怪盗トライアングルムーン第二話
シチュエーション


「はぁ…」

上質のノンアルコールワインをグラスの中で揺らしながら新堂ルナはこっそりと溜息をついた。
目の前では小太りの脂ぎった初老の男がぺちゃくちゃと自慢話を繰り広げている。
うちの会社の業績は、年収は、etc…
正直、なんの役にも立たない情報なので耳を防いでしまいたいところだが、そうもいかない。
例え目の前の男がどんなに俗物でも邪険に扱うのは状況的にも少女の性格的にもできないことだったからだ。
とはいえ、生理的嫌悪は拭えない。
何せ男はただ自慢しているわけではなく、それとなく息子を婿にと薦めてくるのだ。
男の息子の年齢は三十を超えている。
愛に年齢差は関係ないとはいうが、まだ十代の少女に一回り以上歳の差のある相手を薦めるのはどうだろうか。
しかも、それが自分の器量を評価してのことならともかく、自分の背後にある財産を狙ってのことなのだから余計に受け入れられる話ではない。

(やっぱり、来るんじゃありませんでした…)

仮に我侭を言ったところで、この場に来ないという選択肢は取れなかった。
それを理解していてもルナは場の息苦しさに辟易する。
少女の周りでは正に狐と狸の化かしあいという表現がそっくりな雑談という名の会話や、人脈を構築しようと奔走する人間たちの姿があった。
今、ルナたちがいるのは都市ミリオンの中央区域にそびえ立つ高層ビル・ミリオンライトである。
そこで今夜、政財界の大物たちが一堂に会して親睦会という名のパーティーを行っているのだ。
といっても、親睦会といえば聞こえはいいがその中身は禍々しい腹の探りあいでしかない。
誰が敵になり、誰が利用できるのか、それを探りに来ている人間ばかりなのだから。

「…それでは、そろそろ失礼しますぞ。先程の件、よく考えてみておいてくだされ」
「ええ、わかりました」

ぺこり、と頭を下げるとようやく男が去っていく。
勿論よく考えるまでもなく返答を否と決定していたルナは表情にそれを表さずにこやかな表情でそれを見送る。

(ふう、ようやく一息つけそ…う?)

最後の一文字に驚愕の意を込めて少女は身体を硬直させた。
だが、男が去ったと見るや、わらわらと自分の方によってくる男たちを見てしまったのだから仕方がない。
男たちの目的は明白だった。
前の男と同じく息子を、あるいは自分を令嬢の伴侶としてアピールしようとしているのだ。

「新堂さん、ワインはいかがでしょうか?」
「おい、俺のほうが先だ。大体新堂さんはワイングラスを持っていらっしゃるじゃないか」
「是非あちらのほうでダンスを」
「この前のお見合いの話ですが、受けていただけるでしょうか?」
「おい、押すな!」

たちまち少女の前に人垣が出来上がる。
ルナはそんな亡者どもの争いにあからさまに引き、思わず一歩後ずさった。

どん。

「あっ…」
「っと、失礼。おや、新堂さんじゃないですか」

背中に衝撃を感じたルナが慌てて振り向くと、そこには一人の男がいた。
年の頃は二十代中盤といったところか。
整った銀の髪に深い赤の瞳が印象的な、美形と評しても問題ないルックス。
派手ではないスーツの胸元に太陽を模したバッチをつけているその男のことをルナはよく知っていた。

「サンズ社長…すみません、私の不注意で」
「いえ、こちらも周りを見ていなかったのですからおあいこですよ」

涼やかに微笑む男にぶつかられた怒りはまるで見えない。
ルナはそのことにほっとしつつ、男のデータを脳裏に素早く浮かび上がらせる。
エスド・サンズ。
彼はミリオンでも十指に入る金持ちで、IT関係であっという間に伸し上った実力派の青年実業家だった。

『ちっ…』

二人の様子を見て、少女に群がっていた男たちが舌打ちをしながらもその場を離れていく。
ポッと出の成金と見られているエスドは基本的に財界人受けが悪い。
だが、その実力は本物で、政界とも繋がりがあるといわれている彼に迂闊に手を出せば火傷ではすまない。
保身第一主義の男たちでは精々が忌々しそうな視線を向けるくらいだが、その程度では当然何のダメージもエスドには与えられなかった。

「あの、ありがとうございます」
「僕は何もしていませんよ」

結果的に男たちを追い払うことができたルナは素直にエスドに礼を言い、エスドは気にしてないとばかりに微笑む。
だが、穏やかなやりとりとは裏腹に、ルナはこの場を離れたいという衝動を抑えることに必死だった。

(…この人の視線、落ち着かない)

ルナは自分に向けられるエスドの視線に身震いを起こしかけていた。
先程までの男も含めて、大半の男はまず自分の胸や腰の辺りに邪な視線を走らせる。
それに比べれば、エスドの視線は別段あからさまに身体をジロジロと見つめてくるというわけでもない。
しかし、その吊り上った眼光はまるで蛇のようだった。
服を着ているのに、裸を、そして心の中を覗かれているようなそんな薄気味悪い感覚。
自分の不注意、そして男たちから助けてもらった手前、自分から立ち去れないルナはなんとか相手に気づかれぬよう外面を取り繕う。

「しかし、相変わらずのご人気ですね」
「そんなこと…」
「いやいや、お世辞ではありません。実際貴女はこの場でも飛びぬけて光り輝いている。そう、まるで太陽のように」
「太陽のよう…ですか。私は月のほうが儚くて好きなのですけど…」

窓の向こうの夜空に浮かぶ月に視線を向け、ルナは頬を緩ませる。
歯の浮くような台詞を吐いたにもかかわらず、一瞬無視されるような形になったエスドの表情に少なからぬ影がさした。
が、ルナが視線を戻すころにはその表情は元に戻っている。

「月、ですか。確かに、新堂さんの名前からしてもそっちのほうがお似合いですね」
「はい、お気に入りの名前なんです。両親には感謝してもしたりません」

名前を褒められたことが嬉しかったのか、満面の笑みを浮かべるルナ。
エスドはその微笑に目を奪われ、一瞬呆けてしまう。

「…?」
「あ、失礼。少々新堂さんの笑顔に見ほれてしまいました」
「まあ、お上手ですね」

天然なのか、それとも計算づくの演技なのか。
まるで本気で受け取っていないルナの言葉にエスドは苦笑を漏らし、今日はここまでかと会話に見切りをつけた。

「冗談ではなかったのですが…まあ、あまり長々と貴女を拘束していても受けが悪いですし、そろそろお暇させてもらいます」
「はい、それではまた」

お別れの握手にと、右手を差し出してくるエスドにルナは一瞬躊躇する。
だが、ここで握手を断るのは不敬である。
ルナはできるだけ内心を表情に出さないようにして男の手を握った。

(…つ、冷たい!)

ゾクッと手のひらに凍えるような寒さが令嬢に襲い掛かった。
男の手はまるで極寒の地から帰還したばかりのように冷たかった。
手の冷たい人間は優しいといわれるが、その言葉が戯言に思えてしまうような低温の皮膚に、背筋が勝手に震え始める。
だが、少女は寒さとは別にもう一つの感覚を、恐怖を覚えていた。
男の手からは言葉に表せない得体の知れない感覚が発せられていたのである。
まるで粘着質な何かに全身を絡めとられるかのようなその感覚を受け、ルナの心に怯えが浮かび上がった。

「…それでは、また」

名残惜しげに、それでいて紳士的に離された手に、ほっと息をつく。
エスドには悪いが、後一秒でも長く手を握られ続けていたら悲鳴を上げていたかもしれなかった、とルナは思う。

(…喉がカラカラ。何か飲み物をもらおう)

身をひるがえすとルナはその場を離れるべく、足早にテーブルの方へと向かう。
それ故に、彼女は気がつかなかった。
自分を静かに見送ったエスドが、誰にも見えないよう右の手のひらをベロリと舐め上げていたことに。

「お嬢様、おつかれですか」
「見ればわかるじゃないですか……ふう、ああいう場は何度行っても慣れません…」

送迎の車の中、ぐったりと背もたれに身体を預けた令嬢は運転手にそう返事をした。
あの後、飲み物を受け取るべくテーブルに向かったルナだったが、結局その望みは叶えられなかった。
エスドがいなくなったことを確認した男たちが再び押し寄せてきたのである。

「どうしてあの方々はああも欲望を前面に押し出すことができるのでしょうか…」

チラリ、と後ろを見やる。
そこには遠ざかっていくビルの姿があった。
ミリオンライトの名前通り、昼間のように光を放出し続けるビルにルナは溜息を自重しきれない。

「人間、地位や権力、そして財産を持てばそれがもっと欲しくなるものです」
「悲しいことですね…」
「こればかりは人間の性ですから。ですが、行き過ぎは当然よくありません」
「わかっています。だからこそ…私が、私たちの存在する意味があるのです」

頭によぎるのは欲に狂った亡者たちの顔。
彼らは自分たちの欲望を満たすことに精力を注ぎ、その影で犠牲になる人たちに目を向けようとはしない。
先程紳士的に接してきたエスドとて例外ではなかった。
証拠こそないが、彼には政治家との黒い繋がりが噂されている。
勿論、善良な権力者もいるにはいるが、それはあくまでほんの一握りだった。

「……」

運転手は何も言葉を返さない。
こういう時の主人には何を言っても無駄だと経験上理解しているからだ。

「私はこのミリオンを愛しています。だから…」

ルナはきっと夜空の月を見上げた。
憂いを帯びた蒼の瞳がその奥にしっかりと光を携えて意志の強さを窺わせる。
サラサラとセミロングの金色の髪がなびき、月光に映える。

「やめるわけにはいかない。たとえ無駄に終わったとしても、どんなに危険でも」

ルナはポケットから手のひら大のバイザーを取り出す。
それは、ミリオンでも最も有名な怪盗が身に着けている仮面だった。

「それが、怪盗トライアングルムーン・ウィッチィである私の信念なのだから」

都市ミリオン。
通称『世界の富と権力が集まる都市』と呼ばれるこの都市には様々な人間が住み着いている。
政治家、富豪、プロスポーツ選手、乞食、メイド…
ありとあらゆる人種が集まるこの都市は当たり前のことだが犯罪が多発していた。
盗み、傷害、殺人、汚職、人身売買。
勿論警察とて黙ってはいないが、いかんせん数が多すぎる。
結局は多発する犯罪を抑えきれず、悪がはびこっているという現状がミリオンでは当たり前のようになっていた。
いや、それだけではない。
この都市にはなんと俗に言う『悪の組織』や『闇の秘密結社』が公然と存在しているのだ。
勿論その所在や幹部の情報はそう簡単には出てこないが、大小合わせればこういった組織の存在は数十にものぼる。
表の企業を隠れ蓑にしたり、地道に地下で動いていたりとその形態は様々だが、彼らには二つの共通した目的があった。
一つは、ミリオンを手中に収め、その莫大な富と権力を手に入れるということ。
そしてもう一つは、怪盗トライアングルムーンを捕まえる、あるいは倒すことだった。
三人組の少女は半年前突如彗星のように現れた。
最初は気にもされない存在だった彼女らは次々と彼らと繋がりがある悪徳政治家や富豪から盗みを働き彼らを潰していった。
それどころか、どこから調べたのか所在が不明なはずの彼らの施設にすら出没するようになり、やはりそれらを潰すようになったのだ。
こうなると如何に裏の住人といえども黙ってはいられない。
即座に裏世界では彼女らに賞金がかけられ、どの組織も血眼になって怪盗トライアングルムーンを追った。
しかし現在、彼女たちは最近も元気に活動を続けていた。
怪盗トライアングルムーンに狙われた組織や人間は、例外なく少女たちから勝利を得ることができなかったのだ。

閑話休題。

ミリオンの一角に存在するサンズグループの本社。
ルナと同じくパーティーから帰還したエスドは、その身体を会社の地下へと落ち着けていた。
会社情報には載せていない、正に秘密基地と呼ぶにふさわしいその場所は広々とした生活空間と部屋が点在している。
エスドはそのうちの一つの部屋で椅子に座り、ニタァと気色の悪い笑みを浮かべながら右手をかざす。

「…ボス、流石にいい加減それは気持ち悪いぜ?」
「ジャック、君にはわかるまい。今この手には女神のぬくもりが宿っているのだよ」

ニタニタと笑う自分の主人にジャックと呼ばれた男は呆れたような視線を送った。
大丈夫か、この組織。
このような光景を見るたびにそう思わないでもないが、組織は順調に勢力を拡大しているし、今のところ問題も起きていない。

「性格と能力は別物ってことか」

ジャックは目の前の主人と、自分と同格にあたる幹部の男の姿を思い浮かべて世の無情さを嘆いた。
勿論、そういうジャックも十分に変態的な性格をしているのだが今ここにそれを突っ込むものはいなかった。
流石に刃物をご機嫌で研いでいる危ない男に意見できるほど肝の据わった下っ端がいるはずがない。

ブラックサン。
それが彼らの悪の犯罪組織名にして本当の姿。
そして、エスド・サンズが操る巨大な闇だった

「しかしボス。そこまで執着するほどの女なのか? その新堂ルナってのは?」
「当然だ。あの美貌、あの性格、あの物腰、彼女と比べれば今までであった女などクズ同然だ」
「ひゅー、まるで恋焦がれてるみたいだぜ?」
「恋焦がれてる…言い得て妙だな。うん、この彼女を自分だけにしたいという思いは確かに恋としか言い表せられない」
「ひゃっはっは! ゆがんだ恋もあったもんだ!」

大爆笑するジャックだったが、エスドがそれをとがめることはなかった。
ジャックのポジションがナンバー3相当だという部分もあったが、彼のこういう部分をエスドは気に入っていたのだ。
まあ、傍から見守る下っ端たちからすればヒヤヒヤすることこの上ない上司の発言ではあるのだが。

「まあ、最近は他に気になる娘も出てきたんだがね」
「なんだよ、まだモノにもしていないのに早速浮気か?」
「そういわれるとつらいな。だがまあ、これを見てくれ」

エスドの手がリモコンのスイッチを押すと、後ろにあったモニターが点灯し、画面に三人の少女が映し出された。

「あ? なんだよこいつらは?」
「…ジャック、君の能力は高く評価しているが、少しはニュースなどを見たまえ。君は一応ブラックサンの幹部だろうに」
「俺は女をなぶれればそれで満足なんでね。わかってるだろ?」
「そうだったな…こほん、この画面に映っている三人は今ミリオンを騒がせている怪盗チームで、名をトライアングルムーンという」
「あー、なんか聞いたことがあるなぁ。凄腕の怪盗で、そいつらの仕事のせいで潰された組織とかもあるんだっけ?」
「その通りだ。詳しい説明は…Drキャンス頼む」
「了解です」

いつの間にかエスドの隣に立っていたキャンスと呼ばれた男が眼鏡を指で傾けながら資料を読み始める。

「怪盗トライアングルムーン。その登場は半年前に遡りますが、デビューから破竹の勢いで活躍をしていますね。
 後ろ暗いことをやっていた政治家、富豪、警官、そして我々のような犯罪組織はそれなりの数が潰されています」
「潰された、といっても文字通りってわけじゃないんだろ?」
「当然です。彼女らは彼らにとって弱点となりうるものを盗み、それを警察やマスコミにリークすることによって彼らを壊滅に追い込んでいるのです」
「怪盗なんだか正義の味方なんだかよくわからん奴らだな」
「ですね。ですが我々のような者たちにとって脅威なのは確かです。現にうちと繋がりのある政治家の数人やられてますし」

おかげで研究にまわせる資金が少し減りましたよ、とぼやくキャンス。
ブラックサンのナンバー2にして研究者である彼からすれば資金の減少が最も堪えるのだろう。
その表情にははっきりとした不満が浮かび上がっていた。

「…だが、いつまでもこのような小娘たちの好きにはさせてはおけない」
「ま、確かに。こんな女三匹にいいようにされるってのも情けなさ過ぎるしな。ん? てことは…」
「そうだ。我がブラックサンはこの三人を、怪盗トライアングルムーンを捕まえる!」

首領のハッキリとしたその宣言に、室内に歓声が湧いた。

「ひゅー、久々のデカイ仕事だな!」
「ああ、これに成功すれば我々は裏の世界で一目おかれることになるだろう。それだけの獲物だ」
「ひひっ、楽しみだぜ。俺はこの女が気に入ったなぁ。コイツの服を切り刻んでヒィヒィいわせたい!」

ベロリ、と刃物に舌を這わせるジャックの視線は剣を振るう少女ブレイドに向いている。
同じ刃物使いとして興味があるのか、その目は爛々と輝いている。

「自分としては、このラビットと呼ばれている少女が興味深いですね。あの身体能力にバネ。是非とも彼女の身体を調査したい」
「女体データコレクションだっけか? お前も好きもんだねぇ」
「失礼な。自分のそれは単なる性欲だけではなく生物的な好奇心も兼ね備えているのです、貴方の趣味と一緒にしないでもらいたい」
「バッカ! 服を切り裂いて見えてくる肌、それに羞恥や怯えに震える女を見るのは最高の快感だぜ!?」
「君たちの変態趣味はどうでもいいから少し黙りたまえ、話が進まない」

エスドの仲裁にしぶしぶといった風体で二人は矛を収める。
だが、その不満気な視線はつい先程まで口論を繰り広げていた相手ではなく、主人へと向いていた。
なんせ主人にだけは変態とは言われたくない理由がある。

「くくく、待っていたまえウィッチィ。その肌という肌を舐め尽してやる…」

舌を蛇のようにチロチロと動かすエスドに周囲はドン引きだった。
変態レベルは大差のないジャックやキャンスですら一歩引いている。

「ボ、ボスの狙いはこの金髪女なのか?」
「その通りだ。実物を目にしたことはないが、彼女はいい。極上だ…」
「凄い気の入れ込みようですね…」
「ああ、こんなに気持ちが浮き立ったのは新堂ルナに出会って以来だ。あの服と仮面の下はどうなっているのか今から楽しみでたまらない」
「そ、それでボス。具体的な作戦とかはあるのかよ? 真正面からやり合えば勝つ自信はあるが、そうはいかないだろ?」

ニタァと笑みを浮かべながら右手を舐めるエスドに勇敢にも声をかけるのはジャックだった。
キャンスはそんな同僚に尊敬の視線を向けながら主人の代わりに続きを口にした。

「既に準備は仕込んでありますよ。あとは彼女たちがそれに引っかかれば成功は間違いありません」
「後は待つだけってわけか。腕がなるぜぇ!」

手に持った円月刀を振り回しながらジャックはヒャヒャヒャ! と哄笑をあげた。
そんな同僚をキャンスは飽きれながら見つめ、そしてエスドは再び画面へと視線を向けていた。

「怪盗トライアングルムーン。お前たちの命運が尽きるまで、あと僅かだ…!」

蛇のような鋭い眼差しが画面に映る三人の少女へと突き刺さる。
正義の美少女怪盗たちに、かつてない危機が迫ろうとしていた。






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