大統領と指揮官
シチュエーション


「御命令というのは…それだけ、ですか、大統領閣下?」

共和国大統領特別首席補佐官であり国家警護隊総指揮官であるところの
ヴァネッサ・アルビナ・エスペランサ・デ・シルバ・デ・ラ・セルダ将軍−氏名も肩書も
何とも長ったらしいが、要は俺の秘書官兼護衛隊長−はいささか御立腹のようだ。
怜悧さを感じさせる美貌に、引き締まってはいるが女らしさを失わないボディーライン。
いささか野暮ったい第一種軍装も中身が良ければ引き立つという好例だな、
怒った顔も相変わらず美人だ、と視姦していると、彼女の不満はますます大きくなっていった。

「僭越ながら申し上げますが、このようなことをなされては大統領職の威厳という物が…」

いや、俺は諫言を聞くためにお前を呼んだんじゃないんだがなぁ。
まあ一番の懐刀をいきなり執務室に呼びつけたかと思えば夜伽をしろ、というのも非常識だが。
でもいいじゃないか、書類は全て決裁したし、規定の執務時間は過ぎているんだ。

「し、しかしっ!このような場所でというのは、いくら閣下の御命令とはいえ…」

そこまで言うのなら今回は下がってよろしい、誰か他の者に夜伽をさせるから。

「……分かりました。今夜は私がお相手をさせて頂きます」

不承不承答えるヴァネッサに近づくと、俺はスカートの中に手を差し込み、下着越しに
彼女の秘所を愛撫した。指が愛液に触れ、くちゅりと音を立てる。

「…んっ…あっ…」

仕方なくという言葉とは裏腹に、ヴァネッサのショーツはぐっしょりと濡れていた。
対する俺の方も彼女の指に撫でさすられ、股間の逸物がたちまちはち切れそうになっていく。
無理もない。俺もこいつも職務が立て込み、かれこれ一週間はご無沙汰だったのだから。
先程のやりとりも今まで何十回と続いてきたお約束、一種の前戯といっていい。
息を荒げながらショーツを引きずり降ろし、ズボンを脱がされる。
互いの服を脱がせ合いながら、俺たちは執務室のソファに倒れ込んだ。



今を去ること十年前、理想に燃える若き女性士官デ・シルバ嬢は祖国の腐敗に憤激し、
密かに自由将校団へと加わった。彼女に戦術と革命理論を叩き込んだのは、将校団の
リーダーだった某大佐。師弟愛は次第に男女の愛へと変わり、女は男に純潔を捧げた。
もちろん革命自体も大成功。電撃的に首都を制圧した革命軍はあっさり旧政府を打倒し、
堕落した国王と貴族どもを国外追放して財産を没収、勝利の功労者である大佐は
大統領となり、女性士官は将軍となって祖国の再建を手伝いましたとさ。
めでたしめでたし……いやはや、麗しい話だ、そう思わないか?
まあ、こんなおとぎ話を聞かなくとも。彼女の経歴を見てみれば
誰でも俺との関係に気付くかもしれない。
いくら革命戦争の英雄にして士官学校始まって以来の俊才とはいえ、
普通なら30にもならない小娘が将官や大統領補佐官になれるはずもないのだから。
−国家元首の愛人でもない限りは。

ヴァネッサは俺の上にまたがり、腰をゆっくりと落としていった。

「んっ……あっ、はぁぁぁっ…」

花弁が肉棒を飲み込んでいくにつれ、彼女の唇から喘ぎ声が漏れた。
膣の奥まで挿入したことを確認し、腰を動かし始める。

「あ゙ぁっ…あ゙あぁっ…」

美貌を快楽で歪ませ、声にならない声で喘ぐヴァネッサに答えて
こちらも遠慮無く突き上げ、彼女を存分に味わう。
熱く、狭く、肉襞が絡みついてくるような感覚。やはりこいつの膣内は最高だ。
亀頭が子宮口を殴打するたびに花弁から蜜が飛び散り、淫猥な音が響く。
ヴァネッサは冷徹な秘書官の仮面をかなぐり捨て、ただ俺の突きに合わせて
腰を振りたくっていた。

「んあ゙ああああぁぁぁぁっ!」

彼女が気をやると同時に膣が収縮し、万力のように俺の逸物を締め上げる。
限界に達した俺も精を放ち、胎内に大量の白濁を注ぎ込んだ。

「あ゙あ゙あ゙ぁぁぁ…」

子宮内に精液が打ち付けられるのを感じて、ヴァネッサが甘い呻き声を上げる。
白目を剥き、舌をだらしなく突き出して快楽に浸る彼女を見ているうちに、
萎えた俺の肉棒が固さを取り戻し、再び膣内を埋めていく。

「はぁ、はぁ、はぁ…あっ…また…こんなに…」

嫌なら止めるが、どうする?、という俺の問いかけに答える代わりに、
ヴァネッサは妖艶な笑みを浮かべて腰を振り始めた。


「ああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁぁぁっ!」

絶叫と共にヴァネッサが三度目の絶頂を迎え、俺も精子を打ち放った。
快楽のあまり遂に失神した彼女を抱きしめ、性交の余韻に浸りながら、
俺は以前から幾度となく抱き続けてきた問いを、ぼんやりと考えていた。

彼女を愛人にしたのは、本当に正しい選択だったのか、と。

発覚したら問題…という訳ではない。
幸か不幸か、この国では政治家が秘書に手を出すこと自体はスキャンダルになり難い。
むしろ英雄豪傑が愛人の一人や二人持たんでどうする、といった風潮がある。
それはいい……が、それは相手が「ただの秘書」だった場合だ。
俺が抱いているのは、軍で一二を争うほど頭の切れるばかりか
我が国随一のエリート部隊を掌握し、俺の行動予定を知り尽くした女なのだ。
もし、ヴァネッサが俺の側近であり、愛人であることに飽き足らなくなったら…?

もちろん現在までの彼女が、公私共に俺に忠実だったことは分かっている。
しかし一国を手に入れるという野望の前に、愛情や忠誠がどれほど歯止めになるか…
そもそもヴァネッサには「前科」がある。王家の血を引く名門の出でありながら

(あの長い名前が単なる酔狂だと思ったか?、あれは紛れもない貴族の証だよ)、

王制に未来なしと見て取るや、あっさりと革命軍に加わった程の女だ。

(おかげで彼女の一族は、国外追放も財産没収も免れた、やれやれ)

俺に抱かれたのだって、どこまでが本気で、どこからが打算だったやら。
だから俺に大統領の資質なしと判断したら、あいつは祖国のため、国民のため、
なにより自分のために容赦なく叛旗を翻して勝ち組に付く、その可能性は大いにある。
何とも皮肉なのは、ヴァネッサをここまでの実力者にしたのは俺自身だということだ。
自分の引き立てた愛人に権力を奪われる独裁者! 我ながら笑うに笑えない。

まあ、これは全て仮定の話だし、万が一そうなったとしてもそれなりに手は打てる。
それにしても、こいつを愛していなければ、もう少し悩まずに済むんだがなぁ。
そう心中で溜息をついた俺は、もうしばらくヴァネッサと繋がっていることにした。






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