島津組2/欲情
シチュエーション


瀬里奈は辻井に会いにきていた。
繁華街であるS街の中心から少し外れた住宅街。それでも繁華街の真ん中にある組事務所にはすぐに駆けつけられる距離。
そんなところにあるマンションの一室が、辻井の住まいだった。そしてその部屋の風呂場で、瀬里奈は辻井と抱きあっていた。
公園でされた口づけよりも濃厚な口づけを交わす。瀬里奈は必死で辻井の広い背中に手を回して抱きつき、執拗に自分の口内をむさぼる辻井の舌の動きに身を任せた。
口を離すとふたりの唾液が糸を引いてふたりをつないだ。それが自分と男とのつながりを示すもののように思えて、瀬里奈は目を輝かせる。


辻井がゆっくりと腰を屈めながら、瀬里奈の首筋から胸元へと唇を這わせる。瀬里奈の身体が震えたのをみて、小さく笑った。

「怖いですか」
「ううん」

怖くないよ、と潤んだ瞳で瀬里奈は目の前の辻井を見つめた。
そこには、夢にまでみた辻井の裸体があった。たくましく盛り上がった腕。広い胸。均整の取れた筋肉の腹。――そして張りつめて腹についている赤黒い男の象徴。瀬里奈の下腹部がとくんと疼く。
辻井は裸の瀬里奈を見て、綺麗ですよ、と微笑んだ。恥ずかしがって胸を隠していた瀬里奈の腕に触れる。

「綺麗な胸も見せてください」

瀬里奈が恐る恐る手を下ろすと、辻井はもう一度綺麗だと呟き、胸の谷間に顔を埋めた。瀬里奈の白い肌に、紅色の男の証がついていく。

「あ……ん」

瀬里奈の太ももを温かいものが伝っていく。その溢れた欲情の蜜を辻井の指がすくいとった。

「あ……」

胸を唇と手の平で愛撫しながら、辻井は余った手を瀬里奈の足の間に侵入させる。じっくりと時間をかけて瀬里奈の中を愛撫していく。

「いいですか」

辻井は囁く。瀬里奈が頷くと、すでに甘い蜜が溢れてきているそこへ、とうとう――。



「はぁ……ん」

思わずもらした甘い声が部屋に響く。

辻井さん――。

お嬢さん、という声を想像して、瀬里奈は自分で自分の胸を揉み、泉をかきまわし、クリトリスをいじる。
瀬里奈はあの日以来、辻井のことを思ってはこうやって自分の火照りを慰めている。こんな風に誘ってくれたらいいのに、と欲情ばかりが胸にこみあげる。
瀬里奈が挿入している指は一本から二本に増え、その指が肉壁を擦り、撫で、奥へと進む。

「あ、あぁぁ……は……ん……」

ベッドに腹這いになり、腰をつき上げて自分の指を突き入れビチャビチャと音をたてる。
初めての時は痛いっていうけど本当かな。でもどんなに痛くても、辻井さんにされるならわたし死んでもいい。
瀬里奈は必死で見たこともない辻井の身体を思い描き、経験したことのないセックスを想像する。
わたし、なんていやらしいの。
悪い事をしているような感覚が瀬里奈をさらに興奮させ、風呂あがりで火照った体がもう一度桜色に染まっていく。
ねェ、もうわたし、気持ちよくて変になりそう……。
いいですよ、もっと気持ちよくなってください。
そんな会話を勝手にしながら、瀬里奈の指の動きは一層激しさを増していく。

「んんっ、ああぁんん!」

瀬里奈は思いつめた声を出し、ぐったりとベッドに倒れこんだ。
指を引き抜くと、どろりと自分の白い欲情の跡が指にまとわりつく。
ごろりと仰向きになり、裸の胸を抱きしめながら、瀬里奈は何度も辻井の名前を心の中で呼んだ。
答えてくれるはずもない男の声が、聞こえた気がした。

「愛してます、お嬢さん」

と。






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