シチュエーション
亮介はトランクス一丁でテレビの前へ腰を下ろした。 今まで風呂あがりは全裸だったが、ちゃねこと暮らし始めてからはそうもいかない。 ちゃねこ、とは猫少女の名前だ。着ぐるみが茶色いブチ柄なので命名した。 「旦那さま、ビールですにゃ」 亮介にちゃねこが両手で缶ビールを差し出す。 猫スーツは全身がファーで覆われていた。 手元までモコモコなので細かい作業をさせるのは危ないかと思ったが、肉球が滑り止めになり意外と器用に働いている。 「うい」 缶ビールを受け取りながらちゃねこの顔をしげしげと見つめる。 唯一肌が見える顔はかなり美少女だ。こげ茶の前髪と大きな瞳が可愛いらしい。 亮介がテレビでバレーの観戦を始めると、ちゃねこは部屋の隅をあさりだした。 そこにはちゃねこの荷物の小さな風呂敷包みがある。中身は小ぶりの洗面器、歯ブラシセット、それと猫スーツの着替えが一着入っているだけだ。 ちゃねこは洗面器を取り出すと、そそくさと風呂場に向かった。 「では私もお湯をいただきますかにゃ〜」 覗きはしないが、どうやら風呂ではスーツは脱ぐらしい。 (あいつ本当に猫なのかな…) 亮介の不思議な生活は続く。 SS一覧に戻る メインページに戻る |