教授と助手6
シチュエーション


彼と『関係』するようになって分かったことがある。それまでも変な人とは思っていたが、彼はわがままで子供っぽい。
医師は医師免許をとったときから即先生、と呼ばれる。学生の時も他のアルバイトよりも効率のよい家庭教師なんかをやる。
必然的に世間知らずのまま社会人になってしまい、年齢の割りに社会性に乏しい印象になる。

教授になるような人はその中でも個性は突出しているように思う。
他の科にも色々な逸話を持つ教授はいる。英語でしか会話しないとか、弁当に嫌いなおかずが入っていたと早退したりとか、
愛車に情熱をささげていて医局員はその車種は所有できないとか。
冗談とも都市伝説ともつかない話がある。
それを思うと彼はまだましかもしれない。手術とその関連については熱心に取り組んでいる。
面倒くさがりだけど嫌々ながら最後はきっちり帳尻あわせをするし、気分次第で医局員に対する対応を変えたりや
ひいきなどもない、と思う。
私も教育と業務については他の人からみても厳しく指導されている、と言われるほどに鍛えてもらっている。


でも業務時間内と外のギャップは大きい。
今、私は彼の部屋でソファに座り、主を膝枕している。彼は雑誌の論文を読んでいて、時々書き込みをしている。
体勢は妙だけど勉強熱心なのは尊敬する。それなのに

「手がとまっている」

不満げに言われて我にかえる。右手は彼の胸に置いたままだが、左手で彼の頭を撫でるのを再開した。
膝枕をして頭をよしよしと撫でる。これが私の属する組織の主なのに一抹の情けなさを感じてしまう。これを可愛い、
と思う母性本能には私は恵まれていないようだ。


論文をチェックし終えた彼はそれらをサイドテーブルに置いて私に目を向ける。

「こうしてもらっているといつもより頭に入る気がするよ。毎晩やってくれたら……」

私の目線にブリザードでも感じたか、それ以上のたわ言は聞かずに済んだ。

「これは参考になるから読んでおいて損はない。書棚に関連資料もあるからもっていくといい」
「はい、お借ります」

合間に上司というか教官としても指導もしてくれるので、文句も言えない。

「あの患者さんの状態はどう?」

気になる患者さんのことを聞いてきたりもする。教授室から電子カルテで確認はできても、実際ベッドサイドでまでは
なかなか行けない彼に、病棟や手術室の様子を話したりもする。
私は彼に指導してもらい、彼は細かな情報を得る。ギブアンドテイクという状態か。

彼が私の眼鏡をはずすのが行為の合図のようになっている。彼にひきよせられて唇が合わさる。

「今日は口でして欲しいな」

頬が熱くなる。きっと真っ赤になっているだろう顔を見られると恥ずかしさ倍増なので、顔を伏せ気味にソファに座った
彼の足の間にひざまづく。ベルトを外し、ホックとボタンを外してジッパーを下げる。

「その嫌々感がいいねえ、別の嗜好に目覚めそうだ」

目覚めなくてよろしい。
下着越しにも彼のそれは固くなっているのが分かる。そっと指でさすると息をつめる気配がする。
形を確かめるように下から上になでてゆく。腰を浮かせた彼から大腿の辺りまで服と下着を脱がせる。
現れた彼のものを手にとる。こうやってこれを見たり、手にするのは恥ずかしくて未だに慣れない。


それに顔を寄せて唇を落とす。何度も場所を変えて触れるのが彼の好みだ。大事にキスされているみたいだから、と。
少しずつ一箇所への口付けの時間が長くなり少し唇を開いて舌でも触れて続いてちゅ、と吸い上げる。
右手は精巣をやんわりと下から持ち上げる。左手は根元の裏筋を親指でさすりながらひくりと動くそれを支える。
手でゆるゆるとしごいてみる。静脈への充血でこんなになるのが、人体の神秘だといつもながら感心してしまう。
先走りの液体が滲み始めたそこにも口付けて舐める。そして口に含む。
彼の指が耳や頭に触れていて、見られているかと思うととにかく恥ずかしい。含んだ彼のものに舌と唾液を絡ませる。
口の中で熱くかたいそれを深く含んで吸い上げる。

「はっ、」

彼から短い声が発せられる。舌を動かしながら奥まで咥え、ゆっくり頭を前後してゆく。強弱をつけたり角度を変える。
口元からじゅ、ちゅといやらしい音が上がる。
頭の片隅ではその姿を浅ましいと思うけど、実際には目の前の彼のものと彼の感じている様子に私は興奮している。
もっと気持ちよくさせたい、もっともっと追い詰めたい。どうやら私も別の嗜好に目覚めそうな感じだ。
この行為も彼のものにも不思議と嫌悪感はわかない。
どれくらいそうしていたか、彼の手が私の頭をおさえる。

「も、う、イきそう、だっ」

奥に彼が突き入れて腰がびく、とはね口の中に彼が放ったのを感じる。何度も脈打ち苦いような生臭い味が広がる。


「はぁ……え、と君、飲んだの?」

しばらく呆けていた彼が聞いてきた。手の甲で口元の唾液と少しこぼれた彼の精液を拭う。
床に座り込んで彼を見上げる。

「あぁ、はい」

目が合うと彼は決まり悪げに視線をそらし、次に下半身に目をやって服を整えた。

「その、口に出して、ごめん」

言われて初めてそうか、と思い至る。今までは口でしてもそれは前戯だったから。
眼鏡を外しているせいで薄ぼんやりとした輪郭の彼の顔は少し赤くて、口のなかで何か呟いている。飲んでくれるなんて、
と聞こえた気がしたけどはっきりしない。
時間も遅いのでこれで帰ることにする。
雑誌と資料を借りて出て行こうとすると、ソファに座ったままの彼からもう遅いから気をつけて、と声がかかる。そして

「また膝枕、して」

やっぱり彼は子供っぽい、と思う。


後日どうして飲んだのか、と聞かれそれが一番処理というか後始末が楽だから、と答えたら落ち込まれた。
男性心理は結構デリケートなようだ。






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