シチュエーション
「がああっ!」 「うわああっ!」 1つ、1つ。何かが破裂するような音と共にSP達が倒れて行く。 それを見て、小原 瞬は愕然とした表情を浮かべた。 「……馬鹿な……!」 それは、何の変哲も無い……、と言ってはおかしいが、小原にとってはただ要人警護を見かけただけだった。 たまたま非番の日に美術館を見に行って、そこにたまたま何処かの国の王女が来ていた、ただそれだけ。 別に任務な訳でも何でもないのだが、小原は何となくその王女を気にしていた。 すると、急にあたり一面に響くような爆発音が響き渡った。 「「「「「「「!!?」」」」」」」 王女のみは立ち尽くしたが、小原、そして5人のSPは反応する。 咄嗟に王女を庇う位置に立つSP達と、王女の元に駆け寄る小原。 そんな小原に気付いたSP達は小原に飛びかかろうとするが、それよりも早く小原は警察手帳を取り出した。 「本庁所属、小原 瞬警部補だ!」 その声、そして突き出された警察手帳に、SP達は慌てて身体を引っ込める。 と、それを見ながら、小原が続けた。 「誰か、今の爆発音の原因を調べて来てくれないか?」 「は、はい! 自分が!」 そう言って、SPの中で1番の若手と思われる男が走って行く。 それを見送ると、小原ははっとしたように頭を掻いた。 「申し訳ありません。勝手な指示を出してしまって……」 「いえ、咄嗟に動けなかった自分達の方も……」 そう、SP達の隊長と思われる年かさの男と小原が話していると、 「うわあああっ!」 ……突然、銃声と、走って行ったSPの物と思われる悲鳴がした。 「な……!?」 驚きに一瞬硬直する小原。 すると、SP達が拳銃を取り出し、隊長が小原に向かって口を開いた。 「小原警部補。銃は……」 「今日は非番ですから、携帯していませんよ……」 そう言った小原に、隊長は顔を顰めて……、 その瞬間、美術館の中に数人の男女が駆け入って来た。 「動くなっ!」 小原を王女の近くに押しやると、そう叫んでSP達は手にしていた拳銃を向ける。 その男女が、全員突撃銃のようなものを手にしていたから。 しかし、その男女は銃を向けられている事を気にせず自らも銃を構え、 「がはあっ!?」 「がああっ!」 「うわああっ!」 ……何の躊躇いも無く銃を乱射し、SP達をなぎ倒した。 「……馬鹿な……!」 小原が愕然としている間に、その男女は小原と王女に銃を向け、 「くっ!」 「……きゃ!?」 それに気付いた小原は、完全に展開について行けていない王女を抱き締めると後ろを向き、 「ぐ……っ!」 ……その次の瞬間、2、3発の衝撃が、小原の背中に走って。 小原は、王女を抱き締めたままでその場に倒れた。 「あ……え?」 「動か……ないで……!」 慌てたように手足をばたつかせる王女に、小原が声をかける。 すると、誰かが近付いて来る気配がして。 「こらーっ! 王女は撃つなって言ったでしょうが! この人が庇わなかったら王女死んでたわよ!」 そう怒鳴って王女と小原を覗き込んだのは、襲って来た集団の中でただ1人の女。 すると、その女は、2人に向かってこう言った。 「覚えておきなさい、私は、『レインボーキャット』よ!」 「―――っ!?」 そう言われて、小原は思わずその女を振り向こうとする。 しかし、身体にはそんな力は全く残っていなくて。 「王女、今、宣言しておくわ。この国に展示してあるあなたの国の宝物……全ていただくから」 その言葉を聞きながら、小原の意識は闇の中に沈んだ……。 SS一覧に戻る メインページに戻る |