シチュエーション
「閣下尺八を山羽で発見する(仮題)」 閣下は俺の腿に手を置き、神妙な顔をして俺を見上げた。 ごくり、とその白い喉が上下する。布越しに震えた手の温度が伝わり制止の声をかけたくなる、が声が出ない。 また、まじないをかけられたのだ。声を出そうとすれば乾いた喉がヒューヒューと鳴る。 ジベレリンとかいう術よりマシだ。やらせはしなかったが、説明だけで青くなる術を沢山閣下は会得している。実践されたら大抵の男は腹上死でその人生を終える。 手早く状態を説明するならば、腰から下と声を拘束されたのだ。 追記として、ひとつ。俺は被虐ではない。 何故このような状況へ追い込まれたのだろうか。ただ俺は断っただけだというのに… ベルトのバックルに伸びる手を掴んで止める。白い手の甲に赤い花のような文様が映えていた。 「やらせろ!」 目元を恥ずかしそうに染めて言うセリフじゃない。 慌てて両手でその口を塞ぐ。表情とやってることが違いすぎます。 口を塞ぐと顔がもう半分も見えないし、息もし辛いと思うが、閣下はにんまりと目を細めた。 うって変わって素早い動作でベルトを引き抜き前をくつろげ、手を置いた。 ――チンコの上に。 俺の頭の中の警鐘が甲高い音を立てて鳴り響く。 慌てて閣下の手をどかそうと重ねれば余計に押し付けるような形になってしまう。閣下がぴくりと肩をゆらした。 「…あったかい?」 そりゃあもちろん身体の一部ですからね! どうにか手を離させると今度は首を動かしてまで近づこうとする。 なんでこんなに今日はしつこいんだ!!はやくフェラからはなれなさい!! あくまで俺は閣下が善がってんのを見るのが好きで、されるのは二の次なんです! そんなに強い力は出せないので、堂々巡り。これがもう三十分近くつづいていた。 あきらかに焦れている閣下が三回目の脅しをかける。 「上も拘束するぞ」 強姦、という言葉を知っていらっしゃるでしょうかニーズヘッグ・ユアン大佐… 力なく俺は首を横に振り、観念した。というかテイネンした。 してやったり、という表情で閣下は背伸びをして頬にキスをする。 下着の上から恐々となで上げ、そいつをひっぱりだした。まだ柔らかいそれを持ち上げてまじまじと見つめる。 何がおもしろいのだか… 「この状態は初めて見るな。成人は皆、こういう風になっているのか?いや、個人差はあるか。 あれだな、ほんとにカメみたいだ。おもしろいなツルリとしてるぞ。 む、最中とは違うな…ふにふにしている。ああ、まだ勃起していないから、か? …しかしよく収まるものだ。大きくないか?」 摘んだり、引張ったり、計ったり、自身の腹を撫でながら観察した後、竿を握り先端をちろりと舐めた。 上下に扱きながら食むように刺激していく。つたないながらも、必死な姿に徐々に硬くなる。そして決心したようにぱくりと咥えた。 やはり閣下の口は小さい。それでも無理矢理に入れようとして激しくむせた。 「っ!…はぁ、すごいな人体の神秘だ…ガルムおまえ、どうやって私にいれてたんだ」 神秘的な思考回路の持ち主である閣下はそれでもあきらめず、ぴちゃぴちゃと音を立ててなめまわした。 さっきので懲りたのだろう。今度は余裕を持ってその小さい口に含んでみたり、横からかぶりついたりと試行錯誤するように動き回る。 それでも、生来の器用さからかそれともセンスが良いのかイイ場所をついてくる。 「ん、ほほひぃくなっは……っちゅ、そうだ袋もか?なめ…いや揉むのか」 思い出したように付け根をぎゅっと握られる。悲鳴をあげそうになった。あああげても音にならないのか。 そうして摩るような動きのあと、やわやわとしかし摘むように包み込んだ。袋も張っているのがわかる。 両手で揉みながら扱きながら、舌先を差し込まれた。痛みに意識が飛びそうになるがそれも一度だけですんだ。 閣下の手が自身へと伸びていた。目を瞑って、懸命に咥えながら腹部に触れる。 つい最近まで処女だったというのに、著しい発展である。 ……あれ?俺最初も襲われてない?どうなの?結果的に和姦だろうけど… ちぃっとばかしトリップしていると、閣下は握ったまま膝に乗ってきてそのまま内腿にこすりつけた。 挟んで動くと愛液がとろりと絡みついた。充分すぎるほどに湿っていて、閣下の息も上がっていた。 あとでの仕返しにビビリながらも閣下まで手を伸ばした。 へそのあたりを布の上からなぞって降下する。まだクリトリスに到達しないうちに、閣下の膝は震え崩れた。 「ぁ、や、ひざがたた、ない」 「ニーズさん?」 崩れた際に一気に挿入ってしまい、へなへなと俺によりかかる。 それに前後して拘束が解けた。足がだるいし、喉が渇いていた。 やわらかい黒髪を撫でながらもう一度名前を呼ぶ。 「あ、やん!…ちょ、しゃべる…なぁっ」 「へ?ニーズ?ニーズさん?どうしたんですか」 「ばかぁあ、しゃべっ、るなって!言った…」 手のひらを口に押し付けられる。そのまんなかを軽く舐めるとサッと手を戻した。 腰を抱えてゆっくりと横たえる。体勢を逆転させて閉じ込めた。閣下の足が放さないとばかりに絡む。 こめかみに近づいて、意識して低い声を出すと濡れた瞳が俺を映した。 「俺の番ですよ」 「ひっ…ちょ、もっムリヤリしないからぁ!…しゃっ、べ…ないでっ」 どうして、と首に指を這わせたまま尋ねるとそっぽを向いて答えた。横顔が赤い。 「こえ、ちがうひとみたい、やだ」 自分ではわからないが酷く掠れているらしい。別人に犯されているみたいで嫌なのか。 繋がったまま上体を捻って、閣下はシーツをつよく握っていた。肩が震えている。 本当に怖いのか。 「バックでしましょうか」 「やだぁ!いや!だめ!ナシナシ!」 「散々いじめた癖にいいますか。俺は嫌だと言ったのに、声は盗られるし身体は動かないし…」 上体にあわせて閣下の身体を動かす。ごりごりと削るような、しぼられるように中もうごく。 閣下の右手が何かを掴もうとして宙に投げ出された。 「ごめ、ごめんなさ…も、術は使わないからぁ…がる、む」 「本当に?風呂屋の真似事も、真夜中に野営テントに突入もしませんね」 「うん」 「…約束できますか?」 「うん。だから、はやく」 うなじに口付けた。白い背の肩甲骨までたどる。額を背中に擦りつけたまま乳房を揉むと喘ぎと共に抗議の声があがった。 だけれどそれもすぐ消える。後ろから何度か突けば、いやいやと首を振って簡単に果てた。 SS一覧に戻る メインページに戻る |