シチュエーション
6 由加里の後(インターミッション) (早く… 抜いて…) 声にならない美穂の哀しげな呻きに、由加里は、はっと我に返る……… 魔女の“見えざる手”を辛うじて逃れ、マリオネットを脱した由加里により、 ロープの拘束とクラブの陵辱から、漸く解放される美穂。 だが、清艶な痩身は凄惨に憔悴し、無残にも傷つけられてしまった。 果てる前、淫らな姿態を隠すよう懸命に変身を解き、紺の無地レオタードと 練習用のショートスパッツ姿に戻っている。 黒く蔓りとしたスパッツにぴっちり覆われて、美尻は弾むように際立ち、 股間に濡れも今は目立たない。 しかし、未だ華奢な背筋が小刻みに震え、細い肩で息を吐き、 過大な消耗を伴う変身は無論のこと身動ぎすらままならない。 綺麗な首筋や鎖骨の窪みに窺える内出血の跡も傷ましい。 気も狂わぬばかりの記憶が官能として躰に残っているのか、横座りで脚を流したまま 躊躇いがちに内股を擦り合わせている。 (まだ、治まらない…) いつしか左手で、使い込まれ僅かに色褪せた紺のレオタードの胸の膨らみを緩やかに揉み、 舐めて濡らした右手の指先でスパッツの光沢に触れ、その敏感な部分をそっと撫で癒している。 これまで無理を重ね、耐えに耐え、堪えに堪えてきた解れが紡がれようとしている。 朧げな瞳でしっとり潤み、眼差しが妖しく彷徨う。 救いに酔い痴れて穏やかな面輪が仄めき、控えめな声が洩れる。 片隅に置かれた大きな姿見に映る儚く身悶える凄艶さに、思わず唆られてしまう。 6−2 由加里の後(エピローグ) 「…してあげる…」 巧まずして、由加里が美穂に寄り添う。肩に背に手を回し、身を重ねる。 美穂の柔らかく結ばれた薄紅色の唇に、戯れるように軽く口づける。 咄嗟に顔を齟齬そうとするが、逃れられない。 静かに軟らかな舌が滑り込む。感触が… 混乱し、戸惑って、拒んでいた舌も、やがて溶け合い、交わり始める。 何を…するの… 細い指が探るように蔓蔓したスパッツの上を這う。 敏感に… 繊細な痩身に、過剰すぎる奉仕、傲慢な刺激。 滴っているに違いない… 何処も彼処も、妙妙たる手触りで素晴らしい。 高揚した由加里の駆使する濃厚な舌戯と巧妙な手技は止まるところを知らず、 遂には癒しの範疇を超えてしまう。 欲望… 邪念… 加虐… 唐突に囁きが聞こえてくる… 今ならば… もうひと押しで… 美穂を壊すことができる… と…… 突如、背に回した“癒しの手”からの逆流が、美穂を圧倒的な暴力の瀬戸際に曝す。 どろどろ、ぬめぬめした得体の知れない物が、心身に渦をなして傾れ込んでくる… 「やめて!」 最後の力を振り絞って、スレンダーガールに変わり、我が身を護る美穂。 咄嗟に、由加里を突き飛ばしてしまう。 叩き付けられた姿見が割れ、由加里が倒れる。 壮絶に精も魂も尽きて、がっくり床に崩れ落ちるスレンダーガール。 下肢が痙攣の波動に弱弱しく打ち震え、背中が寂しく波打っている。 やがて項垂れた由加里がぐったり頽れた美穂に躙り寄り、啜り泣きながら、 縋って請うている。 「許して………」 SS一覧に戻る メインページに戻る |