悪ヒロイン ルル
シチュエーション


基礎設定(適当)
正義ヒロイン:込山亜弓。改造人間。ロンリーで寡黙系の大学生。
       口出し、ミニスカな仮面ライダー姿に変身して闘う。
       微ムチムチ体型、黒髪セミロングな文系女のコ。
悪ヒロイン:ルル・ギゲル。改造人間。ドSな猫怪人。亜弓よりは年下。
      スレンダーな美少女。詳細は本文。

↓正義ヒロインが的に囲まれてピンチな状況から



がらんとした廃工場の中、亜弓は十人の戦闘員に囲まれ、身構えている。
戦闘員たちもロッド状の武器を手にし、今にも駈け出してきそうな構えでいるが、なかなか距離を詰めてはこない。
と、ふいに、鎖がちゃらちゃらと揺れる音が工場内に響いた。
亜弓は咄嗟に顔を上げた−−その頭上、天井から垂れ下がっている錆びかけた鎖の上方に、黒い人影が掴まっている。
そして、落下−−亜弓が後方へ飛び退いたのと同時に、その人影は音もなく軽やかに着地していた。それはまだ、少女だった。
斑点のような白いメッシュが入ったボブカットの黒髪の下から、やや吊り気味の大きな目が亜弓を見つめている。
全身に、黒い革の帯を幾重にも無造作に巻き付けたような、奇妙なスーツを着ている−−ところどころにある帯の隙間から、白い肌がのぞいている。
細い首に巻かれた金属製の首輪には、組織のエンブレムが刻印され、鈍く光っている。
おまけに、手足に着用しているエナメル質のロンググローブとニーハイブーツには純白のファーがなびいていて、これまで様々な怪人と対峙してきた亜弓から見ても、それはかなり異様な出で立ちだった。

「ライダーさん、もう、帰っておいでよ」

小さな口をにやりと歪ませて、舌足らずな声で言う。

「どんなにがんばったって、人間たちの中にはあなたの居場所はないんだからさぁ」

ルルが一歩踏み出し、亜弓が一歩退く。

「同じ改造人間どーし、仲良くしたいなぁ……ダメ?」

亜弓は答える代わりに、ルルをきつく睨んで、構えた拳をさらに強く握りしめた。

「そっかぁ。じゃあ連れて帰って、再改造を受けてもらわなきゃ……ね」

猫の頭部を模したヘルメット状の仮面がルルの頭を覆い、最後の一音は不気味にくぐもった声となって響いた。
仮面に穿たれた猫目の細長い眼光に、凶暴な蒼い光が灯る。
と同時に、亜弓の腹部にも変身ベルトが露出し、楕円形のバックルの中央に開口しているエネルギー孔から真っ白な光が放たれ、変身が完了する。

「惜しいなぁ」

ルルは既に亜弓の眼前に来ていた。グローブの鋭い爪が、胸のプロテクターに突き立てられる。

「ちゃんと洗脳を受けてれば、あと0.8秒は早く動けるのにね」

ルルが腕を横に振ると、プロテクターから火花が散り、そこに三本の掻き傷が刻まれた。

「くっ、う……!」

亜弓は咄嗟に足を振り上げるも、ルルの姿は既にない。一方で、二人を取り囲んでいた戦闘員たちがロッドを構えて駆け出している。
刻まれたプロテクターからは白い蒸気が立ち上がり、自己再生に伴う熱が亜弓の動きを鈍らせる。
頭上でまた鎖が揺れる音が聞こえたかと思うと、ルルはもう亜弓の背後を取っていて、その腕を羽交い絞めにし、ブーツを踏みつけて脚を抑え、亜弓の動きは封じられていた。
亜弓の肩に顎を当て、仮面を少し上にずらして口を露出させると、あの舌足らずな声ではしゃぐように囁いた。

「たまにはこの子たちにも見せ場があったっていいでしょ、ねぇ?」

間髪いれずに、ロッドが脇腹に叩き込まれる。

「がっ、あぅ!……」

続けて、口以外では唯一肌が露出している太ももに、両脚とも同時にロッドが叩きつけられる。
さらに、ルルが顎を乗せているのとは反対の肩口に向けて、振り下ろされる。

「あぐっ、ぅぐ……」

もがく亜弓に対し、ルルはさらに力を込めて拘束を加えながら、その呻きをじっくりと聴いている。
制裁はしばらく続き、やがて亜弓がぐったりとしてくると、ルルは拘束を解いた。亜弓はそのまま、うつぶせに倒れ込んだ。
戦闘員がすぐさまその両脇に寄ってきて、それぞれが亜弓の肩と腕を持ち、無理に立ち上がらせる。
ルルは仮面を脱ぎ、亜弓の前に立つ。戦闘態勢直後のせいか、その瞳は人間のそれではなく、猫そのものだ。
そしてうなだれている亜弓の仮面の頭頂部を掴み、顔を自分のほうに向けさせると、もう一方の手を変身ベルトのバックルの開口部に近づけた。

「基地に帰るまでは寝ててもらうから……すっごいキツいのでイかせてあげるね」
「やめっ、やめろぉっ…」

グローブに包まれた指が容赦なく挿入され、中を掻き回し、備蓄されているエネルギーを無理に放出させる。

「んんんぅ、ひぃっ、ぎぃっ!……」

亜弓は悲鳴を上げながら、仮面の両眼を激しく点滅させ、膝をがくがくと震わせた。
エネルギーの減少があまりに急速すぎて、意識はもう飛んでいた。

基地に戻り、亜弓を手術室に運び込むと、ルルはその足で指令室へと向かった。
その軽快な足取りは、幹部たちが揃う指令室に入る際にも変わらない。
すぐさま、先輩幹部の偉そうな声が投げつけられる。

「貴様、処刑の準備はできたのか? ヤツは見せしめにして……」
「いいえー、ライダーさんは手術台に乗っけてきました」

ルルの口調は亜弓を責めていたときと何も変わらないままだ。
そして別の幹部の怒声が飛ぶ。

「なっ、また勝手な真似を!」

だがルルはまったく動じず、部屋を悠然と突っ切り、その一番奥、組織のエンブレムが掛けられている壁の前に立つと、幹部一同を見渡した。
その瞳はもう、人間のそれに戻っている。

「あたしが捕まえてきたんだからー、あたしのオモチャってことでいいですよねー? おじさんたちじゃ遊び相手にならないしぃ」

また怒声が飛び交うかと思われたが、スピーカーから流れだした首領の笑い声がそれを阻止した。

「……いいだろう。ルル、好きにするがいい」

ルルはエンブレムのほうに向き直ると、深く頭を下げた。
そして振り返り、幹部たちに満面の笑顔を見せると、再び軽快な足取りで指令室を後にした。






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