王都騎士団【二年前の話・後編】
シチュエーション


「さて、ゴードンス君」
「……何ですか」

満足気な表情のデュラハムが芝居掛った口調で問掛ける。
ファムレイユは依然変わらぬ拗ねた子どものような表情だったが、デュラハムはにんまりと笑い掛けると、ファムレイユの耳元に唇を寄せた。

「お前さんが今座っているのは何処だ?」
「……!」

ついぞ聞いた事のない声音と紡がれた言葉に、ファムレイユの目が見開かれた。
態々訊かずとも分かる事を訊く辺り、デュラハムの人の悪さが伺えるのだが、今のファムレイユにはその事に気付ける余裕がない。
だが、言われた意味を理解するのは簡単で、ファムレイユはパクパクと口を動かした。

「ち、た、たいち──」
「ま、嫌だとは言わせる気はねぇけどな。悠長に構えてられる程、俺はお前さんみたく若くねぇんだ」

低く意識して艶のある声を出せるのも、年を重ねた賜物であるが故。
ファムレイユの制止の言葉にも耳を貸さず、デュラハムはファムレイユを押し倒すと、その唇を奪い取った。

強く吸い上げられファムレイユの手に力が篭る。
シャツを握られる感触を受けながらも、デュラハムは舌先でファムレイユの歯列をなぞると、更に先へと舌を捻じ込ませた。
上顎を擦ると、重ねられた唇の隙間からくぐもった声が漏れた。

「ふ、ん…んん…っ」

舌を絡め吸い上げられて、ファムレイユの頭はぼんやりと霞が掛る。
苦い筈の舌は触れる度に甘い刺激をファムレイユにもたらす。
デュラハムの思うがままに口の中を侵されて、ファムレイユの体からは徐々に力が抜けていく。
やがて唇が離れると、混ざり合った唾液が糸を引いて垂れた。

「た…いちょ…」
「こう言う時は名前で呼ぶもんだ」

ファムレイユの額に掛る髪を払い、再びデュラハムが唇を落とす。
頬と言わず瞼と言わず落とされる感触に、ファムレイユがくすぐったさと気恥ずかしさを感じていると、やがてデュラハムの唇は首筋へと移動した。

少し開いた唇の隙間から舌先を這わせ、時折吸い付かれ、ファムレイユの喉が震える。
力を無くした手がベッドに落ち、デュラハムは指を絡めてその手を握り締めた。

「ファム」

耳元で名前を呼ばれ、恥ずかしさで顔を背ける。
そんな姿を愛しく思いながら、デュラハムは首筋を舐め上げる。

繋いだ手はそのままに、反対側の手がファムレイユのシャツの中へと差し込まれる。
その感触に強く目を閉じたファムレイユだったが、余計に刺激を意識するだけにしかならない。
いつもならば胸を押さえる為に巻き付けていた布も、部屋着に着替えた今は無く、デュラハムの手は簡単にファムレイユの胸を捕えた。

「ん、や…あぁ」

やんわりと、しかし的確な動きでデュラハムの手がファムレイユの熱を高めていく。

しかし。

自分ではない誰かを、同じように愛した事がある。

デュラハムの手が巧みであればある程、その事を思い知らされて、ファムレイユは唇を噛み締めた。

不意に止んだファムレイユの声に気付き、デュラハムが顔を上げた。

「……そんなに嫌だったか?」

性急過ぎたか、と不安に駆られたデュラハムだったが、ファムレイユは口を閉ざしたまま、首を左右に振る。繋いだ手もそのままで、振り払う様子はない。
唐突とも言えるファムレイユの変化に戸惑うデュラハムは、どうする事も出来ずファムレイユを見下ろす。

その眼差しに耐えきれず、ファムレイユは繋いでいる手に力を込めた。

「……何でもないんです」
「……何でもって…」

そんな筈はないだろう、と問い詰めたい気持ちに駆られるが、デュラハムはぐっと言葉を飲み込む。
その気配を察したか、ファムレイユはきゅっと下唇を噛んだ。

「ただ…不安なだけで…」
「不安…?」

辛抱強く自分を待つデュラハムに、どう言えば良いのか。
何を言っても傷付けてしまう気がして、ファムレイユは泣きたくなったが、何とかその気持ちを押し込めて、途切れ途切れに呟いた。

