<M'aider M'aider 2話 Freesia争奪戦 後編その1>(非エロ)
シチュエーション


@@1

「文乃さん・・・」

「若様・・・」

見詰め合う瞳、上気した頬。

「文乃さん・・・」
「若様・・・はやく・・・」

一刻も早くとばかりに文乃さんはもどかしげに首を振る。
首を振るたびに優しくウェーブの掛かった栗色の髪が汗で塗れた首に張り付く。
文乃さんはとても柔らかい感じのする美人だ。
シャープ若葉さんとは違って

「文乃さん・・・」

問いかける僕の声など聞こえないように、いや,いやと首を振る。
早く、早くと訴えかけてくる視線は僕の瞳を捕らえて離さない。
ひり付く様な喉の渇きを覚えて唾を飲みこんだ瞬間、ごくりと喉が鳴った。

いや、できない、そんな事はできない。
と首を振ろうとする度、声に出してもいないのに。
文乃さんは判っているかのようにそっと首を振る。

いつもと違う。
いつもの文乃さんは物分りがよくて、優しくて
僕の嫌いなものが献立に入っていても
一口食べることが出来たらそれでよし。と微笑んでくれて。
百合さんに叱られた時、若葉さんに苛められた時には優しく庇ってくれて、
いつも本当のお姉さんみたいに僕を可愛がってくれて。

僕はそんな文乃さんを、本当に本当のお姉さんみたいだって・・・
それなのに・・・
そこまで思って、僕は首を振った。

駄目だ。やっぱりそんな事は出来ない。
いくら文乃さんにだってそんな事は出来ない。

「文乃さん・・・無理です。」

俯いた僕の顔を文乃さんはさらに低い位置から見上げるように。
もどかしげな顔すらして訴えかけてくる。

「そんな事ない。お願い、若様。私を助けると思って。」
「そんな・・・無理、無理です。文乃さん」
「早く・・・して。こぉら、若様。」

優しいだけじゃない、艶かしいような、
決して叱っているのではない、甘えるようなそんな声で囁いてくる。
優しいんだけれどいつもの文乃さんの優しさとは全然違う。
なんだかまるで、プライベートな文乃さんの
誰にも見せていない素顔を見せてくれているような
そんな気すら起こさせるような顔で文乃さんは僕を見つめる。
学校にいた時は相馬の姫様と噂されたという端正な顔立ちも
なんだか今日はちょっと甘く溶けているような気がする。

「で、でも・・・やっぱり無理です。」

「もう・・これは、必要な事なんです・・だから・・」

文乃さんは僕の目を見ながら情熱的に訴えかけてくる。。
やっぱり無理だ。本当に無理。
俯き、首を振る僕に更に首を振って拒否の意を示し、
どうしてもとせがもうとする文乃さんに対して更に僕は首を振る。

文乃さんはそれを見て、一度は力なく俯く。
しかしそれは一瞬だった。
ぶんぶんと甘えるようだった先ほどとは違う、力強い首の振り方をして。
きっと睨むような強い視線で此方を見てきた。
そして宣言をするように文乃さんはゆっくりと口を開いて。

「駄目です。やっぱり駄目。
早くタオルを取って、おちんちんを私に見せてください。
早く。早く。」

と言ってきた。

@@

「いや・・・無理です」

という言葉を文乃さんの真剣な顔を見て飲み込む。

現在の僕の格好と言えば下半身にタオル一枚で、
文乃さんは珍しく女中姿ではなくつい半年前まで着ていた高校の頃の制服を着ている。
文乃さんが学校に行っていたつい半年前までは学校帰りに一緒に遊んで、
制服のまま一緒に入ることもあったけれど最近では珍しい。
まあそれを除けばお風呂場に二人でいるという点だけを見れば
僕らの普段のお風呂の光景と同じである。

しかし、いつもと完全に違っているのは僕らの態勢だった。
いつもなら僕は湯船に浸かって、
文乃さんは洗い場にいて僕と今日あった事とか、
今度はどんな遊びをしようかとか何を食べたいかなんて話をする。
しかし今日は違った。
僕はお風呂に入るなり湯船の縁に座らされていて、
なぜだか目の前で跪く文乃さんに熱狂的に変なお願いをされている。

風呂の湯気のせいだろうか、いや湯気のせいだけではない。
文乃さんはいつもと違って妙に強情で、それでいてこんな風になんていうか、
ちょっと違う雰囲気なのは初めてだ。
だから僕はびっしょりと汗をかいて下半身のタオルを押さえている。

だって文乃さんの言う事を聞くなんて絶対に無理だって。
絶対に出来ない。
文乃さんが何でこんな事を言っているのか意味がわからないし、
見せるなんて無理無理絶対無理。

「早く。早く。わかはには見せたのに、文乃には見せてくれないんですか?」

若葉さんには見せたんではなく見られたんです。

「見せてくれたら、私のも見せますから!」

何でこんな幼稚園児のお医者さんごっこみたいなことを文乃さんは言っているのか。

「そうじゃなくて、そうじゃなくて、訳を教えて下さいよ訳を、文乃さん。」

とにかく流れを、この流れを変えなくてはいけない。
訴えかけてくる文乃さんを必死で抑えながら
お願いだからいつもの優しくて余裕のある文乃さんに戻って下さい。
と訴えかける。

「駄目。早く。バスタオル取って。おちんちん。ね。若様。」

聞いてくれない。

今宵の文乃さんはマジだ。
口調は兎も角、その裏に隠されている雰囲気はマジな時の雰囲気だ。
嫌いな献立の時、一口は食べるんです。と言う時の真剣な雰囲気だ。

絶対絶命である。

@@

おちんちんとは何か。
残念ながらもうすぐ14歳になろうとする今の今まで
本気で考えた事がなかった事に今更ながら後悔する。

今まで僕は何をやってきたのか。
学校の勉強ばかり真面目にやって、こんな事も判らないのだろうか。
数学や、国語なんてこんな時、全然役に立たない。
それは人としてどうなのか。
胸を苦い後悔の味が過ぎてゆく。

今の僕には、おちんちんを見せてと言う文乃さんに対して
おちんちんを見せる事が出来ませんと説明する術がない。
納得させられる手段を持っていない。
駄目だから駄目です。
こんな事では絶対にこういう状態の文乃さんは納得してくれない。

なぜ駄目なのか。
いつもお風呂で体を洗ってくれたりする文乃さん。
ご飯の前とかに一緒に遊んだり、
文乃さんの上女中のお仕事の休みには一緒に本を読んだり。
そんな文乃さんに見せる事がなぜ駄目なのか。
僕は今、今すぐにでも文乃さんに説明できなければならない。
今そういう状況に置かれて、
僕は生まれて初めておちんちんとは何かという事を真剣に考えている。。

よく考える。文乃さんに駄目だ見せられないと言う事を
説明出来ないというのは何故なんだろう。
何故だ?何故。
今ちゃんと考えれば、きちんと説明できるはずだ。
百合さんも家庭教師の時間に言っていた。
説明できるという事は理解できたという事です。
説明できないという事は理解できていないという事です。
当主になる為には皆に色々な事を説明できるようになる。
そしてその人達を動かせるようになるという事なのです。と。
いつか相馬家の当主になるとかそんな事は関係がなくて。
せめて僕は今お世話になっている3人にはなんでも僕なりにきちんと考えて、
納得してもらえなくてもそれでも説明を出来なくちゃいけない。
その位の義務が僕にある事くらい、僕は理解できる。

きちんと考えれば、それは恥ずかしいものではないはずだ。
男なら誰でも持っていて、持っていることを女の人だって皆知っている。
世の中大きいほうが良いとか、剥けてる方が良いとか
色々あるという事くらいは知っているけれど
別段そんな事にコンプレックスを感じることはない。
人間個体差がある。胸を張って生きていけば良い。
良いと思う。多分。
そのうち剥けると思うし。ねえ。
そう、恥ずかしいものではない。
人として当たり前の器官が当たり前の場所についている。
なんら恥じることは無い!
ないはずだ!
多分。

・・・でもさ、見せろってのは別だと思う。
だって見せるのは恥ずい。
すごぶる恥ずい。
そう、恥ずかしいんだ。

何で恥ずかしいかっていうと・・・。
何故だろう。
多分・・・。
そりゃあ、僕だって見たいと思う事くらいある、からだ。
そうかもしれない。
文乃さんが同じ気持ちなのかどうかは判らないけれど
僕は僕でそういう、見たいとか、変な事を考えてしまうこともある。
例えば、若葉さんが遊ぼうと言ってくっついて来た時だとか、
文乃さんがにこにこしながら隣で一緒にカードゲームをしている時だとか。
その、おっぱいを見てみたいとか触ってみたいというような
そんな気持ちになる事がある。
3人は昔どおりに接してくれているのに、僕だけが変な事を考えてしまう。
そんな気持ちになることに罪悪感を感じる。

そう、自分で言うのもなんだが僕だって健全な14歳だ。
エロ本だって持ってる。1冊だけだけど。
月間テラエロスの昨年の12月号。水着だけじゃなくてヌードの写真まである。
あとエッチな漫画とかも巻末についている。
学校で友達に貰って、若葉さんに、文乃さんに、百合さんに絶対に見つからないよう
鞄の奥の奥底に潜ませて胸をドキドキとさせながら持ち帰った。
その後ベッドの脇にある本棚の中、3人が決して興味を抱かないであろう
建築学の基礎という分厚い叔父さんから貰った本の裏に大事に隠してある。

3人は僕の事を子供扱いするけれど。
つまり、その位の、恐らく人並みにそういうものを
日々夜にこっそりと眺めるくらいの、その位の女の人への興味は僕だってある。
正直言って、おっぱいとか見てみたいし触ってもみたい。
まあ友達とかが言うSEXとかにも興味はあるけれど、多分それは早すぎるよね。
結婚をして、それからだから多分当分先の話だ。

でもきっと、そういうものに興味を持っている僕は、
そういう気持ちを心の中に持っている僕はきっと3人が期待していない僕だ。
そう思う。
きっとそういう事がばれたら嫌われてしまう。
気持ち悪いとか思われると思う。
だって自分でも思う位なのだから。

もちろん思うだけじゃばれないかも知れない。
思ったことが全部周りの人にばれていたらそれは大変だ。
普通は思うだけじゃばれない。
だから、僕も百合さんや文乃さんや若葉さんに嫌われなくても済む。
普通なら。

そこがお風呂場じゃなければだ。

男の辛い所だ。辛い所だと思う。多分。
時々大きくなってしまうのだ。
変な事を、考えてしまう事によって。
例えば文乃さんが、僕の背中だけじゃなくて前を洗いそうになった時とか、
若葉さんがびしょびしょに濡れながら僕にフザケかかってきた時とか。

このままその・・・おっぱいを触ったりしたり出来ないかなとか、
その、そんな事を考えてしまって大きくなってしまう。
そういう時は隠すのに凄く苦労する。
大抵はお湯をこっそり水に変えてじゃばじゃばと掛けてむりやり小さくしたりする。

だから、若葉さんとか文乃さんとお風呂に入りたくないというのは
ただ社会的に、倫理的に恥ずかしいだけじゃなくて、そういう所もあるのだ。
僕が、変な事を考えてしまうから。
そしてそれがばれてしまうかもしれないから。
ばれてしまったらきっと変だって思われるから。

だから、きっとそう云う事なんだろう。
僕は、僕の心の中にあるそういう事をばらしたくなくて、
知られるのが怖くて、それが恥ずかしいという感情になるのかもしれない。

そう、だから僕は嫌なんだ。
見たいと思う自分の気持ちが嫌で、
そういういやらしい気持ちが気づかれるのが嫌で、
だから見せたくないんだ。

でも。
じゃあ文乃さんはなんで僕のあれを見たいんだろうか。
そんな疑問がふと浮かぶ。

僕は見たいと思う。
いつもいつもじゃないけれど、でもそういう事を考えてしまう事があって。
そういう自分が嫌でそう思っていることを知られたくない。
だから文乃さんも僕と同じ気持ちだと勝手に思い込んでそれで嫌だと思ってた訳だ。

でも文乃さんは違うかもしれない。
いや、多分違う。
単純に、何か相馬家の仕来りとして何かそういう事があって、
それで見たいのかもしれない。
それなら見せないっていう僕の恥ずかしさは
ただ僕の自意識過剰だからくる感情なのであって、
本当は恥ずかしがる事なんてないのかもしれない。
逆に見せないほうが不振に思われるのかも・・・。

でも、
文乃さん恋人がいるとか聞いたことがないし
多分そんな事は絶対無いと思うけど文乃さんはちょっとこれで変な所もあるから
僕のそういうことに僕と同じような意味で興味とかあったりしたら
それはきっといけない事だ。
ぼ、僕も見たいけどで、でも見せあいっことかそんな事は駄目だ。

だって人とは獣ではないのだから。
見たいから見せてください。はいどうぞ。という訳にはいかない。
そ、そういう理由なら見せられない。
だって、見たくてもそういう事は我慢すべき事なんだから。

だからまずどういう理由で見たいのか。
それを僕は確認するべきなんだ。
僕は前を向いて目の前の文乃さんに口を開く。

「文乃さん、何で見たいんですか。理由だけ教えて下さい。」

「別に理由なんて無いです。」
ないのか。こんなに考えたのに。
ぷいと横を向きながら文乃さんは答える。

「な、ないなんてない筈です。
た、例えば上女中のお仕事としてとか、そそういう事ならですね。」

「…違います。」
なぜか眉根を顰める文乃さん。

「あのね、若様。いくら文乃でもお仕事でおちんちんを見たいなんていいません。」
仕来りじゃないのか。

「じゃあなんで」

「文乃が見たいからです。」
尚更なんでなんですか。

「あのね、若様。いくら私でも心の準備が必要なんです。
私も恥ずかしいんですから。」
会話が噛み合わない。

「私は若様より年上ですけど。緊張するものは緊張するんです。
ご当主様の上女中はしないかもしれないけど、
百合さんと若葉と私は絶対にするんです。」
迫力に思わず頷く。

「年上だって緊張するのっ。そういう所で気を使えないと、もてないんですよ。」
こんな事だったら学生時代にたくさんあったお誘いの一つ位・・・
、いや、でもやだもの。そんなのやだもの。せっかく守ってきたのに。
とぶつぶつと文乃さんは柔らかく髪を揺らしながら呟く。
なぜ怒られているのか意味はわからないけれどはい、と僕は頷く。

話がこんがらがって判らなくなってきた。
湯あたりをして来たようで、頭がぼんやりとする。
まるでお正月の時にお神酒を飲まされた時みたいに。

僕がこんなに真面目に考えているのに文乃さんは見せて見せてと言う。
僕は説得できない。
そんなに見たいか。
なら見せてやろうじゃないか。
残念ながら僕は完全に勃起しているけれども。
嫌われたって構わない。
嫌われたら嫌だけど。

でもそんな僕だっているんだって事を知ってもらっても良いのかもしれない。
そうしたらもう一緒にお風呂には入らないことになって
それはそれで僕の望んでた所なんだけれど、
でも3人に気持ち悪いとか思われて、それで入らないことになるのって何か嫌かもしれない。
でも、
僕は我侭だ。
でも
でも
でも
ああ、もう考えるのはいやだ。

「わかりました。文乃さんがそんなに言うのならバスタオル外します。
でも、あんまり見ないで欲しいです。」

そこまで言って。
僕はあんまり良く考えるのはよして、
こくこくと頷いている文乃さんの前でバスタオルを外した。






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