終わりの始まり
シチュエーション


「どんだけ横長なんだよ静岡!」

僕はイラついていた。新幹線で東京から直ぐに箱根を越え、静岡さえ抜ければ…名古屋に着くはずなのに…大人げなく静岡に当たってしまっていた。

「ならのぞみにすればよかったじゃない。」

姉さんにそう言われた。スーツ姿とゆる巻きが行き交う名古屋駅のホームで、僕は窘められた。でも、やっと声が聴けた。どうしてもその声が聞きたかった。

姉さんと知り合ったのは大叔母さんが僕に紹介したからだ。関東と愛知の距離を埋めるのは、それしかなかった。

車で大叔母の家へ向かった。その中で姉さんは一方的に話していた。学校相手の営業のストレス。そして何時もの話。

「パパは大学なんて行かないで料理学校行けとか!お前が男だったらとか!息子を野球選手にしたかったとか…ヒドくない?私は私でしょう?」

彼女のプライドを傷つけるには十分だった。実際に彼女は学業優勝だった。だけども、彼女の父が欲しかったのは、教材問屋を次ぐ息子だった。叶えられない期待を押しつけられ続けていた。

その不安を愛を押し付ける事で隠そうとしていた。でも、僕はそれでも構わなかった。姉さんが好きだった。

大叔母の家で、私達はエビフライを食べていた。ホワイトソースをかけるスペシャルなエビフライ。でも、心は宙に浮いていた。

「やはり数学は全ての基礎です。論理的思考が英語や理科の基礎です。それに社会の様な暗記科目でも論理性…」

数学教師の大叔母に営業トークをする姉さんに、僕の姿が見えているとは思えなかった。

「でも格好いいよな。姉さん。確実に壺ついてる。」そこには洗剤で米を研ぎ


猫を洗濯機で洗おうとする様な姉さんは居なかった。どれも姉さんだけど、やっぱり姉さんは素敵な女性であって欲しかった。今日の姉さんは理想的だった。

空が支配者がオレンジから紺に変わり、僕たちはお暇する事にした。

姉さんがキーレスエントリーを操作して洗面所に向かった後、「宜しくお願いね。」大叔母は言った。

微笑みながら、しかし決然とした声に、言葉の重みを感じざるを得なかった。僕は交差点の前に居たのだ。

大叔母に別れを告げて、姉さんの車に乗った。やっと独り占め出来たような気分になって、姉さんを見つめていた。

長い素直な髪の毛。長いまつげと、切れ長の瞳。整った鼻筋に薄い唇。白い肌を引き立たせる役者が揃っていた。

身長だって高いし、脚も綺麗だ。でも僕は胸ばかり見てしまっていた。肥満体の僕は、自分より大きな胸を見るのが始めてだった。姉さんが特別なのを感じさせずには居られなかった。