「隊長は……女の人を、知ってるから…。…だから……」

ざわざわと外の喧騒が聞こえる。
しかし、そんな物はどうでも良い。
眉根を寄せ固く瞼を閉じたファムレイユの言葉を、脳裏で反芻したデュラハムは、やがてその意味を理解すると、苦い笑みを浮かべながらファムレイユのシャツから手を引いた。

「それを言われると、反論しようがねぇんだが」
「……すみません」
「いや。お前さんが謝る事じゃない」

躊躇いがちに、ファムレイユの頬に唇が落とされる。
ただ、繋いだ手から伝わる温もりだけに励まされ、デュラハムは何度もファムレイユに口付けた。

「だがな、ファム」

ポツリと、デュラハムが呟く。
薄く瞼を開いたファムレイユの目に映ったのは、見知らぬ男の笑みだった。

「俺だって、不安だ」
「……ぇ」

デュラハムが弱々しい笑みを浮かべる姿など、一度たりとも見た事がない。
意外な言葉にファムレイユが顔を向けると、その瞼に唇が落とされた。

「まさか十二も離れた女に、本気になるとは思ってなかったからな……。こうしていても、お前さんが他の野郎の方を向くんじゃねぇかって…不安な訳だ」
「……隊長…」

頬と言わず額と言わず、ついばむような口付けを繰り返しながら告げられて、ファムレイユは息を飲む。
デュラハムは眉尻を下げた笑みを向けると、そっとファムレイユの頭を抱き、髪に口付けた。

「それからもう一つ」
「……?」
「名前で呼んで貰えねぇのも不安だな」
「あ…」
「俺ばっかり好きなんじゃねぇかってさ」

くしゃりとファムレイユの髪を乱し、笑い含みの吐息を漏らす。
自分よりも遥かに年上の筈なのに、そんなデュラハムをファムレイユは可愛いと思った。

「……………デュー…?」

おずおずと、デュラハムの腕の中で顔を上げ、そっと呟く。
デュラハムは一瞬、瞬きも忘れてファムレイユを見つめたが、直ぐに頬を緩めるとファムレイユの唇に口付けた。

先程までの激しさは成りを顰め、穏やかで優しいキスが繰り返される。
その度に、胸の奥にわだかまっていた物が薄れて行く。
シャツのボタンに手が掛っても、もうファムレイユは辛いとは思わなかった。

ボタンが外され胸が大きな手に包まれる。
僅かに反応を始めた頂を指でなぞりながら、胸全体を優しく揉まれ、深まる口付けの隙間から甘い声が漏れる。
唇を離したデュラハムは、首筋から鎖骨へと唇を滑らせる。強く吸い付くと、白い肌に赤い印が散った。

一度繋いだ手を離し、体を起こしてデュラハムがシャツを脱ぐ。
その間にファムレイユも体を起こすと、もそもそと自分のシャツを脱いだ。

その動きが初々しさを感じさせデュラハムの頬が緩むが、それを告げればファムレイユはまたむくれるに違いない。またあの気まずい雰囲気になっては堪らないと、デュラハムは緩んだ頬を見られぬようにベッドから降りた。
壁に掲げてある蝋燭を吹き消し、テーブルに残った燭台を手にベッドへと戻る。
光源は窓からの月明かりとベッドサイドに置いた燭台だけとなったが、薄暗い部屋の中、ファムレイユの肌は白く浮き上がって見えた。

「待った無しな」
「……自信ありません」

態と明るい声で告げるデュラハムとは違い、ファムレイユは照れ臭いのか、少し唇を尖らせる。
その様子に益々デュラハムは頬を緩めたが、それを見られる前にファムレイユの腕がデュラハムの体に伸びた。

秋の夜は肌寒いが、直接触れる互いの熱が心地良い。
肌の感触を確かめるように撫で、唇で触れる。
ファムレイユの髪を撫でながら、デュラハムはゆっくりと彼女を横たわらせた。
どちらからともなく唇を求め、熱を交す。
伸ばされたファムレイユの手を握り締め、もう片方の手で肌を撫でる。鎖骨の窪みを撫で胸へと下ろすと、頂は固く反応していた。

デュラハムの唇が首筋を沿い、ゆっくりと胸へと降りて行く。
背骨の辺りがぞわぞわとざわめき、ファムレイユは唇を結ぶ。
その舌先が頂に触れ、思わず小さく息を飲むと、デュラハムは目を細めて頂を口に含んだ。

「んっ…あ、ああ」

片方の胸は手で揉まれ、時折頂を摘まれる。デュラハムは舌で頂を転がすと、軽く歯を立て引っ張った。

「やあ、…あんん」
「良い声だな、ファム」
「やだ…言わないで…っ」

胸の間から顔を上げたデュラハムが楽しそうに笑う。
薄く目を開けデュラハムを見たファムレイユは、恥ずかしくなって首を左右に振った。

刺激を与えられる度、ファムレイユの体がピクと反応する。自分でも制御出来ないその体に、ファムレイユは甘い声を漏らしてしまう。
頂を吸われ、指でこね回され、初めての感覚にファムレイユは息も出来ない。

やがてデュラハムの手は脇腹を通り腹部へと降り、ファムレイユのズボンに掛けられた。
部屋着にベルトは必要ない。膝を擦り合わせ微かな抵抗を試みたが、デュラハムはあっさりとボタンを外すと、ファムレイユの腰を抱えズボンをずらした。
繋いでいた手を離し、下着ごとズボンが下ろされる。
膝を合わせたせいでスルリとズボンは脱がされて、潤いを見せる秘所が露わになった。

「や…だめぇ…」
「待った無し」

両手でデュラハムの手を遮ろうとするファムレイユだったが、耳に届くのは楽しげな色を含んだデュラハムの声。
あらがい様もなく膝を大きく割り開かれ、その間に体を滑り込ませたデュラハムは、腹部に顔を近付けた。

腹部にから恥丘、足の付け根を通って太股へと、デュラハムの唇が滑らされる。
日頃の鍛練の賜物かファムレイユの体は引き締まってはいたが、女性特有の柔らかさがデュラハムの手に心地良い。
絹に触れるように内股を撫で、ふくらはぎを持ち上げると、僅かな灯りの下でもファムレイユの秘所が潤いを帯びているのが見て取れた。

「や、やだぁ…隊長っ…」

恥ずかしさの余り両手で顔を覆うファムレイユだったが、デュラハムは楽しそうに笑むだけで、持ち上げた足に唇を這わせる。
柔らかな噛み痕をふくらはぎへと残し、くるぶしから甲、指の間までを攻められ、その度にファムレイユの喉がひくひくと震える。

「や…ああ、んっ」

ぴちゃぴちゃと態と音を立てるデュラハムは、指をしゃぶるとまた唇を滑らせる。
薄い内太股に赤い印を付けると、必死になって閉じようとしていた、もう片方の足を持ち上げて、矢張同じように丹念に舐めて行く。

食べられるような錯覚に、ファムレイユの視界は滲みを見せ、抑え切れない声が手の隙間から耐えず漏れる。

左右に首を振る仕草は子どものようだったが、同時に酷く煽情的で、デュラハムは目を細めるとそっと肉芽に指を伸ばした。
茂みの奥で膨らみを見せる肉芽に触れると、ファムレイユの口から一際高い声が漏れる。
更にいたずらに転がしながら、足を下ろしたデュラハムは、割り開いた足の隙間に居場所を定めて、そっと肉芽に吸い付いた。

「やぁ…あああ…っ」

ぴったりと閉じた花びらを指でなぞる。
湿り気を帯びた其処を開くと、粘ついた蜜がデュラハムの指に絡み付く。
何度か上下に指を滑らせ、その度にファムレイユの口から矯声が漏れるが、顔を覆う手は外れない。

「ファム、顔見せろよ」
「っ…やだ、あぁ…」

頑に拒むのは恥ずかしさからか。
漏れ出る声すらも抑え付けるように、ファムレイユは唇を噛んだが、デュラハムから与えられる刺激にそれも敵わない。
秘所をなぞる指をゆっくりと胎内へと沈めると、ざらりとした肉壁が指を吐き出すように収縮した。

「狭そうだな、ここ」

態と意地悪く笑いながら肉壁を擦る。
ファムレイユは喉を震わせたが、憎まれ口を叩く余裕もない。

再び肉芽に唇を寄せ、舌先で弄びながら指を埋める。
肉芽を唇で挟み吸い上げると、それに呼応するかのように肉壁が蠢めいた。

じゅぷじゅぷと指の動きに併せ水音が二人の耳を打つ。それに混じって名前を呼ばれた気がして、デュラハムは指の動きを止めて顔を上げた。

「……デュー」

蜜にまみれた指を舐めながらファムレイユに顔を近付ける。
何処か嬉しそうに見える笑み顔に、ファムレイユは益々恥ずかしさを感じたが、デュラハムの首筋に腕を回すと、耳元に唇を寄せた。

「もう…良いから…」

抱きつくファムレイユの言葉の意図する事が分かり、デュラハムは笑い含みの吐息を漏らす。
唾液と蜜にまみれた指でファムレイユの頬を撫でたデュラハムは、軽く口付けるともう片方の手で己のズボンを脱ぎ捨てた。

「初めて…だよな?」

念のため。
そうであって欲しいと望むデュラハムの期待を裏切らず、抱きつくファムレイユが小さく頷く。
張り詰めた欲望を制御しなければならないのは残念だが、それよりもファムレイユの最初の──そして出来る物なら最後の──男である方が嬉しかった。

「力、抜いとけよ」
「…ん」

質量を増した肉棒に手を沿えながら、ファムレイユの入り口にそれを這わせる。
熱くぬめった蜜を絡めるように、二度三度秘所を擦ると、ファムレイユの体がひくりと跳ねた。

「止めて欲しくなったら、いつでも言って構わねぇから」
「……ん」

期待。喜び。不安。
それらが入り混じりファムレイユの腕に力が篭る。
デュラハムはファムレイユの額に唇を落とすと、ゆっくりと胎内に体を沈めた。

「っ……んんっ」

途端、ファムレイユの眉間に皺が寄る。
異質な物を吐き出そうと肉壁は収縮を繰り返し、デュラハムの肉棒に圧力が掛る。
思っていたよりも狭い胎内にデュラハムは熱い吐息を吐いたが、動きを止めようとはしなかった。

ファムレイユも、唇を噛み締めデュラハムにしがみつく腕に力を込める。
文字通り身を裂かれるような痛みだったが、不思議と止めて欲しいとは思わなかった。

苦渋の色に染まったファムレイユの顔を見下ろして、デュラハムは口付けを繰り返す。
感じる刺激は心地良く、快楽と呼んでも良いのだが、反面、滅茶苦茶に壊してしまいたいと言う欲望に駆られるのだが、その欲望を抑え付ける。
デュラハムはファムレイユを気遣うように髪を撫で、なるべくゆっくりと体を進めた。

「っ…入った…」
「う、…ん」

やがて、熱い胎内に包み込まれデュラハムが息を吐いた。
しっかりとしがみついたファムレイユは、荒い呼吸を繰り返している。

鈍痛と鋭い痛みが断続的にファムレイユを襲うが、それは決して苦痛ではない。
痛みすらも喜びになるのだと、ぼんやりとした頭で考えながら、ファムレイユは落とされる唇に応える。

暫し抱き合い熱を確かめる。
回された腕の心地良さと全身を包むデュラハムの匂いに、ファムレイユは何故か泣きたくなった。

「…デュー…?」
「ん?」
「……もう、良いから…」

収縮を繰り返す胎内では、デュラハムの欲望が今か今かと時を待つ。
それを察していた訳ではないが、顔を上げたファムレイユが小さな声で呟いた。

「……デューが気持ち良かったら…嬉しいから」

目を伏せたまま告げた言葉に、デュラハムの目が見開かれる。
表情の変化に気付き、ファムレイユは不思議そうに眉を下げたが、デュラハムは抱き締める腕に力を込めると、ファムレイユの肩に顔を埋めた。

