怪盗アクアメロディ外伝『アクアル(前編)』
シチュエーション


「ねえ、美音。聞いた聞いた? また予告状が出たんですって!」
「え…出たって、何?」
「もう、テレビとか新聞とか見てないの? アクアメロディよ、怪盗の!」

穏やかな気候が続く春のある日。
美音は友人の興奮したような声に苦笑しながらゆっくりと振り向く。
見れば彼女は手に怪盗アクアメロディの記事が一面を飾る新聞を持っていた。
勿論当のアクアメロディ本人である美音は新聞に書かれているよりも詳細な情報を持っている。
しかし、それをおくびにも出さず美音は友人へ返答を返した。

「ああ、あの泥棒さん?」
「泥棒じゃなくて怪盗! けど凄いよね、噂じゃあ若い女の子だって言うのにこれでもう十件目だし!」
「どんな人なのかな? 若い女の子ってことは私たちと同じ高校生なのかも?」
「ありうる! あ、ひょっとして美音がそうなんじゃないの?」

ギクッ。
一瞬跳ねた心臓の鼓動を表に出さず、美音は「まさかぁ」と手を振る。
友人はまさか自分のからかい発言が真実を射ているなどとは夢にも思ってはいないだろう。
一介の女子高生が夜な夜な多数の警備を掻い潜り宝石を盗んでいるなど小説や漫画の世界の話だ。
だが、実際に怪盗アクアメロディとして活動している美音からすれば心臓に悪い発言でしかない。
図星を指され、僅かに顔をしかめた美音を見て、複数の男子の抗議が湧き起こる。

「おいお前、水無月さんになって失礼なことをいうんだ!」
「コソ泥と水無月さんを一緒にするなよ!」
「そうだそうだ!」
「何よ、アンタ達この前アクアメロディの話題で盛り上がってたじゃない! ファンのくせに、こういう時は違うのね?」

美音に好意を持つ男たちが一斉に友人を攻撃するが、その切り替えしに彼らは沈黙を余儀なくされる。
年頃の男子からすれば、自分たちとそう歳が変わらない女の子が活躍しているなど格好の注目の的だ。
当然、中には情報を集めるものが現れ、憧れを抱いたりするものもいる。
ファンクラブというほど大げさな動きこそないが、既にそれに近い人気があることは周知の事実。
だが、祭り上げられる立場の当の本人としてはその人気は戸惑いの元でしかない。
どんなに言い訳をしようともやっていることは犯罪にすぎないのだから。

「けどアクアメロディの目的ってなんなんだろうね?」
「エレメントジュエルを集めてるって話だけど…」
「億を超える価値のある宝石だもんねー。女の子としては気持ちはわかるわ!」

ぐっとこぶしを握り締めて目の中を宝石マークにする友人に苦笑しつつ美音は内心でため息を吐く。
友人は軽く言うが、かの宝石の本当の価値は金銭的なものではない。
エレメントジュエルには人知を超えた魔力が備わっている。
それを理解し、力を引き出した者は国の覇権すら奪うことが可能なのだ。
エレメントジュエルを悪人の手に渡すわけにはいかない。
だからこそ、美音は怪盗アクアメロディというもう一人の自分を作り上げたのだから。

「あれがターゲットの屋敷…でもあれは屋敷っていうよりはまるで宮殿ね」

呆れたような声が深夜のビルディングの屋上で呟かれる。
仮面とコスチューム、そして幾つかの道具を装備して怪盗アクアメロディに変身した美音は双眼鏡を覗いていた。
眼下には中世の王宮もかくやという豪美な屋敷がそびえ立っている。
水のエレメントジュエル『アクアル』を持っていると思われる富豪の住居だ。
屋敷の周囲には複数のパトカーと警官たちが陣取り、鼠の入る隙間すら与えないとばかりに気を張っている。
十件目ともなると流石に警察も本腰を入れてきたのか、厳重な警備だった。

