恋するキャットシーフFinal〜猫は、もう一度〜第8話
シチュエーション


「……よい、しょっと……」

高橋邸の塀の上に上ると、里緒はふぅ、と1つ溜息を吐く。
そして、里緒はそのまま高橋邸を睨み付けた。

「ここに、渚緒が……」

そう呟くと、里緒は塀から身を躍らせる。
そして、音も無く着地すると、身体を確かめるように軽く手足をぶらつかせ、呟いた。

「……うん、身体もまだなまってないみたいだし……、行ける、かな?」

そう自分に言い聞かせるように言うと、里緒は走り出す。
その瞬間、ボディースーツの電磁パルス機能が働いて、里緒の身体は疾風となった。

「……よっ、と。
やっぱり、外の防備は手薄だね……」

塀から建物までの数十メートルを一息で駆け抜けると、里緒はそう1人ごちる。
所有権こそずっと高橋天山が持っていたものの、表向きは家の主が逮捕されてから今までずっと空家なのだ。
そんな家の敷地内とは言え庭にそんな防備を敷くのは、周りの住民に疑ってくれと言うような物で。

「その分、中の防備はしっかり固められてるんだろうなぁ……」

今までの『レインボーキャット』としての経験からそう考える里緒。
この考えは絶対に間違ってないだろうと言う確信もあって。

「……でも、行かなきゃ。行って、早く渚緒を助け出さなきゃ!」

そう、自分を鼓舞するように叫ぶと、里緒は屋敷への進入口を探す。
そして、近くの窓が割れているのを見付けると、そこから中に忍び込んだ。
……そんな里緒の表情からは、余裕が完全に抜け落ちていた。

「……渚緒、待っててね。お母さんが必ず助け出してあげるからね……!」

……その姿は、外見こそ往年の『レインボーキャット』だったが、中身はそれとはまるで違った……。

一方、その頃。

「……入って来ましたぜ、お嬢!」
「そう、それならただ待ってれば向こうから勝手に入ってくるわね。……猫の終焉地に」

そう、部下からの報告を聞いてにやり、と笑う絢音。
……しかし。

「おねーたん、あそおー!」
「……あーもう! 少しは静かにしなさい!」
「きゃははっ、きゃはははっ♪」

……にこにこと本当に楽しそうに笑う渚緒に纏わり付かれていたらさっぱり決まらなくて。
たまらず絢音は渚緒に向かって怒鳴り付けるが、渚緒はそれでも楽しそうに笑っていて。

「……に、しても、何て人見知りしない子なんだよあの子……」
「だよなぁ。俺があの子の年で今のあの子の状況になってたら間違い無く泣き叫んでるぜ……」

そんな絢音と渚緒を見ながら、『組織』のメンバー2人はひそひそ話をする。
その内容は、誘拐犯に速攻でなついた渚緒に呆れながら感心するのが半分。
そして、もう半分は、

「に、しても……くくっ」
「振り回されるお嬢が見れるとはな……ぷっ」
「そこっ、黙れーっ!」

いつも自分達を振り回す絢音が完全に渚緒に振り回されている姿を見物する2人。
思いっ切り見世物にされ、あまつさえ笑われ、絢音は真っ赤になってその2人に怒鳴りつける。
しかし、2人はそれでもにやにや笑いながらじっと絢音と渚緒を見詰めていて。

「くくく……」
「ぷくく……」
「うがーっ!」

そんな果てしなくぐだぐだな空気の中、脱力しかけながらもモニターを見詰めていた男が突然声を上げた。

「例の部屋の中、入りましたぜ!」
「「「っ!」」」

その瞬間、場の空気は瞬時に引き締まった。

「……どういう……こと……?」

ゆっくりと高橋邸の廊下を歩きながら、里緒は思わず首を傾げる。
家の中は明らかに誰かが暮らしているような気配があったが、ただそれだけで。

「ここまで、何も無いなんで……」

明らかに人が暮らしている形跡があるのに誰にも出会わないこの状況に首を傾げつつ、里緒は近くの扉を開け、中に入る。
その瞬間。

「っ!?」

急に暗かった部屋の中が明るくなり、里緒は思わず目を覆う。
明るさに目が慣れ、里緒が目を開けると、そこは妙に広い部屋であった。

「……ここは……?」
『来たわね!』

壁をいくつかぶち抜いて作ったらしき部屋を里緒が見回していると、突然声が聞こえる。
里緒が上を見上げると、そこにはスピーカーが吊るされていた。

「……うん、来たよ。渚緒を助けに、盗み出しに」
『……安心しなさい、あなたの娘は無事よ。
……ただし、娘が無事でもあなたが無事で居られるかどうかは分からないけどねぇ!』

