シチュエーション
![]() 2回の小さなノックの後、微かに扉が開く。 「お兄様?」 「ああ、お入り」 「お話って、なに?」 「可愛い妹にプレゼントを、と思ってね」 「プレゼント?」 誕生日というわけでもなく、記念日というわけでもない。 首を傾げていると、目配せを受けた従僕が二つの箱をテーブルに並べて置いた。 「開けてごらん?」 悩んでいても仕方がない、と納得し、片方の箱を開ける。 もう片方は、箱を持ってきた従僕が蓋を取り去った。 「!」 思わず凝視してしまっても無理はあるまい。 中身が下着のセットであったからだ。 「……お兄様?」 真意を問うように問いかける。 声が微かに震えてしまったのは仕方ないだろう。 「なんだい?」 「これは、なんですか?」 「下着のセットだね」 「わ、私…こ、こんな…!」 かぁ、と頬が紅潮する。 「ベビードール、総レースの上下、ガーターベルトにストッキング……その位、かわいいものだよ。もっと過激なものもあるんだからね」 「でもっ!」 「あれを篭絡したいんだろう?」 「………」 「沈黙は肯定と取るよ。さ、どちらにする?…勿論、両方使って構わないが」 どちらにするか、と聞かれても、答えられるものではなく… 兄は再び口を開く。 「私はこちらの黒がいいと思うね。セクシーだし。…お前はどう思う?」 主に問いかけられれば、従僕は答えるしかない。 「…畏れながら…私は白をお勧め致します。黒も、たしかにようございますが……」 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |