無慈悲な触手による陵辱につぐ陵辱は、アリスの精神力を磨耗させていった。
触手に力を奪い尽くされた体はまるで他人のもののように重たく、今の彼女は触手の責めに抵抗する術を持たない。
犯され続け、何度も絶頂を味わわされて、だんだんと壊れていく自分自身を彼女は呆然と見ている事しかできない。
それでも、彼女は諦めていなかった。
脱出のチャンスなんてものが残されているのか、それはわかない。
だが、諦めてしまえば、ほんの僅かでも残されているかもしれないその可能性も消え去ってしまう。
だから、彼女はどんな苛烈な責めを受けても、心までは折られまいと必死に抗い続けてきたのだった。

と、その時である。

「ぐふふふ、今日もいい声を聞かせてくれるじゃないか、ウイングナイト……」
「くぅ…レギノス将軍……」

部屋の天井に音もなく円形の穴が開き、そこから漆黒の鎧をまとった大男が姿を現す。
彼こそはレギノス将軍、プレールマの大幹部の一人である。

「貴様のエナジーストーンは素晴らしい。我らが偉大なるプレールマは、この力によってさらなる発展を遂げる事だろう。
全く、貴様達人類などにはもったいない、最高のエネルギーだ」
「く…うぁ…ばかを…言わないで…この力は人類が…プレールマに立ち向かうための……きゃぁあああああっ!!?」

レギノス将軍の腕が触手に絡め取られていたアリスの体を軽々と持ち上げた。
巨大な腕から逃れようと必死でもがくアリスの顔を眺めながら、レギノスはニヤニヤと笑う。

「…はなし…て……はなせ……」
「くふふ、なかなか元気だな。この分なら十分に役に立ってもらえそうだ」
「…な、何の事……?」

不安げな表情で尋ねたアリスに、レギノスは下卑た笑いを浮かべて言った。

「何、少し、貴様に余興の手伝いをさせようと思ってな……」

レギノスは片手にアリスの体を抱えたまま、パチンと指を鳴らした。
すると、部屋の壁面の一つが、突然スクリーンのように映像を映し出した。
そこに映っていたのは……

「あぁ…悠馬……ひどい……」

アリスのかつての相棒、ファングナイト悠馬。
彼はプレールマの兵士数人に囲まれて、四肢を拘束されたまま拷問を受けていた。
打ち据えられ、切り付けられ、ズタボロの体から血を流しながら、悠馬はその苦痛に必死で耐えていた。

「ヤツには貴様と同じように、エナジーストーンによるエネルギー供給源になってもらう予定だったのだが……」

プレールマの狙いがエナジーストーンの力であると悟った悠馬はそれを封印してしまった。
以来、常人ならば到底耐えられないほどの拷問を受けながら、悠馬は封印を守り通している。

「ヤツの強情も大したものだ。そこで我々は最後の手段に訴えることにした」
「最後の…手段……?」

それは、悠馬の精神を殺す事だった。
悠馬を、意思を持たない木偶人形に変えて、エナジーストーンの封印を解放させる。

「持ち主の精神が失われれば、エナジーストーンの力も弱まってしまうが、それもやむを得ん」
「そんな…悠馬が……悠馬の心が…殺される!?」

アリスは幾つもの戦場で共に戦ってきたその少年に淡い恋心を抱いていた。
優しく、物静かで、だけど立ち塞がる困難には決して負けない。
そんな少年の存在があったからこそ、アリスは今日までの陵辱に耐える事が出来たのだ。
だが、その少年の心が、魂が、今、奪い去られようとしている。
いや、それだけではない。
悠馬を失う事は、今も地上でプレールマの攻撃を必死で耐え忍んでいる生き残った人類達にとっても致命的なものだ。

(…ダメ……そんなの絶対ダメ……)

アリスの心が激しく揺れ動く。
そんな彼女の動揺を見透かしたように、レギノスがアリスに言った。

「……だが、貴様の心がけ次第では、少しばかり猶予を与えてやらん事もない」
「えっ!?」
「何、簡単な事だ。仲間を救えるのなら、貴様にとっても決して悪い話ではない筈だぞ」

