王子と女騎士2 後編
シチュエーション


月が淡い光で城の一室を照らしていた。
あの後、雑務と全体会議を終わらせたジークは約束どおり少しの仮眠を取り、アリカがこの寝室に来るのを寝転びながら待ち望む。
ジークが疲れからか一つ欠伸をすると同時に、控えめなノックが鳴る。
立ち上がり扉を開くとそこにはアリカが立っており、待ち人の登場にジークは心を躍らせてアリカを部屋へと迎えた。
ジークはアリカの肩を抱いて、先ほどのベッドにアリカを座らせると、そのままの勢いでアリカを押し倒した。
いつもならベッドに座り込み、何気ない話をしてから行為へと発展していくのだが、今日はいきなり押し倒され、ジークに馬乗りされたこの状況にアリカは目を白黒させる。

「……すまんな。今は少しでも……そなたの温もりに触れたい」
「王子?」

アリカはいつもの様子と違うことを口にしようとするが、先にジークに唇を奪われ、さらにいきなり舌を差し込まれ、咄嗟に手で抵抗の意を示す。
だが、その手もジークに両方とも押さえ込まれ、

「ん、あ……んんっ」

さらにジークの舌がアリカの口を蹂躙し、伝えられてくる気持ちよさにアリカの腕から力が次第になくなっていく。
ジークはもう片方の手でアリカの服のボタンを外しながら、キスをさらに深くしていく。
部屋は粘ついた水音が鳴り響き、それは二人を徐々に高める。
アリカの下着が見えるくらいに服を肌蹴させると、ジークは下着越しに胸を撫でる。

「……んっ」

鈍い刺激でもアリカは声を上げ、ジークは首筋にへと頭を移す。

「お、王子……ひうっ」
「どうした、もどかしいか?」
「き、今日の王子はお疲れの、ん、様子ですので……」

アリカの言葉に耳を傾けながらも、ジークは手を休めるようなことはせずに耳を舐め、手の動きを大胆にしていく。

何度も肌を重ね合わせたこともあり、アリカが感じるように触れるジークの手に翻弄されながらもアリカは、

「今夜は、わ、たしが、んんっ」
「なんだ、はっきり言わないとわからんぞ?」

必死に言葉を紡ごうとするアリカの姿にさらに興奮を覚えるジークは手を緩ませることはせずに下着越しから少し硬くなり始めた突起を撫でる。

「ああっ」

送られる快感に身を震わせ、それに身を委ねたい気持ちを抑え、アリカはどうにか言葉にしようと目線をジークに向けた。

「きょ、うは、私が王子にしたいと、思います」
「私に何をしてくれるのだ?」

ジークは今までの経験からアリカがどうしたいかなどわかっているが、アリカの姿を目に映すたびにジークの嗜虐心が煽られ、どうしても簡単には言わせられなくなる。
自分の眼前では必死に喘ぎ声を抑え、それを恥ずかしいながらも口にしようとするアリカが途方に愛おしいとジークは思う。

「王子に……ご、御奉仕、させてください」

目線は少しだけ逸らしながら、アリカはそう答えた。
アリカの顔は羞恥も合わせて顔を赤くしているのを見て、ジークはあっさりと触れていた手を外して身体をアリカの上から退かした。

「では、お願いしようか」

身に着けていた物を全て脱ぐとベッドの脇に腰を下ろしたジークは喉を鳴らしながら笑う。
そんな様子に意地が悪いと自分の主に一瞬だけ抵抗の目を向けても、ジークはあっけらかんとした態度でいた。
少しだけ為すがままで悔しいとアリカは思いながらもジークのモノにそっと触れる。

目の前にある愛すべき人の、自分を今までめちゃくちゃにしてきたモノが急かすようにヒクついている。
それにアリカはゆっくりと唇を重ね、自分の舌を這わせながら、右手でしごく。
ジークの教育を一身に受けたアリカはジークを喜ばせる様に、体が動く。
唾液をしっかり絡ませながら、口内でしっかり使い愛撫。
合間に舌で先端や竿全体を舐め挙げ、ジークを蕩けた目で見上げる。
激しさを増す行為は、粘ついた水音を部屋全体に響き渡り、そんな健気なアリカを愛おしそうにジークは彼女の髪を指で梳かす。

「気持ちいいぞ、アリカ」

今の行為とその言葉に彼女の中途半端に昂ぶらされていた身体は火を灯されたかのよう熱くなり、アリカはさらに行為を激しくする。
ジークのモノがさらに大きくなっていくのがアリカは口内で感じて、それだけでじんわりと湿り気を帯びていただけのショーツは、今ではしとどに濡れていた。
月明かりがアリカの熱の帯びた肌が淡く映し出され、その様子からジークは一度アリカの行為を止め、アリカの体を立ち上がらせた。
途中で中断されたことにアリカは一抹の不安を覚えるが、それもジークからの口付けで一気に吹き飛び、ジークの蠢く舌に体はビクリと震え、ぐったりとジークにもたれかかった。

「……俺はもう限界なんだが、いいか?」

アリカは小さくコクリと頷いた。
ジークはベッドに寝転がり、アリカを自身の上に跨らせた。
普段はジークにされるがままだったアリカは驚いた表情を見せるが、ジークは楽しそうに笑う。

「今夜はそなたがしてくれるのだろう? 偶にはそれも悪くない」
「わ、私が……その、ですか?」
「ああ、手を添えて自分の好きなようにしてみたらいい」

アリカは喉を鳴らすと、意を決したようにジークの筋張ったモノに手を触れるとビクリとそれ震えた。
手でモノを固定しながら、アリカはショーツをずらして腰をゆっくりと下ろす。
先端が秘部に触れるとぬちゃりと音が響く。
今までしたことのない行為は慣れないこともあって体が中々進まないが、ジークのモノが入り込んでくる感覚にアリカからは熱い吐息が漏れ、ジークの目線がさらに羞恥心も煽る。
何とか根元まで受け入れるも、いつもとは違う場所を刺激されていることもあり、支える場所が腕のみのアリカの体はガクガクと震えていた。
動こうにも体は快感に引っ張られて、アリカは息を漏らす。
ジークの両腕で身体を支えられ、ようやく動き出せたアリカの動きは酷く緩慢であり、アリカの蜜壺に常に締め付けられているジークにとっては如何にかなりそうなほどの快感が身体に駆け巡っていた。

その小さな動きだけでも二人が繋がる場所からは粘ついた水音が耳に入り込む。

「いつも以上にきついが……蕩けそうだ」

空いた両の手で目の前で揺れる胸をゆっくり揉みだしていく。
その優しい刺激ですら、腰が砕けそうになるのを我慢しながらアリカは体を揺らしていく。
すでに口は半開きになり、ジークの揉みだされる手で何とか体勢を保っている状態のアリカ。

「ひぅっ! くっあああ!!」
「もっと、聞かせてくれ。アリカの声を……」

今まで動かすことのなかったジークは急に揺らし始め、膣の奥をノック。
ゆるゆる動かしていた手も激しくし、硬く尖った頂点も指できつくつねる。

「ひあぁぁ! んっああ!」

突然の激しい動きがアリカを襲う。
アリカが背を後ろに反らすと、その動きに合わせるようにジークは身体を起こし、腕でアリカの身体を支える。
膣内の新たな刺激にアリカはさらに熱い吐息を漏らし、言葉にならない声を上げる。

「ああ、ジー、ク様……んんっ」

言葉はジークの口付けに封じられ、アリカの口内をジークの舌に蹂躙される。
歯を丁寧に舐め、肺の酸素を全て吸われる感覚にアリカは気を失う寸前まで追い込まれるが、さらに強い刺激はそれを許さずアリカを翻弄する。
アリカの口が離れるとジークは首に吸い付き、次々と赤い痣を生み出していく。
アリカにはもう自分の身体を支える力はなく、ジークに押し倒される身体はベッドに抵抗なく沈む。

大きく両足を開かされ、さらに深く入ってくるジークにアリカの意識は白く濁り始めていた。
ジークはアリカの尖った肉芽の包皮を剥いて指で押しつぶす。

「ひあああぁ! だ、ダメです……、おかし、くなってしまい、ま、す」
「おかしくなってしまえ。私の前だけは全てを曝け出せ」

深く突かれているアリカは開かれた両足をジークの体に絡ませ、愛する人の温もりが離れないようにがっちりと挟む。
動きづらいにも関わらずジークはさらに腰を動かし、与えられる快感にアリカは息つく暇もない。
自分が出す喘ぎ声がまるで他人事のように聞こえるアリカ。
ジークは目の前で揺れるアリカの豊満な胸が揺れるのを視覚で楽しみつつ、限界に近い自分を鼓舞させ、腰を動かす。

「あっん! あ、ああジークさ、ま! あああっ」

何度も背を仰け反らせ、シーツを力の限り握り締めたアリカの蜜壷はジークのモノをあらん限り締め付けた。
その刺激に耐え切れずジークはモノをアリカの最奥まで突き進み、欲望を吐き出した。

「ひああああああぁっん!!」

魂が吹き飛ぶほどの快感に膣が波打ち、ジークの欲望を全て受け止めたアリカは歓喜の声を上げながら背を折れるほど逸らした。
ジークは眼前で息も整っていないアリカに静かに口付けを落とした。
それに辛うじて反応したアリカはそっと舌を伸ばし、ジークの舌と絡めあった。
まだ自分の膣内で蠢くジークのモノを感じながら、アリカは愛する人との口付けを楽しんだ。
公に出来ない関係だからこそ、相手の体温を感じることが出来る今を二人は存分に楽しんだ。

その後、何度も肌を重ねあった二人。
ジークは眠るアリカにそっと口付けを落とし、月に照らされた城下町を覗き込んだ。
静まり返った自分の大切な故郷。
溜息と共に思い出す夕方の会議。
いくら話そうが、考えを変えない王妃を筆頭とした第一王子一派。
民たちを犠牲にしてまで開かれる戦。
再び、前線に出なければならない自分。
ちらりと横を向けば、ジークにとっての心強い片腕が眠っているが……それすらも奪われた。
その全ての不安を言葉にせず、ジークはアリカに近づき髪をそっと撫でた。

「だが……どういう状況だとしてもお前に危険が及ばないのなら」

少しは王妃に感謝すべきかもしれないなと小さく零した。
明日の朝のアリカの行動が目に浮かぶなと、小さく零してジークは眠るアリカを起こさないよう抱きしめた。
その温もりだけが今のジークを助ける唯一だったから。


次の日の朝、アリカに渡された一つの通知に声を失い、すぐさま自分の主の下に走り出した。
投げ捨てられた通知は、文官に当たりそのまま力なく舞い落ちた。

【配置命令  アリカ=アースガルト
       本日付で ペルセフォネス=ブグ王妃直属の護衛騎士に命ずる】






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