シチュエーション
そこからの新蔵は手早かった。 仮面を取られたことで気力を取り戻したのか、最初よりも気炎を上げて反抗してきた。 「返せッ返せッ!」 肩を振りながら束縛から逃れようとするが、暴れれば暴れるだけ腕に負担がかかって、その度に揚羽は呻いた。 「もっともっと抵抗して見せろ」 揚羽の必死の抵抗で自らを昂らせながら、新蔵はフリルの多い衣服に手をかけた。 「ッ」 探るように胸を撫でる気持ち悪さが、以前にもまして感じられた。 この世で一番嫌いな男に触れられることが、相手が自分の存在を知ってなお玩具のように扱っていることが、許しがたかった。 カーディガンは後ろ手に回された手に絡みつくように床に落ちている。 今、揚羽を守っている衣服は、フリルのついたブラウス、スカート、ストッキング、そしてその下にあるランジェリーのみだ。 あまりにも男の前では無防備な、ちっぽけな鎧だった。 揚羽は憎悪を剣に、言葉を楯にして新蔵や男に抗った。 「ぐッ、触んな、この変態!」 新蔵はタバコ臭い息を吐きながら、揚羽の顔を舐めている。 化粧っ気の薄い少女の顔は、甘美な果物ののような瑞々しさを持っていた。 手はふくよかな胸を揉みしだき、女性器を指で弄っている。 とうに感覚はなかったはずなのに、新蔵に触れられると再びそこは熱を持った。 新蔵に対する深い怨念が、彼女をより暗い底に引きずり込まんとしていて、皮肉であった。 男は揚羽の手首に手錠をかけると、新蔵の補助に回っていた。 ミニハットを乱暴に取り払い、髪を強く掴んで新蔵の顔に無理やり揚羽の顔を近づけたりした。 新蔵が一連の行為を止めると、男が意を得たとばかりに揚羽のブラウスを引きちぎった。 「イヤぁッ!!」 二人の男の前で、揚羽はか弱い少女でしかなかった。 がっしりと拘束され、逃げ場もなく、ただ蹂躙されることを嫌々ながらも受け容れるしかない、ただの女だった。 薄い素材のブラウスはいとも簡単に、その下にある二つの果実を晒した。 ピンクホワイトの可愛らしい下着に抑え込まれているそれは、同世代の女子に比べればはるかに豊満であった。 男がブラジャーのホックをはずすと、ぷるんと、胸がたしかに揺れた。 「……っ」 男性の前で胸を晒しているという羞恥心が、揚羽の顔に紅葉を散らす。 俯いた顔を無理やり男が上げさせると、新蔵がその顔に向けて言葉を落とす。 「怨んでいる相手の前で裸身を晒す気分はどうだ」 「最ッ悪よ!!」 目尻に涙を浮かべている少女は、未だに抵抗を諦めていない強い視線を放っていた。 瞳に張られた涙の膜を破らないように、見開いた目で睨んでくる。 怪盗トランプとして、少女は一度は屈した。 けれど、神沢揚羽として、少女は抵抗することを選んだ。 ならばそれを壊し、裏も表も屈服させ、調教し、凌辱し、ペットのごとく従順にさせるまでだと新蔵は少女をあざ笑う。 剥き出しになった少女の胸を直接揉むと、その柔らかさに思わず唸る。 若い身体は、新蔵にとっては久しいものだった。 「い、やっ!」 直に胸に触れられ、ぞくり、と揚羽の身体がそそけ立った。 揚羽の胸は大きいだけでなく形もよく、柔らかさと感度を兼ね備えていた。 バイブ責めの時のような苦痛が無いことが、むしろ彼女にとっては辛かった。 ただ感じるだけなんて、あまりにもいやらしかったのだ。 新蔵が胸の先端をコリコリといじりまわすと、「ん、ふっ」と熱い息が思わず揚羽の口から漏れる。 初めてが多過ぎて、とても生半可な経験と憶測では対応しきれない。 新蔵が動く都度、新しい感覚が揚羽の中で実感として芽を出してしまう。 「ぅっつあ」 弾くだけではなく、器用に先っぽだけをつままれると、なぜだか股間がきゅっと収縮する。 新蔵は片方の乳首をはじいたりつまんだりしながら、一方に舌を這わせ始めた。 「〜ッ!?」 声を出すまいと歯を食いしばっていたからか、奇妙な空気が音となって少女の口から聞こえた。 ねっとりとした熱い舌が乳首を舐めると、暖かさが彼女の身体を震わせた。 胸を螺旋を描くように外側から舐められ、その感覚がたまったところで中心に達せられると、弾かれたように揚羽の身体が律動する。 胸の間を舌が往復すると、新蔵の顔が胸に埋まる。 それを考えただけで、悔しくなってくる。 舐めるにとどまらず、新蔵はそれを吸った。 揚羽は何かを吐きだしている感覚に陥り、乳首を甘噛みされるとぴりっとした瞬間的な衝撃が走る。 新蔵が胸に夢中になっている間、背後で補助する男は背中をいたぶっていた。 耳や背中は、下手をすれば胸を揉まれたりするよりも敏感な部位だ。 乳首への衝撃には及ばないだろうが、それに準ずるくらい、刺激に弱い。 背中のくぼみや肩甲骨に唾液が多い舌が触れると、無意識に身体が感応してしまう。 胸を責められてのけぞり、背中を責められて前かがみになる。 まるでメトロノームのように、揚羽は交互に身体を揺り動かされた。 いつの間にかブラウスは脱がされ、今では肩から腕まで、上半身は全て蛍光灯の光を受けている。 胸も、肩も、腕も、背中も、ありとあらゆるところを撫でられては舐められた。 唾液の饐えた匂いで半身をコーティングされているようで、揚羽は顔をしかめた。 逐一反応を返す少女に、新蔵は満足げに彼女から距離を取り、上からその姿を眺めた。 あられもなく裸身をさらけ出した彼女の身体は若く滑らかで、人生半ばを過ぎた新蔵でさえ虜にした。 「惨めだな、お嬢ちゃん」 側近の男に背筋を責められながら胸を揉まれている少女は、ただ憐れな子羊だった。 無言の抵抗を決め込む揚羽に、新蔵は再び近づくと、程よく肉のついたふくらはぎを持って大きく開かせた。 そのまま奥へ少女を倒すと、股間が天井を向いた。 無視を貫こうとした揚羽であったが、その姿勢の恥ずかしさに堪らず声を上げた。 「い、こんな恰好、いや」 「だからさせてんじゃねえか」 新蔵ははははと笑うと、より視覚的に愉しめるようにストッキングを破って太ももの肌を露出させ始めた。 ビーッとストッキングの裂ける音が、どこか物哀しく三人の間にわだかまった。 ストッキングが所々穴のあいた形になった少女の姿に、新蔵はそそられるのを感じた。 こちらを射殺さんばかりの視線でねめつけてくる少女を力で辱めているということが、加虐趣味を後押しする。 「……ッ」 揚羽はきっと強く新蔵を見るが、その頬は恥じらいに赤くなっている。 上半身は晒され、あまつさえ下半身も肌色を拡げられた。 ブラジャーは力任せに引っ張ったせいか、ひもが緩んでだらしなく胸部と腹部の間で揺れている。 新蔵は舌舐めずりをすると、揚羽の体液で濡れた下着に唇を押し付けた。 「ちょッ!? 何やってんのよ!」 じゅるじゅるという音がすると、ぞわぞわと、まるで虫が身体中を這っていくような錯覚が肌を奔った。 「やめ、て――そんな、所ッ」 羞恥に身を悶えさせながら、揚羽が懇願するような声音で呟いた。 新蔵は当たりまと言った様子でそれには取り合わず、下着をずらして直にヴァギナを舌で刺激する。 「んっくはあああ」 割れ目をなぞるように舌が蠢くと、ぴちゃぴちゃと耳にこそばゆい淫靡な音が入ってくる。 新蔵の舌は丹念に揚羽の物を舐め上げ、矛先を割れ目の上にある萌芽へと向ける。 舌が突起の先端に触れ、弾いた瞬間、 「ウああああああああああああああアッ!?」 指で弄られた時の数倍の衝撃が、揚羽の腰を浮かせた。 円を書くように舌で弄ばれると、堪え切れない声が室内で反響する。 「うっああっ、やめ、おねがっ――アッ」 揚羽の涙声を抑え込むように、新蔵が萌芽を思いきり吸い上げた。 「あぐっ――――――――ッ!?!?!?!?!?!」 声にならない呻き声が揚羽の口を衝いて出る。 身体の芯から一つの箇所へ吸い込まれていきそうな幻想に、つい身をゆだねてしまいそうになる。 強靭な精神力と新蔵への憎悪でそれをすんでのところで引っ込めるも、何が変わるわけでもなく、揚羽はただなされるがまま新蔵の好き放題に性器を口で愛撫された。 何回叫んだか、何回イったのかわからない。 ようやく揚羽の股に埋めていた顔を上げると、新蔵は彼女の愛液でべとべとになったその口で彼女の唇に口づけた。 「んむッ!?」 饐えたような匂いと少し苦くしょっぱい味が、揚羽の鼻孔と舌にこびりつく。 自らの物を味あわせられる行為に、揚羽は涙を流した。 揚羽の口内に唾液をたっぷりと含ませて、新蔵が口を離した。 「どうじゃ――自分のモノの味は」 その口調は嘲り笑っているようで、ただむかついた。 揚羽はそっぽを向き、無言でそれに応えた。 彼女の視界から新蔵が外れる。 衣擦れの音が聞こえ始め、再び視界に入った新蔵は衣服を纏ってはいなかった。 揚羽の鼻先に、新蔵の屹立した一物が突きつけられた。 「――ひっ、イヤ!」 首を振り、揚羽はさっとそれから目を逸らした。 模造品でもない、本物の、男性器――。 鼻を衝く強烈な匂いに、思わず顔をしかめてしまう。 今までに嗅いだことのない匂いで、気持ち悪くなる。 「ふははは、初心じゃの」 揚羽の頭の後ろで、新蔵の声がした。 新蔵は自らの一物に手を添えると、わき腹をそれでつついた。 思った以上に熱い感覚に、我知らずに身体が避けた。 擦りつけるように太ももやわき腹、腕を男性器が這うと、身の毛もよだつような吐き気が胸で渦を巻く。 (気持ち悪い……こんなもの、どんなゲデモノよりもイヤだ) 新蔵は嫌がる揚羽に満足したのか、一つ嗤うと、台を跨いで揚羽を真上から見下ろした。 「お、なんじゃ、ワシのを見せたら、さっきよりも濡れたではないか」 「な――!? そんなことあるわけないでしょッ!」 もちろんそれは新蔵の方便だった。 しかしあるいは、と思わせることに意味があり、揚羽は一人で勝手にうろたえた。 狼狽し、自分を疑う。 「さすがは淫売だな」 そこに謂れのない言葉を投げかけられると、どうしようもなく恥辱が揚羽を支配する。 新蔵は言葉に惑わされる彼女の狼狽ぶりを愉しんでいた。 「さて、ではそろそろワシも楽しむとしようかの――」 言うが早いか、新蔵は腰を屈めてペニスを揚羽の双房の間に置くと、胸を使って挟み始めた。 「ぅ、なに、を」 胸にじわりと広がる暖かな熱に、揚羽は表情を歪める。 「なにって、貴様の胸でワシの物を気持ちよくしてもらおうと思ってな」 両の胸を寄せて谷間を作ると、新蔵は谷間を掻き分けるようにして腰を振った。 「う……」 胸の間で、男性のアレが擦れる感触に、おぞましさを覚えた。 (うそ……挟んでる。私の胸で、あんな、汚いモノを) 谷間の中を行き来するモノは、硬くて太い。 勢いよく出入りする様は、知識としてある性行為そのものにさえ感じられた。 喉元まで押し出されるペニスは、突きつけられたナイフの様で、どこからともなく一挙となって恐怖心が揚羽を煽った。 「イヤあッ! こんな、こんなの、やだああ!」 暴れて抵抗するも、腕を抑える男がそれを許さない。 それどころか、男は揚羽の腕を彼女の胸に持っていくと、ぐっと胸を彼女の手を使って寄せ上げた。 まるで少女が自ら新蔵のモノを挟み、しごきあげているようであった。 悟ったのか、揚羽はますます顔を赤く染めた。 新蔵の先走りが潤滑油になって、胸の間にぽたりと垂れた。 むわっとした獣臭さに、うっと揚羽は喉を詰まらせる。 それがねちゃねちゃと胸を、揚羽を汚していく。 男性の臭いが、身体に染み込んでいくようで気分が悪かった。 「ほ、なかなかいい胸じゃ」 柔らかさと感度を兼ね備えた胸は、極上の果実のようだ。 新蔵は揚羽の頭を掴んで起こすと、呆気にとられたその口にペニスの先端を突っ込んだ。 「んぶっ――!?」 亀頭が唇を割って入ると、揚羽は頭を振ってそれを吐きだした。 「うえっ、げえぅ」 (男の、あんなもの、口に…………) 恥も外聞もなく、揚羽は口に溜まった唾をことごとく吐き出した。 唇に残る男性器の余韻を吐き出すように。 揚羽は男に手を解かれ、台を跨るように座らせられる。 そうすると、ちょうど目の前に新蔵の性器があり、揚羽は自分が何をさせられるのか、奇しくもわかってしまった。 「――い、イヤッ」 涙目で懇願するも、新蔵は愉悦の籠った笑みを浮かべ、ペニスで彼女の頬を叩いた。 「さて、もう充分、ワシのは準備が整っておる」 揚羽の想像と違う方向に話が向き、訝しげに片目を開けて新蔵を見上げる。 「貴様も濡らしまくって、問題はないだろう」 ちらりと新蔵が視線をやり、揚羽はまだ楽観視していたのだと自嘲した。 男と女が性器をさらけ出しているのだ。 何をするかなど、一目瞭然ではないか。 「いや、いやいや、それだけは……いや」 同じようなことを口にしつつ、涙目で新蔵に向けて拒絶の意を表す。 「なんじゃ厭なのか」 新蔵は足の指を勢いよく少女の性器に入れた。 「あぐッ」 ぐちゅぐちゅと音を立てながら新蔵は続ける。 「そろそろイきたくなってきたころかと思ったわ」 揚羽は否定しようとした。 しかし、舌で愛撫され、胸を弄られ、知らないうちに揚羽は昂っていた。 今の、足なんかでの刺激でも、一瞬で上り詰めてしまいそうになるほどに。 「ん、なんじゃモノ欲しそうにしおって」 新蔵は足を退けると、少女を見下して言った。 「処女膜を破られたいか、それとも貴様が口でこれを奉仕するか」 選べ、と。 「そ、そんなこと、選べるわけ、ない、でしょ……」 怒りに声が震えた。 どちらも受け容れがたい提案だった。 「選べと言っておるのだ。早くせんと、これで貴様を突き上げてやるぞ!」 顔を掴みながら、ぞっとするような声音で新蔵は声を荒げる。 女性としての本能か、その声音にひどく怯え、心が揺らいでしまう。 「――だ、そんなものを、く、口で……なんて」 「そうか、では仕方あるまいな」 新蔵が乱暴に揚羽を押し倒すと、焦らすように先端を揚羽のアソコに擦りつけた。 脚を拡げて新蔵に犯されようとしたことで、揚羽は泣き叫ぶようにして新蔵の求めた言葉を告げた。 「……ったわよ」 「あ?」 「ッ――わか、ったわよ! 口で、口ですれば、いいんでしょうッ!?」 告げると、少女の瞳から涙が溢れ出た。 これ以上とない恥ずかしい台詞に、自分でももう、どこに向かっているのか見失いそうだった。 「ほうそうか、口で、チンポを舐めたいのか」 そんなことは言ってないのに、新蔵はまるで揚羽が欣然とした態度をとったかのように言いのけた。 少女はもう、口応えすらせず、ただただ身体を震わせて涙を流すばかりだった。 「そうだ、まずは手でしごけ」 揚羽の細い指がペニスに添えられると、比類なき征服感が新蔵を包んだ。 顔をしかめながらも、彼女は血管の浮き出たグロテスクなそれにおずおずと指を這わせ、一応、握った。 「そのまま上下に手を動かすんだよ、わかるだろ?」 「……」 涙に頬を濡らしながら、悔しそうに俯きつつも、そろそろと手が動き始めた。 ただの上下運動ではあったが、それをあの怪盗少女が行っているという事実が、新蔵の欲情を掻き立てる。 亀頭の先から出た液が垂れると、それが手や竿を濡らしてにちゃにちゃとした音を出す。 匂いがむっと強くなり、揚羽の顔がより険しくなる。 「唾を垂らせ」 「は!?」 「それに唾を垂らして滑りをよくしろと言っているんだ」 命令口調にむかつきながらも、貞操の危機を回避するためには一時とは言え従わねばならない。 もごもごと口を動かして唾液を溜めると、新蔵のそれに唾液を垂らした。 「そう、そのまま続けろ」 ぬるっとした感触に顔をひきつらせる。 (……手がべちょべちょ) 一定のリズムで上下にしごくたびに、一物は手の中でびくびくと脈打つ。 (私……どうして、こんなことをしてるんだろう) 新蔵はきっと、私にこれを挿れるだろう。 こんな人間の言うことを信じるはずはなかった。 しかし、ここまで蓄積された疲労や倦怠、様々な恥辱や屈辱で、揚羽はすでに正常な思考がどこにあるのか分からなくなってしまっていた。 ともすれば、新蔵の言うとおり自分は本当に淫乱な売女なのではないかと錯覚してしまうほどに。 何かのために行動するのは楽だった。 復讐という旗を掲げて一つのゴールに向かうのに、思考はあまり要らなかったからだ。 誰かのために、何かのために、行動を起こすことは、波に揺られているような心地。 命令があるというだけで、揚羽はどこかしらで僅かな安堵を覚えてしまっていた。 揚羽の意識とは裏腹に、それは隠然と彼女の根底で鼓動している。 抵抗する自分と、彼女自身が気づかない心の最奥での堕落した自分。 今の揚羽は、その二つを内包した実に脆く、不安定な存在だった。 「きちんと空いた手で玉も転がせ」 空いている左手で、男性器の下にぶら下がっているモノを触ると、びくん、と大きく手の中のモノが跳ねた。 「こっちをみながらやれ」 揚羽は上目遣いで新蔵を見上げながら、手で玉を転がし、竿をしごき続けた。 新蔵は、自分の足元に跪いて奉仕する怪盗の姿に全能感を覚えていた。 もっともっと、女としての責務を身体に覚え込ませてやろうと、次の命令を口にする。 「舌で舐めろ」 低い声に、揚羽はためらいを見せる。 (舐めるって……コレ、を?) 雄々しくそそり立つモノは、お世辞にも舐めたいと思えるような代物ではない。 臭いし、見るからに変な味がしそうだ。 「舐められないなら、ワシがさせてやる」 新蔵は言うが早いか、肉棒を彼女の小さな口に無理やりねじり込んだ。 「んぶっ、あぶっっ、ごほぅっ」 その太さと長さに、彼女の喉の奥まで新蔵の性器が届く。 「げほっ、げほっげほげほ」 新蔵はすぐに腰を引くと、言い聞かせるように、脅しつけるように、 「苦しいだろう? 苦しくされたくなかったら、舌で舐めるんだ」 少女の口から舌を摘まみ出した。 「は、はひ」 荒い息遣いで少女は肯定するしかなかった。 酸欠で息が出来なかったのだ。 新蔵のモノを掴むと、少女はおずおずと小さな舌を伸ばして亀頭に触れさせた。 「んっ……ふ」 チロチロと小幅な舌の動きに、新蔵はいまいち心地よくなかった。 「もっと裏を、下から上へ舐め上げろ」 下から舐めようとすると、必然鼻に性器がつき、激臭が襲う。 揚羽は口で息をしながら、そっと玉の真上に舌を這わせた。 舌を当てたまま、顔を上げるようにして一気に上までを舐めた。 舌の上には奇妙な味と感触が残っていたが、 「もっとやれ」 休む暇は与えられそうになかった。 「んっ……ぴちゃ、れろ、あふ」 ソフトクリームを舐めるように、揚羽は丹念に新蔵のモノに舌を這わせる。 唾液がある方が楽だということに気付くと、たっぷりと舌に唾液を乗せて舐め上げる。 「あふ、じゅる、ぴちゃ、れろ、んっあふっ」 新蔵に強いられ、先走りも舐め取らされた。 ねばねばしていてしょっぱく、とてもじゃないが口の中に入れたくはなかったので、唾液と一緒に舌に乗せて外に出した。 しばらく舌と唇で舐めさせられ、やっぱりかと、揚羽は辟易しながら新蔵の命令を聞いた。 「よし、ではそろそろ咥えてもらおうか」 揚羽は今一度、ペニスをみる。 握った手の形はOKサインの様で、その太さはかなりのモノだった。 揚羽の小さな手ではようやっと握れているというほどだ。 (こんなものを……口に、入れろっていうの) 泣きそうな顔で、揚羽はペニスをじっと見る。 「ほれ、どうした、咥えたいだろう?」 にやついた顔の新蔵の物言いに、「咥えたくなんかないわよ……」と誰ともなく呟いた。 「はやくしゃぶらんか」 揚羽は眉間にしわを寄せ、口元を悔恨の形に歪めた。 ぎゅっと瞑った目からはやはり涙が流れ、揚羽は意を決して、ゆっくりと口を開いていった。 新蔵から見れば、それは服従するただの奴隷でしかないのだろう。 自らのモノを扱かせ、奉仕させる小間使いが、今の揚羽の姿だ。 胸で挟んで腰を振り、手で扱かせ、舌で舐めさせ、一体何が楽しいのだろう。 その度に鼻息荒く呻く新蔵が、ただただ理解しがたく、また怨みつらみをぶつけたかった。 けれど、言うまでもなしに、揚羽は心身ともにひすらいでいた。 揚羽の口が、亀頭を呑む。 肉棒の大きさに合わせるように、揚羽が大口を開けた。 三分の二ほどを口に含んだところで、上目遣いで新蔵を見上げる。 憎たらしいくらいに支配者の顔をしていて、いっそこの汚らしいモノを噛み千切ってやろうかと思った。 むろん、出来たのならやっている。 けれど毒を吐き続け、身体を蹂躙されたあとでは、もうそれだけの体力は残っていない。 あと自分に出来るのは、苦しくさせられないように新蔵の命に従うことだけだった。 それは揚羽にとってこれ以上と無い屈辱だ。 だが、命、そして貞操を守る希望が一縷でも残っているのなら、どこまでも揚羽は堕ちれるだろう。 「そう、そのまま舌を動かしながら、顔を前後させるんだ」 言われるがままに、揚羽は頬一杯にペニスを含み、顔を前後させた。 じゅぷじゅぷ、という音が、なぜだか揚羽を刺激する。 股間が熱くなり、じくじくと愛液が漏れるのを感じる。 (私……感じてる、の? こんなもの咥えさせられて、こんなことさせられて…………? うそ、そんな、こと) 口内にある肉棒に舌を這わせながら顔を動かすと、新蔵が僅かに呻いた。 新蔵はたまらなくなったのか、自ら腰を動かし始めた。 「……んぶっ、ぶぁあっ、ぐっんぅぶぅっおぇっ」 「ちゃんと口をすぼめるんだよ、あと舌も使えよ。でないともっと苦しくしてでも、ワシ本位で行為をするからの」 揚羽は言われたとおりに口をすぼめて、舌で肉棒を刺激した。 「覚えが早いじゃないか、さすが淫乱の素質がある」 (好き勝手、言って……) 身体の性質か、口の中は唾液で溢れていた。 大口開けているからか、顎から唾液がだらだらと滴る。 ペニスにも揚羽の唾液がねっとりとついて、それを掃除するかのようにまた揚羽の舌と口が舐めていく。 (こんなことさせられて、こんなことして…………私、もう) 目を閉じ、なぜこうなってしまったのか自問するも、息苦しさでそれどころではなかった。 奥まで咥えることを強要され、揚羽は空嘔吐きをしてまで喉の奥まで肉棒を含む。 「んぶっあっふうぁっれろ、あ、れろ、じゅぷ、じゅ、ぅぶっ」 揚羽の口が小さいからか、新蔵のモノが太いからなのか、顎が疲れてますます噛み千切るどころじゃない。 ぐ、っと奥まで入れられると、揚羽は新蔵の太ももに爪を立てる。 それでも解放してもらえず、ばんばんと太ももと叩く。 そこでようやく、口から肉棒を吐きだせ、盛大に噎せるとともに、唾液がどぼどぼを揚羽の顎から胸に落ちていった。 「げほ、おえっ…………はあ、はあっうっあ、はあはあはあはあ」 「ワシのは美味しかったか?」 「……おいしい、わけ、ないじゃない」 口元を拭うこともせず、だらんと俯きがちに揚羽は応える。 大きく口を開いていたので、とても疲れる。 おまけに息がしづらかったので、喘ぐように息を大きく吸い込むために口はだらしなく開いたままだ。 新蔵は立っている事に疲れたのか、揚羽の頭を台に押しつけるようにしながら座りこんだ。 揚羽は犬みたく四つん這いの姿勢を取らされながら、新蔵のモノで口腔を犯される。 「んっっぶぁっ、ぷぁっ」 頭を持って揺り動かされると、血が上ってくらくらしてくる。 少女はそれに、台の縁を強く掴むことで必死に耐える。 口からだらしなく跳び出る唾液が彼女の口元や、新蔵の股間、台を濡らす。 ぴちゃぴちゃと揚羽が新蔵のモノを口で慰撫する音だけが、室内で虚しく繰り返されている。 「――――――っぷ……ぁあ」 ようやく肉棒が引き抜かれると、二人を繋ぐようにして唾液が糸を引いている。 酸欠で頬を上気させた揚羽は、無心でただ酸素を求めて全身で息をするだけだ。 「やはり、テクニックもくそもない貴様の口なんぞ、肉体的な快感など感じられんな」 させておいて、と揚羽は思うも、言葉となって出てはいかない。 酷使した顎や舌や唇が、わなわなと震えるばかり。 新蔵は立ち上がると、姿勢そのままの揚羽の背後に回って、細い腰を固定するように強い力で掴んだ。 頭を台につけるように押しつけられると、必然的にお尻を突き出すような格好になる。 抵抗したかった。 犬と同等な扱いをされた屈辱、隠すこともできぬまま大切な場所を新蔵に晒している羞恥心で、どうにかなってしまいそうだった。 けれど揚羽の口から出るのは唾液と二酸化炭素がせいぜいで、疲弊した身体では精一杯の反抗も出来そうにない。 反抗心に質量があれば、それだけでこいつを殺してしまえるのに。 「喜べ、貴様の初めてはワシが貰ってやる」 改めて宣言されると、全身にねっとりと恐怖心が広がっていく。 イヤだ、怖い、こんな奴に私の初めてが――処女が――――。 ぐるぐると回る思考は絶対的な拒絶。 こんな形で、犯される……凌辱、される。 性交渉、セックス、いつか愛した誰かとのを夢見ていたのに。 揚羽は切歯扼腕する。 身体が仕方なく受け入れてしまっても、心では絶対に許容してやるものか。 そう決心してすぐ、身体に焼けた杭を刺されたような衝撃が揚羽を襲った。 「――ッアアァアぁああアアァアぁぁああッッッッ!?!?!?!?!?!」 歯を食い縛っても、 拳を固く握っても、 全身で身構えても、 足で踏ん張っても、 耐えられないほど、それは今までに感じたことのない、ありえない質量を伴っていた。 身体の中に入れられるということに対する恐怖心や諸々が、この瞬間だけは全て吹き飛んでいた。 頭が真っ白になって、認めたくはないのに、紛れもない快感がぐちゃぐちゃに揚羽を掻きまわすように暴れた。 ひくひくと膣が収縮するのがわかる。 呑み込んだ新蔵のモノの形が手に取るように感じられる。 充分すぎるほどほぐされた揚羽のソコは、新蔵のペニスを拒むどころか、待ち望んでいたかの様にあっさりと受け入れてしまった。 心では屈しないと決め込んでも、やはりどうして、という疑問が払拭できずに、悔しさに嗚咽を漏らした。 「なんじゃ泣いておるのか、いま、激しくイっただろうに」 新蔵は入れたまま、より深くに突き刺そうと体重をかけてくる。 その度に、揚羽は面白いように嬌声を上げて呻き、喚いた。 ずるっと吐き出したかと思うと、ぐん、と突いてくる。 男にレイプされた痛みを説明するとき、瞼を無理やり開かれてそこにソーセージをぐりぐりと押し込まれるような痛みと説くらしいが、まさにそんな感じだった。 レイプされた、汚された、犯された、入れられた―― 女であることをこれほど怨んだことはなかった。 この絶望感と無力感は、この先二度と感じることはないだろう。 「ほれほれ、気持ちいだろう? 雌犬がっ」 新蔵は言葉と腰の動きで、揚羽を責め立てる。 「ウああアッ、ああぐううう、いっがぁああああアッ、うっあっあッ」 その声はもはや遠い彼方でしかなかった。 揚羽はいいように疲れるばかりで、もう何も考えることが出来なかったのだ。 パンパンと新蔵がしたたかに腰を打ちつける。 杭を打ち込むように、一心不乱に腰を突き出す。 揚羽は疲れるときだけでなく、出ていくときさえも喘ぎに喘いだ。 全身がぶるぶると、新蔵が一瞬呆気にとられるくらいに震え、十数回突かれるごとに面白いくらいに果てた。 新蔵は一度動きを止めると、揚羽の脚を持ち上げて身体を横たえさせた。 「はは、みろ、美味しそうに呑みこんでおるわ」 「イヤ……見ない、で」 朦朧としながらも、恥ずかしさが込み上げた。 新蔵はまた腰を振った。 「ッうはあああああああああああああああああああああ!?」 身体の向きが変わったからか、今まで当たっていなかったところに新蔵のモノが当たった。 それが強い衝撃となって、また波が快感の押し寄せてきた。 感じたくなんかなかった。 生理現象だと自分に言い聞かせた。 それでも、快楽は寄せて返す波の要領で徐々に揚羽の中で満潮に達する。 芯の硬さと、少しの柔らかさを持つペニスは、性器を模したバイブなんかよりも数倍の刺激を与えた。 新蔵は揚羽の左太ももを抱えるようにして持つと、音を激しく立てながら突き続けた。 「ぁああああああッッッ!!!!」 目を強く瞑り、見えない快楽から逃れようとする。 目を逸らしたかった。 もうイきたくなかった。 新蔵は駆け馬に鞭を打つように、揚羽を何時間にもわたって嬲り続けた。 今までも、少女の精神を崩壊させるには充分すぎるほどの仕打ちだった。 その果てにこの、レイプという鞭が揚羽の身体に無数の傷をつけていく。 癒えることのない傷を。 トランプとして破れ、一人の女としても、彼女の持つ刀も矢も折れ尽きて、残ったものは一握の矜持のみだ。 そんなものでは好み一つ守ることなど出来ない。 ひとしお強く肉棒を突き刺すと、傍観していた男が揚羽の身体を脇の下から手を入れて無理やり起こした。 じっとりと汗ばんだ身体は熱を放ち、人間味がありありと感じられた。 新蔵は台に寝そべっていて、揚羽は跨ぐように肉棒の上から落とされた。 「んぐあああああああああああああああああッ!?」 自らの重みのためか、さっきよりも深く突き刺さった。 怖いくらいに太ももが痙攣して、息が一瞬出来なくなった。 新蔵が揚羽の腰を掴むと、下から突き上げてくる。 「うあっああッ!!!」 突かれるとふわりと身体が浮く。 そして自重によって落ちると、全体重がかかる。 それを繰り返すと、まるで手ずから腰を振って肉棒を求めているような図になる。 「ッウふっふっぐああっひ、あっ」 もうずっと快感が揚羽の身体を支配していた。 収まるところを知らないのか、いっそう強い絶頂が彼女をおかしくさせる。 脇の下から揚羽を持ち上げていた男が、彼女の肩に手を置くとぐっと身体を沈めさせた。 他人の力で、ずぶりと奥まで肉棒がめり込んで、揚羽は大きく体をのけぞらせながら何回目かの絶頂を迎えた。 ペニスを引き抜かれると、否応なしに揚羽は台に倒れ込んだ。 息も切れ切れで、フルマラソンを完走したあとのようなありさまだった。 はっはっ、と忙しなく胸が上下する。 新蔵も荒い息をもらしながらも、休むことなくそのまま揚羽の脚を大きく広げた。 ぱっくりと開いた膣に、ギンギンに硬くなった一物を宛がい、入れる。 ここでしか味わうことのできない、何とも言えない感覚に、濃い息が漏れる。 新蔵は正常位が最も好きな体位だった。 レイプならば嫌そうにする表情や、泣いている表情、悔しそうな表情や辛そうな表情――ありとあらゆる顔が見られるからだ。 新蔵は揚羽の手首を掴むと、手綱を引きよせるようにして腰を強く打ちつける。 「ッあ――――――」 引きよせた腕によって、ふくよかな胸がより強調されて谷間を作り、ぷるぷると動く。 少女の口からはもはや喘ぎ声しか発せられない。 「はあはあはあ、貴様の中、なかなかいいではないか」 若い少女の初物は、あれほどいたぶったにも関わらずきつく、素晴らしい締め付けだった。 溢れる愛液は限度がないかと思われるほどで、ぬるっとした感触も申し分なかった。 女の抵抗がなくなったことを除けば。 しかし新蔵には女が最後に見せる抵抗を知っている。 「――そろそろ、イってしまいそうだ」 揚羽が露骨に顔をばねのようにしてあげた。 その眼は光を取り戻し、驚愕に見開かれていた。 「――このまま、たっぷりと出して、やる」 新蔵が腰を打ちつける速度と頻度を上げた。 「だっダメっ、イヤ、イヤ――中はっ、ナ、中はダメッ!!!」 最後の力を振り絞って、揚羽は顔をぶんぶんと振った。 それだけは、身体も心も許してしまってはならない、越えてはならない一線だった。 「ッ――お、お願い、中だけは、許して」 「貴様にはワシの子を孕んでもらうとするかの」 「冗談じゃ、ない! それだけは、絶ッ対に、い、イヤ――ッ」 言葉を交わす間にも、新蔵はどんどん杭を打ち付けてくる。 中に入っているものも、膣壁を押し拡げるようにぴくぴくと震えている。 新蔵は卑下したような笑みを浮かべるばかりで、揚羽は足を縮めて新蔵を蹴ろうとしたが、突かれるたびに無意識に足が伸びてしまって出来そうになかった。 「な、何でも、言うこと、き、聞くからッ」 咄嗟に口を突いて出たのは、自分でも予期しなかった台詞だった。 「…………ほう?」 新蔵としては、中出しをカードに屈服の台詞を言わせるつもりであったが、手間が省けたとばかりに言葉を継いだ。 「中はイヤか」 「イヤ……中だけは、ダメッ」 「では、どこに出してほしいのだ」 「外に、外に出して」 「外とはどこだ」 「とにかくっ、外にッ――」 「では――顔に、たっぷりとかけてやろうか」 「か、顔……!?」 新蔵のまさかの提言に、揚羽は絶句するしかなかった。 (私の顔に…………アレ、が………………?) 想像するだに、それは恥辱にまみれた姿だった。 「顔なんて、い、ヤだッ」 喘ぎ声混じりに言う揚羽の声と姿はつやっぽく、それが新蔵の射精感を高めていく。 「ならば」 新蔵は言い、揚羽の口に指を突っ込んで開かせた。 「口に出されたいのか?」 顔か口か――それが新蔵から与えられた選択肢だった。 口の中に、男性のアレを出されることは嫌だった。 かといって、顔にかけられることだって嫌だ。 「そんなっの、選べっえら――選べ、ないっ」 泣き顔で揚羽は言う。 「ではこのまま中で出すだけだ」 堪え切れずに揚羽は泣き喚いた。 どちらかを選ばなければならない。 ではどちらを選べばいいというのか。 顔を汚されるのだって、口にあんなものを出されるのだって、されてくないに決まっている。 しかし、嫌がることをさせたいのだろう。 「…………に」 揚羽は、懇願するしかないのだ。 従順に、心から、この腐った人間に。 「口に出せばいいでしょうッ!?」 言うと、涙が止まらなくなった。 悔し涙が溢れる。 きっと新蔵を睨み上げると、にたりと奴が笑みをこぼした。 「言葉遣いがなってないのう……『口に出してください、お願いします』だろう?」 「ッ!」 どこまでも腐っている。 しかしペニスは脈打つ速度を上げ、心なしか太くなっている。 即断即決しかなかった。 「く、口に出して、くださいッ、おね、お願いしますッ――!!」 うやむやにされないように声を張り上げた。 それは傍目から見ても、憐れな台詞だった。 「は――仕方ない。口に出してやるから、飲めよ?」 「……ッ、勝ッ手に、しなさ、いよッ」 「言葉遣いが悪いねえ」 「ああアアああアッ! の、飲ませてくださいッ! これで、これでいいんでしょう!?」 「上出来だ」 パンパンパンパンと打ちつけられ、水が飛び散る音が増える。 いよいよ新蔵が限界に達しようとしていた。 「口を開けろ、開けろ!」 揚羽は恥ずかしさに耐え、口を開けた。 「舌も出すんだよ」 眉間にしわを寄せながらも、揚羽は舌を「んべ」とあかんべーの意味も込めて出した。 そうでもしなければ、やっていられなかった。 出されるのを心待ちにしているようなナリは、ことさら屈辱的だった。 「あっあっあっあっ――」 屈辱的なのに、いかんともしがたい快感の波が押し寄せてくる。 もう少しでイけそうだったのに、その直前に勢いよくペニスが引き抜かれた。 イヤだ、と叫ぶ暇もなかった。 何かがかかった衝撃が、頬からおでこに奔った。 それはホースで水をかけられているような感じで、どろっとしたものが何度か顔を打つ。 「んぅッ!?」 そして生温かいモノが揚羽の口に突っ込まれると、中でそれが幾度となく震えて、勢いよく液体を吐きだした。 むわっとした臭さが鼻から抜けた。 喉の奥をつく液体を、否応なしに嚥下してしまうも、貼りつくような粘性で、噎せる。 勢いが弱まると、舌の上や口の中にどろどろとしたものが広がって、すぐにいっぱいになって口の端から外に漏れた。 凄まじい量の精液が、揚羽の顔と口内に注がれた。 しばらくぴくぴくと脈打っていたペニスが鎮まると、何度か抽出し、引き抜いた。 新蔵は自らのモノで汚れた少女を見下ろした。 顔の左半分を汚した白濁が、顎や口元をべたべたにさせた精液が、彼女の綺麗な小顔とコントラストをなしていた。 「ほら、何をやっている、口の中のモノを飲め」 揚羽は恐る恐る右目を開け、新蔵をひと睨みして苦しげに喉を動かした。 粘つく液体は嚥下しづらく、吐きそうな生臭さだった。 数回に分けで嚥下すると、「うえっ」と蛙が潰れたような音が口から出た。 「……う、おえっげほっげほっ」 彼女は噎せ、咎めるように言う。 「顔に……口って、言った、じゃない」 顔の左側にかかった精液が、どろりと重力に従って垂れていく。 ナメクジが這っているようなおぞましさに、また吐き気が襲ってくる。 (顔に……精液、が…………私、こんな奴の、飲まされ、て……顔にもかけられて………………) 虚脱感が揚羽を絡め取る。 顔だけは嫌だった……口だって、言ってしまえば全てが嫌だった。 でもされた。 女として、顔や口にあんなものを出されるなんて最悪だった。 でもされた、強要されたにしても、自分から言わされた。 やり場のない感情に、揚羽は翻弄される。 私が臨んだわけじゃない、私が望んだわけじゃない。 そう必死に言い聞かせながら、揚羽は泣くことしかできなかった。 新蔵は肩で息をしているが、もう揚羽を見てはいなかった。 寿新蔵宅に怪盗トランプが忍び込んだという報道は一切されなかった。 新蔵が緘口令を敷いたのか、そもそも忍び込んだのかすらカシノシティの住民には定かではなかった。 ただその日を境に、一人の少女が表舞台から姿を消した。 表向きは転校、養子として里子に出されたとか、様々な憶測が学内学外で飛び交ったが、真実を知る者は外にはいなかった。 SS一覧に戻る メインページに戻る |