スレ3保守ネタ
シチュエーション


「保守、したいんですの」
「へっ?」

我ながら間抜けな声を出したものだと思う。
だが腰の引けかけた自分の前でお嬢様はご自分の上着のボタンに手をかけ始めた。
一つ。また一つ。開かれた布の隙間から白い肌があらわになって俺はごくりと生唾を飲み込んだ。
夢にまでみたお嬢様の裸身が今、目の前にある。
お嬢様は頬を紅潮させ、恥ずかしそうに胸元を隠していた。
意識しまいと焦点をわざとずらしても、形の良い彼女の白い膨らみは俺の脳裏にはっきりと焼き付けられてしまっていた。
甘い匂いに誘われるように、思わず足がよろめいた。
うっかり目の前の女性を押し倒してしまいたい衝動にかられる。
酒に酔ったようにくらくらする頭はまともな思考ができそうもなかったが
それでも彼女の肩に手をかけた瞬間、頭の中で浮かんだ映像があった。

(わたしが大人になったらお嫁さんにしてね)

幼い頃のお嬢様だった。その笑顔が浮かんで消える。
我にかえった俺はお嬢様を傍らからそっと引き剥がし、自分の上着を脱いで手渡した。

「……自暴自棄になられてはいけません」

お嬢様は愛らしい瞳を震わせながら俺をみあげていた。
その瞳に傷ついた色が見えることに、罪悪感を覚えたが
これが一番いいのだと自分に言い聞かせながら俺は口をつぐんだ。
それを見てお嬢様が口を開く。

「なぜですの……?
今はスレ住人だっていないし、容量だってあと少しですのよ」

俺は唇をかみしめた。お嬢様のおっしゃっていることは事実だからだ。
それでも、それでも俺はこんな形で彼女を自分のものにしたくはなかった。
それはむしろ、別の意味で彼女を永遠に失うような気がしたからだ。
俺から上着を受け取ろうとしないお嬢様に、顔の筋肉を総動員して笑いかけながら上着をきせかけた。

「きっと……」

そこで言葉をきる。頬が引きつったような気がした。
彼女がその事に気付かなければいいなと思う。

「きっともうすぐ新スレの季節です。そうすればお嬢様のお気持ちだって変わります。
俺と……早まったことをしなくて良かったと、そう思う時がきっと来ます」

涙を一筋頬に伝わらせてお嬢様は首を振った。
そんな事はないと苦しげな声で呟いていた。
耳をくすぐるあまやかな声は、わたしはずっと……と聞こえたような気がした。
その言葉だけで充分だった。
だから時がきて、このスレを見送ることになっても耐えていける。
そんな風に思った。






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