悪魔と魔法使い
シチュエーション


「……それで、あんたが俺を呼び出した張本人てわけかい?」

そう言うと、魔法陣の上の空間にあぐらをかいた悪魔はにやにやと薄笑いを浮かべてみせた。

その姿に魔法使いの娘、アヴェンディアは戸惑いを隠せない。
彼女は魔物の中でも例えば鷲や獅子、小さいものではコウモリといったような、
獣の姿の魔物ならば見慣れていたのだが、“彼”のようにどう見ても人間にしか
見えないようなものを呼び出したのは初めてであったから。

燃えるような赤毛に、陽にやけた肌。どこか少年めいた顔立ち。
どこからどう見ても目の前の悪魔は、アヴェンディアにとっては自分と同じ年頃の
青年にしか見えなかった。人と違うのは彼の下半身に黒光りする尻尾が
九本ついていることくらいか。

だが、内心の動揺を悟られまいとアヴェンディアはふん、とばかりに胸をはり
居丈高な口調で「だったらどうですの!」と声を張り上げた。
気の強そうな美貌にその仕草は良く似合っていた。
それを見て、悪魔は怒るでもなく逆に、愉快そうに目を細めた。

「いいね、その鼻っ柱の強さ。……気に入ったぜ。
どうせ暇してた所だ、あんたと契約してやるよ」

宙に浮いたままくるりと逆さまになり、悪魔はアヴェンディアを指差した。
周囲にかしずかれて育ったアヴェンディアは他人に指差される事に慣れていない。
その無遠慮な態度にどこか不快さを感じ、眉をあげた。

「……わたくし、まだ一言も契約するなどとは言ってないはずですわよ」
「だったら何で俺を呼び出したって言うんだよ。
願いを叶えさせるためだろ? それなら契約しなきゃあなぁ」

アヴェンディアのつっけんどんな物言いにも悪魔はどこ吹く風だ。
諦めたようにアヴェンディアは小さくため息をついた。

「いいですわ。……ではまずお前の名を名乗りなさい」
「はは、まだ契約もしてないのに主人づらかい。まぁいいぜ、教えてやるよ。
俺の名はイェールイェール。略してイェールとでも、ダーリンとでも好きなように呼んでくれ。
契約さえしてくれりゃ、あんたが呼べばいつだって俺はあんたの前に現れる」

イェールイェールと名乗る魔物は彼女の前でかしこまって礼を取った。

「ではイェールイェール、お前に告げましょう。わたくし……魔法使い
アヴェンディアはお前と契約します」

そこで言葉を切ると、一旦自らの胸に手を当てアヴェンディアは厳かにこう宣言した。

「……契約の代償はわたくしの魂」

それを聞き、イェールイェールはぴゅいっと口笛を吹いた。

「魂たぁまたえらく張ったな。願いはなんだ? 
あんたが望むなら何だって叶えてやるよ、ご主人様」

そしてケタケタと笑いながら軽口をたたく。
アヴェンディアはそれを睨みつけて黙らせると、不敵ともいえる笑みを浮かべた。

「わたくしの願いは……そう。ある男の死、よ」

『死』という言葉はあまりにも簡単に口に出されたが、それに強い思いをかけている事は
アヴェンディアの表情からも察することができた。一瞬眉をぴくりと上げた
イェールイェールだったが、すぐに愉快そうな表情を作ると
ぱん、と音を立てて両手を合わせた。

「よし、契約は成立だ! 願いはお前の望む人物の死、そしてその代償はお前の魂。
それで違いねぇな?」
「ええ」

彼女がそう答えてうなずいたその瞬間だった。
アヴェンディアは思わぬ事にあっと驚いて目を見開いた。
イェールイェールの尾のひとつが彼女の両手首を縛り上げ、宙づりにしたからだ。

