怪盗アクアメロディED@「宝石破瓜」
シチュエーション


「うぅ……ん…ッ?」

ぼんやりと薄暗くぼやける視界の中、美音は目覚めた。
ひんやりとした空気が頬を撫で、寒気が背筋を走る。
一体ここはどこだろうか。
未だ朦朧とした意識の中、少女は頼りなく視線を巡らせた。

(壁……それに、あっちに見えるのは鉄格子? えっ、鉄格子!?)

パチリ。
思いもよらぬものを見つけてしまったことで一気に意識が覚醒する。
慌てて顔を振って左右を見やるも、少し離れた場所に壁があるだけで他には何もない。
向かいにある鉄格子の傍で数本の蝋燭がかろうじて明かりを灯してはいるが、薄気味悪い暗さを助長するのみだ。
窓はなく、外の様子はわからないため今が何時かすらもわからない。

「あッ……な、何これっ!?」

周囲を探ろうと手を動かそうとした美音だが、ガチャガチャと音が鳴るばかりで両腕は主の命令に従ってはくれなかった。
目を凝らしてみれば、両腕は万歳をするように伸ばされた状態で手首の部分を錠で繋がれているではないか。
いや、手だけではない。
両脚も同じように大股開きで固定されていた。
しかも衣類は全く身に着けておらず、生まれたままの姿でだ。
そう、怪盗少女は今、全裸のままX字型の磔台に四十五度ほど倒された状態で縛められていたのである。

「そ、そんな……どうして、だ、誰か―――」

救助を求めて叫びかけた声が寸でのところで止まる。
助けを求めるのは良い。
だが、誰かがこの場に来るということは今の自分のあられもない格好が見られてしまうということだ。
それは恥ずかしいし、絶対嫌だ。

(と、とにかく状況を整理しないと……)

身体の自由が全くきかない状況では頭を働かせるより他はない。
そもそも何故自分はこのような状況に陥ってしまったのか。
必死に頭をめぐらせる少女の脳裏に、意識を失う前のことが思い出されていく。

「そうだ……私、捕まって……」

最後のエレメントジュエル『ダーク』を求めて塔亜夜暗と対峙し、アクアメロディは敗北した。
そして衆人環視の中、見世物のような扱いで街中を連行されて―――

「―――ッ!? ま、まさか!?」

絶望の声音が少女の口から零れ出る。
記憶に残る最後の光景。
それは衣装をはだけられ、お漏らしを披露した挙句、仮面を剥がされるという一連の恥辱だった。
この記憶が確かならば、ここは警察署の監獄の中ということになる。

(でも、それにしては雰囲気がおかしい……)

逮捕されてしまったという絶望の中にある、一縷の望み。
それは現状の異常さだった。
ここが警察署内だというのならば、あまりに自分の扱いが酷すぎる。
拘束されているのはまだしも、丸裸の上こんな標本のような格好で放置というのは警察のやり口ではない。
だが、ならば一体ここはどこで何者が自分をここへ連れてきたのか。
この扱いからして間違いなく相手は善人ではないだろう。

コツ……コツ……

(だ、誰かくる……!?)

状況に混乱する美音の耳に何者かの接近を示す足音が聞こえてくる。
音の数からして人数は一人だろうか。
やがて、牢の前まできた足音は鉄格子の中の扉に手をかけ、ゆっくりと開いていく。

「だ、誰……ッ」

恐怖を押し隠そうとあげられた声には、僅かな怯えが宿っていた。
いかな怪盗少女といえども、このような薄暗い密室の中で身動きが取れない状態とあっては普段の強気を出すことはできない。
ましてや今は一糸纏わぬ裸体なのだ。
足音の主が男であれ女であれ、この状態の自分を見られると思うと、恥辱の震えを押しとどめることなどできなかった。

「くくく……」

入室してきた人影は、恥らう乙女にかまわず磔台の正面に立った。
蝋燭の火が、人影の顔をユラリと映し出す。

「と、塔亜夜暗……!」
「お目覚めかね、アクアメロディ」

少女の目に映ったのは、自分を陥れた張本人である男の慇懃無礼な微笑だった。

「こ、ここはどこ!? 私に何をする気!?」
「ほう、まだそんな口が聞けるのか……」

感心したように呟く男に美音は不安を隠せなかった。
身動き一つ取れない状態の自分の前に敵対する人間がいる。
その事実は確実に少女に緊張を強い、心臓の鼓動を早めさせていた。

「しかし天下の怪盗ともあろうものがいいザマだな。まあ、先程のことを考えれば今更ではあるが」
「み、見ないで!」

余すところなく胸や股間といった恥ずかしい部分を見せ付ける形になっている美音は、せめてもの抵抗とばかりに身をよじる。
しかし四肢はガッチリと錠で拘束されているためにそれはガチャガチャと金属音が鳴り響く程度の結果しか生まない。
むしろ、身をよじったことで豊かに実った乳房がふるんっと魅惑的に揺れて男の目を楽しませる始末だった。

「さて、疑問に答えようか。まずここだが、警察署内ではない。俺が所有する別荘の地下室だ」
「べ、別荘……?」
「何故そんなところに、と不思議そうな顔だな? なに、ダークの力を使えば人知れず移送することなど簡単なことだ」

お前は気絶していたからわからなかっただろうがな。
そう言いながら笑う男に不安と敵意のまじった視線を送る美音。
だが、夜暗はそれを意に介することなく説明を続ける。

「まあ、今頃警察は大騒ぎだろうが……俺が今からする尋問は警察の中ではできないのでな」
「く……」
「だが誤算だったよ。まさかあんな目にあってもまだ心が折れていないとはな」
「当たり前よ! あなたの思惑通りになんていくものですか……!」

嘘だった。
本当は今にも泣き出しそうなくらいに美音の心は揺れていた。
いくらアクアメロディという仮面で覆われていても、その中身は水無月美音という一人の少女に過ぎない。
衆人環視の中であのような恥態を晒され、今なおこのように裸で拘束されて平常心でいられるはずがないのだ。
しかし、それでも美音は懸命に闇に染まりそうな心を押しとどめる。

「絶対、エレメントジュエルの在処は教えない!」
「威勢のいいことだ。つい先程まで泣き叫んでいた小娘と同一人物とは思えんな」
「……っ」

カッ、と美音の頬が朱色に染まった。
男の言葉によって思い出すまいとしていた気絶前の恥辱を脳裏に思い浮かべてしまったのだ。

「まあいい。どちらにせよ最早お前には帰る場所などないのだからな、ゆっくりとやらせてもらおうか」
「そ、それはどういう……」
「くく、もう忘れたのか? お前の素顔はシティ中に公開されてしまったんだぞ?」
「あ……!」

赤に染まっていた少女の表情が真っ青になっていく。
そうだ、アクアメロディの素顔は見られてしまった。
自分を知る人にも、そうでない人にも、怪盗アクアメロディが水無月美音であることを知られてしまったのだ。
男の言うとおり、家に帰ることはおろか、もう二度と表を歩くこともできない。
犯罪者であり、衆人環視の中で恥態を晒した痴女。
水無月美音に貼られたそのレッテルはもはや覆すことはできないのだから。

「あ……あ……そんな……!」
「理解したか? 今のお前はただの小娘以下の存在であるということを」

頭の先から爪先まで舐め回すような男の視線。
それは心の拠り所を破壊された美音の羞恥心を焼いていく。

「い……いやぁっ!!」

この瞬間、少女の中のアクアメロディは消え去ってしまう。
残ったのはただただ現状に怯えるばかりのか弱い少女に過ぎない。
だが、エレメントジュエルを求める男に容赦はなかった。
拘束された女体の中で唯一自由を謳歌する美音のバストを右手で掴み、夜暗はぐっと力を込めていく。

「ひっ! うあっ……あくっ!」

柔らかな乳肉は握力によってその身を沈ませていく。
指と指の間からはあまった肉がむにゅりとはみ出てその質量を誇示しているかのようだ。
手のひらで押し潰されている乳首はくにゃっとひしゃげ、突然の暴虐に震え怯えてしまっていた。

「い、痛い……くうっ」

パッと男が手を放す。
すると弾力を見せ付けるようにひしゃげていた乳房は元の美しい曲線を描く膨らみへと形を戻した。
更に、先端のさくらんぼ乳首が勢い余ってぴょこんっと肉の大地の中から飛び出す。

「喋る気になったか?」

軽い痛みにジンジンと疼く胸を美音は眉をしかめながら見下ろした。
だが男の声にハッと我に返り、首を横に振る。

「強情だな。だがそれも時間の問題だろう」
「やぁっ! そんなところ……」

夜暗の次なるターゲットは無防備に外気に晒されている乙女の秘めやかな場所だった。
開脚状態で固定されているためか、頑なに閉じられているはずのそこは僅かに口を開きかけている。
恥ずかしそうに顔を出している膣内からはサーモンピンクのヒダが見え隠れし、まるで男を手招きしているようだ。

「濡れてはいないか」
「わ、私はこんな状態で感じるような変態じゃないわ……」
「数分後も同じ台詞を言えればいいがな。くく、しかしかすかに小便の臭いがするな」
「なっ! や、やめてぇっ! そんなトコのにおいなんて……ッ」

クンクン、と鼻を鳴らす男に少女の嫌悪感が爆発した。
身体の中でももっとも見られたくない場所を至近距離で見られている上に、恥辱の名残である小水の臭いまで嗅がれる。
そのあまりに屈辱的な行為に、懸命に腰を引こうとする美音。
勿論、四肢を拘束されている以上ほんの僅かにお尻の位置が上がるだけで、依然として乙女の秘処は男の眼前にあった。

「触られてもいないのに大騒ぎだな。これでは今からどうなることやら」
「な、何を……する気、なの」
「拘束された裸の女、密室、目の前には男……言わなければわからないか?」
「ひうっ……」

つーっと太ももの内側を指でなぞられて、怪盗少女のおとがいが高く跳ね上がる。
それでも唇を噛み締めて美音は震えを押さえ込んだ。
こうなってしまっては強がって見せることだけがせめてもの抵抗だった。
処女である美音とて、男の言葉が何を意味しているのかくらいはわかる。
彼は自分の純潔を奪うつもりなのだ。
それをあえて直接的に言わないのは、こちらの恐怖心を煽るため。
だからこそ弱気は見せられない。

「くく、健気だな。首から下はこんなにも震えているぞ」
「……っ」

しかし恥辱に震える女体は主の意思を十全に反映してはいなかった。
四肢は絶え間なくガチャガチャと錠を鳴らして身体の震えを表してしまっている。
拘束されていない肩も、胸も、腰も、お尻も音こそ鳴らしてはいないが震えが見て取れるほどだ。

「痩せ我慢とはいえ、流石は怪盗アクアメロディと誉めておこうか」

男の手が顔に伸びてきて、美音は咄嗟に首を捻る。

だが、身動きが取れない状態では伸ばされた手をかわし続けることなどできない。
ひやっとした手のひらが目元の辺りに当たり、反射的に目を閉じる美音。

(……えっ)

しかしその感触にはどこか違和感があった。
直接触れられているはずなのに、まるで布を隔てて触られているような。
疑問を感じた美音は、直後その違和感の理由に気がついた。
衣装は全て脱がされていたと思っていたのに、仮面が顔につけられているのだ。

「ど、どうして……」
「今頃気がついたか。そう、仮面だけは身に着けさせ直してやった」

風で飛ばされた仮面を回収するのには骨を折ったがな。
そう呟く夜暗に美音は訝しさに表情を染める。
今更仮面だけ元に戻す理由がわからなかったからだ。

「何、俺も警察官の端くれだからな。尋問するならやはり犯罪者である怪盗アクアメロディをと思っただけだ」

悪趣味な。
陰湿な男の手口に憤りを感じた少女の身体に僅かながら活気が戻ってくる。
たかが仮面一枚ではあるが、身を覆うものがあるという事実は美音の心の負担を軽くした。
だが、その希望の灯火もすぐに次の男の行動で鎮火してしまう。
いよいよ本番とばかりに夜暗がズボンを脱ぎ始めたのだ。

「キャッ!」
「くくっ、可愛い悲鳴をあげるじゃないか。男の勃起を見たのは初めてか?」

男のズボンの中から現れたペニスを直視した美音は短い悲鳴を上げて慌てて横を向く。
しかし一度目に入った映像はそう簡単には脳内から消えてくれない。
と同時に切迫した危機感が襲ってくるのを少女は感じていた。
あれが今から自分の身体を汚す。
その確信に近い推測が処女の裸体を金縛りにかけていく。

「安心しろ。お前の処女を頂くのは残念だがコイツじゃあない。何せ我々警察が追い求めた怪盗の貫通式なんだからな」

趣向をこらすつもりだ。
そうか加虐的な笑みを見せながら喋る男に美音は不安を隠せない。
一体彼は何を考えているのか。
その答えは、夜暗の手の中にあった。

「怪盗アクアメロディの処女を頂くのは、これだよ」
「それは、ダーク!? 一体……どういうことっ」
「物分りが悪いな。つまりだ」

再び少女の股間にしゃがみこんだ男は人差し指と中指で乙女の恥丘を捕らえ、ゆっくりと左右に広げていく。
あえなくクパァッと開門してしまう美音の処女地。

「ひぁっ……」
「綺麗な中身をしているな」
「いやっ……や、やめ……何をっ!?」
「言っただろう。これでお前の処女を頂くと」

夜暗は空いたもう片方の手で摘んだダークを無理やり開かれてわななく陰唇の真ん中に差し込んでいく。
親指大の大きさの宝石は、まるで意思を持っているようにずぶずぶと少女の体内へと潜り込む。

「やっ、やめて! やめなさい! なんてことを……」
「なんだ、嬉しくないのか? あれだけ欲しがっていたダークをやろうっていうんだぞ?」
「やっ……出して、止めてぇっ!」
「くく、ほら……全部入った」

つぷりっ。
まるで自ら咥え込むように、少女のソコは最後のエレメントジュエルを飲み込んでしまう。
何とか異物を外に出そうと美音は腰を振り、股間を力ませる。
だが、夜暗は素早く手のひらを秘処全体に押し当てて宝石の排出を封じた。

「うくっ……」
「黙っていろ、すぐに良くなる」
「何を……ンあ!?」

ビクン!
体内の異物感に顔を顰めていた少女の身体が腰を中心にして激しく跳ねた。
硬さと冷たさしか感じなかったはずの宝石を中心に、言葉にできないほどの快感が女体の中で広がり始めたのだ。

「こ……はあ! れ、うぁ……ンはぁっ!?」
「これもダークの……いや、エレメントジュエルの能力の一つだ。元々エレメントジュエルは人間の欲望に反応して力を発揮するもの。
 ならばそれを女の性欲の源である場所に置いたらどうなるか? これがその答えだ」

得意そうに語る男を睨みつけようとするも、既に美音にはその余裕はなかった。
言葉では尽くせないほどの熱が股間を中心にして渦巻いている。
寒さすら感じていたはずの獄内なのに、汗が吹き出て止まらない。
何よりも、勝手に動く腰が止められないのだ。

つい先程まではまるで濡れていなかったはずの陰唇からは滝のような愛液が流れている。
男の手が覆いかぶさっているというのに、その恥ずかしい液体は溢れ出て床へとぼたぼたと零れていく。
むず痒さが肌を襲い、身体中を掻き毟りたい感覚にすら駆られる。

「はぁ! くぁ!」
「苦しそうだな。すぐに楽にしてやる」
「……な、なにっ? いや、あっ、うあああーーーッ!」

剛直を秘処に当てたかと思うと、夜暗はゆっくりと身を沈めていく。
遂に身体の中へと侵入してきた男の欲望に、美音は慄きながらも震えを止めることができなかった。
恐怖ではない、歓喜の震えをだ。
刺激を欲していた女体は、男の焦らすような挿入にすら敏感に反応し、その身を高まらせてしまう。

「ふっ……! ハァ! ひあ!」

軽く達してしまった怪盗少女は嫌悪に心を塗りつぶされながらも、初めて味わう男の存在をシッカリと身体で感じていた。
やがて、侵入を続ける男根は先に膣内に入っていたダークと合流し、共に奥へと進んでいく。
ミチッ……
かすかな抵抗感が侵攻を続ける異物の行方を阻む。
それは美音の処女の証にして最後の守りだった。

「これが最後だ。ジュエルの在処を喋るならここでやめてもいいんだが?」
「……ンッ」

快楽と恐怖に半ば朦朧としながらも、残った意識の中で美音は首を横に振った。
それはもはや反射とも言える抵抗。
しかし理性とは裏腹に、少女の発情した身体はその返答の結果を望んでいたと言えた。
もっと深い快楽を。
無意識のうちに腰が前に動くのを自覚することなく、次の瞬間。

「あ―――!」

何かが切れるような、引き裂かれるような感覚は刹那のことだった。
チクリと刺すような痛みこそ瞬間的に感じはした。
しかしダークによって矯正発情させられた肢体は破瓜のショックすらなかったかのように更なる発熱へと導かれていく。
それはもはや快楽の嵐であった。

「ふぅあ……ン! く、はぁっ……う!」
「どうだ、追い求めた宝石によって処女を失った感想は?」
「こ、こん……なぁっ! ああ! ああっ!」
「くく、もうロクに喋れもしないか」

ガクガクと快感に身体を震わせる拘束少女に、夜暗は更なる刺激を与えるべく腰を動かす。
ずりゅっ、ずりゅっ。
ゆっくりと、しかし深く強く男根の抜き差しが始まった。
出ては入ってくる熱い肉棒と、ひたすら体内に留まりながら性感を増幅させていく冷たい宝石。
その二重の刺激がつい先程まで処女だった美音の身体を容赦なく責め立てる。

「あっ、ひっ、ああっ!」

ビクッビクッと少女のおとがいが仰け反っては痙攣する。
抜き差しが行われるたびにたぷんっと上下に跳ね回るバストは自分も責めて欲しいとばかりに中心の実を硬く膨らませていた。
抵抗の証とばかりに握り締められていたはずの手足の指は、今ではすっかり開ききって力なく動かない。
責められている股間からはとめどなく愛液が零れ、艶かしい太ももと床、そして男のペニスを汚していく。
既に美音の身体は絶頂を極めていないのが不思議なほどだ。
それでも最後の一線だけはかろうじて守っているのは、ひとえに今まで培われた少女の精神力に他ならない。
しかし、それも限界に達しようとしていた。
汗だくになるほど火照った裸体は蝋燭の光にあぶられるように輝き、今にも爆発しそうな予感を漂わせている。
美音もその瞬間の近づきを認識しているのか、徐々に息継ぎの感覚が短くなっていく。

(駄目……! 耐えないと、でも……ああっ)

処女をあっさりと奪われた挙句、すぐさま絶頂に達したのでは正に男の思う壺だ。
せめて敵の思惑を一つでも外したい。
そう願うも、超常の力によって発情させられた身体は意思一つで抑えきれるものではない。
チカチカと視界が霞んでいき、浮遊感が少女の身体を包んでいく。
股間からせりあがって来る波はもう塞き止めることなどできそうにもなかった。

「もう、ダメ……飛んじゃ―――!」

ピタリ。
少女の身体が快楽の極みに達しようとしたその瞬間。
唐突に男の動きが止まった。

「えあっ……?」

歓喜の絶叫をするべく、口を大きく広げられた美音の口から間の抜けた声が漏れる。
見れば夜暗はペニスを抜いて割れ目に触れる直前で動きを止めていた。
当然、最後の一撃を与えられていない女体は達してはいない。
お預けを食らったまま、ヒクヒクと男根を求めて陰唇を震わせるのみだった。

「な、なんで……?」
「どうした、当てが外れたか?」

意地悪そうに口元を吊り上げる男に美音は不満の溜息を漏らす。
が、すぐに自分の行動を自覚し、恥ずかしげに顔を俯かせた。
勿論ダークは依然として膣内に残ったまま発情効果を発揮している。
しかし宝石そのものに動きはない。
そのため、イキそうでイけない状態に固定された裸体は美音本人の意思に反してゆるゆると快感を求めて動いてしまう。

「うあっ……はあんっ」
「突いて欲しいか?」
「だ、誰が……んんん!」

言葉は強がってはいるものの、性感に蕩けている仮面の下の表情は明らかにトドメの一突きを待ちわびていた。
だが、男は焦らしているのか動きを再開する様子はない。
その間にも快感を性感を増幅し続ける膣内のダーク。
快楽を与えられることなく、しかし神経は快感に鋭敏になっていくばかり。
それは正に生殺しだった。

「エレメントジュエルの在処を喋るなら突いてやるが?」

ぶんぶん、と勢いよく首を振る少女の姿はもはや意地とも反射ともつかぬ有様だ。
あるいは、駆け上ってくる性感を逃がそうとしているだけなのかもしれない。
しかし夜暗はその行動は予測の範疇とばかりに満足気に頷くと、もう一つの提案を発した。

「なら、条件を下げよう。お前はただ、懇願するだけでいい」
「こん、がん……ッ?」
「そうだ。私をイカせてください。そのペニスで私を突いて下さいと言えば楽にしてやる」

それは普段であれば即座に断るであろう要求だった。
だが、ここで美音は迷ってしまう。
一度無理な要求を突きつけられ、次にそれよりも緩い要求をされる。
詐欺などの常套手段だが、追い詰められていた少女には効果覿面だった。
数秒ほど思案にふけった仮面の裸少女は、震える唇から言葉をつむぎだしていく。

「……せて、下さい」

快感のせいか、それとも未だに残っている羞恥心か。
小さく発せられた言葉は力無げに消えていく。
勿論男がそんな小声を許すはずもなく、もう一度と顎で促した。

「イかせて……下さい! あなたの、おちんちんで……私のアソコを突いて下さい……ッ」

余程その告白が恥ずかしかったのか、バッと顔を横にそらす美音。

しかし放たれた言葉はもう帰ってくることはない。
怪盗アクアメロディは、水無月美音はこの瞬間確かに身も心も快楽に屈してしまったのだ。
そしてその言葉を待ちわびていたように男は腰を前へと突き出す。
ズリュウゥッ。

「うう……ッ! あッ! あはァァァ―――!!」

ビクン! ビクン! ビクン!
パンパンに張り詰めていた乙女の身体は待ち望んでいた刺激に抵抗する間もなく高みへと放り出された。
一度、二度、三度と数回にかけて大きく震えた少女の裸体はやがてくたりと糸が切れた人形のように力を失っていく。
だが、力を放出し続けるダークと、未だ自身は達していない男は美音に休息など与えなかった。

「……ひ!? ちょ、まあっ!? あ、あああッ!!」

制止の声にもかまわず夜暗は再び抜き差しを再開する。
達したばかりで敏感なままの少女の肢体はたまらず悲鳴をあげ、あっという間に二度目の絶頂へと導かれてしまう。
しかしそれでも男の動きは止まらない。
己の男根に吸い付いてくる少女の膣肉から快楽を得ながらも、硬さを保ったまま陵辱者は行為を続けていく。

「おっ、お願い。止めっ……止まっへぇぇ!」

呂律が回らなくなるほどの快感の連続に堪らず弱音を吐く美音。
数十秒前までは快感を欲していた身体も、今では与えられ続ける未曾有の快楽に翻弄されるばかりで壊れてしまいそうだった。

「うあああ! おっ、おっぱいまれぇ……!?」

少女の反応に気を良くしたのか、男の暴挙は更にエスカレートする。
最初に握り締められて以来放置されていたDカップバストを夜暗は口に含んできたのだ。

「あああうあッ! こ、こんらの……たえられなひぃぃっ!」

ちゅうううっ。
乳首が取れそうなほど吸い上げられると三度目となる絶頂が襲い掛かってくる。
なんとか快楽から逃げようと美音は身体をよじるも、それが無駄な行為であることは今更言うまでもなかった。
開きっぱなしの口からは涎が流れ、汗と混じって少女の首筋を汚していく。

「どうした? 怪盗アクアメロディ様の望んでいた快楽だぞ」
「こんなの……こんらのぉっ! わ、わたし……こわれちゃふぅぅっ!」」
「こちらは一向に構わない。だがそうだな……お前が例のものの在処を喋るというのならば終わらせてやってもいい」
「ああッ……そん、なぁ……ッ!」

戸惑いと躊躇は数瞬だった。
段階を踏んで侵食されていった美音の精神にもはや男の要望を断るという選択肢は残っていない。
頭の冷静な部分がやめろと囁くが口は勝手に喋り始めていた。
そう、今まで頑なに隠していたはずのエレメントジュエルの在処を。

「―――に、れんぶ……あるぅっ!」
「成る程、そんなところに隠してあるのか」
「こ、これで……終わりにぃ……」

解放されるという安堵からか。
それとも最後まで守っていた誇りを売り渡してしまった悔しさからか。
美音の目元からは一筋の涙が零れ流れていた。

「ああ、終わりにしてやろう……そら!」
「ああう! あッあッ! あッあーーーー!」

強烈な刺し込みの一撃に絶叫を上げて悶える美音。
膣内では男の欲望が遂に解放され、男女それぞれの欲液を受けたダークが喜びを示すように光り輝く。
今までで一番の甘美な衝撃に、少女は四度目の、そして忘我の絶頂を味あわされてしまう。

「……ふあ! は! はっ! くふぅん……!」

襲い来る快楽の波はなかなか引かず、美音は腰を突き出したまま弓反りの体勢でヒクつき続ける。
やがて男根が抜かれると共に落ち着いてきた女体は、ヒップを磔台に叩きつけるようにして力なく横たわった。

(あ……私、は……)

霞かかっていく意識の中、ようやく冷静さを取り戻した美音は自分が取り返しのつかないことをしてしまったことに気がつく。
だがもう時は戻らない。
エレメントジュエルは夜暗の手に落ち、今まで自分のやってきたことは全て無に帰するのだ。
今更ながらに実感がわいてくる絶望という名の暗闇。
それはゆっくりと美音の意識を寸断していった。



「ふん、意識を失ったか」

無防備に気絶している少女の股間からダークを取り出した男はこれからのことを考える。
エレメントジュエルの在処を聞き出した今、もはやこの少女に用はない。
警察に再度突き出してもいいのだが、たった今味わった美貌と身体を手放すのはいささか惜しいものがある。
このまま監禁し続けて情婦にでもしてやるか。
その男の思いつきに賛同するように、ぬるぬるした液まみれのダークが漆黒の光を発していた。






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