「ふう、わかってはいたけど楽には行きそうにない、か…さて、どうやって……キャッ!?」

ひゅうっ。
思案にふけようとしていた少女のスカートを突如背後から吹いてきた風がめくりあげる。
軽い材質でできている布地はあっという間に中身を全開にしてしまう。
ピンクの水玉模様が月明かりの下に現れてしまい、美音は慌てて裾を押さえた。

「もうっ、えっちな風! あ、そうだ…」

悪戯な風に憤慨しながらも怪盗少女は一つの案を思いつく。
ちょうどいいことに風の吹く方角は少女のいるビルから屋敷のほうへと向いている。
これ幸いとばかりに美音は背中のリュックから一つの袋を取り出した。



「そろそろ予告された時間だ。皆、気張れよ!」

おう! という威勢の良い返事に顔を緩めつつ、小銭警部は油断なく周囲を見回す。
新設されたばかりの怪盗捕縛チームの初陣だ、失敗するわけにはいかない。
やや過剰ともいえるほど気を入れて警備をする小銭。
しかし彼は一抹の不安を抱えていた。
警備が許されたのは屋敷の外部だけ、内部はお断りと屋敷の主からのお達しがあったのだから無理もない。
こういわれれば屋敷の主は何か後ろめたいことを隠しているのではないかと勘繰ってしまうが
植物たちの傍に無粋な人たちを置くわけにはいかないと強く拒絶されてはグウの根も出ない。
何せ相手は人一倍植物に愛を注ぐ人物だ、下手に怒らせては自分の首すら危うい。

(…まあいい、要は屋敷の内部に入れなければいいだけだ)
「警部! あれを見てください!」

目がいいことがとりえらしい新人巡査の報告に小銭は気を取り直し、言われた方向へと視線を向ける。
そこには、パラシュートでこちらに降下してくる人影があった。
アクアメロディか!?
一堂に緊張が走る。
だが彼らは次の瞬間、驚愕に目を見開いた。

「な、なんだあの数は…?」

降下してくる人影は一つではなかった。
三十、いや五十はいるであろうパラシュートが次々とこちらへと向かってくる。
目を疑い、かぶりをふる小銭だったが周囲の様子を見た限り見間違いではないらしい。
だが、動揺はそこまでだった。
状況から考えてあの中に怪盗がいるのは間違いない。
数が数だけに識別は困難だが、ならば全てを捕らえればいいだけのこと。
そう決断した小銭はどよめく部下たちを一喝すると素早く指示を出す。

「よし、総員は各自落下してくるパラシュートへと向かえ! 発砲はするな、生け捕りにするんだ!」
『了解しました!』

そういいながら自身も怪盗を捕縛するべく駆け出す小銭。
既にパラシュートの大群は目前に迫っていた。
着地させてしまえば逃げられる可能性が高い。
そう判断した小銭らは地面にパラシュートが着地する前に人影へと飛びつき、動きを封じていく。

「よし……って、こ、これはなんだ!?」

腕の中の人影は簡素な作りの風船人形だった。
茶目っ気たっぷりに顔の部分に『ハズレ』と書かれているそれは明らかな偽者。
だが、小銭からすればそれは織り込み済みの事態だ。
本物がいるのは間違いない、ならば次へ行くだけ。
しかし小銭を始めとした警官たちのその望みはかなうことはなかった。
彼らが手を放した瞬間、風船人形たちは次々に割れ出したのだ。

「ぶはっ! な、なんだ!? 粉が…あはっ、はははっ!」
「いかん、それを吸うな! 笑い粉だ……ぐわははっ!」

小銭が慌てて注意を促すも、現場は大混乱に陥ってしまう。
風船の中から出てきた粉末がエントランス前の広場を覆い、あっという間に警官たちは行動不能へと追い込まれていく。
そんな中、一つの影が警官たちの裏を通るようにして駆け抜けていった。
いうまでもなく、それは怪盗アクアメロディだ。
彼女の狙いは数による撹乱ではなく、笑い粉による無力化だったのである。

(ごめんね、皆さん)

笑い転げる警官たちに心の中で謝罪しつつ怪盗少女は一気にエントランスを駆け抜ける。
こうして、怪盗捕縛チームの初陣は惨敗という形で幕を閉じることになるのであった。

「んしょ、んしょ…」

数分後、アクアメロディの姿は排気口の中にあった。
内部の警備の数はそれほどでもなく、一直線に目的地へ向かっても良かったのだが罠や伏兵がないとも限らない。
安全策をとることに越したことはない、と少女は誰もいない排気口の中をよじよじと進んでいく。

「この人がアクアルを持っていればいいんだけど…」

狭い通路をゆっくりと進みつつ、美音は小型モニターに移った男の顔を見る。
木野剛三、この屋敷の主人にしてシティ有数の富豪の一人だ。
植物学の権威でもある彼は植物の品種改良にかけては天才とも言われ、今まで数々の功績を残している。
だが本人の能力と人格は別物なのか、彼の評判はすこぶる悪い。
まず、公式の場に全く現れないというのがその理由の一点だ。
面倒くさいというその一言でメディアに出てこない彼はマスコミからすれば問題児以外の何者でもない。
映像を通さない会話の記録ならば幾つか残ってはいるものの、それにしたところで大したことを喋っている訳ではない。
更に、彼は自分のやりたいことしかしない。
いくら高額の依頼があったとしても、気に召さなければ嫌だの一言で全てを断ってる。
故に、一般大衆からすれば木野剛三という男は自宅で植物をいじっているだけの引きこもりでしかないのである。

「うーん、話に聞くほど悪い人には見えないんだけどなぁ」

画面に映る木野剛三の顔は温和そうな表情に満ち溢れ、恰幅のいいおじさんにしか見えない。
数年前に偶然撮られたという写真だが、少なくとも見た目からは世間で言われるほどの変人だとは思えなかった。
だが、ならば何故そんな人物がアクアルを所有しているのかという話になってしまう。
勿論彼が所持する宝石が本物とは限らない。
実際、美音とて今まで当たった九件のうちで本物に出会ったのは二回だ。
金銭的な価値だけでも桁外れのエレメントジュエルには偽物が多く、その真贋を見分けるのは難しい。
美音には見分けることが可能だが、それにしたところでジュエルに接近しなければならない。
当然、数億の価値のある宝石に一介の女子学生がそう簡単に近づけるはずもなく
盗みに入るぶっつけ本番でしか鑑定は不可能なのだ。
しかしジュエルが本物であれ偽物であれ、木野剛三がそれらしき宝石を持っているという情報を掴んだ以上は見過ごせない。
彼が悪人なのか善人なのかは不明だが、もしもアクアルが本物であればいつ問題がおきるかわからないのだから。

「アクアルは本人が身に着けてるって話だし、まずは彼の部屋に行くことが先決ね」

木野剛三本人が情報の露出を嫌う人物のせいか、住まいである彼の屋敷も情報はあまり出回っていない。
植物が多く置かれている、本人の部屋は最奥にある、使用人は少ない。
精々がこの程度の情報で、これでは行き当たりばったりにならざるを得ない。
だからこそ美音は万全の準備で今回の盗みに臨んでいた。
だが、用意されていた道具の大半は今手元にはない。
何故なら、道具の入ったリュックは排気口の外に置いて来てしまったからだった。

「やっぱり、他のルートのほうがよかったかも…はぁっ…」

僅かな息苦しさを覚えながら額の汗をぬぐう。
植物を置いているだけに湿度や温度に気をつけているのか、排気口には熱気が充満していた。
まるでサウナの中にいるかのような暑さにだくだくと汗が吹き出ていく。
怪盗コスチュームは通気性に優れ、薄手の軽装になっているのだがそれでも襲い来る熱気を防ぐには不十分のようだ。
顔や首筋、二の腕や太腿と肌が露出している部分には珠のような汗粒が次々と浮き出ては滑り落ちていく。

「熱いし、それに狭い…もうっ」

自分で選んだルートである以上、建物の構造を美音がどうこういえる筋合いはない。
しかし熱い、狭い、暗いと三拍子揃っては愚痴の一つも言いたくなるというものだ。
排気口といえば怪盗の侵入ルートとしては一般的だと思われがちだが、実際は違う。
そもそも排気口は人が通ることを前提にしていないため狭い。
通れるのが小柄な人間に限定されてしまうのだ。
しかも出入り口が限られているため侵入がバレれば逃げ場がなくなってしまう。
故に、盗みに入る人間は隠れる時でもなければ排気口を使うことはない。
とはいえ、通路として有効なのは事実であり、美音もそれは認識していた。
だからこそこうしてうつぶせになりながら匍匐前進気味に狭い道を這い進んでいる。
まあ、その代償として排気口に入りきらなかったリュックは置いていく羽目になってしまったのだが。

「ちょっと、胸が苦しいかも…んっ、えいっ!」

細く狭まった部分を通ろうとするが、豊かに育った二つのふくらみが中々そこを通過してくれない。
ぎゅむぎゅむとたっぷり中身の詰まった果実が窮屈そうに底をすって押し出されていく。
すぽんっ。
ようやく抜け出たおっぱいが服の中で通過の喜びに弾み、美音も胸の圧迫感から解放される。

「ふう…さて、もう一頑張りっ、んっ」

難所を突破した美音は屋敷奥を目指して再び前進を開始した。
床に押し付けられるようにして密着した双乳が前進のたびにぐにゅんぐにゅんとたわわに変形する。
ずっと床をすってきたせいか、コスチュームの中のブラジャーがずれ始めた。
カップから中身がこぼれ、二つの蕾が服の表面に浮かび上がる。
当然そのことに気がついた美音だが、それを直すほどの隙間の余裕はない。
仕方なく、ずれたブラと床の摩擦に胸がこすれる痛みに時々顔をしかめながら進む怪盗少女。

「ふぅっ…ふぅっ…」

身体を縮めるような体勢のため、両腕に挟まれて寄せあげられるように重なった乳房の谷間にどんどん汗が滑り落ちていく。
谷間の蒸れが体感温度を上げ、少女の体力を奪う。
美音は少しでも換気を良くしようと首元の襟をパタパタと開いて空気を迎え入れるがあまり効果は上がらない。
このままでは暑さでへばってしまいそうだ。

上半身に集まった熱を逃がすかのように怪盗少女のヒップが揺れ動く。
手と足が動くたびに桃のようなおしりがふりふりと左右に艶かしく動き、丈の短いスカートをひらひらと揺れる。
後ろから見れば、美音は膝を立てておしりを突き出すような格好になっている。
そのため、動きが起こるたびに揺れるスカートの裾からは汗を吸収して
べったりとおしりと股間に張り付いた下着がチラチラと覗く。
見えない部分では水分を含んで縮まった水玉模様のショーツが足の付け根に食い込み、うっすらと股間とおしりの割れ目を見せている。
そこから伸びるしなやかな美脚も既にぐっしょりと汗に濡れ、つやつやとした輝きを放つ。
仮にこの怪盗少女の移動の様子を前後のアングルから至近距離でカメラに捉えることができたならば
それだけで一本のAVが作れそうな、そんな生唾モノの光景だった。

「んっ、出口が見えてきた。もうちょっと…」

客観的に見て自分がそんな恥ずかしい格好をしているとは夢にも思っていない美音は見えてきた光にほっと息を漏らす。
ようやくこの熱気地獄から開放される。
そう思えば気力がみなぎり、活力も湧いてくる。

「よし、後はここを開けて…」

排気口の出口を道具でこじ開け、外す。
涼やかな風が顔を打ち、暑さに火照った美音の身体を冷やしていく。

「涼しい……さて、早く降りないと」

見たところ人はいないようだが、今誰かに見つかれば逃げることは難しい。
美音は身体を排気口から引っ張り出すと、空中で一回転し、軽やかに地面へと着地した。

(ここはどこなんだろう?)

地図がない以上、手探りで進んでいくしかない美音はブラの位置を直しながら慎重に周囲を見回す。
恐らくは温度調整室なのだろう、多数のパイプと機械が目に映る。
だが、怪盗少女の目的はこの場所ではない。
目的地はあくまで木野剛三のいる場所だ。
と、美音の目に一枚の紙が映った。

「これは…ひょっとして、屋敷の地図?」

壁に貼り付けられていた紙はどうやら屋敷の見取り図のようだった。
ご丁寧にも現在位置が記されている。
この見取り図が正しければ、木野剛三の部屋までは相対した距離は残っていない。

「けれど、あの広い空間はなんなんだろう…」

見取り図を頭に叩き込んだ美音は扉に手をかけながらこの先にある部屋に思いを馳せる。
名前のない、広めに取られた空間。
一体何が待っているのか、怪盗少女は喉を鳴らしながら扉を開いた。

『木野様、申し訳ございません! 屋敷に怪盗が!』
「そう必死に謝ることはない。顔を上げたまえ」

モニターに映った警備責任者を穏やかな表情で眺めつつ、屋敷の主人――木野剛三はギシリと椅子を鳴らす。

『し、しかしおめおめと侵入を許すなど…』
「許したのは警察だろう? 君が気にすることはない。それより、件の怪盗はどこに?」
『はい、それがエントランスを潜ったのは確かに確認したのですが…』
「見失った、と」
『申し訳ありません!』
「いい、いい。謝る必要はないといったはずだ。それに元々この屋敷の警備の数を少なくしているのはワシだしな」

ホッホッホッ、と好々爺のごとく笑いを上げる主人に警備責任者の男は安堵の息を吐く。
確かに、剛三の言う通り屋敷内部の警備はその広さに反して数が少ない。
通常は数十人単位でいるはずの警備は実のところ十人もいないのだ。
警備責任者としては当然増員を望みたい。
だが、事はそう簡単にはいかない。
剛三は無粋な連中が屋敷をうろつく事を良しとしない人物だ。
更に、人員――とりわけ、外部の人間を多く配置できない理由がこの屋敷にはある。

『これから我々はどう動けば?』
「今『庭園』には誰もいないはずだな?」
『はい、あそこは必要なとき以外誰も立ち入らないようにしておりますので』
「確認したが、『庭園』に侵入者が入ったようだ。状況から考えて、アクアメロディとやらだろう」
『なっ、いつの間にそんなところまで!? わかりました、すぐに人員を向かわせ――』
「いや、いい、必要ない。あそこには奴がいる。心配する必要はないだろう」
『…確かに。アクアメロディは見目麗しい女性との話ですし、奴ならば問題ありませんね』

怪盗がいつの間にか屋敷の奥にまで侵入していたことに焦っていた警備の男がニヤリと笑う。
それに応えるようにして剛三もうっすらと笑みを浮かべた。

「少し時間がかかるだろう。後で何人かを向かわせなさい」
『はっ!』
「ああ、それと…仕込が終わっているようだったら連れてきたまえ、味見がしたい」
『了解しました』

プツン、とモニターが消える。
薄暗い部屋の中、剛三は別のモニターへと目を移した。
そこには数分前のエントランス、アクアメロディがそこを潜るときの映像が映っている。

「さてさて、これでまたコレクションが一つ増えそうだ。楽しみだよ…怪盗のお嬢さん」

穏やかに微笑んでいた表情が僅かに歪み、確かな悪意を覗かせる。
その胸元には、光り輝く青の宝石の姿があった。






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