「ちょ……っと、一体何のつもりですの!?」

怒りにまかせて抗議をするが、イェールイェールは取り合おうともしない。
先ほどと同じような、にやにや笑いを浮かべてアヴェンディアを見つめている。

「まぁそう怒りなさんな。いわゆる手付金てやつだよ。これも契約のうちってね」

そう言ってイェールイェールはアヴェンディアの胸元に手をかける。
そして服の上から柔らかなふくらみに触れた。

「な、何を考えているんですのっ、この無礼者! や、……お離しなさいったら!」

逃れようとじたばたと暴れるが、アヴェンディアの手首を拘束する尾は少しも
ゆるむことはなく、むしろ更に強く彼女を締め上げた。
きしり、ときしむ音をたてながらイェールイェールは尾を動かし、彼女の体を
自分の傍へと近づける。彼女の服を掴み勢い良くそれを引くと、布が引き裂ける
乾いた音が響いて、イェールイェールはそれを楽しげに聞いていた。

「…………ッ!」

声なき悲鳴をあげてアヴェンディアが身をよじると、破りとられた布の隙間から
白い肌がちらちらと見えた。そうしてのぞいた乳房を布という邪魔者なしに
イェールイェールは強く掴みあげた。そのまま一定のリズムを持ってもみしだく。

「や……、いやっ! 嫌ぁ」

彼の手から逃れようとアヴェンディアは体を揺らしたが、イェールイェールは
無理やりに彼女の体を自らの元へ引き寄せて、耳元に囁いた。

「まぁ、あんたがどうしても嫌だってんならやめたっていいんだぜ。
俺は全然構やしねぇ。……さ、どうする?」

文字通り悪魔の囁きにアヴェンディアはためらいの表情をみせた。
彼女の心の中に、自らの純潔への思いと殺してやりたい男への憎悪が錯綜して駆け巡る。
その揺れる二つの思いの隙間から、浅黒い肌の粗野な男の姿が一瞬浮かんで消える。
それは一瞬であったが目を灼く逆光のように激しいものであった。
アヴェンディアが心を決めるのに充分なほど。

ぎゅっと目をつぶると、アヴェンディアは静かにこう始めた。

「……わかりましたわ。お前にこの身を捧げましょう。
その代わりわたくしの願い、必ず叶えるんですわよ」
「任せな」

悪魔は唇の端に笑みを浮かべたようだった。くんっと縛めの尾に引かれ、
更に高くアヴェンディアの体が引き上げられる。
何をされるのか強張る彼女の体にイェールイェールの別の尾が触れた。

「ひゃうっ」

長いスカートの裾から悪戯な尾が入り込み、アヴェンディアの柔らかな丘を押し上げた。
先端が器用に下着をずり下げながら、アヴェンディアの固く閉じた入り口を開こうと試みる。

「やっ……、んん」

それと同時にイェールイェールは自らの手をつかい、アヴェンディアの乳房を
こねまわし始めた。そしてすべすべした感触を楽しむように指を滑らし先端の、
尖り始めた乳首をぎゅっとつまみあげる。

「あぅっ!……や、やめてちょうだい。目的は……これ、ではないのでしょう?」

頬を紅潮させながらアヴェンディアが訴える。だがイェールイェールは
悪戯っぽく肩をすくめただけで、愛撫を繰り返し始めた。

「まあ、どうせなら楽しくやりたいじゃないか。あんたも気持ちいい方がいいだろう?」

ねっとりと耳朶を舌でなぶられて、アヴェンディアは身を震わせた。

「ああ……ふ、あぁん」

尾は、アヴェンディアの芯をつつき刺激しながら、時折先端を差し入れていく。
潤い始めたその入り口は、ちゅ、くちゅ、と卑猥な音を立て始めていた。

「や……、ああぁ、ああん……」

尾は、そうやってアヴェンディアを導きながらもけして中奥へと入り込み
彼女を解放する事はしなかった。与えられる快楽に身もだえながら、
高みに昇りつめられない苦しさにアヴェンディアは身悶えていた。

「んぁぁっ!」

乳首に爪を立てられてアヴェンディアはピクンと体を動かした。
じんわりと下半身が充血し、更に蜜がにじんでいくのが自分でもわかり
頬を赤らめる。その様子を悪魔が愉快そうに見ているのは矜持の高い
アヴェンディアには耐えられないことであった。

「……いつまでこんな風にわたくしをもてあそぶつもりですの!?
す、するなら早くすればいいではありませんか!」

遂にアヴェンディアが爆発すると、彼女のうなじに唇をあてて印をつけていた
イェールイェールは顔をあげ、笑い声をあげた。

「いきなり突っ込んだりしたら痛い目みるのはあんただろうに。
わがままなお姫さんだなぁ」
「きゃっ」

彼自身の指に秘所をいじられてアヴェンディアは小さな悲鳴をあげた。

「……そろそろ大丈夫かな」

蜜をかきとりイェールイェールはそんな事をひとりごちる。

そしてアヴェンディアを後ろから抱きかかえるとスカートをたくしあげ、
白い臀部をあらわにさせた。

「ひっ……」

肉を割られ、背後から濡れた入口を確かめられて、屈辱と羞恥、そして恐怖に
アヴェンディアは息をのんだ。割れ目をイェールイェールの指先が辿っていく。

「あ……、あ…」

こらえようとしても漏れてしまう自分自身の声が、アヴェンディアには忌まわしかった。

「お姫さん、良いこと教えておいてやるよ。こんな風に我慢できない時は
“あなたが欲しいの”って言うんだよ」

だが、それを言うか言わないかのうちに、言葉尻はアヴェンディアの悲鳴にかき消された。
指や、イェールイェールの尾とはくらべものにならないほどの質量が彼女の内を
蹂躙し、その苦痛にアヴェンディアは喉をのけぞらせて耐えた。

「あっ、あ、あ……」

空気を求めて口を開く。痛いのか苦しいのかアヴェンディアは自分でも分からなくなっていた。
足をもちあげられ、イェールイェールが更に侵入してくるのを自らの体で感じていた。
彼が身動きするたびに引き裂かれるような痛みがはしる。
それを必死に訴えるのと、イェールイェールはアヴェンディアの体を支えながら指示を出した。

「力を抜け……って。ほら、息を吸うんだよ……そんなに力まれたら俺も抜くに抜けねぇ」
「だって……わたくし、わたくしどうしたらいいのか……あっ」

内部に納まったまま、少しずつ肉茎を動かしていたイェールイェールは
アヴェンディアの心地よい場所をついに捉らえたようであった。
そこを重点的につついてやると、アヴェンディアの緊張が少しずつほぐれていく。

「んっ、う……ああっ、痛っ、いたいわ……」
「痛いだけじゃないだろう」

先走りの精と、アヴェンディア自身の愛液、そして破瓜の血が交じりあい、
抽送の度にじゅぶじゅぶと水音が聞こえていた。
既にアヴェンディアは痛みだけではなく快美さを覚えており
出し入れされるたびに敏感になるそこに、無意識ながら感覚を集中させていた。

「あ……ああああっ」

イェールイェールはアヴェンディアの腰のあたりを掴み、最奥まで一気に刺し貫く。
初めて淫らさを覚えさせられた肉の鞘はそれを受け入れ、くわえ込むためにきゅうと狭まった。
その刺激でイェールイェールは勢い良く彼女の坩堝に白濁液を吐き出した。

*******

イェールイェールが引き裂いた服のかわりに彼が魔法で出した
淡い黄色のガウンを羽織ると、アヴェンディアは念を押すように言った。

「手付金とやらはこれで払いましたわよ。これからはわたくしの
使い魔として存分に働いてもらいますからね」
「コトが終わったらすぐそれかい。処女を捧げた相手に何か甘い言葉でもないのかね」

そう揶揄する言葉をアヴェンディアは鼻で笑い飛ばした。

「何を言ってるんですの。お前は悪魔、わたくしはお前を使役する魔法使い。
お互い好きあって結ばれたわけではありませんのよ。
お前があくまで契約の一環だというから応じたまでですわ!」

アヴェンディアはつん、と横を向いた。
イェールイェールはくすくす笑いながら宙で一回転をする。

「さっきまで俺の腕の中であんなに可愛かったのにもうこれだよ」

「……お前が不満だろうと何だろうと、わたくしは契約にそってお前の主になったのですからね。
願いはしっかりと叶えてもらいますわよ。よろしくて?」

するとイェールイェールは猫のように瞳孔を細くすると、にぃっと深く笑んでみせた。
そしてアヴェンディアの手を取るとその甲にうやうやしく口付けた。

「もちろんですとも、ご主人様」






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