シチュエーション
カツ、カツ、カツ、カツ・・・・・・・・・・・。 誰かが、この地下牢に降りて来る気配がする。 足音は二つ。その一つが廊下に響くこのヒール音という事は、二人の内の一人は女、という事になる。 (こんな場所に一体、誰が・・・・・・・・・?物好きな女もいるものだ) そう思いながら、リールは鉄格子の方に首を傾ける。 「―――――がぁっ!!」 僅かに身体を動かしただけで全身に激痛が走る。 (今日の拷問はえげつなかったからな・・・・・・・・・) しかし、まだまだリールは死ぬわけにはいかない。そう思うと、この痛みさえ、自分の生存を確認させる道標に思えてくる。 実際、革命派のリーダーとして獄吏に喋っていない秘密は山ほどある。その内の重要度の低い情報から小出しにしていきながら、彼は待っていた。来るアテの無い仲間の救出を。 「―――――お止まり下さい!この先は国事犯の房でございます。お名前と御用の向きを承ります!」 夜勤の獄吏が、足音の主に尋問している。こんな夜中だから当然といえば当然の事だが、それにしても、あのヒゲ野郎に敬語を使わせるなんて、よほど身分の高そうな女のようだ。 (・・・・・・・・・・・・・と、なると・・・・・・まさか、あいつなのか・・・・・・・・・?) 「無礼者!!獄卒風情が誰に向かって大声を立てておる!」 「なっ・・・・・なぁにぃ・・・・・・!?」 「―――――およしなさいセバスチャン」 (間違いない!あいつだ!!) SS一覧に戻る メインページに戻る |