シチュエーション
「あ〜、柔らけ〜」 「この太もも、凄いスベスベしてるぜ! 俺らとは大違いだ!」 「ミルキーキャットがこのルートを選んでくれてよかったな。俺達が参加できるルートは少ないからなぁ」 「ひ……やぅ! さ、触らないでよっ……」 一人孤独にレーザーの隙間を進む怪盗少女の無垢な身体に、欲望塗れの手が次々と伸ばされる。 ニーソックスに包まれた美脚に、そのすぐ上で眩しく映える太ももに。 キュッと引き締まったウエストまわりに、シミひとつない二の腕に。 そして時折、お尻や胸といった微妙な部分の近くを男達の指が這い回る。 (くっ、悔しい……こんな奴らに、好き勝手に触られて……) なんとか絶対に触らせてはいけない部分だけは守りつつ、進み続けるミルキーキャット。 しかしその胸の内は恥辱に満ち溢れていた。 普段の生活では勿論、今までの怪盗活動の中でも男に触れられるのを許したことはなかった。 なのに今、こうして自分の身体は汚らわしい男たちの手に蹂躙されている。 悔しいのはそれだけではない。 触られるのは嫌なのに、彼らの手が肌と接触するたびにどうしても身体が反応してしまう。 知っているのは親友の椿と家族くらいだが、優理はくすぐったがりであった。 そのため、お腹や二の腕辺りを触られると敏感に身体全体がビクついてしまうのだ。 「んっ……ふぅ、はぁ……あッ!」 喘ぎとも苦痛ともとれる少女の声が狭い通路の中に漏れる。 そのたびに華奢な肢体が踊り、張り巡らされたレーザーに肌とコスチュームを掠めていく。 肉体へのダメージはそれほどではないが、その代わりに服は既にボロボロ。 白のインナーは虫食いのように所々から肌を露わにし、その下の純白ブラジャーは肩紐が切れた状態でデザインの大半を見せている。 真紅のプリーツスカートは裾が何箇所か裂けており、浅め深めのスリットをいくつも形成。 奥の方がかろうじて見えないだけで、スベスベの生足がほぼ完全に見えてしまっていた。 更には、そんな状態にもかかわらず光線を突破するために様々な体勢を取らなければならない。 グラビアどころかエロ雑誌で見るような、はしたないポーズを不可抗力とはいえ男達に見せなければいけないという苦痛。 それは優理に怒りと屈辱という負けん気を、あるいは羞恥と怯えという弱気を与えてくる。 「……はふっ! はーっ、はーっ」 距離にすれば八十メートル地点を少し越えたあたりだろうか。 連なっていたレーザーの最後の部分を潜り、少し開けた場所に辿りついたミルキーキャットは大きく息を吐く。 開けた場所は抵抗も容易なため、流石に男達も手を伸ばしてきたりはしない。 恰好の休憩場所だった。 (時間は……まだある。ここは息を整えないと) 残り時間は十分少々。 男達の手という予想外の妨害、そしてスカートを押さえるために塞がってしまった片手。 それらの要因から予定よりも時間がかかってしまったが、ゴールは目前。 しかし、光線の迷路は進めば進むほど難易度を増してくる。 徐々にレーザー同士の間隔が狭まり、足の踏み場もほとんどなくなってきていた。 (つまり、ここからが最後の山場ってわけよね……) 眼前に待ち構える赤光の網にツインテール怪盗は息を呑む。 そこには、人が通る隙間を見つけるのが難しいくらいに配置されたレーザーがひしめいていた。 だが、こんなゲームめいた仕掛けにしてある以上は必ず通れる場所は存在しているはず。 注意深く観察を続け、そして優理はルートを決めた。 狙うのは地面に底を接しつつ、通れる道が緩やかな「へ」の字を描いている下のルート。 かなり苦しい姿勢を続けなければならないが、自身の身体の柔らかさを持ってすれば決して通るのは不可能ではない。 (問題はどう潜るか、ね) 中身を見せないよう、油断なく左手でミニスカートをガードしつつ考える。 方法は二通り。 頭から入ってうつ伏せ気味に潜る方法と、足から入って身体を逸らしながらブリッジ気味に潜る方法。 少しの間悩んだ末、ミルキーキャットは後者の方法を選択した。 前者の方法では胸を床に何度か擦りつけるように動かないといけない。 そうなると、肩紐がないブラジャーがズレておっぱいがこぼれてしまうかもしれなかったのだ。 (よし!) 意識を集中させ、攻略に乗り出す怪盗少女。 鋭い視線で男達を威嚇しつつ、爪先からゆっくりとレーザー網の中に身体を滑り込ませていく。 左手はスカートを押さえているために、右手だけでブリッジをする格好となるが上手くバランスを取って慎重に進む。 (これならなんとか……そ、それにしても、この格好は……) 「よっ! セクシーポーズ待ってました!」 「もっと腰上げろ!」 ブリッジ状態のため、ミルキーキャットはどうしても股間を斜め上に突き出すような姿勢を維持しなければならない。 だが、片手を股間に伸ばしているのと相まってそのポーズは実に扇情的に見える。 まるでオナニーをしながら男を誘うかのような体勢に、優理は顔を赤らめざるをえなかった。 無論、そんな乙女の純情は男達にとっては格好の獲物でしかない。 卑猥で下劣な言葉と視線が半裸の肢体を叩いていく。 そして、彼女は気がついていなかったが、進むにつれて露わになってしまっている部分もあった。 スカートを押さえているといっても、前だけにしか手は置かれていない。 つまり、お尻側は基本的に無防備なのだ。 そんな状況下でブリッジなどしているのだから、当然ミニスカートは重力に逆らえず垂れ下がって中身は丸見えとなるわけで。 結果、床の下に陣取る男達には、怪盗少女の生尻が至近距離で公開されてしまっていた。 勿論左右に陣取る男達も黙ってみていたわけではない。 彼らの位置では、ギリギリのところでスカートの中は見えないが、手を伸ばすことは出来る。 手が届くところにほどよく熟れた美味しそうな桃がふたつも存在している、行動に移らない理由はなかった。 「―――ひゃぁんっ!」 ムニッ! 不意打ち同然に左側から尻たぶを鷲掴みされたツインテール少女は、あまりのショックに思わず間の抜けた声を上げてしまう。 反射的に身体が跳ねるが、かろうじてレーザーに触れることはなかった。 一瞬遅れて状況を理解すると共に、背筋からゾクゾクと寒気にも似た嫌悪感が這い上がってくる。 「くぅっ……」 悔しげなうめきを漏らす少女怪盗。 今は難関を慎重に攻略している最中であり、とてもではないがまともな抵抗は出来ない。 だが、手を伸ばしてきている男達もそれがわかっているのだろう。 反撃がないことをいいことに、大胆に手を動かしてくる。 「このっ……やめなさいっ……やめてったら!」 なんとか不埒な手を払おうとミルキーキャットはキュッとくびれた腰を左右に揺する。 しかしその動きは、観客には雄を誘う仕草にしか見えず。 手を伸ばしてきている男はしっかりと柔尻肉を掴んでいるためになかなか手が振り払えない。 そうこうしているうちに、状況は更に悪化していく。 今度は右側から手が伸ばされ、もう片方の尻たぶをも掴まれてしまう。 ムニムニッ、ムニュン まるで粘土をこねるように、男達の手によってふたつの桃尻が弄ばれる。 時には撫でられ、また時には揉みこまれながら他者の指によって乙女のヒップが蹂躙されていく。 こうなってしまっては、とにかく早く前に進むしかなかった。 太極拳のようなスローな動きで、しかし一秒でも早く変質的な手から逃れるために身体をスライドさせる。 「くふっ……あッ!? ちょっと……!?」 お尻で動く淫らの手の動きが変化したことに、怪盗少女はギョッとした。 暴虐を続ける男達の手は更に乙女の身体の奥を求め、尻の割れ目の中へと侵攻を始めてきたのだ。 そして、ほどなく彼らの指先は女体の奥地へと辿りついてしまう。 「……くぅっんッ!? ど、どこに指入れてるのよぉっ!?」 つぷっ。 お尻の谷間の最奥。 もっとも不浄で、もっとも触られたくない窄まりに侵入してくる異物の感触。 そのあまりの嫌悪感に、少女は顎を逸らしつつ思い切り身体全体ごと腰を持ち上げた。 先端しか入っていなかった指はあっさり抜けていくが、そんな激しい動きをすれば当然レーザーに身体が触れてしまい。 「キャ、ぁうっ!」 ジュウウゥ…… 肌を熱され、悲鳴を上げるミルキーキャット。 ちょうど身体の上を斜めに走っていた光線が接し、右腰から左肩までの表面肌が一文字に焼かれていく。 スカートには大きな切れ込みが入り、あわやまっぷたつというところまで破損してしまう。 だが、もっと危険なのは上半身のほうだった。 胸の谷間のあたりをレーザーに焼かれたため、ブラのフロントホックが壊れてしまったのである。 「きゃ……!」 ぷつん、という音と共に純白フリルのブラジャーが左右に弾けとび、床に落ちた。 それと同時にほっとする解放感がCカップの美乳を襲う。 締め付けから解き放たれた乳肉はまるで皿の上に落とされたプリンのようにぷるるんっと元気に揺れる。 仰向けにもかかわらずほとんど型崩れを起こしていない柔肉が、少女の若さを主張しているようだ。 先端にちょこんと鎮座する乳首は、桜色に色づきながらも、その姿を乳輪の中に未だ隠している。 呼吸に合わせ、かすかに上下しながら姿を現した魅惑の果実に一瞬場が静まり返り、そして。 次の刹那、爆発的な歓声が四方から湧き上がった。 「いやぁぁぁっ! みっ、見るなぁあああああっ!」 首から上を羞恥の赤に染めつつ、怪盗少女が叫ぶ。 だがその言葉を聞くものは誰もいない。 痛いほどの視線の群れが、剥き出しの乳房に集中する。 「結構大きいじゃねえか!」 「やべえ、あのおっぱいすげえ美味そう……」 「触りてえ……」 欲望のままに発せられた感想が、恥じらう乙女を苛む。 興味対象が移ったためか、既に下半身から手は撤退していたが、そんなことはなんの慰めにもならない。 ただ、ターゲットが変わっただけなのだから。 その証拠にすぐさま「もう辛抱たまらん」とばかりに新たな邪手が伸びてくる。 「さ、触らないで……くはっ……んむぅ、ふうぅ……ふぅ……」 押し寄せてくる手の群れを視界に収めるも、打つ手はなかった。 釣鐘型に整った柔乳房の輪郭をなぞるように、ゆっくりと無数の指が這い回る。 下乳を持ち上げるように揉まれ、鎖骨の下方から盛り上がっていく傾斜を滑るように指先を走らされ。 しかし決して突端には触れようとはしない、嬲るような責めが処女美乳を襲う。 されるがままの状況に唇を噛みながらも、無抵抗を続けなければならないジレンマに優理の心ははちきれそうになる。 しかし同時に、ムズムズするような掻痒感が胸の奥に生まれ始めてもいた。 そしてその感覚は徐々に胸の膨らみを登り、先端へと近づいていく。 (こ、この感じは……ダメ! 意識しちゃ……) ドキドキと高鳴る心臓を意識しながらも、怪盗少女はなんとか呼吸を落ち着けようと目を閉じる。 だがその時、まるでタイミングを見計らったかのように一本の指が右側のおっぱいの頂点をつんっと掠めた。 「はぁんっ……」 反射的に漏れ出た吐息は、驚くほど甘やかなものだった。 それは嫌悪からでもくすぐったさからでもない、女としての性的な反応。 ハッと我に返った優理は、慌てて今漏らした声を誤魔化すようにぶんぶんと頭を振る。 だが、そんな初心な処女そのものといった様子はしっかりと男達に目撃されていた。 生意気な女怪盗の弱点見つけたり。 そして、獲物の弱みを握った捕食者達の行動は素早かった。 ツン、ツツン、ツンツンッ。 「ひゃっ……やめ、そんな……つ、突っつか……ないで! よぉ! んぅ!」 十本近い人差し指による少女への集中攻撃が始まった。 複数人で餅つきをしているかのようにリズミカルに、それぞれの強弱で繊細なつぼみがノックされる。 絶え間なく続く敏感部分への攻撃は効果的面だった。 むず痒かった感覚があっという間に頂上に達し、その反応として身を潜めていた乳首がひょこっと顔を出し始めたのである。 「う、嘘……」 十数秒と持たず、ぷくんっと完全に勃起してしまった恥ずかしい突起を呆然と見下ろすツインテール怪盗。 トップレスに剥かれ、見知らぬ男達に身体中を触られて性的快感を感じるなど、自分で自分が信じられない。 だが、現実に己の身体は反応をしてしまっている。 気がつけば、ブリッジ体勢だった身体はいつの間にかレーザーの網を潜り抜け終わっていた。 そして手足が自由になったその瞬間、優理の心に今まで意識しないようにしていた女の子としての恥じらいが頭をもたげた。 「―――いやッ!」 空いた右手で胸を包むように隠し、左手でスカートを押さえたままぺたんとしゃがみこむ。 そこにいたのは、怪盗ミルキーキャットではなく、ただ恥ずかしさに震える女の子だった。 注目を浴びるという意味では同様であっても、新体操の大会と今の状況はまるで違う。 場にいる男達は皆下劣な視線で、舐めるように自分を汚してくる。 果てには、お尻の穴に指を入れられて乳首を無理矢理勃起させられてしまった。 それは、想像の中ですらありえなかったことで。 どんな大会の舞台でも、怪盗活動の中でも意識したことのなかった弱気という感情が、徐々に少女の心を侵食していく。 (でも……だけど……!) それでも、怪盗少女は立ち上がった。 プライドや怒り、それもある。 だが、彼女が立ち上がれた一番の理由は親友の存在だった。 椿が自分の帰りを待っている。 そう思うと、萎えかけていた勇気と闘志が再び湧き上がってくるのだ。 (時間は……あと六分。いける……ううん、やってみせる! 待ってて、椿!) 難所をクリアしたことで、もはや残る距離はあと僅か。 だが、同時にミルキーキャットの前に立ちふさがったのは最後にして最大の難所。 足の着き場もないレーザーの密集地帯が、目の前に広がっていた。 最後のレーザー網は今までのように地面に足をつけて進むのは不可能な設置をされている。 だが、よく見れば胸元ほどの高さから通れそうなルートへの入り口があり、それが出口まで直線のトンネルのように続いていた。 それは人一人がギリギリ通れるほどの空間で、距離に換算すれば三メートルもない。 しかし、宙に浮かびでもしなければ通れるはずがない、それがゴールへ続く唯一の道だった。 「最後の最後まで、憎たらしい真似をしてくれるじゃない……っ」 忌々しそうに呟く少女怪盗は、既にこのルートの攻略法を察していた。 普通ならば魔法でも使わなければ無理だが、この通路は左右の壁が近い。 つまり、手足をそれぞれの壁に突っ張らせ、身体を宙に持ち上げて進めばいいのだ。 幸いにも、左右の壁には男達が手を出す穴が幾つも開いているため、それを使うことも出来る。 故に、多少時間はかかるだろうが、決してクリアは不可能ではない。 しかしだからこそ、ミルキーキャットはこのルートの目的といやらしさを理解していた。 (ここを進めば……全部、見られちゃう……!) 手足を壁につっぱらせると、当然身体を隠すことなどできない。 すなわち、ようやく隠したばかりのバストも、ミニスカートでかろうじて覆われている下半身も全て無防備になってしまうのだ。 更に言えば、出口に着くまでは文字通り手も足も出ない体勢を続けなければならないため、男達は好機とばかりに肌を触ってくるに違いない。 