シチュエーション
「寝るか…」 テレビを消すと、亮介はぶらりと洗面所へと立つ。 ビール臭い口内を歯磨きで洗浄し部屋に戻ると、ちゃねこがベッドを整えていた。 「お床の準備ができましたにゃ」 シーツをきれいに伸ばし終わったちゃねこは、亮介に寝巻き代わりのTシャツをうやうやしく捧げる。 「うい」 亮介がシャツを着ている間に、ちゃねこはベッドへと登った。 布団にすっぽりと潜り、その膨らみがモゾモゾと動く。ジーッとファスナーを引く音や布擦れの音が騒がしく鳴った。 しばらくして静かになると、ちゃねこが布団から頭だけをすぽんと出す。なんか可愛い。 頭は何も覆われておらず、こげ茶色のショートボブが丸見えだ。 「…」 電気を消すと、亮介もベッドに入る。 「おやすみなさいにゃー」 「おやすみ」 二人とも同じ歯磨き粉のためミントの香りが広がった。 「…」 亮介は布団の中でちゃねこに手を伸ばした。丁度胸のあたりに当たったのか、うにっと柔らかな感触がする。 「にゃー」 非難がこもったちゃねこの声に手を引っ込めるが、このつるつるした感触は明らかに人の素肌だ。 (こいつ実は猫じゃないんじゃ…) 疑惑の夜は更けてゆく。 SS一覧に戻る メインページに戻る |