教授と助手10
シチュエーション


入局した翌年、大学院に進んだ。
博士号を取りたかったし、研究の合間に臨床もできるからと上から言われたせいもある。
学生になるので学費を払う。収入源をどうするかについては医局長に面談した際に提案していた。

「死んだ父の医院を今は他の先生がやっています。そこの手伝いをさせてください」

大学病院の手術日にはできるだけ入らせてもらう、ということで私の新生活は始まった。

「嬢ちゃんが先生か、こりゃ年とるわけだ」

父の頃からずっと通ってくれている患者さんの言葉に苦笑してしまう。
大きくはないがそれなりに患者さんがいる。院に進んでからは平日の一日、土曜日の午前中に診察に通っていた。
その日の土曜日午前の診療も昼にずれこんでいた。
次の方で最後か。新患さんだ。看護師さんが呼び入れてくれる間にカルテを見て、その名前にあれ?と思う。

「こんにちは」

そう言いながら入ってきたのは、見知った顔だ。
患者さん用の丸椅子に座り興味深げに診察室を見渡す姿は、ラフな私服ということもあり違和感を感じる。

「一体どうなさったんですか。どうしてここに」

声が裏返らなかっただけ、上出来か。

「頭痛がひどくて診てもらいに来た」

こちらの頭が痛くなりそうだ。薬など大学病院でいくらでも処方できるのに、何故わざわざここに?

「大学病院は土曜日はやっていないからね、救急外来に行くほどでもないから」

その姿勢は正しい。家庭医で対処できそうなものは開いている時間帯にそちらにかかってもらうのが有難いから。


「頭痛はいつごろからですか?他の症状はありませんか?」

気を取り直して問診する。既往歴、基礎疾患、現病歴、家族歴。カルテに彼の情報を入力していく。
普段とは異なる状況が不思議でこそばゆい。体温と血圧には問題はない。次は……

「聴診します。あと口の中も見せてください」

綿のセーターをたくし上げて彼の胸に聴診器を当てる。呼吸音、心音。自分の耳に神経を集中させる。

「背中からもお願いします」

くるりと向こうを向いた彼の背中にも聴診器を当てる。うん大丈夫。でも自分の動悸で聴き取りにくい気がする。
聴診が済んだら口を開けてもらって中を見る。舌を押さえて奥を見るがそちらも大丈夫そうだ。

「発赤はないですね。鎮痛剤はいつも何をのんでいらっしゃいますか?」

彼の口にした薬剤を入力する。三日分を処方して診察は終了だ。

「ありがとう」

彼が立ち上がる。看護師さんはカルテを受付に持っていって診察室には二人きりになった。

「お大事になさってください」

診察室のドアを開けて送り出す。彼で最後だから入り口まで見送ろうかと思った。

「俺で最後か。君の業務は終了かな?」

彼にはい、頷くと開けたドアが彼の手で閉じられる。え、と思う間もなく彼に抱きしめられて唇を塞がれていた。

「んっ」

抗議の声はくぐもり彼に吸い込まれる。舌を絡められて吸い上げられていた。それほど長い時間ではなかったのに、
彼の唇が離れた時には頭がぼうっとしてしまう。

「……教授」

声は少しかすれてしまっている。彼は私を腕の中におさめたまま耳元で囁く。

「公私混同は嫌いだろう?だから君の仕事が終わってからと思ってね。頭痛は本当。この後会えないか?」

看護師さんや受付の人はまだ院内にいるので小声で会話する。

「困ります。学外では嫌だと言っていたでしょう。頭痛がするなら安静にしていてください」

私の言葉に、しばらく黙った彼は分かったと呟いて、腕の拘束を解いて診察室を出て行った。
会計を終えて彼がいなくなった。スタッフも身支度を終えて帰路につき私は一人きりになった。


公私混同は嫌いだ。
私と彼はつきあっては――いない。
連絡先をもらっても自分から利用したことはない。家に帰ってからや休日の誘いには応じない。
最初こそ彼は不満げだったが、これだけは譲れないとするとそれを尊重してくれるようになっていた。

だから今日の出来事には驚いた。学外で会おうなんて彼は何を考えているんだろう。
それこそ学内用の私ではなく他の女性と会うべきだろうに。
私は彼のことを頭から追い出して戸締りを始めた。

終わり?

壁に彼女を押し付けて唇を貪る。眉をひそめた彼女は俺を押しやろうとする。
ドアの側。声が大きければ気付かれるかもしれない。スリルと破滅が紙一重の刺激的な状況。
そちらを意識している彼女を無理やりにこちらに向かせるべく、舌を絡める。
ここにいるのに、俺以外に意識を向けるのは許さない。

「ん……ふ、」

くぐもる声も全部自分のものにしたくて唾液ごとすすり上げる。
彼女を相手にすると余裕なんてなくしてしまう。年下の部下相手に何やっているんだか。
分かっている。外では知らん顔の彼女への、八つ当たりみたいなものだ。
この部屋では何度となく抱いているのに、外にでると見事に単なる部下になる彼女に、俺が焦れている。


普段の冷静な女医姿もいいと思うが、腕の中にいる彼女はもっといい。
ブラウスのボタンを外してブラのホックを外す。彼女の胸はいつも温かくて柔らかくて手の平に吸い付く。
ついでに下着も膝までおろす。片方だけ足からぬいておくとすごく卑猥な眺めになる。
彼女の胸をもむとため息のような吐息にくすぐられて、理性のたがはあっさりはずれる。
もっと聞いていたいのに誘うような乳首に指や唇で触れてしまう。
その時の彼女の反応は鋭くて、今は肩を壁に押し付けて少し背をしならせている。
発する吐息も短くて、でも硬くなる乳首とは裏腹に少しずつ甘さを含んだ熱さが加わる。
彼女の足も気持ちいい。大腿の弾力は好みだ。手で足の付け根を覆い、手のひらでもむようにする。

「あ、きょう、じゅ」

必死に押さえた声は少し震えている。
手の平が濡れる感触。意地悪して中指は彼女の中に入り込む。またひくん、と体が動く。

左胸、乳首の下に感じる彼女の鼓動は早くて俺を熱くする。
中の指を曲げて膣壁で彼女の弱点をさすって指の腹で押す。添えられていただけの彼女の手に力が入り、
シャツごしの俺の背中にしがみつかれる。そうやってすがられると、それだけで嬉しい。
彼女の片足を持ち上げ俺の腰にまとわせる。
指を入れたままの彼女の中がうねる。襞が俺の指にからんですごく熱くなっている。
当たる位置が変わったのか彼女が息をつめると、きゅうっとそこが締まる。もうすぐにでも入れてしまいたい。
それを我慢して、密着していた手の平を離して親指で陰核を押す。中指は彼女の中にいれたままだ。

「あっ、ぁ」

俺の肩に口をおしつけて彼女が声を我慢する。そうされると余計に聞きたくなるのは俺だけだろうか。
陰核を円を描くように撫でて中の指を増やして引いて入れる。くちゅくちゅといやらしい音が響く。
彼女の粘液は俺の手から大腿へと伝っている。腰が揺れて俺に押し付けられる。
これを無自覚でやるから彼女はたちが悪い。
普段クールな彼女がこんなに淫らなんて誰が思うだろうか。いや美人で色っぽいって話は知っているけれど。

「もう欲しい?」

質問ついでに彼女の耳を攻める。ここもめっぽう弱い彼女は身を震わせる。涙の少し滲んだ目で見つめられると、
もっといじめたくなる誘惑に駆られるのを彼女は知らない。本当に俺って。

「でもまだ駄目だよ。俺の前でいって見せて」

陰核と中の刺激を強めると、彼女は目をぎゅっとつぶってかぶりを振る。どこかに感覚を逃がそうとしての
行為だろうが、それは俺の中の彼女を攻めたてたい気持ちを煽るだけだ。

最初のうちはまださらさらだった粘液は、その粘性を増して俺の指のたてる音もぐちゅぐちゅと卑猥だ。

「聞こえる?君のここのいやらしい音」

彼女は我に返ったようだが、そこを逃さずに弱点をすりあげる。
中は彼女の弱点を押す。指先ほどの小さなポイントなのに、その効果は絶大だ。

「あぁ、だ、め」

彼女が中をひくつかせて細かく痙攣する。奥からまた粘液が分泌される。
俺にすがりついて身を震わせて、肌を上気させて俺の指でいってしまった。
なんて綺麗で淫らなんだ。

こんな痴態を見せられては我慢ができない。達したばかりの彼女の中に強引に突き入れる。

「うっ、んんっ」

声がもれないように口付けて上も下も俺で満たす。
立ったまま繋がる彼女の中は蕩けている癖に俺を締め付けてくる。とても貪欲で欲望に忠実だ。
俺の腰にすがっている彼女の足に力が入ってもっと、とねだってくる。
俺を包み込んで快楽を貪って、彼女のすすり泣くような声がどれほど俺を煽るか。
その押さえた声に、熱い息に俺もただもう彼女の中を往復することしか頭になくなってくる。
押し入る時も引く時も俺が彼女に与える快楽と、彼女が俺に与えてくれる快楽がどんどん二人を押し上げている、
そんな気がする。

ああ、彼女の中が広がる。もういきそうなんだ。でも俺もそろそろ限界。
奥に届けとばかりに突くと彼女が一瞬硬直する。

「あ……」

声はむしろ短かかった。その後で波のように、いや津波のように急激に収縮と弛緩が起こり俺は包まれ絞られ
その刺激に耐えられずに欲望を放つ。急激に上昇して放たれた欲望は余韻を残して潮が引いてゆく。

力の抜けた彼女を腕の中にずるずると床に座りこむ。
彼女が可愛くて、どこにもやりたくなくて抱きしめる。
射精すれば醒めるはずなんだが、彼女に対してはそうならない。
もうしばらくはこうしていたい、と抱く腕に力をこめる。






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