「お前さん…そう言う事言っちゃ駄目だろ。人が我慢してんの、台無しじゃねぇか」
「…え」

肩に噛みつかれ甘い痺れが首筋に昇る。
顔を上げたデュラハムの表情は、困惑混じりの笑み満たされていた。

「無自覚ってぇのがタチ悪ぃな、ホント」
「え…えっと…」
「まぁ、良いけど。…もう、止めらんねぇからな」

訳が分からず戸惑うファムレイユだったが、デュラハムは抱き締めた腕に力を込めて、ゆっくりと抽挿を開始した。

「うぁ…あ、ああっ」

ずるりと体の中が引きずり出されたかと思うと、固い異物が内臓をえぐる。
その感覚は決して気持ちの良い物ではなかったが、それは確かに快感と呼べた。

痛みと共に繰り返される不思議な感覚。
息吐く暇も無い動きに、ファムレイユは呼吸を荒げ、デュラハムの存在を確かめる為に、回した腕に力を込める。
デュラハムも熱く纏わりつく肉壁に頭の芯が熱くなるのを感じながら、腕の中のファムレイユの存在に意識を集中させた。

ゆっくりとした律動は徐々に早さを増してファムレイユの体を揺らす。
動きに併せ喉を震わせるファムレイユは、薄く目を開けてデュラハムを見上げた。
引き締まった筋肉や、額に浮かぶ汗や、皺の刻まれた眉間や、そう言った全ての物がファムレイユに刻まれる。
いつの日かこの行為が快楽を得るようになったとしても、これは決して忘れないだろう。

「っ…ファム、もう…」
「う、ん…っ」

軋むベッドの音に混じり、デュラハムがファムレイユの名前を呼ぶ。
痛みが収まる事はなかったが、それ以上の幸福を感じていたファムレイユが頷くと、デュラハムは胎内から肉棒を引き抜き、ファムレイユの腹へと熱い欲望を撒き散らした。

破瓜の血量は然程酷くはなかったが、蜜に混じり点々とシーツに染みを作っていた。
体に毛布を巻き付けて椅子に座るファムレイユの前で、デュラハムはシーツを引き剥がすと、その様を見て眉を下げた。

「どう説明すっかな…」

側遣えの侍女に対してだろう。不自然な染みは明らかに情交の痕を残しており、怪しまれないのは難しい。
しかしデュラハムは、直ぐに考えるのを止めたように、シーツをぐしゃぐしゃと丸めると、床にそれを放り出した。

「ま、良いか。俺のモンでもねぇしな」
「隊長!」

まるっきり他人事のような口振りで言われ、ファムレイユの眉が寄せられる。
振り返ったデュラハムは、いまだ体の痛みで身動きの出来ないファムレイユを見ると、人の悪い笑みを見せた。

「お前さんなら大丈夫だろ。怪しまれない言い訳を期待してるぜ」
「……誰のせいだと思ってるんですかっ!」
「そう怒りなさんな。お前さんだって、気持ち良さそうにあえいでたじゃねぇか」
「く…っ!」

憎らしさと恥ずかしさでファムレイユの頬が真っ赤に染まる。
歩み寄ったデュラハムは毛布ごとファムレイユを抱き締めると、耳に口付けて囁いた。

「好きだっつってくれたら、俺が責任とっても構わねぇけどな」
「…っ!?」

言われてみれば、自分は一言足りとも言葉にしていない。
其処を突かれては返す言葉もなく、ファムレイユは恨めし気にデュラハムを睨み付けた。

「まぁ、何年でも待つけど。気は長い方なんでな」
「……死ぬまで待ってて下さい」

悔し紛れに憎まれ口を叩いたファムレイユに喉の奥で笑いを殺し、デュラハムは回した腕に力を込めた。






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