シチュエーション
3 由加里 「これは…」 漸くに自我を取り戻しつつある由加里。 気がつくと、美穂が長袖の白いレオタードのまま両手首を後ろ手に、 ナイロン製のロープで縛りあげられて、あたかも罪人のように 仰向けでフローリング貼りの床に転がされている。 「体育館……?」 何か布のようなものを粗雑に詰め込まれ、口が塞がれている。 二の腕、胸に幾重にも、両足首にもロープが緊く巻かれている。 いつものスレンダーガールならば、手枷のロープくらい断つことができた筈だが、 激しい闘いに消耗し、清艶な痩身も限界に達しようとしていた美穂に、 左様な力は残っていないようだ。 ロープの束縛が不断に胸を擦り、腕も脚も使えず、動けない美穂。 何処と無く不自然で、云い様のない不快と違和が、辺りに満ちている。 切なそうにこちらを向き、端正な顔立ちを歪めて、苦悶している美穂… 美穂が、吸い込まれそうな輝瞳を瞬かせ、此方を見ている。 由加里の鮮やかなイエローのレオタードには、所々汗染みが滲んでいる。 「美穂… どうして…」 ロープで巻かれている薄い胸の膨らみに、視線を向けてしまう。 一抹の不安を禁じ得ない。 徒ならぬ感情を、ときとして美穂に向けてしまうことがあるから。 痛い… 不吉な予感、胸騒ぎが疼いて止まない。 「ま、まさか… マリオネット… わたし、操られて…」 3−2 由加里 戦慄に打ち克ち、一縷の望みを求めて、更に目を凝らす。 「はっ…」 不吉な予感が、最凶に当たっている。驚愕に暫く凍てつき、事実として受け止められない。 美穂の身を縛っている物は、由加里が操る筈のグラデーションロープ… 美穂の口を塞いでいる物は、由加里が穿いていた筈のオーバータイツ… だが、それだけではない。 「入ってる…」 伸縮素材の薄い純白のレオタード諸共、美穂の隘路に異物が減り込んでいる。 動揺、憐憫の混濁に、一気の高揚が止まらない。 これまで感じたことのない凄まじい罪悪感が由加里を襲う。 「いやあっ!」 選りに選って、由加里が使用するラバークラブの先端が、悍ましいことに、 レオタード越しに美穂の股間に貫き刺さっているのだ。 悪寒が縦横に駆け巡り、全身が総毛立つ。嘔吐を堪える。震えが止まらない。薄らと涙が滲む。 ロープで縛られて、クラブで貫かれているため、身動きすらままならない美穂。 しかも、犯されて、身を裂かれるような苦痛に苛まれている筈なのに、 レオタード越しに突っ込まれたクラブを、熱く滾った恥部が愛液を溢れさせて締めつけている。 3−3 由加里 レオタードから抜いてあげないと… でも… 歯を食いしばると、歩を進めるため、爪先が僅かに汚れたハーフシューズを踏みしめる。 美穂に触れるため近づこうと思うだけで、忌まわしい心の痛みに囚われると共に、 有ろう事か、甘美な騒めきが下腹に広がってしまう。 美穂が晒す酷い姿を見ているだけで、夢現つつに恍惚の漣波が溢れ、腰が砕けてしまいそう。 顔には汗が浮かび、加虐の快美に耐える為、気力の殆どを費やさなければならない。 抜いてあげなくては…… 加虐の快美に耐え兼ね、俟たしても揺らぐ自我に苛まれる。 激しい鼓動が柔らかな胸を激しく揺さぶる。 「あうっ!」 苛烈な悪意と峻烈な快感が全身を巡る。 囁きが聞こえる。もう一押しで、スレンダーガールを壊すことができると。 束の間、意識が遠のく程、夢心地に蕩けるような恍惚が誘う。 “癒しの手”が逆流し、脆い心が薄暗い感情に支配される… (早く… 抜いて…) 声にならない美穂の哀しげな呻きに、由加里は、はっと我に返る。 SS一覧に戻る メインページに戻る |