わたしの お父さん
シチュエーション


   わたしの お父さん
            3年2組 向井雅弘

 私のお父さんは、市役所で働いています。
お父さんは毎日毎日、いろいろな書類に目を
通し、ハンコを押しているだけだと言ってい
ますが、私にはわからないような大変なお仕
事をしているはずです。
 休みの日は私や弟の愛美と遊んでくれます。
でも最近は疲れているのか、なかなか遊んで
くれません。でも、疲れているのは私たちの
ために一生懸命働いているためです。これか
らも元気でいてください。



父の日に贈るという名目で書かされた作文が先生から返却される。
作文の上には、赤ペンで大きく花丸が描かれていた。

「あー、雅弘ちゃん、花丸だーいいなー」

隣の席の杏奈ちゃんが、私の作文を覗き込んでうらやましそうな声をあげる。

「へへ……いいでしょ」

すっかりお気に入りになったワンピース風セーラー服の胸をえへんと張る。
私とパパの美咲の立場が入れ替わってから約1年、すっかり小学生をやることにも慣れてしまった。
この1年、家族で海に行ったり、学芸会の劇で主役のお姫様をやったり、
お誕生日にディズニーランドでミニーマウスと一緒に写真を撮ったり、
お正月に晴れ着を着たり、バレンタインデーにパパに手作りチョコをあげたり……。
ちょっと思い出しただけでも、本当にいろいろなことがあった。
弟となった妻の愛美も、すっかり保育園に通う児童が板について、
いたずら盛り、やんちゃ盛りの男の子としてママである翔太を困らせてばかり。
そういえば、この前1日だけママと愛美の『母と息子の立場』が入れ替わった

――この場合は元に戻ったといったほうがいいのかな?――んだけど、
愛美はまったくお母さんらしいことができずにパニックになっていた。
ママはママで、久しぶりの保育園でどう過ごせばいいのかわからず、
保育室のすみっこのほうでうずくまっているだけだったとか。
1年もママしてたら、保育園でどう遊べばいいかわからなくなっちゃうのも当然だよね。
私も今、パパと立場が入れ替わったりしたら、どう仕事していいのかわからないし。
だからこそ、毎日一生懸命働いている美咲パパには感謝してもし足りないので、
精一杯の感謝の気持ちをこめて書いた作文で花丸をもらえたことは、本当にうれしかった。

「雅弘ちゃん、次の時間プールだよ」

国語の授業が終わって一息ついていると、杏奈ちゃんが早く着替えるように急かしてきた。
そう、今日は待ちに待ったプール開き。
あわてて机の横にかけてあったプールバッグから水着を取り出して着替え始める。
去年は素っ裸になって着替えようとして恥をかいたので、
今年はちゃんと巻きバスタオルで体を隠しながら着替えることに。
まるで照る照る坊主のように首から巻きタオルを下げてからパンツを脱いで、代わりに水着を下から履く。
続いて下着と制服の体の間を通すように水着をよいしょと引き上げ、肩紐に腕を通す。
そしてシャツを脱ぐように制服と下着を脱ぎ、あとは肩紐のねじれや、おしり周りのすそのくいこみを直して着替え完了!
杏奈ちゃんに教えてもらった「裸を見せない着替え方」がうまくできたことにうれしくなって、
どうだと笑みを浮かべてしまう。
胸元に「3-2 向井」のゼッケンが輝く水着姿。
ちょっとだけ盛り上がった股間と、身長の高さがクラスメイトと違うけど、
どこからどう見ても女子小学生の水泳スタイルだ。

「じゃ、早くプールに行こ♪」

待ちに待ったプールの時間。今年は25m泳げるようにがんばろう。






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