シチュエーション
私の宝物は、とても少ない。 お祖父様とお祖母様が誕生祝いに、と下さった薔薇の温室。 その次の年の誕生日に同じように下さった、温室に置いてある長椅子。 愛しんで下さるお兄様と、お兄様の従僕。 そして 愛しい、人 私の愛しい執事。 お気に入りは温室の長椅子で微睡むこと。 はしたないとは思うけれど、こうしていれば探してくれる。 あの声で目を覚まし、あの手が壊れ物でも扱うように私を起こす。 「靴を」と上目遣いでねだれば、暫しの躊躇の後、恭しく靴を履かせてくれる。 とても愛おしい日々。 他に何も望まない。 ああ、どうか。 どうかお願い、傍にいて SS一覧に戻る メインページに戻る |