シチュエーション
![]() 耳を味わうように舐め尽し、デュラハムの唇が首筋に触れる。 微かに舌に感じる石鹸の味と、洗い立ての肌の香りに更に情欲を刺激され、デュラハムの行為は勢いを増す。 左手は絶えず胸を弄り、右手で腰を引き寄せると、弾みでファムレイユの片足が、腰掛けから落ちる。 その隙を縫って、デュラハムの右手が滑り込む。 肉芽を探り当てると同時に強く押し潰され、痛みと快感にファムレイユの口から悲鳴にも似た声が漏れた。 「やあ、あぁっ!」 デュラハムの指先は、反応を始めたばかりの肉芽を剥き出しにし、指の腹でゆるゆるとそれを撫でて行く。 肉芽は緩急を付けて刺激され、胸は痛みを感じるギリギリの強さで揉まれ、ファムレイユの体から力が抜ける。 元より体勢のせいで、力のなかったファムレイユの体は、デュラハムの胸に預けられる。 背後に反応を始めたデュラハムの物が感じられるが、身を捻る事も出来ない。 ぴったりと閉じた割れ目を指が沿い、熱く粘ついた蜜が絡められる。 その指で更に肉芽を擦られて、ファムレイユの腰がビクと浮いた。 「あ、あっ、あっ!」 「お、ドロドロ。また洗わなきゃな」 「やぅっ! や、駄目…っ!」 胸を揉んでいた左手が下に降り、大きく足を開かれる。 蜜の溢れる入り口に指が差し込まれ、焦らすようにくちくちと掻き回される。 その指の付け根は肉芽を押し潰して、耐えずファムレイユに刺激を与える。 すがる物もなく床に手を突き、刺激を受ける度に指先に力が篭る。 肩を。首を。優しく噛まれ、強く吸われ。下腹部に感じる甘い刺激に、ファムレイユの思考は白く濁る。 湯気に覆われたこの浴室のようだと、霞が掛る頭の片隅でぼんやりと思った。 デュラハムの指が中程まで埋め込まれ、ファムレイユの喉が震える。 いっそう音を増した水音は卑猥で、浴室に反響しファムレイユの耳を打つ。 「や、ああっ!」 デュラハムの肩に頭を擦り付けるように首を捻るが、デュラハムの指は数を増して更に胎内へと潜り込んだ。 「ひあぁっ! や、デュ…あんっ! あああっ」 「良い声……欲情しちまうな」 目を細めてファムレイユを見つめるデュラハムは、掠れる声で呟きながら、胎内に埋めた指で激しく抜き差しを始める。 熱い胎内を擦る度、昂まる快感にファムレイユの体が震えた。 完全に力を無くしたファムレイユは、されるがまま。普段よりも響く浴室内いっぱいに甘い声を響かせ、流れ込む湯の音も卑猥な水音も、その声に掻き消される。 「ファム」 ずるりと指を引き抜いたデュラハムが、蜜に塗れた手でファムレイユの体を抱える。 熱に浮かされ、焦点の定まらぬ眼差しのファムレイユは、それでも何とか体を捻ってデュラハムの方を振り返った。 「上に乗るのと後ろからと、どっちが良い?」 「……え?」 直ぐには言われた意味が分からず、眉を寄せたファムレイユに、デュラハムは小さく笑いながら言葉を続けた。 「普通にヤったら痛いだろ? 好きな方、選ばせてやるよ」 散々になった思考回路を必死になって寄せ集め、脳裏で告げられた言葉を反芻する事暫し。 ようやく意味を理解したファムレイユは、今までにないほどに狼狽した。 「ど、どっちって……」 「ちなみに、今からベッドってのは無しな。そこまでもたねぇ」 意地悪く目を細めたデュラハムが、答えを促すようにファムレイユの体に手を伸ばす。 腹部から腰、胸へと手が這わされる。 一度昂ぶりを見せた体は、そう簡単に冷めはしない。デュラハムもそれを分かっているのか、焦らすようにファムレイユの肌を撫でながら、じっと答えを待つ。 「そ、れは…」 「んー?」 「あ、……あの…」 人が悪いとは思ってはいたが、まさかこの場でそれを実感する事になろうとは。 「た、隊長の好きな方って言うのは……駄目ですか?」 恥ずかしさの余り、もごもごと口の中で呟くと、デュラハムは暫し考える素振りを見せた。 ただし手は未だ、ファムレイユの体に這わせたままである。 「じゃあ、上に乗るか? 支えててやるから」 「ひゃっ」 きゅっと脇腹を摘まれ、小さな悲鳴を上げたファムレイユだったが、答えを得られた事に内心安堵しながらコクコクと頷く。 腰掛けに乗せたままだった足を下ろし、デュラハムの手を借りて腰を上げる。 向かい合わせに向き直ると、既に固く勃ち上がったデュラハムの物が視界に入り、思わず視線を外してしまう。 二年も付き合っているのだから、一通りの行為は済ませている。とは言え、やはり恥ずかしい物は恥ずかしい。 「手、添えて。なるべく力抜いて、お前さんのやりやすいように入れてみ」 「……ん」 床に片肘を突き、反対の手で腰を持ち上げられれば、流石に視線を外してばかりもいられない。 デュラハムを跨ぐ形で膝立ちになり、筋張った肉棒に手を添えて握ると、ピクンとそれが反応した。 ぬちゃり、と先端を秘所に当てがう。 固い感触を受けただけで、下半身はずくりと疼く。 見られている羞恥心もあったが、それよりもこの疼きを何とかしたくて、ファムレイユは目を閉じるとゆっくりと腰を沈めた。 強い圧迫感は、それに比例して強い快感をもたらす。 眉根を寄せ熱い吐息を漏らしながら、デュラハムで体の中をいっぱいにする。 肉壁を擦られ、膝も腰も震えが来るほどに力が入らないが、デュラハムの手を借り、ゆっくりと根元までを咥える。 「あ〜、溶けちまいそう……」 繋がった箇所に無遠慮な視線を投げながら、デュラハムも吐息を漏らす。 久方振りの情交に加え、少なくともこの場では、誰にも何の気兼もいらない。 ファムレイユの動きは緩慢でじれったいが、自ら進んで事に及ぶ事のない彼女が──半強制的にとは言え──体を開いたのだ。 それだけで、もうデュラハムは強い射精感を覚えたが、奥歯を噛んで遣り過ごす。 デュラハムの胸に手を突いて、ファムレイユの腰がゆっくりと動く。 円を描くように動かせば、胎内の至る所を擦られて、半開きになった唇から熱い吐息が漏れる。 腰を揺らす度に、胸はふると震え、繋がった部分からはぐちゅぐちゅと粘ついた水音が聞こえる。 淫靡な動きに、繋がった部分を見つめるデュラハムは、揺れる胸へと手を伸ばした。 「ひぅっ! あ、ぅんんっ!」 「あぁ…良い声だ……」 「やぁ…う、あああっ!」 決して大きくはない胸が、デュラハムの手にすっぽりと収まり、やわやわと揉みしだかれる。 もどかしいぐらいに優しい動きは、それでも背筋から腰へと疼くような刺激を伝え、ファムレイユは肉棒を咥えた腰をぐぃとデュラハムに押し付けた。 デュラハムの恥骨が肉芽に当たり、より強い刺激が全身に走る。 しかし、それだけでは物足りない。 膝はガクガクと震え、体を揺さぶるので精一杯で、思うように動けない。 「や、ああ……デュー…っ!」 「どうした?」 涙が滲み始めたファムレイユを見つめ、デュラハムの手が腰へと回る。 それと同時に、ファムレイユは体を屈めてデュラハムの胸に倒れ込むと、荒い呼吸を繰り返しながら、首筋にすがり付いた。 「やぁ、…あ、やだぁ」 「ン?」 「……っ、デューも…して…」 啜り泣くような声で哀願され、デュラハムの首筋がぞわりと粟立つ。 滅茶苦茶にしてやりたい。好きだからこそ、いじめて、焦らして、泣かせたい。 加虐心に火が点いて、デュラハムはファムレイユのお尻を両手で掴むと、躊躇う事なくズンと腰を打ち付けた。 「ひぁあっ!」 一度。胎内に埋められた熱が、更に先を求めるように、体の奥にぶつけられる。 喉を逸らしたファムレイユの口から、甲高い悲鳴が上がった。 「ああ…あぁぁっ」 「もっとか?」 態と意地悪く尋ねられ、ファムレイユは声を無くして小さく頷く。 その表情に羞恥の色はなく、ただ貪欲なまでに、快楽を渇望する眼差しがあった。 その様子にデュラハムは益々笑みを深めると、体を起こしてファムレイユを抱き締めた。 深く繋がったまま、突き上げるように腰を揺らす。 「ひっ! あ、あぁっ!」 体の芯を揺さぶられ、奥深くをえぐられるような錯覚に、ファムレイユはデュラハムにしがみつく。 濡れた髪が頬に纏わり付くが、もはやそれを払う余裕も無い。 胎内を突き上げられる度、閉じた瞼の裏で白い閃光が瞬いて、頭の中がぐらぐらする。 急速に高みへと追い遣られ、声を殺す事も出来ないファムレイユだったが。 不意に、デュラハムが動きを止めた。 「はぅ…あ……デュー…?」 重い瞼を無理矢理開けて、デュラハムを見上げる。 デュラハムは舌を差し出すと、誘うようにファムレイユの唇をなぞる。 甘く擽られ、ファムレイユも舌を差し出し、デュラハムの舌を追うように絡めていく。 一度はギリギリまで持ち上げられた熱は、徐々にではあるが引いていく。 それが酷く歯痒くて、強請るようにファムレイユは腰を揺らす。 だが、デュラハムの手はしっかりと腰を支えて、思うように動けない。 じりじりと焦がされるような想いに、ファムレイユは舌を絡める事で訴えた。 途端。 「ふうぁっ!!」 一際強く体を突かれ、絡んだ舌が離れる。 かと思うと、またデュラハムは動きを止めて、ついばむような口付けをファムレイユに与えた。 「ん、んん…や、だぁ…っ」 「んー?」 「も……やあ…」 腰を抱き、胸へと手を伸ばしたデュラハムに、ファムレイユは力無い動きで首を振る。 湯か涙か。長い睫は露に濡れ、真っ赤に色付く唇を噛み締める。 この期に及んで言葉に出来ないのは矜持のせいばかりではない。 ぐらつく思考。掠れる喉。焦がされる本能。 それら全てが原因で、ファムレイユはデュラハムの腕を掴む。 「欲しいか」 尋ねるデュラハムの声にも余裕はない。 しかしファムレイユはそれには気付かず、喉をヒクつかせながら頷いた。 デュラハムが足を持ち上げて、繋がったまま向きを反転させられる。 その動きで、胎内に埋め込まれた肉棒が肉壁をグズリと擦るが、体を震わせて声を耐える。 背を向け座り込む体勢は、先ほどとは違い体の中の敏感な部分に、最も太い部分が当たり、それだけできゅうと秘部が縮込まる。 「よっ…と」 「ひあぁっ!」 急に腰を持ち上げられ、ファムレイユは腰掛けにしがみ付く。 膝立ちの姿勢を取らされると、デュラハムがゆっくりと腰を引く。 かと思えば、深くえぐるように貫かれて、ファムレイユの体が跳ねた。 「ひっ! うぅ、あああ!」 容赦ない深いストロークに、体の熱は一気に昂ぶりを取り戻す。 鳴き声に混じり結合部からは、ぐぢゅぐぢゅと淫猥な水音が響き、ファムレイユの太股を蜜が伝う。 突き動かされるまま、まるでリズムを刻んでいるかのように唇からは声が漏れ、腰掛けにしがみ付いた指先は、力が篭り白くなる。 「こんな、姿……彼奴らに、見せ、らんねぇな」 「ひゃうぅっ! やあ……やだあ…ぁっ!」 貪るようにファムレイユの熱を味わうデュラハムの言葉に、ファムレイユの思考が一瞬我に返る。 しかし、言われた意味を理解した瞬間、襲う羞恥は快感へと擦り変わる。 「デュ…も、駄目…い、いっちゃ…」 「ん。俺も、もう、限界っ」 張り詰めた肉棒が肉壁を擦り、最奥の壁をズンと突く。 全身が痺れるような振動に、目の前が真っ白に染まる。 それでもデュラハムの動きは止まらない。 膨れ上がった快感が一気に弾けた瞬間、ファムレイユは意識を手放し、真っ白な世界に落ちた。 真っ更なシーツの上。 気怠い体を起こそうとしたファムレイユを、デュラハムが抱き締めた。 「何処行くんだ」 「……部屋に」 「もう良いだろ。今日は泊まってけよ」 背後から抱き絞めるデュラハムの手が、もぞもぞと胸を這う。 その感触に、再び熱を取り戻しそうになる体に気付いて、ファムレイユは慌ててデュラハムの手を掴んだ。 「ちょ、四回もやって、まだ足りないつもりですか!?」 「そう怒りなさんな。良いじゃねぇか、減るモンじゃなし」 「睡眠時間と体力は、間違いなく削られますっ!」 悪びれないデュラハムの手をきつく握ると、耳元で大きな溜め息が聞こえた。 それでも、ギリギリと骨が軋む程に力を込めていると、ようやく諦めたかデュラハムの手から力が抜ける。 「まったく……なんて体力してんですか、あなたは」 「惚れた女相手に、出し惜しみなんざ出来ねぇからな」 胸をまさぐるのは諦めたが、体を離そうとはしない。 今度はしっかりと腰を引き寄せられて、ファムレイユが深々と溜め息を吐くと、デュラハムは笑い含みに言い切った。 「何せエロ親父だからな」 「……っ!?」 「期待に応えなきゃ悪ぃだろ?」 「こ、応えなくて良いですっ!!」 しっかりと己の呟きを聞かれていた事に、ファムレイユはまたも狼狽する。 これから先もきっと、こうやってからかわれるのかと思うと、酷くもの悲しくなって、ファムレイユは溜め息を吐きながら目を閉じた。 翌日。 見習い騎士達の間で、既に二人の関係が知れ渡っていたのは、また別の話である。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |