シチュエーション
![]() この国には三国一美しいと謳われる姫君が居た。 透き通る様に白い肌に、太陽の光を浴びると純金より美しく輝く金の髪。 何よりその姫君が美しいと言われるのは色の異なる両目であった。 片方は海を溶かした淡い蒼。 もう片方は木々の緑を宿した深い碧。 美しく、そして心優しい姫君は、国の民全員から好かれていた。 そして、その美しい姫君の後ろには、何時も一人の青年が居た。 姫君がその親衛隊の青年を見つめていたのは、誰も知らない姫君だけの秘密。 或る姫君と、不忠の騎士の秘め事 夜の静寂に金の髪が舞う。 姫君は金の髪を躍らせながら、夜の宮殿を歩いていた。 その後ろに、影のように寄り添う黒髪の青年は、静かな低い声で告げる。 「姫様、明日は早いのですから早くお休みにならないと」 姫君はその声を聞くとふふふ、と楽しそうに笑い、騎士に告げた。 「承知しています。明日は年に一度の収穫祭ですもの。 とても楽しみにしている行事です、今日は早く体を休めないと」 部屋の前まで来ると姫君は金の髪を揺らして、そして騎士の方に振り向いた。 形の良い唇が笑みを作り、そして目元に優しい光を浮かべている。 「護衛はここまでで結構です。今日も有り難う。 明日も早いのですから、今日は早く休みなさい」 騎士はその言葉に頷いて、姫君に一度畏まって敬礼をする。 無駄な動きの無い、鍛錬された仕草だった。 「は。明朝一番、お迎えに上がります。姫様も早くお休みになられる様」 騎士は手短にそう告げて、そして姫君に頭を下げて、その場を去った。 姫君は立ち去る騎士に静かに手を振りながら…その姿が完全に見えなくなるまで、 手を振っていた。彼は一度も振り向かなかったが、姫君はずっと手を振っていた。 この国では年に一度、実りの秋の初めに収穫祭を行う。 去年一年の恵みを感謝し、そして今年も良い作物が採れる様。 国を揚げての最大の祭りであるこの祭りは、日頃はしゃぐ事が出来ない姫君にとっての 数少ない少女に戻れる時だった。 「私は今年で十八の年を数えますから、今年から果樹酒を口にしても良いのです」 会場に向う途中の馬車の中で、姫君は同乗している騎士に嬉しそうに言った。 「父上が、お前ももう立派な成人だと仰ってくださったのですよ」 幸せそうに笑う姫君に、騎士は何時も通り、眉一つ動かさずに 「そうですか。ですが、飲みすぎにはくれぐれも注意して下さいね」 と告げた。 「勿論です。節度は心がけます」 「無論です。姫様が自分で好きな量を飲むのは危険ですから、私が用意させて頂きます。」 騎士が言うことは毒見も兼ねている、ということは姫君も勿論知っていた。 しかし、そうまで厳しく言われると何だか少し悔しい。 「け、結構です。私とて一人前の女性なのです。 酒に溺れない、嗜む程度の量は判りますわ」 姫君はそう騎士にきつい口調で突っぱねて、そして騎士から視線を反らした。 これは命令なのだ。 そして、自分が命令すればこの青年は逆らえないことを知って言ったことだ。 真っ直ぐに自分を見つめる――――自分の身を案じている、ということは判っている のだけれども――――その漆黒の瞳が、今の姫君には痛々しかった。 収穫祭は終日盛大な盛り上がりを見せた。 侍女が姫君に今年取れた一等上等な葡萄で出来た果樹酒を手渡し、姫君は 初めて味わうその濃厚な味に心から酔いしれた。 「姫様、初めてなのにそんなに飲まれては…」 後ろで見ていた騎士が、姫君が三杯目の果樹酒を飲もうとした刹那、見かねて 口を出した。 が、姫君は故意に騎士の言葉を無視して、三杯目の果樹酒に口を付ける。 今度は苺だ。甘酸っぱくて、とても優しい味だ。 (ふふ、私の大好きな果実) 姫君はすっかり上機嫌で、豊作を祈り、そして果樹酒をあおり続けた。 収穫祭の宮殿は眠りに着くことを知らない。 朝まで盛大な宴が催され、多くの貴族が一夜の夢の世界に酔いしれる。 が、毎年その中心に居る、美しい姫君は居なかった。 逞しい腕に抱きしめられ、姫君は自分の部屋へ案内されていた。 