シチュエーション
「う……ぐグ…」 地上征服を企む闇妖怪たちの軍団・デスイービル軍団。その地上基地の中、うめき声を 上げる正義の戦隊・テクノレンジャーの紅一点、テクノピンクこと桃山絵美華。 ちょっとした油断からデスイービル軍団の罠にはまり、囚われの身となってしまったの だった。 「そんな小娘、生かしておく必要はあるまい。さっさと始末をしたらどうだ。奴等が 一人減れば我らが勝ったも同然ではないか」 千載一遇のチャンスとばかりに処刑をはやし立てるのは冷酷参謀クルエル。 「慌てることはないワ。いくらテクノレンジャーと言えども、この状態でここから 脱出出来っこないでしょう。それに奴等の秘密を聞き出すまでは生かしておかないと」 クルエルの言を直ちに否定し、変身装置を奪い取られた上に手足・口を縛られ、壁に 鎖で繋がれた状態の桃山絵美華を見つめてほくそ笑む女幹部。彼女の名は蠱惑密使 セダキナ。 中毒性の高い強力な媚薬の原材料として珍重されて来た七色の魔花セダクネの妖精が 闇の力を得て生まれた魔性の女闇妖怪だ。デスイービル首領にその力を買われ、 闇妖怪界から幹部待遇で迎えられたのである。 「それにこの小娘は確か…。フフっ、面白い作戦を思い付いたワ」 桃山絵美華の姿をひとしきり見つめ、何かを思い出し不敵な笑みを浮かべた後、 くるりと体を翻し、男幹部達に話しかけるセダキナ。 「私がこの小娘に化け、テクノレンジャーの奴等を誑かして仲間割れさせる。貴方達 はその隙をついて残りのメンバーを襲撃するのよ。どう、面白いでしょ?」 「誑かす? 何故そんなまどろっこしいことを。さっさと小娘を始末して、残りの奴等を 一気に叩き潰すまで!」 一本調子で反論するのは剛力軍曹パワキル。 「オホホホホ。貴方達はいつもそんな調子だから失敗ばかりするのよ」 「な、なな何だとォッ!!」 セダキナの挑発的な言葉に激高し、彼女に詰め寄るパワキル達。 「仲間割れとは何事だ、この愚か者どもめが!」 突如アジトに響き渡る首領の声。デスイービル首領の登場だ。 「ししし首領様。この生意気な女が我々をバカに…」 「パワキルよ、控えるのだ。お前達が仲間割れの見本となってどうする。セダキナの 言うように、敵に付け入る隙を与えるだけであろう」 首領の叱責に驚き慌てつつも、セダキナを指差しなじる男幹部達。 「しし、しかし首領様。このケバい毒花女に何が出来ると仰せで」 (フンッ、馬鹿な奴等) 男幹部達に冷たい視線を送った後、首領に冷静に答えるセダキナ。 「首領様、テクノレンジャーとて所詮は男。男には女の武器が一番にございます。 私の調査によれば、この小娘はテクノブラック=黒井修とテクノブルー=青井純夫の 秘めたる欲望の対象となっておりますワ。まさに私の能力がお役に立つかと。ンフフ」 「うむ、よかろう。セダキナよ、その作戦を遂行して見せよ」 セダキナに命じる首領。 「有り難き幸せに存じます」 「その前にそこの男どもにもお前の術を見せてやるが良い」 「ハッ、かしこまりました首領様。では早速。ンフフフフフ…蠱惑化身!」 妖艶な掛け声と共に両手で空中に「♀マーク」を描くセダキナ。その筆跡が七色の光を 放ち彼女を包み込んだかと思うと、次の瞬間、そこにはレンジャーチームの制服を 纏ったテクノピンク=桃山絵美華その人の姿が。 いや、違う。確かにその容貌は桃山絵美華のものだが、七色の妖花セダクネを飾り、 長い黒髪を下ろし掻き上げ首領を見つめるその表情はゾクっとする程に美しく妖艶。 タイトな薄手のピンク色の超ミニスカートに、ぷりんとしたヒップの山とパンティ ラインが浮かび、黒いブーツとの間に挟まれたむちむちの白い太腿が妖気を発散。 魅惑の流線型ボディラインを強調したボディ・コンシャスなブラウス。その生地を 張り裂かんばかりに盛り上がった豊か過ぎる美しい胸の膨らみ−それは本人のものとは うって変わった魔性の美巨乳−をわざとらしく強調し、全身から禁断のフェロモンを まき散らしている。こんなエロい正義のレンジャーメンバーがいるはずがない。 「ンフッ。いかがにございますか、首領様」 肢体をくねらせセクシーポーズを取る桃山絵美華姿のセダキナ。その禁断の魅力に、 先程までセダキナを馬鹿にしていた男幹部達も生唾を飲み込み立ち尽くすだけだ。 その中でも冷静に反応する首領。 「うむ。実に素晴らしい。だが、少々やりすぎではないか?」 「ウフフ。ご心配には及びませんワ、首領様。これこそが奴−テクノブラックこと 黒井が思い描いていた理想の桃山絵美華の姿。すぐにこの姿に釘付けになり、誘惑に 落ちること間違いございません」 「成る程、流石は儂が見込んだだけはある。期待しておるぞ」 「ハッ、お任せください首領様。見事奴等を誑かし、この私を奪い争うようにし向け て見せますわ」 可愛らしくも妖艶な顔に邪悪な笑みをたたえ、片膝を付き、首領の手に口づけ忠誠の 礼を取るセダキナ。太腿を艶めかしく動かし、股間奥のいやらしいレースのパンティを チラつかせる。 「んふっ、待ってらっしゃい。絵美華が虜にしてあげる。うふふふっ」 そう呟いたセダキナの声は、脳天をとろけさせるほど甘く可愛い桃山絵美華のものに 変わっていたのだった。 「ねぇ」 「ふぁああ…だれ…」 本部の仮眠室で仮眠を取るテクノブラック=黒井修(おさむ)の耳元に囁きかける人影。 「ねぇ。私よ、絵美華よ」 声の主は桃山絵美華だった。 「ふぇっ? 朝から冗談は…」 寝ぼけ眼をこすりながらベッドから起きあがる黒井。薄ぼんやりとした意識が次第に 晴れ、彼の目に一人の女性の姿が像を結ぶ。 「えっ! え…みか? 嘘だろ!?」 そのまさかだ。黒井の目の前にいるのは、定期パトロールに出掛けた後、ぷっつりと 連絡が途絶えたまま帰還せず、徹夜での捜索が続けられていた、桃山絵美華その人 だった。彼女の姿を認めるや否や、絵美華に強い調子で問い質す黒井。 「絵美華…お前どこに行ってたんだ! 心配したんだぞ!」 「ごめんなさい。道に迷っちゃって…でもこうして帰ってきたから大丈夫。ねっ」 甘ったるい声で言い訳にならない言い訳をし、可愛らしく振る舞う絵美華。いつもの スポーティなポニーテールから一変、長い黒髪を下ろし、七色の花の髪飾りを付けた その姿はドキっとするほどに美麗。その顔も、これまでに見たことのないような美しさ と官能的な表情を湛えている。 下ろした髪の毛を指先に巻き付けたり、梳かすようなしぐさ。その手がブラウスの生地 を張り裂かんばかりに盛り上げる二つの大きな膨らみにぶつかり、山をぷるるんと 震わせる。 (え、絵美華。こ、こんなに巨乳だった…んだ) 圧倒的なボリュームの絵美華の胸に一気に釘付けになる黒井。美しく張りのある造形が ブラウスの生地に透け浮かぶ。そしてそこには本来存在すべきシルエット=ブラジャー は無く、まさかの突起が表面に。 「わっ… の (のの、ノーブラ…!?)」 「んふっ。なぁに?」 「い、いや、何でも…」 「ねぇ。ちょっと暑いわね」 黒井の視線を更に引き付けるかのように、その手を髪から胸元へと移動させ、窮屈な 襟元を摘んでパタパタとさせる絵美華。 「あっ…ん」 その動きに、解れかけていたボタンが弾ける。驚いたような甘く色っぽい声を上げる 絵美華。襟元が大きく開き、こぼれ落ちんばかりの白い巨峰と深い谷間がくっきりと 露わに。 (ひゃあっ。すすすごい…。柔らかそうで…ぷるんとしていて…) 胸だけではない。視線を落とすと、ギュッと絞られたブラウスによって強調された ウェストのくびれ。その下にはギリギリ丈のタイトなピンク色の超ミニスカートが 下半身にピッチリとまとわり付き、ムッチリとした肉感的な太腿の間から、今にも 下着が顔を覗かせそうだ。 (わっわっわっ、パ ン…が見え…そう。で、でもこの服。ま、まさか…) 目の前の絵美華の姿。それは黒井が毎晩妄想し「おかず」にしていた姿そのもの。 が、道に迷って行方不明になった翌朝に、理想のエロ衣裳で「おかず」になりに来る など、絶対にあり得ないはずだ。だが、絵美華のその禁断の魅力は、黒井のちょっと した疑念を軽く吹き飛ばしてしまう。 高鳴る胸の鼓動を必死の思いで抑えつつ、一方で堪らない表情で絵美華の姿をぼ〜っ と見つめる黒井。その姿を見て、口元に笑みを浮かべる絵美華。 「ねぇっ。どうしたの、ぼ〜っとしちゃって…」 「あ、いや、その…。絵美華がその…。綺麗で。凄く。その食べたいちゃい位で」 「わぁっ、急にもう。ねぇ、横に座ってもいい…?」 「うぁ、ああ。もも 勿論」 「うふっ。嬉しいっ」 とびっきりの可愛い笑顔を見せ、ベッド上の黒井の真横にしなりと腰掛ける絵美華。 全身から漂う甘い七色の花の香りが黒井の鼻をくすぐる。ピンク色の超ミニスカート と白くむっちりと肉感的な太腿、そして黒光りするニー・ブーツのコントラストが 扇情的な雰囲気を醸し出す。僅かに開かれた太腿の奥に、レースのパンティが顔を覗かせ、 禁断のフェロモンを撒き散らす。 至近距離に迫る絵美華の姿に下腹部が熱く充血し、息遣いが荒くなる黒井。 「(パ、パンティががが…我慢でき…) んぇ、絵美華。その。連絡。その。ぁ…ぁ…」 しどろもどろになる彼の言葉を引き取るかのように黒井の手を握り、ゆっくりと細く しなやかな指を絡める絵美華。 「ごめんね、急に。私、直接会って謝りたくって。大好きな人に…」 「え、えっ え 絵美華…。い、いま何て…?」 「んんっ。こんな感じ。ドキドキしちゃってるの…」 じっとりと黒井を見つめ、彼の心を揺さぶる甘美な言葉と共に、その手を自らの はち切れんばかりの膨らみへと導く絵美華。黒井の手に乳房の柔らかい感触が伝わる。 絵美華の唇から漏れる嬌声。 「あんっ。んっ…あぁ…んっ」 「ぁっ!? え え…みか。そそその。っぱ…い」 驚き絵美華の顔を見上げる黒井。だが彼の表情には抑えても抑えきれない爆発寸前の 欲望がくっきりと浮かんでいる。 「私、貴方にいっぱい気持ち良くなって欲しくて」 「んぇ!? えっ。ええっ…」 「だからこの服にしたの。スタッフの人に貴方の好きな服を聞いて…」 「え えみ…か。だから…」 「ねっ、エッチな絵美華は嫌い?」 「そそそ、そんな事、あるわけ……ないだ ろ。好きに決まっ」 「嬉しいっ。私もだぁ〜い・す・き」 黒井に抱き付くように寄り添い、彼の耳元に脳天をとろけさせんばかりの甘い声で囁く 絵美華。同時に彼の手をブラウスの中へと導き、生の美巨乳をゆっくりと揉ませる。 黒井の手から脳に伝わる淫靡な柔らかい感触。 「え え 絵美華っ…」 「あんっ…ぁん…もっと」 嬌声を上げながら黒井に覆い被さるように密着し、彼の唇にその艶やかな唇を近付け 囁く絵美華。 「キ・ス」 「えっ…あっ」 矢継ぎ早に繰り出される絵美華の大胆な、だが、彼が待望していた行動に歓喜の声を 上げる黒井。二人の唇が重なる。舌が空中で絡み合う。再び唇が重なる。繰り返される行為。 「んっ。あんっ…ちゅっ ちゅぷっ…」 「えみゅ…く…」 「アンっ。私のものになって」 「んっ、ぁ?」 その言葉と共に、絵美華の瞳が怪しく七色に発光したかと思うと、彼女の口内から 粘着性の高いピンク色の液体が黒井の口内にドロりと流し込まれて行った。 「ンゲボッっ。えぇ…み…ぁ」 黒井を常人ではあり得ない力できつく押さえ込み、唇を重ねたまま液体を流し込む 絵美華。欲情しながらももがき苦しむ黒井。だが少しの後、黒井の目つきが生気のない トロ〜ンとしたものに変わった。表情はうつろなまま、肌も薄青白く変貌している。 彼の変貌を確認し、唇を離して邪悪な笑みをこぼす絵美華。 「ンフフフフフっ」 「あ、ああ。俺は…。絵美華。今すぐ…したい」 薄ぼんやりとした意識のまま、彼女の肢体をせがむ黒井を押し返し、甘く囁く絵美華。 「あんっ、今はダメ。今晩カフェで二人っきりで。ネッ。内緒ヨ」 「んあ、ああ。俺は絵美華の事は…誰にも言わないで…おくよ」 「そう。私の言うことだけ聞いてネ。そうすれば、さっきの続きのイイコト…」 「ああ。はぁはぁ…」 「じゃあ今晩ネ。それまで大人しく寝ていてネ。ンフフフっ」 うつろな表情のまま佇む黒井を後に、仮眠室から立ち去る絵美華。部屋を出るや 否や、先程までの甘く可愛く色っぽい声が嘘のように、低く邪悪な勝利の声を上げる。 「ンフフフフッ。まんまと引っ掛かったわね。私の調査通り、所詮テクノレンジャー と言えども只の男」 自らの姿を見ながら歩み始める絵美華。 「私の媚薬毒蜜から逃れた者はいないワ。後は毒が回るのを待って仕上げるだけ。 次はテクノブルーね。どんなエッチな姿で迫ろうかしら…ンフフフフッ」 邪悪な笑みをたたえ、レンジャー本部に隣接する居住区へと向かう桃山絵美華。いや、 蠱惑密使セダキナ。廊下に差し込む朝日によって壁に映し出されたその影は、まさに セダキナの闇妖怪体のシルエットとなっていたのだった。 SS一覧に戻る メインページに戻る |