シチュエーション
2 美穂 (ここは……) 稍あって意識を取り戻しつつある美穂。 長袖の白いレオタードのまま両手首を後ろ手に縛りあげられて、 あたかも罪人のように仰向けで広い室内の床に転がされていた。 何か布のようなものを粗雑に詰め込まれ、口が塞がれて、喉の奥が乾いていた。 (………?) 二の腕、胸に幾重にも、両足首にもロープが緊く巻かれていた。 いつもならば、手枷のロープくらい断つことができる筈だが、 激しい闘いに消耗し、限界に達しつつある清艶なスレンダーガールに、 左様な力は残されていなかった。 ロープの束縛が不断に胸を擦る。腕も脚も使えない。 下肢の尋常にない異物感に支配され、火照った身体が動かない。 何処と無く不自然で、云い様のない不快と違和が満ちていた。 視線を漂わせると、傍らに、此方を眺め薄ら笑いを浮かべている由加里… 吸い込まれそうな輝瞳を瞬かせ、由加里を眺めた。 由加里の鮮やかなイエローのレオタードに、所々汗染みが滲んでいた。 (どうして由加里さんが…) ロープで巻かれた薄い胸の膨らみに、粘着した目を向けていた。 一抹の不安を禁じ得なかった。 徒ならぬ感情が向けられることを、ときとして由加里に感じることがあったから。 とても痛い… 耐え難い程に… 不吉な予感、胸騒ぎが疼いて止まない。 (ま、まさか… マリオネット? 由加里さんが、操られている?) 2−2 美穂 未だ朦朧とする意識に克ち、一縷の望みを託し、視線を落としていく。 (はっ…) 不吉な予感が、最凶に当たっていた。驚愕に暫く凍てつき、事実として受け止められなかった。 躰に密着したレオタードが腰骨まで摺り上げられ、股間に鋭く食い込んでいた。 だが、それだけではない。 (入ってる…) 伸縮素材の薄い純白のレオタード諸共、隘路に異物が減り込んでいた。 動揺、羞恥の混濁に、一気の紅潮が止まらない。 縺れた意識が戻り、これまで感じたことのない股間の衝動が凄まじい嫌悪感と共に美穂を襲った。 (いやあっ!) 悍ましいことに、手具に用いられるクラブの先端が、レオタード越しに貫き刺さっていたのだ。 息もできない激痛と悪寒が縦横に駆け巡り、全身が総毛立つ。 嘔吐を堪える。震えが止まらない。薄らと涙が滲む。 (ひどい… 私の… 大切な……) 屈辱に悶え、身を捩る度、股間から痩身に激痛が走り、身動ぐことさえ、ままならない。 できることならば、レオタードの上から抑えて、のたうち回りたいのに。 しかも、犯されて、身を裂かれるような苦痛に苛まれながらも、有ろう事か、 レオタード越しに突っ込まれたクラブを、熱く滾った恥部が収縮と弛緩を繰り返し、 愛液を溢れさせて締めつけている。 2−3 美穂 抜かなければ… でも、どうやって… クラブは、巻かれたロープの邪魔で、腿を使って抜くことは叶わない。 美穂は歯を食いしばり、僅かにも体位を替えるため、ハーフシューズを踏みしめた。 そっと美尻を浮かせようとするだけで、忌まわしい痛覚と共に、甘美な騒めきが下肢に広がった。 更に浮かせようとすると、漣波のような愉悦に溢れ、腰が砕けてしまう。 マリオネットに弄ばれて痴態を晒すスレンダーガール自身の姿が脳裏に浮かび、 量らずも倒錯した陶酔を感じてしまう。 汗に塗れて激痛と官能に耐えることで、気力が殆ど尽きてしまう。 やがて 耐え兼ねてハーフシューズが滑り、俟た床に尻がついた。 (あうっ!) 仰け反った痩身に、束の間、意識が遠のく程、苛烈な痛覚と峻烈な快感の衝撃が巡った。 (…が、爆ぜるぅぅ) 強靭な精神をもってしても、腰がおののき震え、もう如何することもできない… 「美穂… どうして…」 由加里の言葉に、美穂は、我に返った。 SS一覧に戻る メインページに戻る |