はたして自分は、そんな恥辱を耐え抜いてゴールに辿りつけるのか。 「どうしたぁ、もう時間がないぞ! 噂のミルキーキャットもここまでか!」 その野次が、少女怪盗に決断をさせた。 顔を首筋まで真っ赤に染めて、これから自分を待ち受ける恥辱を覚悟しながらゆっくりと右手を壁の穴に引っ掛ける。 続いて、両脚で軽く地面を蹴ってほぼ同時に左右の足も壁に。 最後に残ったのは未だにスカートを押さえている左手だった。 これを離せば薄布は重力のまま垂れ下がり、床下の男達に秘すべき柔筋が見られてしまう。 だが、このままの体勢を続けているのにも限界があるし、時間もない。 覚悟を決めたツインテール少女は、半ばやけくそな気分で左手を壁へと伸ばす。 しゅるんっと布が擦れる音がやけに大きく耳に響いた。 (すっ、好きなだけ……見れば……っ、いいじゃないッ!) せめて見られる瞬間の視線だけでも避けようと、優理は目を瞑る。 股に挟まる形で秘所を守っていたスカート布は、寸分も予想を裏切らず重力に負けて垂れ下がった。 その結果、見上げる視線から秘部を守るものはなくなり、乙女の秘密は遂に衆目に晒されてしまう。 (ああ……ッ! や、やっぱり恥ずかしいっ! もうッ、見ないでよぉ……!) 全貌を現したミルキーキャットの女の部分。 そこには、ピッタリと閉じた左右の柔肉が少女の純潔を証明するように秘めやかに存在していた。 そのすぐ上には漆黒の若草が綺麗に生え揃っていて、呼吸に合わせてさわさわとそよいでいる。 美しさすら感じさせるその割れ目は、まだ何者にも犯されていないがゆえの初々しさが見てとれた。 「おおっ、綺麗なおま〇こじゃないか!」 「毛は意外に濃いようだな。実は好き者なのか?」 「使われた様子はないから処女なのかな? いやー、今まで見えそうで見えなかっただけに感動すら覚えるね」 父にすら見せたことのない場所を見た男達の声に、少女怪盗の瞳が潤む。 それでも涙だけは零すまいとぐっとこらえ、手足を前に動かしていくも、スースーする股間が頼りなかった。 しかし淫欲に塗れた男達は手加減などしない。 動いたのは、床下の奴らにだけいい思いをさせてたまるものかと嫉妬した右壁の男だった。 彼は無防備に揺れるヒップを覆っているスカートを背中までめくり上げ、完全に少女の下半身を露出させてしまう。 「おいおい、スカートにニーソックスだけとか、マニアックすぎるだろ」 「だがそれがいい」 (そ、そんな変態っぽいこと、言わないでよ……) 未だスカートやニーソックスは身体に残っているのに大事なところは全て見えてしまっている。 そんな変態趣味的な状況が、なまじ全裸にされるよりも優理の羞恥心を刺激していく。 それでも、進む以外に道がないミルキーキャットは亀のような歩みで前進を続けた。 その間にも、天井の電灯とレーザーでライトアップされた少女の裸体は衆目に晒され続ける。 白と赤の入り混じった光が、汗でしっとりと濡れた肢体を浮かび上がらせながら観客の目を楽しませていく。 今まで散々痴漢行為を働いてきた男達の手は、意外にも最初のスカートめくり以降動く気配を見せなかった。 だが、何故彼らがそうしているかは想像できる。 もっとレーザー網の奥に怪盗が身体を潜らせ、完全に身動き取れなくなる。 その時を待っているのだ。 (今、手を伸ばされたらあたしは何も抵抗できない……ダメ、何を弱気になってるの!) いつ男達が動き始めるのかと気が気ではない怪盗少女。 空中を大の字で進む丸裸の肢体は、手足が動くたびに男達の視線を釘付けにしていた。 男を誘うようにくねくねと動く腰が、ぷりぷりっと元気に弾む桃尻が。 ツンと尖ったピンク色の実を床に向けながら、左右交互に上へ下へと揺れる双子乳が。 そして、疲労と羞恥から時折漏れる熱い吐息が。 一人の少女の発する女の色気が、観客の欲望を煽っていく。 もはや男達の限界は間近だった。 「もう我慢できねえ!」 発端は誰ともわからぬその男の一声だった。 優理の身体がすっぽりとレーザーの隙間に入り込んだ刹那、遂に目の前のご馳走に我慢できなくなった獣達が動き始める。 無数の手が、我先にと剥きだしの肌へと迫っていく。 「あ、ああっ……」 三百六十度あらゆる方向から迫ってくる異性の手。 それは、こうなるだろうと覚悟していたはずの少女にすら恐怖と不安を抱かせるには十分な光景だった。 レーザーに囲まれた今の状況で逃げ場はどこにもなく、抵抗する手段もない。 身体を揺すって手を払うことすら満足に出来ない。 だが、色に塗れた男達の手は止まらず、次々に穢れのない肌を貪ろうと伸びてくる。 まず、捕らえられたのは少女の発育ぶりを象徴する柔乳だった。 身体が下を向いているために、質量を増しながら戦慄いていたCカップバストが鷲掴みにされる。 手のひらにちょうど収まるくらいの大きさの乳房は、男の手の中でぐにぐにと変形させられてしまう。 続いて標的にされたのは下半身だ。 健康的にすらっと伸びた白磁の美脚が複数の手にまさぐられていく。 弾力に富む太ももの上を撫でさするように脂ぎった手が這い回る。 更に、マニアックな嗜好をしているのか、ふくらはぎや膝小僧の辺りにまで指を伸ばしている者たちもいた。 勿論、くいっと上に突き出されているお尻も男達にとっては見逃せない獲物である。 女体の中でも屈指の弾力を備えたふたつの白桃に、邪な人差し指の群れが襲い掛かった。 「はうっ……駄目ぇっ! あたしの身体に、さっ、触る……ひんっ、なぁ!」 身体を好き勝手に触られる嫌悪感と屈辱に塗れながら、怪盗少女が叫ぶ。 しかし心中とは裏腹に、敏感な身体は早くも反応を始めてしまっていた。 既に火照っていた肢体は更に体温を増し、霧のような汗を次々と肌に浮かべていく。 それは男達の手のひらの脂や汗と入り混じり、ローションのようにミルキーキャットの裸体を彩る。 肌の上をぬるぬると蠢く指が、まるでタコの触手のようだった。 「やッ、いやッ……そ、そんなにされたら……ああ、あぅんッ……」 漏れる吐息は艶を帯び、優理の官能を目覚めさせていく。 壁にかかる四肢は、既に身体を支えるだけで精一杯だった。 前に進まなければならないとわかっているのに、手足が動いてくれない。 身体は男の手が動くたびに勝手にビクビクと反応するばかり。 「こ、こんなことって……あぁ! この……へっ、変態ども……!」 「その変態に気持ちよくさせられてるのは誰だよ?」 「ツンデレだよツンデレ。その証拠に、身体のほうはすっかりデレてるしな」 吐き出された罵倒は、しかし嘲笑の渦に飲み込まれる。 それでも、こんな状況では威勢を張ることだけが精一杯の抵抗だった。 意識していなければ、すぐに零れてしまいそうな涙をこらえるミルキーキャット。 しかし、観客達にはその強気を崩すことこそが最大の楽しみにして目的である。 どう責めれば女を脆弱にし、陥落させることができるのか。 それを知り尽くしている男達にとって、優理の反応は欲情を増幅させるものでしかなかった。 「う……はぁはぁ……え、あっ?」 それは制限時間が三分を切った頃のことだった。 今まで欲望の赴くがままに乱暴に動いていた男達の手の動きが変わってきたのだ。 相手の意思を無視していた衝動のような動きがなりを潜め、タッチがソフト風へと変化していく。 それは相手を感じさせる愛撫への変化だった。 「あッ!? う……ん、ふぅ…………あふっ!」 身体の奥底から官能を引き出そうとしているかのような手の動きに、少女怪盗は困惑する。 だが、その困惑はすぐに危機感へと取って代わった。 先程までの責めよりも、今の責めほうがずっと身体が反応してしまう。 「やぁっ……こんなの、だ、だめぇ……ああんっ……」 唇から零れる少女の声は、もはやはっきりと喘ぎへと変化し始めていた。 声を出すまいとしても、勝手に喉から淫らな音が出てきてしまう。 そんな自分の身体の変化に、肌も露わなツインテール怪盗はいよいよ追い詰められていく。 「あ! そ、そこは……っ」 そして遂に、魔の手は獲物に止めを刺すべく腹部の下へと伸びていった。 そこを触られてしまったら。 恐怖と、そしてほんの少しの期待に肌を震わせながら。 誰にも触られたことがなかった少女の割れ目に指が触れた。 「ひあぁっ!!」 ビクビクッ! その雷にも似た衝撃に、怪盗少女は思わず手足を落としかける。 今までの辱めと愛撫で敏感さを増した身体は、たった一度のノックで危うく絶頂に押し上げられかけたのだ。 (なにっ……なんなの、今の……) 優理とて、年頃の少女なのだから自分を慰めることくらいはある。 だが、今感じた感覚は過去に味わったそれとは比べ物にならなかった。 (こ、これ以上触られたら) それは、身体が女として発情しきっている証拠でもあった。 制御の利かない自分の身体の高まりに、今度こそはっきりと恐怖を覚えるミルキーキャット。 「あ、ああっ! いやぁっ! はぁんっ……ああ!」 迫る快楽に怯える柔筋に更に追撃の愛撫が行われる。 決して膣には入れようとせず、入り口付近をほぐすように這い回る指にツインテール少女は髪を振り乱して悶絶してしまう。 目元に溜まっていた水滴が散り、レーザーに当たって蒸発していく。 かろうじて保たれていた勝気な表情は、今や与えられる悦楽に侵食されてしまっていた。 「はっ……ひっ、あああっ! やっ……あたし、もう……」 呼吸をすることさえ困難になった怪盗少女の肢体が痙攣を始める。 それを見た男達は、最後の仕上げとばかりに伸ばす手を増やしていく。 裸に剥かれた肌は、もう触れられていない部分などどこにもない。 お腹の真ん中にひそやかに息づくおへそすら、爪先でほじるように嬲られ、少女を追い詰める一因となってしまっていた。 「あッあッあッ……もう、げん……かぁんっ!」 (椿……あたし、もう約束守れないかもしれないっ……) 身体中を男の手に嬲られ、昇り詰めていく。 かつてない恥辱が目前に迫ってくる感覚に身を焦がしながら、脳裏に浮かぶ親友に謝罪をする優理。 そして、周知の事実となった弱点である胸の先端をキュッと摘まれた瞬間。 少女怪盗は、その思考を真っ白に染め上げられて。 「だめっ……だめだめだめだめっ……やっ、ああーーーーッ!!」 ビクッ、ビクビクンッ! 突っ張らせた四肢を更に限界まで突っ張らせ、晒しものにされた女体が果てていく。 くぱっと口を開いた淫唇から大量の愛液があふれ出て、男達の指を濡らす。 同時に、少女の中でかすかに残っていたプライドや勝気が跡形もなく霧散し。 怪盗ミルキーキャットは、敗北した。 「あ……」 数秒間にわたるオーガズムを終えた少女の四肢から力が抜け、支えるもののなくなった肢体が床へと落下していく。 しかし、レーザーがその身を焼くことはなかった。 愛撫に翻弄されていた優理は気がつかなかったが、既に時間はタイムアップを迎え 同時にレーザーは消去されていたのである。 (そうか……あたし、負けちゃったんだ……) 落下時に受けた軽い痛みが、僅かに意識を引き戻す。 これから自分はどうなるのだろうか。 どこか人事のように考えながらも、これから待ち受ける非情な現実から逃げるように、優理はゆっくりと目を閉じていった。 (椿……ごめんね) ―――約束を守れなかったことを、親友に謝りながら。 SS一覧に戻る メインページに戻る |