シチュエーション
俺は今年で23になる。 ガキの頃、ハタチ過ぎといえばオヤジで、嫁を作って安定した生活を送っているものと思っていた。 だが現実は違う。 中学高校と部活をせず、ただ喰った結果が若年にしての中年体型。 就活には失敗し、当然彼女など居ない。 バイトの女子などからは積極的に嫌われてすらいる。 誤った人生。 俺がそれを最も痛切に感じるのは、従姉妹の遥(はるか)に会った時だ。 遥はまだ14、中学2年でありながら相当に垢抜けていた。 彼女の事は幼稚園に入る前から知っている。 ちいさな頃から可愛らしかったが、当時はまだ純真な少女に過ぎなかった。 しかし小学校の高学年頃から周りの影響でお洒落を覚え、以来、盆や正月に帰省するたび妖しい魅力を増していた。 「久しぶり、慶兄ちゃん。」 俺が帰省した時、先に来ていた遥はそう言った。 『慶兄ちゃん』という呼び名こそ変わらないものの、遥の目線は心なしか冷ややかだ。 彼女の中の俺は、もうその同級生や部活の先輩より下位に位置づけられたのが解る。 犬が飼い主を格付けするかのごとく。 ……いや、犬というのは俺のほうかもしれない。 「ひ、久しぶり、遥…」 遥の視線を真っ直ぐに受けられず、もごもごと喋る俺は、なるほど上等な雄ではなかった。 遥の溜め息が聞こえる。 それは、彼女が俺を無価値と決定付けた瞬間に違いなかった。 「遥ちゃんは、ほんとに綺麗になったわねぇ」 俺の母親の言葉に、爺ちゃん婆ちゃんを始めとした一堂の目が遥に向く。 「えー、普通だよ。」 遥は少し照れたように胸元を手で庇うような仕草をした。 自然だ。恐ろしいほどに自然な『可愛い娘の反応』。 遥は今風だが、ちゃらちゃらはしていない。 マニキュアであったりラメであったり、そういったことはしない。 清純さを保ちながらも、男の目を惹く術を心得ていた。 例えば今も、炬燵に入る遥の格好は制服だ。 制服という奴はまさしく清純さの象徴であり、また着こなし方によって裸よりも女を色めいてみせる。 胸元を少し覗かせるブラウスに、驚くほど細く締められたベルト、膝上10cmの青チェックスカート。 白く美しい肌を持つ遥がそれを着れば、思わず振り向くような可憐さが備わる。 遥はそれを承知で、このリラックスした場でも制服でいるのだろう。 俺を誘っているのかもしれない、とも思えた。 遥は俺の隣に座り、炬燵布団とスカートの間から少しだけ生脚を覗かせるようにしていた。 俺の視線はいけないと思いながらもそこへ落ちる。 すると、その視線に回り込むような形で遥が見上げてくるのだ。 目元には隣の俺にしか解らない嘲笑が浮かんでいる。 「でね、この子凄いモテるのよ。ファンクラブなんて作られたりね。しかも他校によ? バレンタインなんて、義理とはいえ何十個もあげないといけないからもう大変なの」 遥の母さんは延々と遥の自慢を続けていた。 自慢したくもなるだろう。 遥は成績も上位で、テニス部でも活躍し、友達は非常に多く、スタイルも抜群にいい。 俺などとは正反対の充実した学生生活だ。 「へぇ、凄いわねぇ…。」 俺の母親が呟く。 俺の母親と遥の母さんは実姉妹で、昔から仲が悪かったそうだ。 本来なら俺の自慢で返したい所だろうが、俺には自慢すべき経歴など無い。 勝ち誇った遥の母を相手に、うちの母がどんな顔をしているか、俺には見る勇気がなかった。 ※ その夜、広い実家の屋敷には俺と遥だけが残された。 親戚一堂は帰省した最初の晩は本家に集まる、と決まっているのだ。 とはいえやる事は宴会なので、遥のような子供は参加しなくてもいい事になっている。 俺はもうハタチ過ぎなので本来は参加すべきだが、下戸なのとあまり人付き合いが得意でない事から、 特別に参加を免除されていた。 俺は内心ほっとしたが、しかし要するに大人として期待されていない、という事だ。 20の男が14歳の少女と2人きりで一晩を過ごす。これは普通ならば危惧すべき事態だろう。 だが俺に関しては誰も心配しない。 『あいつに何かやらかす勇気などない』と皆が思っているからだ。 俺自身、事など起こせないだろうと思っていた。 しかし性欲というものは恐ろしい。 夜になり、俺が風呂に入った後で次に遥が入ることになった。 「じゃあ、入るから」 それまでヘッドフォンの中の世界に居た遥が、初めて口を利く。 「あ、ああ」 俺はそっけなくそう答えながら、内心で動揺した。携帯を持つ手が震える。 俺はもう何時間も、携帯を弄るふりをしながら横目に彼女を視姦していた。 靴下を脱いだ足先が何かを掴むように蠢く様、前髪を払いのける仕草、手鏡を覗きこみリップを塗り直す姿。 生々しくも新鮮だった。 彼女のいる人間なら見飽きているのかもしれないが、俺はそうではない。 しかも遥の横顔は綺麗だ。耳も、髪も、肩も、俺にもあるパーツなのにあまりに違いすぎ、俺の視線は釘付けになった。 凝視し、遥が気付いて振り向く瞬間に目を逸らす、という事を愚かしいほどに繰り返す。 その遥が今まさに入浴している、という事実は、俺の理性を呆気なく狂わせた。 俺は浴室まで忍び足で近づいた。実家は木造であるため、音が響きやすいのだ。 暖簾をそっとよけ、脱衣場に忍び込む。狙いは遥の下着だ。 一目見て、あるいは匂いでも嗅いで後にオカズにし、この衝動を抑えよう。そう考えていた。 中学生の、それも従姉妹の下着を狙う。 自分でも最低だという意識はあったが、もはや抑えようが無かった。 実家の脱衣場は広く、銭湯のように脱衣籠やタオルを並べる棚があるため死角が多い。 うまく動けば浴室に居る人間に付かれる事なく事を済ますことができる筈だ。 そっと浴室内を窺う。遥の背がガラス戸に透けて見える。身体を洗っているようだ。 ならばまだまだ大丈夫。 俺は遥がまだ小さい頃、一緒に風呂に入っていた。だから遥の入り方はよく知っている。 入浴・排泄といった生活習慣は歳を取っても変わらないものだ。 あいつは身体を洗うのが長い。あと10分はこちらに背を向けたままだろう…俺はそう踏んで一息ついた。 しかし。 「なにしてるの?」 突如、浴室から声が響いた。俺は息を詰まらせる。 馬鹿な。解るはずがない。角度的に見えないはずだし、音も立てていないはずだ。 頭が混乱する。しかしともかく、まずい。逃げなければ。 そう思ったが膝が笑っている。早く逃げなければと焦るのに、老人のようにしか動けない。 汗が噴き出す。 鋭い音で浴室の戸が開いた。裸のままの遥が姿を現し、浴室の熱気と石鹸の香りが吹き付けてくる。 「…犯罪だよね」 遥はこちらを睨みつけ、濡れた身体のまま歩み寄ると、バンと音を立てて壁に手をついた。 俺は壁を背に追い詰められる。 冷や汗が背を濡らす一方で、目は彼女の揺れる胸に釘付けになった。 大きい。俺の掌でもぎりぎり掴めないほどだ。 乳輪は小さく桃色、ネットで目の肥えた俺にも感動的なほどに綺麗だった。 そんな色々な事が一瞬にして頭を巡る。 「ねぇ。これって犯罪だよね」 遥は俺を睨み据える。俺は謝ろうと思ったが、言葉が出ない。 「ぉ、こ……」 何を言おうとしているのか。ごめん?お願いだから許して? ――許されるわけがない。 俺の人生はもうお終いだ。 「警察」 遥の言葉に、俺の体がびくんと跳ねる。吐きそうだ。 だが遥は、そんな俺の反応に満足したかのように目を細めた。 「……は、まぁ勘弁してあげる。覗かれるのも初めてじゃないしね。 テニス部でも部室にカメラ仕掛けられちゃったりしたし。 …でもまさか、従兄弟にまで見られるとは思わなかったけど」 俺は何も言えず俯く。 すると、遥はそんな俺にバスタオルを寄越した。 「?」 俺が顔を上げると、遥は腕を腰に当てたまま顎をしゃくる。 「拭いてよ。湯冷めしちゃうじゃない」 胸も秘部も隠さない格好だ。俺はなぜか自分の方が恥ずかしくなり、急いで彼女をタオルで覆った。 「…………何で、わかったんだ」 彼女の身体にタオルを押し当てながら訊く。 角度的に見えなかったはずだし、音も立てていないはずなのに、何故。 遥は、蔑んだようにこちらを見上げた。 「…鼻息」 「え?」 「足音には気をつけてたんだろうけど、息でわかったの。 後は、勘。私みたいに可愛い子は、男が思うよりずっと視線に敏感なんだよ。 さっき部屋にいた時もずっと見てたでしょ。ああ何かしてくるな、って思ってたもん」 俺はさらに言葉が無かった。 全て見透かされていたのだ。この、自分より10年近くも経験の浅い少女に。 遥は表情を失った俺を見上げ、今一度蔑むように笑った。 ※ 遥は裸のまま寝室に向かうと、俺の方に振り向いた。 「ねぇ、慶兄ちゃんも脱いでよ」 俺は一瞬、意味が解らなかった。しかし再び催促され、仕方なくシャツに手を掛ける。 人を呼ばれでもしたら俺は終わりだ。 シャツを脱ぎ去ると、下腹の出た毛深い腹が露わになる。 「うーわ……。」 遥がゴミでも見るような目をした。俺はそれに耐えながらズボンを脱いでいく。 トランクスまで脱ぎ終えると、俺の体を隠すものは何も無くなった。 そこへ来て、遥は寝室の鏡を指す。 「見て、“全部”映ってるよ」 鏡には一人の男と女が並んで立っていた。しかし、まるで違う。 片や胸の膨らみも腰のくびれも、すらりと長い脚も、芸術といっていいほどに洗練された少女。 片や腹はだらしなく垂れ、腕も足も贅肉でたるんだ冴えない男。 雄と牝、などという違いではない。まるで種族そのものが違うようだ。 俺はそれを直視する事ができなかった。 「ねぇ、私たちってひょっとしてお似合いじゃない?」 遥が俺の腕を取って組んだ。やわらかく暖かい感触が肘に触れる。俺は思わずまごついた。 鏡の中で男女が手を組んでいる。ポーズだけならカップルだ。 だが遥自身もわかって言っているのだろう。まるで似つかわしくない。むしろ痛々しい。 「似合ってない」 俺は腕を奪い返すようにして距離を取る。 「へぇ、それはわかってるんだ。」 遥は俺の肘が触れた辺りを大仰に払いながら言った。 幼稚園児だった頃の彼女は、俺のお嫁さんになると真剣に言ってくれていたのに。 「でもさ、すっごいよね」 遥は尚も鏡を覗き込みながら言う。 「何がだよ」 「身体の品質の差、っていうの?もしオークションしたら、私達どれくらい差がつくんだろうね。 十分の一?千分の一?それともそっちはゼロかな」 遥は俺の下腹を眺めながら嘲笑った。俺は奥歯を噛み締める。 「悔しいの?だって本当でしょ、私の脚なんていっつもオヤジに嘗め回すように見られてるもん。 クラスにも私をオカズにしてる子いっぱい居るらしいしさ。 あんたは?女子に抱かれたいとか言われた事ある?言われると思う?」 「うっせぇ!に、人間身体だけじゃねぇだろが!」 俺は息を切らして遥をにらみ付ける。図星を突かれて頭に来た。 たかが中学生に、なぜ価値を低く値踏みされなければいけないのか。 遥はひとつ溜息をついた。 「確かにね。じゃあ他の事で比べる? 友達は何人いる?私はもう数え切れない。 何か実績残した? 私は去年、テニスで県大会に出ました。慶兄ちゃんは? 私の聞いた限りじゃ、何にもしてないよね。叔母さんが嘆いてたよ。 成績は? 慶兄ちゃんは……ああ隆北大、あの底辺大学だよね。 私はだいたい学年で十番以内だし、これからどうなるかは解んないけど、隆北なんかには行かない。 次は…性格かな。 私は、自分はそんな良い性格じゃないって知ってるよ。 お兄ちゃん見たいな大人見てると、死ねばいいのにって本気で思っちゃうし。 でもさ、それはまだ未熟なのもあるし、23にもなって中学生のお風呂に忍び込む人間よりはずっと……」 「るせぇっ!!もういいっ!!!」 