そう絢音が叫ぶと、里緒が居る場所の正反対の位置にあったドアが開き、男達がぞろぞろ出て来る。
そして、絢音は高らかに笑いながら口を開いた。

『12人ぐらい、1人ずつならあなたは倒せるでしょうね。
でも、逃げ道を塞がれて、12人に一斉に襲われたら、あなたは倒せるのかしら?』
「―――っ!」

そういわれて、里緒は後ろ手でドアノブを回すが、オートロックになっていたのかドアが開かない。
思わず里緒が焦りの表情を浮かべると、男達の先頭にいた天山がにやつきながら口を開いた。

「……さて、覚悟してもらおうか」
『ちょっと、父さんがするのは私が終わってからなんだからね?』
「分かっているさ。私だって自分の精液を娘に触られたくは無い」

そう天山が言うと、スピーカーから絢音の声が降って来る。
それに答える天山を見ながら、里緒はロッドとスタンガンを構えた。

「っ!」
「おっと」

突きかかって来た里緒を軽くかわして、天山は部下達に合図を送る。
そして、里緒を包囲するように動いていた男達に向かって、ニヤニヤ笑いながら口を開いた。

「お前ら、遅くとも明日の昼には警察が来るんだ。
少しでも長く楽しみたいなら、少しでも早くとっ捕まえやがれ!」
『うおおおお!』
「くっ!」

天山の叫びを聞いて突っ込んで来る男達の頭上を、里緒はとんぼ返りで飛び越える。
そしてたたらを踏んだ1番近い男の首筋にスタンガンを押し付けた。

「てぇいっ!」
「がっ!」

たまらず崩れ落ちるその男を見て、里緒は2人目を目掛けて駆け出す。
そして、その男が反応するよりも早く里緒は懐に飛び込み、脇腹をロッドで存分に抉っていた。

「ぐは……っ」
「これで……2人!」

ロッドを大きく振り、里緒は男達を睨み付ける。
そんな里緒に男の1人が掴みかかるが、

「てめっ……!」
「きゃっ!」

その男を見て里緒がバックステップをすると、その身体は数メートル後ろに下がっていた。

「ボ、ボス……!」
「落ち着け! ただ速いだけだ!」

思わずたじろぐ男達に、天山はそう怒鳴り付ける。
そして、男達を落ち着かせるように声を張り上げた。

「いいか、あいつは確かに速いが所詮ただの女だ!
……もう一度囲んじまえ!」

その天山の指示を聞いて、男達はもう一度里緒の事を囲みに行く。
そして、囲み終わったのを確認すると、天山は声を張り上げた。

「よーし、半分だけ突っ込んで、残りは待機! 飛び越えた時に備えな!」
「っ!」

その天山の言葉を聞いて、里緒は表情を強張らせる。
飛び越える事が出来ない以上、力尽くで突破する以外方法は無くて。

「ええーいっ!」
「ってぇっ!?」

正面の男にロッドを叩き付けると、その男が怯んだ隙を付いて里緒は包囲から脱出する。
しかし、今殴られた男は殴られた箇所を押さえながらもしっかりと立っていて。

「痛ってーな、てめぇ!」
「―――っ!」

痛みに顔を顰めながらもまだ戦闘力を残している様子の男を見て、里緒は歯を食い縛る。
不意を付くか、スピードを乗せれば里緒の力でも男は気絶させられるが、単純な力のみでは少し苦しくて。

「よし……! そのまま追い込んじまえ!
……殴られた礼は、捕まえた後にたっぷりしてやればいいんだからよ!」
「違えねぇ、どうせ俺らは抵抗しようとしまいとやっちまうんだからなぁ!」

そんな里緒を見てげらげらと笑う天山と男達。
そんな男達を睨みつけながら、里緒はせわしなく頭脳を回転させた。

「(……また包囲されたら、今度は突破出来るか分からない……。
なら、囲ませずに、ヒット&アウェイに徹すれば……!)」

幸いにも部屋はその戦法が取れるくらいの広さがある。
それを確認すると、里緒は天山達に気付かれないように少しずつ後ろに下がってゆき……、

「―――っ!?」

……突然、その足が何かに固定されたかのように動かなくなった。

慌てて里緒が下を向くと、いつの間に目を覚ましたのか、さっきロッドで沈められた男が里緒の足を掴んでいた。

「っ! は、離して!」
「ぐほっ!」

慌てて里緒はその男を蹴り飛ばし、その男はもう一度気絶する。
それを見て里緒がほっと安堵の息を吐くと。

「……ひっ!?」
「捕まえたぜ!」

……その瞬間、里緒は男に抱きすくめられて悲鳴を上げる。
里緒が見上げると、その男の瞳には紛れも無く好色そうな色が浮かんでいて。

「や、やぁっ! 離して! 離してぇっ!」
「っと、暴れんなっての!」

すぐに里緒はじたばたと暴れるが、力では大の男には敵わない。
そうこうしているうちに他の男も里緒を取り押さえて。
里緒はたちまち首から下はまともに身動きする事も出来なくされた。

「い、嫌っ! 嫌ぁっ!」
「やっぱ胸でけーなー、こいつ」

ぶんぶんと首を横に振る里緒の胸に、男の1人が手を伸ばし、揉みしだく。
普通なら、快感どころか痛みしか感じない程の力で揉んでいるのだが。

「ひっう……んんっ……!」
「ん? 何だ? もう感じてんのか?」

ふるふると微かに身体を震わせる里緒を見て、男はあざけるような笑みを浮かべる。
と、天山がこれもまたあざけるような笑みを浮かべたままで口を開いた。

「5年前に盛ったのは20人分の媚薬だからなぁ、後遺症ぐらい残って当然だろうよ」
「―――っ!」

そう天山に言われ、里緒は天山を睨み付ける。
すると天山はボディースーツに覆われた里緒の秘所に手を伸ばした。

「きゃひぃっ!?」
『ちょっと、父さん! 私が先だって言ってたはずよ!』

その瞬間、里緒はびくり、と身体を跳ねさせ、絢音が天山に文句を言う。
しかし、天山は自分の娘からのその文句にも軽く首を横に振るだけで。

「……絢音、これだけ暴れてたら運ぶに運べないんだよ。
警察が来る前に出来るだけヤってトンズラするつもり何だから、睡眠薬も使えないしな。
……それなら、1回イかせて脱力させた方が速いって、ただそれだけだっつーの」
『……本当でしょうね?』

その天山の言葉に、絢音は心底不審そうな声色で聞き返す。
そんな絢音に、天山はふぅ、と1つ大きく溜息を吐いて、答えた。

「心配しなくても、今は愛撫だけでそれ以上はしねーし、させねーよ。
……それに、時間もそんなにはかからないと思うし、なっ!」
「ひあぁぁっ!」

その言葉の最後にボディースーツ越しに里緒のクリトリスを探り当てて摘み上げると、里緒は頤を反らせる。
そんな里緒を見て、天山はニヤニヤ笑いながらさらに続けた。

「この感じ具合なら、3分かかんねぇよ」
『……そう。じゃあ待ってるわ』

その天山の言葉に、絢音はそう答えると、スピーカーのスイッチが切られた音がする。
その音を聞いて、天山はやれやれ、と首を振ると、部下の男達に向かって言った。

「……さて、どうやらうちのお姫様がお待ちかねのようだ。とっとととどめ刺しちまえ!」
『ういーっす』
「ひあぁぁぁーっ! うあぁーっ!」

そう天山が言うと、男達は次々と里緒の性感帯を責め立て出す。
20の手にそれぞれ別の場所を責め立てられ、里緒は見る見るうちに追い詰められる。

……そして、絶頂に達して脱力した里緒を男達が別室に運び込むまで、予告通り3分かからなかった。






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