そして、呆然とするアリスの耳元で、とある条件を囁いた。
それは………

「ぐ…うぅ……まだだ…まだ…ボクは……」

無数のトゲを持つ触手に何度も体を打ち据えられ、ズタボロの体でファングナイト・悠馬は呻いた。

(アリス…待っていて…いつかきっと…君を助け出すから……)

アリスの心を支えていたのが彼の存在であったように、悠馬の心を支えていたのは脳裏に浮かぶアリスの面影だった。
同じエナジーストーンの戦士として出会った金髪の少女。
小さな背中に全人類の運命という重荷を背負って、それでも明るく笑う彼女を、彼は何よりも大切に思っていた。
戦士としての激しい戦いぶりとは裏腹に、おとなしく、恋愛についても少し奥手だった悠馬は自分の感情に気付く事はなかったけれど……。
エナジーストーンから力を取り出すには、その持ち主である悠馬の命が必要不可欠だった。
だからこそ、耐え抜けばいつかは必ずチャンスが巡ってくる。
悠馬はそれを信じて、延々と続く苦痛に立ち向かっていた。
だが今、そんな彼の前で、あまりにも残酷な光景が展開されようとしていた。

「えっ?…なんだ?……壁が動いて……」

悠馬の目の前の壁が、上下に分かれて音もなく開いていく。
その向こうから現れたのは、悠馬のいる拷問部屋と同じ広さの空間。
そして、そこに居たのは見間違えよう筈もない、彼の良く知る人物の姿……

「うあっ…ああんっ!…イイっ!!…レギノス様のすごく硬くて…熱くて…ふぁああああああっ!!!!」
「ああ……そんな………」

悠馬の瞳に映ったのは、憎むべき敵である筈のレギノスの体の上で腰を振りたくり、淫らな声を上げる少女の姿……。

「くふっ…くふふふっ……なかなかいい具合だぞ、アリス……」

「…アリス…どうして……!?」
驚愕する悠馬の目の前で、レギノスの太い指に乳房を揉まれ、甘い声を上げてアリスが体を仰け反らせる。

「ふあ…やぁ…こんなの…悠馬が……悠馬が見てるのにぃ…っあああああああ!!!!!」
「何を言う。あの男の前に連れ出されてから、一気に締め付けが増したぞ。この淫売めっ!!!」

ボディスーツが破れ、露になった首筋に、レギノスが荒々しくキスマークを残す。
可愛らしい乳首を指先で痛いほどにこね回されて、アリスは何度も嬌声を上げた。
アリスの両脚は見せ付けるように大きく開かれ、彼女が腰を振るごとにレギノスのモノが出入りする様子を悠馬はまざまざと見せ付けられた。

「どうだ?そろそろイキたいんだろう?かつての仲間の前ではしたなくイキ姿をさらしたいんだろう?」
「は…はいぃ…レギノス…様ぁ……アリスをめちゃくちゃにイカせて…レギノス様の精液、子宮がいっぱいになるまでドプドプ出してくださいぃいいっ!!!!」

泣きじゃくりながら声を上げたアリスに応えるように、今度はレギノスが自分のモノを強く突き上げた。
瞬間、アリスの全身が雷に撃たれたように激しく痙攣を起こした。

「ひぃ…イ…イクぅ……私ぃ…イッちゃうのぉおおおおおおおおおっ!!!!!!」

体を弓なりに反らせて、喜悦の表情を浮かべて絶頂へと上り詰めるアリス。
悠馬はその光景を、ただ呆然と見ている事しかできない。
絶頂感に痺れきった体にドクドクと精液を流し込まれながら、アリスはレギノスの体にしなだれかかる。

「…あはぁ…せーえき…レギノス様のせーえき…出てる…いっぱい……」

うっとりと呟くアリスの体を無理矢理起こして、レギノスはその唇を塞ぐ。
激しい行為の直後でアリスが息を切らせているにも関わらず、容赦なく舌を絡ませ、呼吸の暇も与えないほど濃厚なキスをする。
そして、その長いキスがようやく終わった頃、レギノスはじろりと、悠馬の方を見た。

「どうだ?ファングナイト、お前の相棒もいまやこの有様、いい加減、観念したらどうだ?」

悠馬は悔しげに顔を歪めながら、レギノスに言い返す。

「アリスに…何をしたんだ……!?」
「何を?…馬鹿な事を聞くんだな。見ればわかるだろう?コイツが従順な牝になるまでたっぷり可愛がってやったのさ」
「くっ…よくもこんな……」

得意げなレギノスの声と、怒りを押し殺したような悠馬の声。
レギノスの腕に抱かれながら、アリスは悔しさを堪えて、その会話を聞いていた。
これこそが、レギノスがアリスに提案した条件だった。
レギノスに調教され、すっかり肉奴隷と化したかのような痴態を、悠馬の前で振舞う事。
愛する少年の前でのその行為は、あまりにも耐え難いものだった。
そして、自分の見せるはしたない姿が、悠馬を精神的に追い詰めるための道具として利用される事もわかっていた。
それでも、アリスには他に選択肢が無かった。
それにアリスは信じていた。
悠馬ならばきっと耐えぬいてくれる。

優しいあの少年が、変わり果てた自分の姿にどれだけ心を痛めるのか想像もつかない。
しかし、それでも悠馬なら、とレギノスの思惑乗って、くじけるような事など無い筈だ……。

「アリスを…放せ……」
「そいつは無理な相談だ……見えないのか?この女の体は私の体をくわえ込んで離さないのだぞ」

だから、レギノスのこんな言葉にも耐えてみせる。
悠馬をエネルギー採取のための生きたパーツになどさせてなるものか……っ!!
だが、その時である。

「ひっ!?…あああっ!!!…や…またなの!!?」

唐突に、レギノスが再びアリスへの突き上げを再開したのだ。
予想だにしていなかったその衝撃と、同時に走りぬけた強烈な快感にアリスは思わず悲鳴を上げた。

「ひや…あ…やめて…そんな…これいじょ…悠馬の前で…こんな事ぉ……っ!!!」
「何を言う?一発で終わりだとでも思っていたのか?」

再び始まった行為に戸惑うばかりのアリスに、レギノスが獰猛に笑いながら言った。

「さあ、もっと見せ付けてやらなければなぁ。お前の相棒に、自分がどれほど淫らになったのかを、たっぷりとなぁ……」
「いやぁ…やら…やめてぇ!!…こんなにされたら…また…体がぁああああっ!!!!」

レギノスの突き上げは、先ほどよりもさらに強く激しいものだった。
だが、プレールマに捕まって以来、延々とエネルギー採取用の触手に嬲られ続けてきたアリスの体は、そんな責めにも敏感に反応してしまう。

「アリスっ!!アリスっ!!!…くそ…もうやめろっ!やめるんだっ!!!」
「おいおい、さっきのこの女の姿を見ていなかったのか?コイツはもう、どうしようもない淫乱女に成り下がったんだ」

アリスの名を叫ぶ悠馬に、いやらしい笑顔を向け、レギノスが得意げに言った。

「それにお前だって、人の事を言えた義理じゃあないだろ?」
「なっ!?」

唐突に、悠馬の背後の壁がまるで生き物であるかのように蠢いた。
そして次の瞬間、そこから飛び出した無数の触手が、悠馬の体に絡みついた。

「くそ…は…はなせ…っ!!!」
「お前だって同じだ、ファングナイト……お前もこの女と同じ、浅ましい肉欲に生きる存在なんだよ…」

触手の一本が、度重なる拷問でズタボロになっていた、悠馬のボディスーツの股の部分を破り取った。

「…あぁ…そんな…ボクは……」
「お前は、自分の仲間が犯される様を見て興奮する、ただの変態なんだよ……」

露になった悠馬の下腹部で、膨張しその存在を主張する彼の分身。
茫然自失の状態に陥り、一気に力の抜けた悠馬の体に触手が巻きついていく。

「あぁ…悠馬……悠馬ぁ…」
「アリス…ごめん……」

最も大切なパートナーの前で痴態を晒されて、二人は力なく互いの名を呼び合う事しかできなかった。
こんな事、絶対に許されるはずがない。
そう思っているはずなのに、心と体が歪んだ快楽に飲み込まれて、
信念や誇りといった今まで二人が大切にしてきたものが、どろどろに溶かされていくのがわかった。

「さあ、見せてみろ。人類を守って我々と戦った戦士の、その浅ましい招待を俺に見せるんだっ!!!」

だが、追い詰められたアリスと悠馬には知る由もなかった。
現在二人がいるこの部屋が、つい先ほどから催淫性のガスにすっかり満たされていた事を。
全ては、二人を完全に堕とすための、レギノスの策略だった。
見えない歯車に巻き込まれた二人は、狂熱と興奮の中で徐々に壊れていく。

「くぅ…ああっ…アリスッ!!アリスぅううううっ!!!!!」
「ひあああっ!!悠馬っ!!ああっ…私…へんになるぅうううううううっ!!!!」

触手に弄ばれる悠馬と、レギノスに犯されるアリスの声が重なる。

「くふふ、すっかりノリノリになったようだな。アリス……」
「ひぃっ!!…や…そんな激しくかきまぜないでぇええええっ!!!!」

先ほどまでとは比べ物にならない乱れ様を見せるアリスを、レギノスのモノが徹底的に突いて突いて突き上げる。
その度に、長い間の陵辱で劣化していた強化服の装甲が飛び散り、アリスは無防備で無力な少女の姿に戻されていく。

「ああああっ!!ひぅっ!?…ひやああああんっ!!!…あついよぉっ!!!アソコがどろどろで、ぐちゃぐちゃで、熱くてとろけちゃいそうだよぉ!!!!」

悠馬の前ではしたなく淫らな声を上げるのも、今のアリスには気にならなかった。
それよりも、彼の存在がアリスの興奮をさらに煽り、さらなる快楽の高みへと彼女を導いていくようだった。
レギノスの激しい突き上げにリズムを合わせて、一心不乱に腰を振りたくり、快楽の電流に何度も意識を寸断される。

(ああ…悠馬…私を見てるんだ……私を見て、興奮してくれてるんだ……)

触手に自分のモノをしごき上げられ、未知の快楽の中で声を上げる悠馬。
その視線がまっすぐ自分に向けられている事が、アリスにはたまらなく嬉しかった。
最愛の少年の前で、敵の手によって徹底的に陵辱される。
アリスの心と体は、そんなシチュエーションに倒錯した悦びを感じるほどに壊れてしまっていた。

「悠馬っ!!悠馬ぁ!!!もっと私を見てっ!!もっと私の事を感じてっ!!!…や…ああああああああっ!!!!!」

加速度的にその熱とスピードを増していく行為。
その中で、アリスは泣き、叫び、声を上げて己の欲望に飲み込まれていく。
敵に犯されて、大好きな人に見られて、悔しくて悲しい筈なのに、それが気持ちよくてたまらない。
ただひたすらに、本能に忠実な獣と成り果てて、金髪の少女戦士は崩壊していく。

「あああああっ!!!くるっ!!!きちゃうよおおおおっ!!!!悠馬ぁあああっ!!!!!」

やがて、快楽の地獄の中で翻弄され続けた二人に限界が訪れる。
もはや快楽とも判別がつかない、焼ききれそうなほどの熱にも似たその感覚に包み込まれて、
かつて人類のために戦った二人の少女と少年は、その最大の敵の手によって絶頂へと導かれる。

「あああっ!!!出るぅううっ!!!アリスっ!!アリスぅううううううっ!!!!!」
「イクぅ!!イっちゃうぅよぉおおおっ!!!!悠馬ぁああああああああっ!!!!!!」

レギノスの体の上で、上り詰めたアリスの体から一気に力が抜けていく。
その肌に降りかかるのは、触手によって強制的に射精させられた悠馬の白濁液だ。
そのぬくもりに包まれながら、アリスは恍惚とした笑みを浮かべたのだった。

「さあ、これでわかっただろう?この女もお前も、今や我がプレールマの意のままとなる、単なる所有物に過ぎないのだと」

得意げな顔で立ち上がったレギノスは、悠馬にそう言い放った。
その姿を呆然と見上げる少年の瞳には、以前のような意志の光は見て取れないように思われた。

「エナジーストーンの封印を解くか?」
「はい……」

言われるがまま、悠馬は肯いた。

「よろしい。大変結構だ。それでは、早速やってもらおう……」

レギノスの指示に従い、悠馬はエナジーストーンに施されていた封印を解き放つ。
すると、半壊状態だった少年の強化服にたちまちエネルギーが溢れ、有り余るエネルギーに周囲が照らし出された。

「そうだ。これで我がプレールマは…そして私は……」

満面の笑みを浮かべ、レギノスはエナジーストーンのはめ込まれた、強化服の首元に手を伸ばす。
だが、その時であるっ!!

「くぅ……っ!!!!」

今まで放心状態にあるかと想われた悠馬が、突然起き上がり、レギノスに飛び掛ったのだ。

「貴様…ど、どうして……!?」
「この時を…待っていたっ!!!」

全身全霊の力とエネルギーを込めた隠し武器のナイフの一撃が、レギノスの腹に深々と突き刺さる。
悠馬はそのナイフを通り道に、エナジーストーンの力を流し込んだ。

「ぐ…ああああっ!!!?…こんな…バカな事がぁあああああっ!!!!!」
「これで、終わりだっ!!!!!」

爆発的なエネルギーの奔流に全身を内側から焼き尽くされて、ついにレギノスは倒れた。
そして悠馬は、その様子を呆然と眺めていたアリスにそっと手を差し伸べて、言った。

「さあ、逃げるよ、アリス……」

広大なプレールマの要塞の通路を、肩を支えあった少年と少女が進む。

「それじゃあ…悠馬はずっとレギノスが油断するチャンスを待っていたの?」
「うん……。だけど、あの時アリスが目の前で滅茶苦茶にされて、自分も訳がわかんなくなって、全部アイツのされるがままになって
あの時はもう駄目だって思ってたよ。だけど、それが最後にレギノスの油断をさそったんだ……」
ぽつりぽつりと話す悠馬の言葉を聞きながら、アリスはレギノスに打ち勝った悠馬の凄さと、結局欲望に抗えなかった自分の情けなさを思い起こしていた。

「悠馬は最後まで諦めなかったのに、私、駄目だね……」

暗い顔でそう言ったアリス。
だが、それに対する悠馬の言葉は優しかった。

「違うよ、アリス……」
「えっ?」
「アリスがいたから、アリスが一緒に頑張ってくれてるんだって、そう思えたから、ボクは最後まで頑張れたんだ。」

悠馬の笑顔は、アリスにとってただただ眩しかった。
だから、アリスはその言葉を、ずっと胸に秘めてきた想いを言葉にした。

「悠馬……。私ね、ずっと前から、悠馬の事が……


そこで、少年と少女の意識は途絶えた。


「コイツらの夢の中の事とはいえ、自分が死ぬところを見るのは、気分の良いものではないな」

巨大な装置のコンソールの前に腰掛けて、レギノス将軍が呟いた。

彼が見上げた先、装置の中枢には巨大なクリスタルがはめ込まれている。
その中で、アリスと悠馬は永遠の夢を見ていた。
彼らは相互にリンクした夢の世界の中で、再び快楽と恥辱に塗れた悪夢のサイクルに入っている筈だった。
レギノス将軍の前の画面には、拷問を受けるファングナイト・悠馬の姿と、触手に犯されるウイングナイト・アリスの姿が映し出されていた。

これこそが、エナジーストーンの持ち主の暴走を完全に封じ、その力だけを吸い出すために考案された方法だった。
エナジーストーンが真の力を発揮するために必要なのは、持ち主の心である。
ならば、とレギノスは考えた。

少年と少女をこの巨大な結晶の中に閉じ込め、夢の中で心だけを生かす。
二人は永遠に続く悪夢の中で、ただエナジーストーンからエネルギーを生み出すためのパーツとして生き続けるのだ。
アリスと悠馬は、ありもしない希望を胸に、これからも悪夢の中でレギノスに抗い続けるのだ。

「くふふふふふ、傑作だな。こいつは正に傑作じゃあないかっ!!!」

勝ち誇ったレギノスの笑い声が響きわたる。
今日も明日も、これから先永遠に、捕らわれの二人は終わる事の無い快楽と苦痛の地獄の中でその心を蹂躙され続けるのだ。






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