イヴの受難
シチュエーション


元々色白なイヴの顔がさらに蒼白になってゆく。
血の気の引いた唇が、必死に言葉を紡ごうと震えていた。

「な、な、なっ」
「どうされましたぁ?姫様ぁ!」

湖の浅瀬から、全裸の騎士が仁王立ちでこちらを見ている。
爽やかな笑顔からこぼれる白い歯が、湖面の輝きに負けずに光っていた。
丸出しである。

「ラムソル、な、何をしているのです…っ。なんでっ…はだか…」

イヴは、なんとかそれだけ喉から振り絞った。

「はっはっは!泳ぐといったら裸が一番です!」

ラムソルがカンラカンラと胸を反らせて笑うごとに、逞しい筋肉が躍動し、見事なイチモツも一緒に揺れたした。
イヴはクラッと目まいを覚え額に手を当てる。

(確かに、カナヅチのわたくしに泳ぎを教えて欲しいと頼みましたが…)

まさか裸だなんて。
俗世の不浄と無縁に育った姫君には、異性の裸体など刺激が強すぎる。
気が遠くなり、ぐらりと膝が崩れた。薄手のサマードレスがヒラリと風にたなびく。

「むっ」

倒れかけた姫に目ざとく気付くと、ザバザバと水を掻き分けて騎士が猛スピードで駆け寄って来た。
飛び散る水しぶき。迫り来る肉体。イヴの顔面がひきつる。

地面へ崩れ落ちかけた体が、ガシッと騎士の両腕に支えられた。
イヴの長いストレートヘアがその腕へハラリと流れ落ちるが、イヴはピクリとも動かなかい。

「姫様!お気を確かに!…また日射病でしょうか?」

違う、そう悲鳴をあげたいが、イヴの意識はそこで完全に途切れた。

どうしてこんな事になってしまったのか。
自分が浅はかだったのか。妹の忠告を信じなかった罰だろうか…。
暗い闇の中でイヴは悪夢のように思い出す――

イヴ、正式にはイヴリエ・イヴ・ティアドールはこの国の第二王女だ。
清楚で慎み深い姫君だと臣下や民に深く愛されているが、かなり内気な性格でもあった。
恥ずかしがり屋で男性と面と向かって話せないし、すぐ怖がってうつ向いてしまう。
イヴはそんな自分に大きなコンプレックスを持っていた。
克服しようにも、周りにいる異性は家臣ばかり。姫君に声をかけるなど恐れ多いと、みな跪いて頭を垂れるだけだ。
そんなイヴに、初めて積極的に接してくれたのが、騎士のラムソルだった。
目が合えば屈託なく笑って挨拶をしてくれた。
少し荒々しくて武骨だけど、お世辞や駆け引きでは無く本音でイヴに向かい合ってくれた。

イヴは長い時間をかけてラムソルと打ち解け、たどたどしくも何とか会話ができるようになったのである。
背が高くてハンサムで、ちょっぴりワイルドなラムソル。
初めて殿方と触れ合う内に、イヴは彼に淡い恋心を抱くようになっていた。

そんなある日、妹のルナがこんな事を言ってきた。

「お姉様、あいつなんかおかしいよ。ちゃんと教育してんの?」

イヴはルナに膝枕をしてやりながら、ふわりと小首を傾げる。

「あいつって…ラムソルのことですか?」
「そう。身分ってものを分かってないんじゃないの?お姉様に対して態度が失礼過ぎ。なんか頭悪そうだし」
「まあ、ラムソルは武人としてとても立派な方です。そんな風に言ってはいけませんよ」
「えー、あいつ絶対脳みそまで筋肉な体力馬鹿だよ」

第三王女のルナーシュカ・ルナ・ティアドールは、大好きな姉を騎士に取られ、面白くなさそうに口をとがらせた。

今思えば、ルナの男性を見る目が正しかったのだ。
蓋を開けてみれば確かに筋肉馬鹿。
異性に対する免疫が無いイヴは、舞い上がって彼の全てを都合良く解釈していたらしい。
イヴは混濁した意識の中で己の未熟を恥じた。

「ん…」

イヴがうっすら目を開けると、頭上には緑の葉が揺れていた。
涼しい木陰に寝かされていたらしい。体の下には布が敷かれている。
イヴは体を起こしてチラリと下を見た。やはりと言うか、敷かれていたのは騎士の制服だった。インナーのシャツまである。

(つまりラムソルはまだ裸…。逃げなくては…!)

ふらつきながら立ち上がると、背後から声をかけられた。

「姫様、お目覚めになりましたか」

ビクンと反射的に振り向いてしまい、小さな悲鳴をあがる。

「きゃぁッ」

真っ赤になり両手で顔を覆ったイヴは、全裸馬鹿にくるりと背を向けた。

「な、何か着てくださいっ…」

蚊の鳴くような声で必死で訴える。

「いえ、これから泳ぎますから。姫様はご気分はいかがですか?泳げそうでしょうか」
「殿方の裸など見れません…、は、恥ずかしいです…。泳ぐなんて…そんな」

しかし、ラムソルはまったく気にせずズカズカとイヴの前に回り込んでくる。

「ははは、肉体はその人物の精神を現すもの。恥ずかしがることなど何もありません」

ヒィと叫んでイヴはまた顔を反らす。何故誇らしげに見せに来るのだ。

(ああ、生まれて初めて殿方の裸を目にするのが、こんな機会だなんて…)

恥ずかしさとショックで目をうるませるイヴに、さらにとんでもない一言が浴びせられる。

「姫様もどうぞお脱ぎください」

え…?
イヴは絶句して一歩後ずさった。

(脱げ?わたくしに裸になるようにと…?)

思わず胸元を覆うように手をやると、その手はプルンと素肌に触れた。

「えっ?あっ…きゃああ!」

イヴは自分の胸元を見て悲鳴を上げた。ドレスの胸元が大きく開いている。
ドレスの前を編み上げていたリボンが半分ほど解かれ、真っ白な乳房が今にもこぼれそうに露になっていた。
慌ててたわわな乳房を手で隠すが、まさか自分は今までずっと胸をはだけていたのだろうか。顔から火が出そうだ。

「ああ、倒れられた時息がお苦しそうでしたので、ほどいておきました」

あっけらかんとラムソルが言う。悪意の無い人間の行いとはこうも周りを苦しめるものなのか。

「さあ」

ラムソルがグイッと一歩踏み寄った。蛇に睨まれたカエルのように、イヴは硬直する。

「私が脱ぐのをお手伝いしますから」
「いや…いやですっダメ…!」

有無を言わせずドレスのリボンの端を捕まれる。
それを阻止しようとイヴが手を伸ばした瞬間、シュルルッと勢い良くリボンが引き抜かれた。

「いやぁっ!」

閉じられていたドレスの前がするんと解放され、内側のレースの飾りもずり落ちてしまう。
手の支えも布の抑えも無くなった乳房が、プルルンと勢いよく外にこぼれ出た。
上下に大きく弾み、それに合わせぷっくり色付いた先端も目に残像を残して揺れる。
ぽつんと立った二つのピンクが、日の光と外の風に晒されている。
イヴはしばらく他人事のようにポカンと乳首を見つめていた。

「こういう紐状の物は泳ぐ時に体に絡みますから、非常に危険なのですよ」

リボンを片手にラムソルが何か言っているが、イヴの耳には入らない。
我に返って両手で必死で前を掻き抱いても、胸から臍の下までが大きく見えてしまう。
父にすら見せたことのない清らかな肌が、無神経な男の目前に晒された。

「もう…いや…酷いです…」

恥辱に赤く染まりながら涙ぐむイヴの姿に、さすがにラムソルも手を止めた。

「姫様…」

今までにない真摯な声に、イヴは恐る恐る顔をあげる。
ラムソルは少し悲しそうに顔を曇らせていた。
だが、いつもと同じ、偽りの無い真っ直ぐな眼差しでイヴを見つめた。

「私は…、姫様のお体が見たいです。私では…お嫌ですか?」

ドキン

胸が鳴った。
ラムソルが嫌いなわけではない。

こんなにストレートに求めてくるラムソルは男らしく、抗い難い魅力がある。

(やっぱり…わたくしは……この方が好き…)

イヴの胸は甘く高鳴った。
ちょっと変わっていても、ラムソルはラムソルだ。
初めて愛しいと思ったラムソルになら、身を捧げても…。

「嫌では…ありません」

イヴは緊張に震えながら小さく告げた。
それを聞いてラムソルが瞬く間に笑顔になる。
まるで太陽のような明るい笑みは本当に素敵で、イヴは思わず見とれてしまう。

「良かった…!ずっとずっと拝見したかったのです。姫様の筋肉!」

……筋肉。
……筋…肉?

呆気に取られるイヴのドレスを嬉しそうに剥ぎとりながら、ラムソルは意気揚々と言った。

「姫様の肉体を存分に鍛えてさしあげます!」

どうして自分は、こうも殿方を見る目が無いのか。イヴはまたクラッとめまいを覚えた。

芝生に敷かれた騎士の制服を褥にして、イヴは仰向けに寝かされていた。
上にはラムソルの体が覆い被さり、檻のように逃げ場を奪っている。

「お細い…。もっと腹筋を鍛えなくてはなりませんぞ」

透けるような柔肌を、大きくザラついた手が無遠慮に撫でさする。

「ひっ…う…やめて…下さ…」

イヴのお腹がヒクンと波打った。腰から下の力が抜けてしまう。
そのまま手は下へとずらされ、両手でお尻と下腹部を左右から包まれた。

「いやですっ…やめて…ラム、ソル…」
「姫様、このままではお体がますます弱くなるばかりです。きちんと大臀筋も鍛えてください」

透明感のあるミルクプリンのようなお尻がフニフニと揉みほだされる。
十本の指がみずみずしい肌に食い込み、その柔らかさを確かめるように深く押し込まれた。

「鍛錬になりませんよ、ちゃんと集中してください。ほら、私の手が触れている所に」
「ふ…いゃあ…」

両手からの熱でじんわりと温められ、体の中央がトロリと溶かされるようだった。
たまらずに足をよじり逃れようとすれば、お尻もキュウと縮み上がる。ラムソルは満足気にウムと頷いた。
イヴの吐息が熱い。体の中で何かが波の様にせり上がってくる。
このままその波に身を任せてしまいたい本能と、異性への恐怖と、自らを暴かれる羞恥。
全てが混ざってイヴを熱に浮かせていた。
震えるイヴの腿を撫でながら、ラムソルが瞳を覗き込んだ。

「全身を鍛えるのに良い運動があります。水泳よりももっと効果的な」

涙に濡れた瞳でぼうっとしていたイヴだが、膝をパックリと広げられピクンと跳ね上がる。

「やっ…やぁ…」
「ゆっくり息を吐いて…。まずは体の力を抜いて下さい。大丈夫。さあ、ここを開いて…」

ラムソルの指先が、イヴの敏感な合わせ目をゆっくりと縦にいじった。

「はぁあっ!ぁあっ、…ぁ、ラムソルっ、ラム…ソル…っ」

すでに漏れたほどに濡れていた蜜壷を指が開き、熱い熱い何が当てがわれるのが分かった。
秘められた入狭い口に、ミチッと剛直が食い込む。

「っ…!んっ…ン、んンぅ……っああああぁあぁんっ!!」

長大な物に一気に貫かれ、痛みと衝撃が閃光の様に体を走った。
自らの最奥までいっぱいに詰まったラムソルを感じながら、イヴは意識を失った。
今度の気絶は、悲痛な闇の中に落とされるのではない。
満たされた気持ちの中にうっとりと浸るような、優しい光の世界に浮かんで行くようだった。


「あ…」

イヴが次に目覚めると、そこは自室のベッドだった。
ラムソルに運ばれたのだろう。サマードレスも元通りきちんと着せられており、体も拭われているようだった。

(わたくし、ラムソルと……結ばれてしまったのですね)

思い出すと全身がカッと熱くなる。

赤い頬に両手を当ててイヴはほぅと小さくため息をつく。

「あら…これは、ラムソルの…」

枕元にはラムソルの書き置きが合った。
姫君の部屋は男子禁制だから、いかにラムソルといえど踏み入ることはしなかったようだ。
カサ…金の飾りに縁取られたその便箋を開いた時、イヴはまたまた気が遠くなった。

『お体は大丈夫でしょうか?
体調が戻られましたら、また私と鍛錬を始めましょう。
朝は走り込み、昼は腕立て腹筋、夜は全身運動を欠かさずに』






SS一覧に戻る
メインページに戻る

各作品の著作権は執筆者に属します。
エロパロ&文章創作板まとめモバイル
花よりエロパロ