俺は遥の襟首を掴もうとし、しかし相手が真裸であるので勢いでその肩を鷲掴みにした。 遥が言葉を途切らせ、俺も息を詰まらせる。気まずい沈黙が下りた。 「今度はレイプでもするの?ああそっか、いくらなんでも力は私より上だもんね」 遥は蔑んだ目のまま言った。微塵も臆していない。 まるで3歳児が殺すと騒いでいるのを冷ややかに見つめる親のようだ。 癪に障った。引っ込みがつかず、本当に押し倒してやろうかと思った。 だがそれで踏ん切りがつくような男なら、まだここまで言われないのだろう。 俺はその間にも、もしそれをしたらどうなるのか、いや、そもそも今の状況はどうなのかと些細な計算をしている。 鏡の中で、たるんだ身体の男が、美しい肢体の美少女に掴みかかっていた。 この上なく情けない光景だった。 「……く……!!!」 俺はまっすぐ14歳の視線を受け止める事さえできずに唸る。 23年生きてきて、何もかもが彼女に及ばない気がした。 「まだ怒ってるの?…んー、じゃあさ、何か勝負でもしよっか。 スクワットとかどう?私部の男子とよく勝負するんだけど、やっぱ勝てないのよね。 特に先輩になると、皆めちゃくちゃ凄くて。」 遥は俺を見上げながらなおも言う。 だからなんだ、俺はもっと出来るべきだと言いたいのかこのガキは。 俺がそう思って睨みつけると、遥も冷たい目で返した。 「何その目。前から思ってたんだけど、なんか慶兄ちゃんの目って負け犬っぽいよね。 結果残してない人間の目って言うかさ」 「なんだと…!」 俺が言い返すと、遥は大きく溜息をついた。 「あーわかったわかった、出来ないならいいよ。デブは膝壊れちゃうもんね。 …たださ、私小さい頃は慶兄ちゃん凄いなーって思った事一杯あったんだよ? それが今これじゃ…もうちょっと意地見せてよっていうか」 遥は俺を睨むようにして言う。 狡賢い奴だ。そこまで言われれば受けないわけにはいかない。 本当は俺を蔑み嘲笑うだけが目的だと解っていても、だ。 「解った、やってやるよ。もしお前が負けたら、今までの発言取り消せよ!!」 俺はそう怒鳴っていた。 しかし、結果など解り切っている。 「よんじゅ……ななッ………!!!」 49回目、俺の足は限界に来て笑っていた。生まれてこの方鍛えた事のない足だ。 無駄に重さの乗った上半身を何度も持ち上げられるわけがない。 鏡では嫌な脂汗を流した豚のような男が、醜い下腹を震えさせてひどい顔をしていた。 その隣では美少女が胸を揺らしながら、実に清清しく腰を上下させている。 同じ動作をしても、なぜこれほどに醜悪なのか。 男に産んでもらったのに、筋量に劣る女にさえ勝てないのか。 なぜ、俺は生きているのか。 酸欠の頭にそんな考えが浮かんだ。 「う……うう!ふぐ……くぅう、ふぁああああっぐ……!!」 俺は何もかもが嫌になり、泣き崩れる。 「あっ…!」 遥の声がした。やってしまった、という響きだった。 「あ、あー……慶兄ちゃん、さぁ」 遥の声が降りてくる。心なしか優しい。しかし、それは改善ではない。 事態が一段階崩れ落ちたのだ。 あくまで年上、あるいは同等の人間の中で情けない奴、の扱いだったのが、 扱いを間違えるとすぐに壊れる、どうしようもない人間のランクになったのだ。 「えーっとほら、せっかくどっちも裸…なんだしさ、その、何か……したげるよ」 遥はひどくやりづらそうに喋っていた。 知能障害の人間に言葉を選んでいるようなものだ。今の俺はその程度。 「なにか、って…なんだよ」 俺は言葉を交わすのが正しいのか迷いながらも、その提案に興味を惹かれた。 欲情しないわけが無かった。若々しい裸が目の前にあるのだ。 水分を含んで肩に貼りつく黒髪は美しく、 胸は椀のように膨らみ、腰は細く締まり、腿はむちりとして膝下は長い。 肌にくすみはなく、湯上りのため実に「おいしそう」な桃色をしている。 ファンクラブが出来て当然の、極上といっていい容姿だった。 その少女が何かをしてくれるというのだ。 「えぇっと……ふぇ、フェラ…チオ…?」 遥は俺の逸物に目をやりながら、たじろぐように答えた。 理由はわかる。俺の逸物は皮かむりの上、自慰のしすぎで黒ずんでいる。 彼女の目にはナメクジのように映っただろう。 だが俺には魅惑的な提案だった。 俺にも風俗の経験はあり、フェラチオも何度かして貰った。 しかしそれはあくまで大金を払っての事である上、遥ほどの美形ではない。 ファンクラブが出来るほどの少女に口戯をしてもらえる。 人生で二度味わえる事とは思えなかった。 「た…頼む」 もはや矜持などどうでもいい。俺はその提案に飛びついた。 遥の評価がまた下がったのが解る。 遥は俺の足元に跪き、俺の逸物を小さな手で持ち上げ、剥いた。 そして眉を顰める。 「……くさっ……」 小声で呟かれたその一言は、嫌味のない分ストレートに効く。 遥はさらに剥いた後の亀頭を汚そうに見つめ、指で小さな滓を取り始める。 興奮のあまり先走りが出て、それが滓になってしまったようだ。 遥はそれをうざったそうにつまみ出す。時おり薄皮に爪が当って痛い。 おそらく、好きな相手にはそこまでせずぱくりと咥えるのだろう。 これは俺を嫌う遥の躊躇だ。或いは、俺にもういいと言わせる為の時間稼ぎだ。 だから俺は待つ。ここまできて諦めはつかない。 ややあって、遥は観念したように亀頭に舌を這わせる。 ちろり、ちろりと舌が這いずり、先ほどまでの滓取りで刺激された亀頭から電気が走った。 「ふぁ…」 思わず腰が仰け反る。遥は動じず、カリ周りに舌を這わせると、一息に亀頭を口に含む。 「う!」 凄まじい快感だ。外気から一変、暖かくぬめる口腔へと飲まれ、幹を唇が包む。 そうしてやわらかく圧迫したまま、舌がぬるりと亀頭部分をくるむ。 思った以上に上手い。元から興奮していた分を差し引いてもヘルス嬢より上かもしれない。 何より眺めが良かった。 俺を睨むような上目遣いは、まるで屈服させているように思える。 俺が身悶えるたびにやりづらそうに眉をしかめるのも可愛い。 口を離したとき見える舌は綺麗なピンクだ。 目を横に向ければ、鏡には太った男に奉仕する少女、という背徳的な図がある。 俺は兼ねてからの興奮もあり、その状況への欲情もあって、忽ち上り詰めた。 「い、いんぐううっ!!!」 歯を食いしばりながら叫び、無意識に遥の頭を掴んで腰に打ち付けた。 「むうぅー!!」 遥の抗議で喉の締まる。それを最後の刺激に尿道口が開く。 精嚢が縮み、熱さが精管を駆け上り、びゅ、びゅびゅっと数度に渡って熱い口内に迸る。 自分でも驚くほど大量の射精だ。 俺は遥の湿った髪を押さえつけながら、その腰が抜けそうな余韻に浸った。 「ん、ん!」 逸物から口を離した後、遥は口元を押さえていた。嘔吐かと思いきやそうでもないらしい。 片手でばんばんと布団を叩く。座れと言っているようだ。 俺が座ると、遥は俺の後頭部を掴み、圧し掛かるようにして唇を合わせてきた。 キス…ではない。俺がその真意に気付くと同時に、生暖かく臭いものが口に流れ込んでくる。 「う、うむえぇっ!!」 その生臭さに俺はたまらず吐き出した。 「不味いでしょ」 遥がこちらを睨みながら言う。 「フェラチオがどんなに嫌な事かわかった?しかも、それを嫌いな奴にしたんだよ」 遥はそれまでとは打って変わって低いトーンで言った。 どうやら、また逆鱗に触れてしまったらしい。 「わ、悪い…」 俺が頭を下げると、急に遥が立ち上がった。 そして手を秘唇に添え、その赤い肉を掻き分ける。 「今度は慶兄ちゃんの番。私の臭いところ、舐めてよね。ご褒美になっちゃうかもしれないけど」 遥は秘部を突き出すようにして俺の鼻頭に押し付ける。 中腰の俺は体勢を崩し、そのまま布団に組み敷かれるような格好になった。 口の上に遥の割れ目がある。舌に比べればいくぶん赤い、それでも綺麗な粘膜。 そこは驚いた事に、僅かにぬめりを帯びていた。 「濡れてるでしょ、あそこ」 鼻先に腰を下ろしたまま遥が言った。 「それ、慶兄ちゃんのしゃぶっててなの。凄くいやだった。強姦されてるような感じだった。 でも、意外に興奮しちゃってたみたい」 遥は恥らうように顔に手をやり、指の隙間からこちらを見下ろす。 「今もね、すっごくドキドキしてる。嫌なのに。カバや猿にあそこ舐められてるみたい。 屈辱的で、たまらないよ!!」 遥は一旦腰を上げると、逆向きに跨り直した。顔に跨り、俺の腹部側を向く形だ。 「ねぇ慶兄ちゃん、舐めて?気持ち悪い鼻息かけながらあそこ舐めてよ。 こんなの、慶兄ちゃんみたいなグズにはもう一生できないよ!」 俺はその言葉に激昂し、強く遥の腰を掴むとその秘部に口をつけた。 臭くない。 愛液と生々しい肉の香りが鼻腔を満たすが、少しも不快にならない。 不公平だ。俺のは異臭がして、こいつのは見目がいい上に匂いさえいい。 俺はその不満を舌の動きに変えて遥の中に突き入れる。舌よりも弾力のある粘膜が蜜を垂らし込んでくる。 「ひゃん!き、気持ち悪いよぉ」 遥は嬉々として嫌がりながら、俺の逸物を掴んで咥えた。 シックスナインだ。俺は今、人が振り返るほど美しい少女と、腹部をつけ折り重なっているのだ。 彼女ではない。今後彼女になる見込みもない。 浮かれている自分が、少し情けなくもあるが。 それから10分ほどが過ぎた頃だろうか。 「……ねぇ……慶兄ちゃん。」 秘部を俺に擦り付けながら、不意に遥が言った。 彼女はこう続ける。 「嬉しい?」 そう言って俺の下腹を撫でた。 「…慶兄ちゃんのお腹、毛でザラザラだね。腹筋なくてブヨブヨだし、本当に気持ち悪い。 でもね、私、今ふと気付いたの。なんか可哀想だなって。 もし朝目が覚めてこんなトドみたいな身体になってたら、きっと私自殺しちゃう。 私は私のこの身体でよかった。けど、慶兄ちゃんはもうずっとそんな身体なんだもんね。 明日目が覚めても、その次に目が覚めても」 俺は動きを止めた。 「…え?」 同情? 何を言いだしたんだ、こいつ。 そりゃ、お前が俺より上等なのは認めるよ。現状も、素質も、将来性も全てだ。 でも、何だよその言い方。 かわい・・そう・・・・・? 「そりゃ私の身体に憧れるよね。細くて綺麗な身体、ホントは欲しいんだもんね。 だから、私の下着を狙ったあの事は忘れるよ。誰にも言わない」 「おい、待てよ遥。何言ってんだ」 心が痛む。 違うんだ。俺はダメな奴だ、そんな事はわかってる。 酷いんだ、今は。学生時代何も頑張らず、勉強もせず、鍛えず、就活も死ぬ気ではしなかった。 でも、でも、何でだ。 本当に俺は、こいつとそんなにも違うのか。 14歳の少女に同情されなくちゃいけないのか。 「ね、慶兄ちゃん。 私 の 身 体 、 触 れ て 嬉 し い ?」 ※ 「慶太…お前、どうかしたの?」 母親の声だ。 別にどうもしていない。 「何だか、昨日までよりもっと呆けてるみたいねぇ」 そんな事はない。俺は今までどおりだ。 今まで通りの底辺だ。 「慶兄ちゃん、たぶん疲れてるんだよ。昨日、私が遅くまで遊びにつき合わせちゃって」 遥が言う。 「まぁ、そうなの。相変わらず仲良かったのね、あんた達」 遥の母親の声だ。 「うん。慶兄ちゃんはね、私のお婿さんになるの」 遥の手が炬燵の下から伸びてきている。 小さく柔らかなその手は、俺の裏筋を撫で、鈴口に指を引っ掛けたりしながら弄び続けている。 不自然にならないほどの小さな動きだ。 だが炬燵のぬくさとその優しい弄びを受け続け、俺の物からは小便を漏らしたかのような先走りがあふれ出していた。 いい子いい子、とするかのごとく、遥の掌が亀頭をくるむ。 有難い、価値のある手だ。 SS一覧に戻る メインページに戻る |