「えへへ〜。私たーくんよりおっきくてよかったぁ。だって男に求められない女なんてつまらないもんね。」

「……」

「なぁにたーくん。」

「姉さんってさらっと凄いこと言うよね。」

「ひど〜い。たーくんの方がスゴいじゃん。」

取りあえず引き下がったほうが良さそうだ。僕は口に鍵を書けた。そのとき、姉さんの切れ長の瞳が少し開いた様な気がした。

「たーくん。いいよね。行っちゃお。」

「うん。」

鍵は簡単にあいてしまった。車はホテルの駐車場に吸い込まれた。

シャワールームで僕は先に汗を流していた。汗の匂いが、道のりの長さを思い知らせた。

その間、姉さんはスポーツドリンクを作っていた。

「そこまで姉さんにならなくても良いのに…」

姉さんに言った。

「私の事ちゃんと遥花って呼んでくれたらやめてあげる!」

「は…ハル…」

恥ずかしかった。もっと恥ずかしい事をしたのに。

「まだ早いわね〜」。

笑顔で却下された。

「早くないよ!僕だってもう成人したし。」

右手が、姉さんの右肩に触れていた。そして、その右手を導いて少しずつ淡い青の下着を外していった。

「たーくんちょっと待っていて。」

姉さんが指で準備を始めていた。姉さんは絶対に自分でやった。

「私の方がお姉さんなんだから、自分でして当然でしょう。」

20歳と23歳の間の壁は果てしなく高いのだろうか…

姉さんが1人でしているので、僕もそうしようとした。でもいきなり白くはかない指で掴まれてしまった。

「姉さん…口に含むには汚いんじゃ…」

「たーくん!そんなもの入れようとしてるの?」

姉さんに任す事にした。実際、姉さんの口は暖かくてホンワカしていた。すっかり大きくなった僕は。

「姉さん…」「良いよ…」

初めて主導権を手にした。

姉さんの脚を開いて、入れてしまった。ゆっくりと進んだ。姉さんの微かに動く表情を見てみたかった。

「たーくん…頑張ってね。」

少しずつ早くしてみた。本当は少しも離れたくないけど、腰を引いてまた突き出した。姉さんはそれを受け入れてくれた。

暖たかで柔らかくて優しくて、でも寂しがり屋な壁に包まれて僕は幸せだった。

でもその幸せを知っている男が居た。姉さんの心に僕の届かないスペースがあるのを、認めたくはなかった。

繋がったまま、姉さんを抱えて、姉さんを乗せて座ったまま向き合った。こうすれば、姉さんと同じ視線になる。

「ビックリした〜」

「ごめんね。」

「何も言わないんだもん。でも…コレがたーくんの世界なのね。」

嬉しかった。姉さんが最初の女性だった。僕が2mが服を着て歩いてるのではないと分かろうとした、最初の女性だった。

だから、嬉しくて、独占したくて、僕はピッチを上げた。

「m…ハッ…たーくん…」

姉さんも気持ちよさそうだった。そんな姉さんを見て、僕は終わりを意識し始めた。

「ウフッ…たーくん頑張ったね…アッ…ねぇ…頂戴…良いよね…」

僕はラッシュをかけ始めた。壁を引き剥がしてまた押し込んで、そうしながら我慢することなく盛大に解き放った。白いシーツに陰影ができて、そるが淫靡だった。

「たーくん!今日頑張ったね。スゴい気持ちよかった。」

「姉さんだから頑張ったんだよ〜!」

「…あんまりお姉さんを困らすんじゃありません!」

でも僕の左手を掴む感触は、さっきより確かなものになった。

スポーツドリンクで満たされたコップを、唇に近づける。唇に触れさせたいのは、本当は違うものだけど、夜はまだ長いから、スポーツドリンクを飲むことにした。

胃が収縮しないように、敢えてあまり冷やしていない。僕が彼女にそう言ったのは、草野球で言った一度きりだったが、ちゃんと覚えている。

それが、大事にしようという気持ちを走らせてくれる。

飲み終えて、視線を下げると、姉さんの大きな胸が見える。手を覆い被せる。ただ、指かゆっくりと沈んでいく。それだけの事なのに、僕の全てを受け入れてくれた気分になる。

姉さんが、

「柔らかいでしょう。」

と微笑む。何も言えなくなる。それ以上に恥ずかしい事をしてきたのに。

押し倒す。ちょっとした復讐。彼女には敵う訳がないけど。でも姉さんは微笑んでいる。

「だって必死なんだもの。そんなに私としたいんだなって。」

決まってる。姉さんだから。大好きだから。

「大好きだから。」

と僕は言った。

「今日は素直なのね。」

と姉さんが返す。

「何時も素直だよ。」

正常位はあまりしたくない。自分が肥満体な事くらい知ってる。だからあまり速い動きをしなかった。

「これだとね、たーくんが必死な顔してるのがよく分かるんだよ。」

そんなに余裕が無いのか…そもそも僕の余裕をうばっているのは姉さんじゃないか!

と思っても、ピッチが確実に上がっている。僕の支配者は姉さん、あなたです。

「んっ…」

鼻にかかった声が洩れる。汗で煌めいた顔。姉さんの切長の目が少しだけ開いた気がする。鼻が微かに上がる。本気になるとそうなるんだよ。知ってる?

終わりに向けてラッシュをかける。弾ける鼓動。彼女もそうなってないかな。僕はかなり必死になっている。姉さんからは

「ん〜んっ…。」

と言う声しか聴こえて来ない。それでも必死になって打ち込む。姉さんの為に必死になっているのだ。

「あっ…」

姉さんが言う。僕は発射しているのにも気付かず打ち込んでいる。

まだ出来るのかな…。僕は思う。だけど、姉さんは「まだ出来るよね。」と言う。結局、出るものが泡になるまで絞られたのは僕だった。でもまだいいのかな。お見合いの時は21回だったし…。

僕は蟻地獄にはまった蟻だ。だけど、優しさで出来た蟻地獄ならば、それでいい。そこには姉さんがいる。

僕は車の中にいる。そこでノートパソコンのキーボードを叩く。ミッテランのフランスのレポートを書き上げなければならない。

保革共存"cohabitation"かたい言葉のはずなのに、「(恋人同士の)同棲。」と言う意味が一人歩きする。バックミラーには、獲物をみつけた姉さんの顔が写る。ヤバイ。

「コアビタシオンって同棲って意味なんだよね〜。」

僕は赤信号を恨んでいる。姉さんは僕の右手を強く握っている。

犬山城に到着する。小さいけど国宝だ。現存する天守閣はやはり気品と風格が漂っている。

全てをみるのにあまり時間がかからなかったが、歴史を感じるのには十分だ。






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