アリスの学習
シチュエーション


「ショコラを返して!」

アリスは目に涙を溜めてピョンピョン跳ねる。
ジャンプの度に、金髪のショートカットと頭上に結われた大きなリボンが揺れた。
だがいくら頑張って手を伸ばしても、家庭教師が高く持ち上げたクマのぬいぐるみには届かない。
家庭教師のエドガーは無表情のまま淡々と告げた。

「次に無断で授業を抜け出せば、ショコラは取り上げると言ったはずです」
「そんなの知らないもん!」

アリスはわめいた。本当は前回お説教をされた時にちゃんと忠告されていたのだが、知ったこっちゃない。自分が法だ。

「嘘をおっしゃい。また嘘をつけばさらに減点しますよ」

冷たくあしらわれ、アリスはとうとう大声でギャアギャア泣きだした。

「うあ〜ぁん!先生がぁいじわるするのぉ…っ、アリスのっ、ショコラ取ったぁっああうぁあぁ〜ん!」
「……子供の泣き声は正に騒音だ」

眼鏡のフレームを指先でスッと直し、エドガーは神経質そうな細い眉を不快気に歪めた。
白い手袋をはめた指でわめくアリスの鼻をむぎゅっと摘む。

「ふんぎゅっ!?むふー!」

驚いて泣き止むアリスを元の無表情で見下すと、鼻を摘んだまま冷徹に言い放つ。

「お黙りなさい。非常に耳障りです。泣けば許されると思っているのは馬鹿げた甘えですよ」

ぐ……怖い。アリスはぐずりつつも、エプロンスカートを握り締めて押し黙った。
パッと指を鼻から外したエドガーは、ショコラを片手にスタスタと部屋を出ようとする。

「…あっ…どこ持ってくの?」

アリスの問いにエドガーは緩慢に振り向いた。

「今日からしばらく預かります。貴方が反省なさったらお返しします」

「やだぁ!ショコラは私と毎日一緒じゃなきゃやなの。今日も一緒にご飯食べて抱っこして寝るの!」

ピクッと、エドガーの視線が手の平に乗せていたショコラに移った。
眉をひそめると、汚い物を触るようにショコラの片足をつまんでぶら下げる。

「貴方が肌身離さず持っているぬいぐるみ…。雑菌の温床ですね。不潔な…」

アリスの目の前で、エンガチョつまみされたショコラが逆さ吊りにされて哀れに揺れた。
あわわわ…アリスの唇がぷるぷるわなないた。雑菌、不潔…。女の子に向かってあまりに残酷な言葉だ。
怒りで足元から脳天まで真っ赤に燃えてゆく。

「ショコラ汚くない!先生のバカバカバーカ!嫌いぃ!」
「馬鹿は割り算もまともに出来ない貴方です。ちなみに、私のほうが数倍貴方を嫌っていますので」

エドガーは涼しい顔でサラリと言うと、部屋の外に出た。
扉を閉める直前、エドガーが告げる。

「次の授業までに反省文を提出して下さい。ノート3ページ分で結構です。休み時間が終るまでに完成させるように」

ひー!

「やだぁそんなの!」

アリスの悲鳴をかき消すようにガタンと重い扉が閉まった。
勉強部屋に一人ぼっちで残され、アリスはまたヒステリックにわんわん泣いた。
あんな怖くて冷たい家庭教師大っ嫌い。
アイツが家に来るまでは、優しい家族や使用人達に可愛いがられ楽しく過ごしていたのに。
どんなにイタズラしてもお稽古をサボっても許してくれたのに。
アイツが教育係としてこの屋敷に住み込んでから、アリスの自由な毎日は無くなってしまった。

「う…ぅ…パパに頼んでももアイツをクビにしてくれないし…誰もアリスを助けてくれない…」

大人は誰も助けてくれない、自分で何とかしなくては。
アリスはしゃくりあげながらも机に向かい、渋々ノートを開いた。

こんなに一杯線が入ってるノートのページを三枚も埋めるなんて無理だ。とりあえず1ページ丸々使って大きく「ごめんなさい」と書いたが、残り2ページが埋まらない。
大体反省文って何を書けばいいのか分からないよ…。

『分からないことがあれば、すぐに辞書で調べなさい』

エドガーの言葉が頭に蘇った。

「…辞書…」

“反省文”と辞書でひけば、スラスラと書けるのだろうか。
アリスは椅子から立つと、部屋の隅の本棚にトテテと駆け寄った。
たくさんの本が並んでいても、辞書は分厚い背表紙ですぐに見つかる。アリスの背でやっと届く上部の棚に辞書はあった。

「んっしょ…うんしょっ………あ?」

背伸びをして両手で辞書を引きずり出すアリスの目に、鮮やかなピンク色が飛び込んできた。
辞書の下段の一冊の本の上部から、ピンク色の冊子が少しだけはみ出ている。

丁度アリスの顔の位置から見えたので気付いたのだが、何かをこっそり本のページの隙間に隠しているようだ。

「何だろ?」

ひとまず取り出した辞書を床に置き、アリスはその冊子を引き抜いた。

「!!」

表紙を見てパチッと目を見開く。
これは……これは使えるかもしれない。
辞書なんて調べている場合じゃない。これこそが、アリスに今必要なお勉強ではないか。
アリスは夢中になってページをめくった。

ノックの音が勉強部屋に響く。

「アリス様、授業を始めます」

ガチャリ

戸を開けたエドガーがアリスを目にした瞬間、その鉄面皮が微かに崩れた。

「お帰りなさぁい。アリス、先生に会いたくて待ちくたびれちゃったぁ」

そこに待ち受けていたのは、満面の笑みのアリスだった。
上目使いにエドガーを見上げ、丸めた両手を顎につけてクネクネとしなを作っている。
怪し過ぎる。

「早くぅ、こっちにいらしてくださいですぅ〜」

アリスは甘ったるい声でエドガーの手を引き、椅子へと誘う。
エドガーはあえて無言で従い椅子に座った。何を企んでいるか知らないが、その浅知恵を見てやろうではないか。
椅子に腰かけたエドガーと、傍らに立ったアリスの身長はほとんど変わらない。フリフリした服装と相まってまるでお人形の様だ。
こんなナリで何をしでかそうというのだろう。
アリスはウフッと笑ってエドガーのタイに手を伸ばした。

「あら、タイが曲がってますよぉ」

この潔癖症の家庭教師のタイが乱れているはずもないのに、わざとらしくペタペタとスキンシップをとってくる。
不器用な手つきだが、アリスは精一杯それらしくタイをいじくった。
首元のくすぐったさに軽く顎を上げて、エドガーは普段以上に無表情な目でジーッとアリスをただただ見つめる。いや、その目は普段より冷たい気がする。

あれ?おかしいな…。
チラリとエドガーの様子を盗み見ながら、アリスは少々焦った。もうとっくにデレデレになってるはずなのに…。
アリスはムムム…と首を傾げながらも、人差し指でつつーっとエドガーの喉元から胸へとなぞる。
ボタンを軽く輪をかいていじりながら、下へ下へと降りてくる。
いよいよとばかりにベルトに手が触れた瞬間、パンッとアリスの手が払い退けられた。

「ふにっ!」

驚いて見上げると、エドガーは眉間に皺を寄せ額を押さえている。

「馬鹿だ馬鹿だと思っていましたが、まさかこの年で痴女に成り下がるとは…」

エドガーが机の上を指す。
その先には、ノートと辞書の下からはみ出たピンクの冊子があった。

「あの毒々しい色には見覚えがあります。いつだか、メイド達がコソコソ回し読みしていた物だ」

うあ、バレた!女の秘密が!
怯むアリスにエドガーが畳みかけた。

「『おねだり指南書』だとか。所詮は低俗な娯楽本だと無視していましたが…、真に受ける様な人間がこちらにいらっしゃいましたか」

ギロリ

エドガーの視線が痛い。
それでもアリスは食い下がった。

「で、でも先生。アリスのこと好きになったでしょ?アリスのユーワクテクでドキドキしたでしょ?」

エドガーの袖をブンブン振って訴えるが、片手で振り払われて尻餅をついてしまう。

「きゃ〜!」

コテン

「私にはちっちゃなお嬢様を偏愛するような特殊な性癖はありませんので」

何だか難しい言葉を使っているが、すっごく否定されたようだ。
お尻をさすりながらアリスはヨロリと立ち上がる。うぅ…。先生を言いなりにしてショコラを返してもらうつもりだったのに…。
むくれたアリスはジタバタ暴れ出した。

「まだ『おねだり上級編』があるもん!これからやるんだもん!」

「埃が舞うから暴れないように。いいから反省文を提出なさい」
「上級編やるのぉ!単純なオトコなんか簡単に骨抜きにできるって書いてあったもん!アリス出来るもん!」
「…ほう…」

アリスの不遜な物言いに、エドガーは眼鏡をクイと上げた。

「そこまで言うならやってご覧なさい。貴方の下らない自習の出来栄えを採点して差し上げます」

プウと頬を膨らませたまま、アリスは腰掛けたエドガーの足の間に駆け寄った。

小さな指が怖々とそこをつつく。

ツンツン…。何だか赤黒くてカワイクない…。
あの冊子の挿絵は色付きじゃなかったけど、こういう物なのかな…。

アリスはエドガーの足の間にちょこんと座ったまま、顔を赤くしてモジモジする。
まだ、片手で下着をずり下げて、少し覗いた茂みと芯をつついているだけだ。
さすがにおちんちんを触るなんて恥ずかしい…。でも、上手くいけばショコラが取り返せるかも。

「それで終わりですか?」

エドガーは特に動じた様子もなく、涼しい顔でアリスの挙動を観察してくる。

「…っ!まだこれからなのぉ!」

アリスはエドガーを股の間からムッと睨んだ。この位置から見上げると、いつもよりさらに見下されている感じがする。
アリスは視線を戻すと、まだ萎えているそれを二本の指で慎重にはさみ、そーっと下着から取り出した。

…よし、出た。えと、これをこう持って…。

まずは片手で包み、上下にずらしながら柔らかに握ってみる。
ショコラの手足をニギニギする感覚と少し似ている気がする。
けど、これは温かくて柔らかい中に固いのがあるような不思議な感触で、力を込めていいものか迷ってしまう。
エドガーは、真面目な顔で稚拙な愛撫を続けるアリスをやれやれと見下ろした。
それでも、小さな指でいじくられるのはむず痒いような快楽がある。

アリスは手の中の物が膨らむのを感じ、驚いて手を離してしまった。

「あぅ…!本当におっきくなった…」

何だかピンと固くなって、手の支えがなくても緩く立ってきた。変なの…。
アリスは恐る恐る幹に両手を添えた。触れると脈が打っているのが分かる。
先端に顔をそっと近付けて、キャンディーの様にレルッと小さく舌で舐めてみた。

「っ!!?」

途端にアリスが舌を引っ込め顔を離す。何とも言えないような微妙な表情だった。
何これ……オイシクないよぅ…!苦いし、しょっぱさもある。

「ふぇ…ぅ」

見る間に涙を溜めるアリスに、エドガーは平然と言い放つ。

「ああ、不味いですか。止めますか?」

ここで諦めたらせっかく学んだ上級編が台無しだ。
アリスは強がって何とか涙をこらえた。

「平気だもん…」

ふるふると僅かに震えながら、また顔を先端に近付ける。

チュル…

唇で軽く吸いながら、舌を押し当てた。
口を開けて舌を垂らし、シロップをかけるようにてろんと唾液をこぼしてゆく。
舌から伸びる唾液の糸が切れれば、今度は先端や幹についた唾液の線を舌で伸ばし始めた。

「はん…うゅ……んるっ…」

愛らしい舌が表面をチロチロくすぐり、懸命にエドガーを高めてゆく。
無表情だったエドガーも、その刺激に少し眉根をひそめた。
アリスは、はふぅと湿った息継ぎをすると、口を開きパクンと先端の丸みをくわえ込む。

「…んにゅっ…れる…」

ちっちゃな口を一杯に開いてそれを入れたが、くわえたまま顔を前後するのは無理そうだ。
トロ…と、エドガーの先端から汁が溢れてきた。ぬるぬるした美味しくない液体がアリスの舌にも絡みく。

「けふぅ…グスッ……」

苦しくて目がうるむ。口の端からポタポタと液が溢れ、エプロンのフリルに染みを落とした。

お口の中に大きいのがあって舌が上手く動かせない…。手を使わなきゃ。
両手で硬度を増した太い幹を擦り上げ、同時に口内一杯に膨らんだ先端を不自由な舌でペロペロと舐めた。

「ぷぅはっ…はむ…んるぅ」

たまに口を離して裏筋を下から舐め上げたり、浮き出た血管を舌でチュクチュクいじってみる。
サイズの合わないそれを一生懸命頬ばるアリスはまるで、大き過ぎる餌に難儀するハムスターか小ウサギのようだ。
そんなアリスを見ながらエドガーも余裕無さそうに息をついた。下半身に血が集まってゆく。

「…ふぁふ……ひぁう…」

口が疲れちゃったよう…。アリスはエドガーをくわえたままぐずり出してしまった。
と、泣き声に呼応してムクリと芯が膨んだ。

「っ!っぷはぁ!」

もう口に収まりきらず、唾液を引いてアリスの口からヌポンと外れてしまう。

「ふぁあん…出ちゃった…」

困ってアリスは口に戻そうとするが大き過ぎて入らない。あむあむと唇で愛撫をするのが精一杯だ。

「アリス…様…」
「うゅ?」

グスグスと涙目で見上げれば、エドガーが荒い息を耐えるように口元を押さえていた。

「…ぐっ」
「う?」

口を離し、キョトンと首を傾げたアリスの手の中で、ブルルとそれが波打つ。

ドクンッ

「!!」

勢いよく白い物が目の前に吹き付けられ、アリスは反射的にギュッと目をつむった。顔や髪にビュルビュルと何かがかけられる。

「……ふ…え?ぅう?」

しばらくして目を開けたアリスの前髪から、タランと白濁が垂れてきた。頭のリボンも濡れて倒れている。
ポカーンと固まってしまったアリスは、自分の身に何が起きたか分からなかった。

「…」

エドガーは椅子から降りて屈み、手袋を外してハンカチでアリス顔を拭いてやった。
さしものエドガーも少々バツが悪い。

ウニウニ…柔らかな頬を拭っていたら、途端にアリスがビクリと覚醒した。

「…ふ、え、え、……ぇええええぇ〜ん!気持ち悪いぃ!いじめたぁあああぁ〜!」

おねだり上級編はどこに行ったのか。いつものアリスに戻ってわんわん泣き出してしまう。
エドガーは騒音にこめかみを押さえながら溜め息をついた。
この分だと、ショコラを返却せねば治まるまい。

「うぁあ〜ん…ひっ、ぐすっ…ふくっ……うぅ…何点…だった…?」

しゃくりあげながらアリスが聞くと、エドガーは視線を外した。

「………まあ、20点くらいですね」
「ぅぅう…やだああああぁ!!先生のバカバーカ!」

その後、汚れた服を洗濯に出すわけにもいかず、不服そうに暴れるアリスを抱えて風呂に入ったのだが…。
「お嬢様が先生と一緒にお風呂だなんて、仲良しさんになったのね」と屋敷で評判である。






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