地に足は着いていなく、それどころか頭がふわふわと宙を漂っている気持ちだった。 体が酷く熱い。しかしその熱は不快なものではなかった。 「姫様、大丈夫ですか」 自分を抱いている男が声をかける。何時もと違う、不安そうな声だった。 「あれ程お願い申し上げましたのに。 初めて酒を口にしたのに、あれだけ飲むと体に毒です。明日まで抜けませんよ」 「……」 何も言い返せなかった。 ただ出来たのは、彼の服の袖をきゅっと強く掴むことだった。 自分とは違う筋肉のついた体、鍛え上げられた鎧を纏っている様な肉体。 微かに漂うのは汗の匂いと、彼自身の薄い体臭だった。 (…何だか、変な気分…) 胸がどきどきする。体が益々熱くなる。 そういえばこうして抱きかかえられることなど初めてかもしれない。 何時も一緒にいるのに、何時も自分はこうして欲しかったのに。 騎士は無言で姫君を抱きかかえて、そして姫君の部屋に入った。 姫君をベットの上に寝かせると、耳元で静かに囁いた。 「姫様、着きましたよ。今水を持ってきますから、暫しお待ちを」 騎士は一度も振り返らず、言葉どおり水を汲みに一度部屋を出て行った。 一人部屋に残された姫君は、体と胸が熱くなるのを、じっと耐えていた。 騎士の酌んできた水を飲み、姫君が落ち着いたのはそれから暫し立ってからのことだった。 体の火照りもだいぶ収まり、騎士とまともに顔をあわせられる様になった。 ナイトガウンに着替えるのも、騎士の手助け無しに一人で出来た。 「今日は早めに眠った方がいいでしょう。明日は、具合が良くなったら私を 呼んで下さい。貴方を起こしに来ることはしませんから、ゆっくり休んでください」 「…もう行ってしまうのですか?」 「…もうお眠りになったほうがよろしいでしょうから。…姫様?」 姫君の腕はしっかりと騎士の腕を掴んで離さない。 陶磁器の様に白い肌にはうっすらと赤みが差し、吐息も荒い。 潤んだ蒼と碧の瞳が、騎士を真っ直ぐに見つめていた。 何かを訴えかけるその瞳に、騎士は心臓が高鳴るのを感じた。 「…姫様、どうなさいました」 「…行かないで…」 切ない声で、それでも懸命に。 姫君は騎士に哀願した。 「いや、行かないでください。こ、今晩だけで良いのです。 私と、一緒に居てください」 「…・・」 起き上がろうとする姫君の体を騎士は優しく拒否し、寝かせようとする。 しかし姫君は騎士の肩に手を回し、いやいやと子どもの様に頭を降った。 いつの間にか両目から涙が溢れ出し、頬を伝った。 「ずっと貴方のことが好きだったのです…。 もう私は、立派な大人になりました。だから、私のことを抱いてくださいませんか?」 「…姫様、今晩は酔っているから、そんなことを仰る。 姫様を抱くことなど、私には出来ません」 騎士は姫の体を優しく抱きとめながら、静かに言った。 優しい声色だったが、表情は苦渋に満ちていた。 「違います…。やっと勇気が出たのです。 私は、何時も私のことを優しく守ってくださる貴方が好き。 でも、貴方は、私のことを、姫だからと言って女として見て下さらない…」 「…当然です。姫様は、永久の憧れの人です。」 「……」 騎士は真っ直ぐに姫君を見つめて、そしてその唇と己と唇を重ねた。 微かに、果実の甘い香りがした。 「んっ…」 姫君はそれを目を閉じて静かに受け入れ、そしてそのまま騎士に身を委ねた。 唇を重ね合わせるだけだったキスが、次第に激しいものになっていく。 姫君の口の中に、静かに舌を進入させると、姫君は最初身をびくりと震えたが、 やがて自分からも舌を絡め合わせてきた。 ぴちゃ、ぴちゃと淫らな唾液の絡まる音が響く。 「ふぁっ…あああ…」 一度唇が離れ、頬を真っ赤に染めた姫君に、騎士が囁いた。 「…私の全ては貴方のもの。貴方をお守りするという使命があるから、自分はここに居ます。 愛しい貴方が望むのでしたら、私は貴方の為に何でも致しましょう」 それは、決して想いを告げてはいけない男の、精一杯の告白だった。 愛しく、敬愛しながらも誰よりも可愛く想っていた姫君が、自分に抱かれたいと願っている。 それならばその願いを叶えてあげたい。 それはずっと、自分が望んだことでもあったのだから。 こうして背徳の一夜は、幕を開けた。 月の光に晒した姫君の素肌は、透き通る様に白かった。 その柔らかな体を抱きしめ、唇を重ね、そして愛撫する。 少女らしい小ぶりで形の良い胸を、手の平にそっと包み込む。 中心の果実には触れない様にこねる様に揉みしだくと、姫君の口から甘い吐息が漏れた。 「あっ…」 頬を赤く染め、恥らう様に両手で顔を覆うとする姫君は、何とも可愛らしいものに見えた。 乳房を捏ね繰りまわすと、桃色の乳首がぷくりと固く勃った。 (ひゃっ…あ、な、何だか、くすぐったい…) 姫君は声を必死で堪えながら悶えていた。 こんな声をあげてしまうなんて、はしたないから嫌だと思う。 だけれども彼の指が自分の体を這い、濃厚な口付けを交わす度に、淫らな声が漏れてしまう。 「んっ、ふうっ…ふうぅっ!!」 唇を交わしながら騎士の指が姫君の秘所に滑り込んだ時、姫君は大きく体を震わせた。 そこはすでに熱い湿り気を帯びていて、騎士の指を容易く受け入れる。 「あ、はぁっ…な、何ですか、これはっ…」 震える吐息で姫君が問うた。 「か、体が熱いの…。た、助けてくださいっ…くぅうんっ!!」 蜜を襞にこすり付けながら、指をゆっくりと内部に滑り込ませていくと、 姫君の体がびくびくと震える。 「はぁ、ああ、あっ…!」 すでに充血しパンパンになった肉芽を軽く弾くと、姫君の体はびくりと跳ねた。 ぶるぶると痙攣し、そして姫君の体から力が抜けるのが伝わる。 それでも、騎士の指は姫君の内部への進入を止めない。 深部からとろりとした蜜が次から次へと溢れ出し、くちゅくちゅと淫らな音を立てた。 「もう我慢が出来ませんか?」 騎士が姫君に、耳元で意地悪な声色で囁く。 姫君は素直にこくこくと頷くと、騎士はその体を一度強く抱きしめ、自分の体の下に寝かせた。 「体が熱くて、もう我慢出来ないのです…。」 姫君が震える声で、擦れた吐息で騎士に哀願した。 姫君の哀願に口付けで返し、そして騎士は固くなった己自身を姫君の秘所に当てた。 入り口を自身の先端でぐりぐりと弄くり、蜜を擦り付ける。 「……」 騎士が耳元で姫君の名前を呼び、姫君は両腕を騎士の背中に回す。 それを肯定だととった騎士は姫君の膣内にゆっくりと進入を始めた。 「んっ…!!きゃああぁっっ!!」 処女喪失の余りの痛みに、姫君が絶叫をあげる。 「姫様、力を抜いてくださいっ…」 騎士は苦しそうに息をしながら、姫君の中に、姫君がなるべく痛くない様にと 気遣いながら己自身を挿入させる。 アルコールのせいで姫君の内部は燃える様に扱った。 幾つもの襞が騎士の肉棒を擦り、そして咥え込む。 姫の秘所から幾筋もの鮮血と、それに勝る蜜が溢れ出す。 「熱い、熱いよぅっ!!」 姫君の体が騎士の肉棒を深く受け入れる度にびくびくと震え、甘い悲鳴をあげた。 熱いのはきっと酒のせいだけではない筈だ。 こうして二人は朝まで獣の様に交わっていた。 朝の光は、姫君の髪の色の様に穏やかな輝きだった。 「姫様、お体大丈夫ですか?」 姫君が目を覚ますと、隣に眠っていたはずの騎士はすでに平常の服装に着替え、 姫君が起きるのを待っていた。 体はまだ少し痛かったが、起きられない程ではない。 大丈夫です、と笑顔で答えて、姫君は差し出された手を取り立ち上がった。 「…昨晩は無茶をさせてしまい、申し訳ありませんでした」 申し訳なさそうに自分に謝る騎士に、姫君はにっこりと笑いかける。 「私からお願いしたことですもの。貴方が謝ることはありません。 ああ、もうこんな時間。早くしないと、侍女たちに怒られてしまうわ」 姫君はするりと重い空気を交わして、窓を開け放ち、清清しい朝の空気を取り入れた。 「良いお天気です。…今日も一日、よろしくね」 姫君はにっこりと騎士に微笑みかけ、そして、静かにその手を差し出した。 秘められた恋の物語は、まだ終わらない。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |