シチュエーション
![]() 「おはよう〜」 「おはよう美咲」 いつものような朝。いつもと変わらない娘との挨拶。 朝の支度をする娘を横目に見ながら、 妻が作った焼きたての目玉焼きをおかずに食パンをかじる。 本当はゆっくりコーヒーでも飲みながら新聞を読みたいところだけど、 時計の針はもうすぐ8時を指そうとしている。 そうのんびりしてもいられない。 「さて、支度するか」 食卓に着く娘と入れ替わるように、自分も朝の支度をはじめる。 「あー!もうこんな時間! ママ、ご飯いらない!」 「だから早く寝なさいって言ったのに」 いつもと同じ妻と娘のやりとりに、少し頬が緩む。 「パンぐらい食べてきなさい!」 「途中で食べるからいい! ママ、早くネクタイ締めて!」 「はいはい……っと、できました」 美咲の首元にささっとネクタイを結びつける妻。 いつもながら手際がいい。 「じゃあ行ってきまーす!」 元気よく娘は会社に出かけていった。 「あなたもそろそろ行かないと遅刻しちゃうんじゃない?」 「そうだな、じゃあ行ってくる」 赤いランドセルを背負い玄関を出ると、 同じクラスの未来ちゃんと奈々ちゃんが待っていた。 「和彦ちゃんおはよー」 「おはよう」 いつものような朝。いつもの登校風景。 今日もいい日になりそうだ。 算数の授業さえなければ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |