シチュエーション
美由紀の言う通りだ。これ以上先に進んでしまうと、最後まで止められなくなる。お互いにそれはわかっている。 けど―― 「流石にここでおあずけは辛いぞ」 俺の答えに美由紀は拗ねたように唇をとがらせて、 「たーくんのえっち」 そう返す。だがすぐに照れたように微笑んで、 「えへへ〜、実は私もなんだけどね。……私も、たーくんと一緒。したい、な」 俺の腕にそっと手のひらを重ねた。 太股に置いていた指を付け根へと滑らせると、柔らかな布の感触が出迎える。 下着の上から割れ目にそっと触れると、吐息と勘違いしてしまいそうな小さな声を美由紀が上げる。 そのまま前後に擦ってやると吐息は徐々に大きくなり、 「んっ、はっ、んんっ」 はっきりとした喘ぎが混じり込んでくる。 同時に、わずかだが指先に湿りを感じられるようになった。 「胸だけで感じてた? もう濡れてきたぞ」 「違うもんっ、それは、あっ、あせだも、んっ!」 彼女の言葉を受けて俺は指先の感覚を確かめるが、やはり汗ではない特有の粘りがある。 「やっぱり濡れてるぞ」 「ん、それは、今、たーくんが触ってるからぁっ。胸だけで、感じてなんか、あ、ないもん、あ、んんっ!」 バレバレの言い訳に思わず苦笑する。相変わらず、変なところで強情な奴。 ま、だから楽しいんだけど。 「ああ、そうだな。まったくその通りだ」 「信じてない、んはっ、でしょ、ひゃうっ」 疎かになっていた左手で胸をほぐしてやると、美由紀の声のトーンが一段高くなる。 同時にじわりとした湿り気が、更に下着に広がった。 この分なら、もう指くらいは大丈夫かもしれない。俺は下着を横にずらし、 「はぁ、はぁ、はぁ……んっ、んんん〜〜〜っっ」 ツプリと人差し指を彼女の中に侵入させた。 思った通り彼女の膣内は愛液で潤っていて、抵抗はほとんどなかった。 それどころか次から次へと蜜が溢れ出て、指を伝って俺の手のひらに流れ込んできている。 「あ、あっ、ん、んあっ、たーくっ」 続いて中指も入れてみるが、同じようにするりと侵入できた。 ゆっくりと抜き差ししてみるが、 「んんっ、あ、いい、よぉ、んっ」 実にスムーズ。なのでちょっとパターンを変えて、鉤のように指を少し曲げて、クイクイと壁を擦ってみる。 「んんんあっ! たーくん、だめっ、こすっちゃ、ああっ!」 効果覿面だった。そしてそのままぐるぐる指を回転させてやると、 「んんっ、やぁ、ああ、あ、掻き回さないでぇっ!」 「でも気持ちいいだろ?」 「いいけど、だめぇっ。あ、はぁ、ひゃう、ふぅんっ!」 彼女の膣から蜜がどんどんあふれ出し、俺の手のひらからもこぼれ落ちて下着を濡らす。 更にはそれすらも通り抜けて、地面にポタポタとシミを作っていた。 「ん、や、あ、たーくんっ!」 そろそろか、と俺は思いっきり指を奥に差し込み、 「はぁ、はぁ、んんんっ、おく、だめっ!」 指を曲げて掻き回し、 「んっ、あっ、だめ、きちゃ、あっ!」 最後に親指で今まで触れていなかったクリトリスをピンッと弾いた。 「あ…………あああっ!!」 短い悲鳴を上げた美由紀の全身が張りつめ――だらりと弛緩した。 急に体重を預けられるのは予想済みだったので、地面に倒れないようしっかりと支える。 「イった?」 聞くと彼女は恥ずかしそうに、小さく頷いた。 そのまま呼吸が落ち着くのを待つ。冷たい夜風が、火照った体には心地いい。 汗で首筋に張り付いた髪の毛を梳いてやると、美由紀はくすぐったそうに身をよじった。 と、そこで俺を見上げて、 「……たーくん、おっきいんだ」 いたずらっぽい瞳で、そんなことを口にする。 「まぁ、な」 と言うか胸を触っているときからずっと押し当ててたんだが。もうとっくに気付かれていると思っていた。 そんな余裕もないくらい俺の指で感じてくれていたって事で、嬉しくなる。 その喜びにもう少しだけ浸っていたいが、、もうそろそろ我慢も辛くなってきた頃だ。 「いいか?」 耳元での囁きに彼女は先程と同じように、小さく首を縦に振った。 近くの木陰へ移動して、大きな木の幹に彼女の両手をつかせる。 ちょっとお尻を突きださせて、立ったまま後ろから入れられる体勢になってもらった。 「たーくん……この格好で、するの?」 「今までも何回かこの体勢でしただろ?」 「そうだけど……なんか今日は恥ずかしいよ〜」 それは何となくわかる気がする。俺もいつもより興奮してるし。 多分つい数時間前まで人が大勢いた場所で、しかも神社という神聖な場所でこんな行為に及ぶということが、俺達に背徳感をもたらしているんだろう。 「脱がすぞ」 そう告げて、俺は浴衣の裾をめくり上げ、下着に手を掛けた。 愛液で汚れてしまった可愛らしい下着を太股まで下ろすと、蜜にまみれた秘唇が姿をのぞかせる。 さっきまで彼女の秘部を覆っていた下着と女性器が愛液で繋がって、細長い糸で架け橋を作っていた。 月の光でうっすらと照らされたその光景は、幻想的で、扇情的で、そして……何というか。 「エロイな」 「落ち着いた声でそんなこと言わないで〜」 彼女の抗議に苦笑しながら、ジーンズの前を開ける。 実は全然落ち着いてなんかいない。 むしろ強引にならないよう、いつものペースを保つのに必死だ。 「それじゃあ……」 「あ、たーくん」 入れようとしたところで、美由紀が俺の名を呼ぶ。 それだけで俺は美由紀が求めることを理解して、彼女の上半身を一度起こして抱きかかえ、 「んっ……」 キスをする。 「んん……んふっ…………ぴちゃ……ちゅ」 繋がる前に、美由紀は必ずキスをねだる。 涙を流しながら痛みに耐えていた、初めての夜からずっとそうだ。 「ちゅ……ん……はぁ……、えへへ〜」 そして本当に幸せそうに、笑う。これを見るたび、俺は思うのだ。 ――あぁ、俺は心底こいつに溺れているな、と。 再び彼女の手を木につかせ、ペニスで美由紀の秘所を一気に貫いた。 「んんんんんんっ!」 刺激を受けた膣が絡みつき、締め付けてくる。 根本まで挿入したところで一息つこうとしたが、もたらされた快感の前にそんなことは頭から吹っ飛んでしまった。 ゆっくりと腰を動かし、ペニスを送り込む。 「んっ、んんっ、あ、あ、やぁ、あっ!」 入れるときは狭く、なのに柔らかく締め付けて、出すときは逃がさないよう絡みついてくる彼女の膣を味わっている内に、 往復するスピードも徐々に速くなっていく。 「あ、あ、あ、や、たーくん、ん、いつも、うんっ、より、おっき、あっ!」 彼女が発した途切れ途切れの言葉に、俺は少しだけ動きを緩めて反論する。 「そんなことないだろ。いつもよりお前が感じてるだけ」 「ちがう、よぉ。私、いつも通り、だよ……ひぅっ!」 一度だけ奥を強く突いたら、肉襞がきゅっと締め付けてくる。 挿入されたペニスによって膣内から押し出された愛液が太股を伝って、膝の辺りまでずり下がっている下着に染み込んでいった。 そんないやらしい光景に俺の分身がピクリと反応し、その刺激を受けた美由紀がピクッと電流に打たれたように震える。 もはやさっきまでの『どちらが感じているか』なんて議論も、どうでもよくなってきて。 「じゃあ、二人ともいつもより感じてるって事で」 適当に妥協線を提案して、また腰の律動を再開する。 「うんっ、あんっ、ふぁ、あぁ、はぁんっ!」 我慢の限界だったのは彼女も同じらしく、何度も首を縦に振りながら淫靡な声を上げる。 愛液と先走りの汁が混じったものが互いの性器を汚し、てらてら光っている。 目眩がしそうな快感が脳を打ち鳴らしているが、まだ足りない。もっともっと欲しい。 美由紀を全身で感じたい。 俺は腰を支えていた腕を、彼女の胸に伸ばす。 激しい動きの煽りで揺れていた二つの双丘が、俺の手に包まれる。 「あっ、あ、ああっ、やぁん、おっぱいも、いっしょなんて、あ、だめぇんっ!」 のしかかるような体勢になりながら、桜色の蕾をきゅっと掴む。 激しい挿入がしにくくなった分、ペニスを上下左右に動かして、新しい快感をむさぼっていく。 「やぁ、たーく、はげし、ああっ、ふっ、くぅんっ」 膣内で暴れる陰茎に、先程までの前後運動とは違う刺激を与えられ、美由紀は髪を振り乱しながら、言葉にならない喘ぎを上げる。 腰をぐるっと回すと、俺の分身を包み込んでいる膣壁がきゅっと射精を催促するように締まった。 「あああっ、そんな、かきまわしたらっ、たーく、たーくん、あ、あっ! わたし、わたしぃっ!」 「くっ……俺もっ」 もうお互い絶頂が近い。 俺は彼女の胸を掴んでいる腕にきゅっと力を込めると、ラストスパートに入った。 「あっ、や、や、やぁ! たーく、あっ、あああ、あっ!」 もう強引にならないように、なんて言ってられない。 胸を掴み、揉み、獣のように腰を送り込む。 「あっ、んっ、たーくん、たーく、たーくんっ!」 美由紀は熱に浮かされたように俺の名を呼び続ける。 彼女の手も足もガクガクと震えて、もう力なんてほとんど入っていない。 俺と、膣内にある俺のペニスに支えられて、何とか立っている状態だ。 「たーく、たーく、たーくん、あっ! ああああっ!」 キュッと一際強く、ペニスに絡みつく膣襞。その瞬間、俺は溜まっていたものを解放した。 「あああああああああ〜〜〜〜〜っっ!!!」 ビクン! とペニスが脈動して、白濁液を美由紀の一番奥へ放出していく。 目もくらむような、快感。 「あ……あっ…………あ……たーくん……、すごい、でてる……」 俺の精を胎内で受け止めながら、呆然と美由紀が呟く。 全て搾り取ろうとするかのように膣壁は締め付け続け、また俺のモノも吐き出し続ける。 俺も彼女も思考することを放棄して、ただその時間、もたらされる快感と、お互いの存在だけに集中した。 「はぁ…………」 やがて小さなため息と共に、長い絶頂の時間はようやく終わりを迎え―― 「っと」 崩れ落ちそうになっ た彼女を、慌てて支える。 まだ絶頂の余韻に浸っているのか、その瞳は茫洋としていて、はっきりしない。 「大丈夫か?」 掛けられた声でようやく焦点が合い、俺の顔を見上げて、 「……えへへ、気持ち、よかったね」 無邪気に笑う。 さっきまであんな事をしていたというのに、子供のような笑みで。 でもまだ熱の残滓は残っていて、息も少し荒くて、瞳も潤んでいる。 そんな清純さと淫靡さを混在させられるのが美由紀で、それが彼女の魅力のひとつで、俺を夢中にさせている要素のひとつで。 「あ」 そんな彼女を見ているうちに、ペニスが力を取り戻してしまった。 ぴったりと身体をくっつけ合っているので、美由紀もすぐに気付いたらしい。 何と言うか……元気だな、俺。 「…………すまん」 今日はいつもよりちょっとだけ激しかったので、流石に連戦は出来ない。俺はともかく、彼女が辛いだろう。 一回出したにもかかわらずペニスは全然鎮まりそうにないが、まぁそのうちに……。 「…………しよう」 「え?」 美由紀が発した言葉が、俺の思考を奪う。 「たーくんがしたいなら、しよ?」 「……無理しなくてもいいぞ?」 戸惑う俺に、彼女ははにかみながら、 「無理してないよ。私にとって、たーくんとエッチするのは幸せなことなんだもん」 微笑む。 ――あぁ、駄目だ。こんなこと言われちゃあ、陥落するほか道はない。 奥底に封じ込めていた欲望が理性をたたき壊し、情熱を溢れさせる。 俺は美由紀をぎゅっと抱きしめ、耳元で囁いた。 「美由紀……愛してる」 「うん、私も。世界で一番、たーくんのこと愛してる」 長い、長いキスを交わす。 唇で触れ合うだけのキスだったけど、熱はどんどん高まっていく。 俺は持ってきていたビニールシートをコンビニ袋から引っ張り出して、地面に敷いた。 服を脱いで、仰向けになって美由紀を誘う。 この体位なら美由紀が自分のペースで動けるから、そう負担もかからないだろう。 「美由紀、上で……」 「うん……」 美由紀はまだおぼつかない足取りで俺の所にふらふらとやって来る。 膝立ちになって俺をまたぎ、ペニスを掴んで、俺の瞳を見返した。 「はむっ……んっ……んむっ……」 そして、いつものキス。 舌を絡め唾液を交換するたび、彼女の目が陶酔したように緩む。 俺のペニスも、彼女の手の中でぴくぴくと自己主張を繰り返していた。 「ぷはぁ………………じゃあ、いれるね」 そう断りを入れてから、美由紀は自分の秘唇を開き、ペニスをあてがった。 膣内からこぼれた精子と愛液の混じり合った液体が、陰茎を伝い俺の腹部に流れてくる。 何ともいやらしい光景だった。 「ふっ……んんっ…………」 ゆっくりとペニスが彼女の膣に埋没していく。 そのスピードは遅々としていて、我慢の効かない俺の分身が暴れたそうにビクビク蠢いている。 「んっ! ふぅ……、はぁ…………」 ようやく全て収まったが、美由紀はそこで動きを止めてしまった。 俺の腹部に両手を置いて自分の身体を支えながら、肩を大きく上下させている。汗で額に貼り付いた前髪が、少し艶めかしい。 俺は手を伸ばしてそれを払ってやりながら、 「やっぱり辛いか?」 「ううん。……でもちょっと、感じ過ぎちゃってるみたい……んっ」 彼女の言葉に嘘はないようだった。頬は上気し呼吸も荒いが、苦痛を堪えてる雰囲気は微塵もない。 むしろさっきの絶頂が強すぎたため、その残り香がまだ彼女の全身を覆っていて、敏感になってしまっているのだろう。 こういう時、幼馴染みは便利だな。相手が無理してないかどうか、すぐにわかる。 だから、大切にしなければいけないときは大切に出来るし―― 「ふっ…………んん……!」 両手足を踏ん張って上下運動を再開するが、やはりそのスピードは遅い。それでも美由紀は健気に動き続ける。 そんな彼女を見ていると、嗜虐心にも似た悪戯心が湧いてきた。 俺はタイミングを見計らって、彼女が腰を下ろすのと同時に自分の腰を跳ね上げた。 「ひぁあああぁぁっ!」 ――求めたいときには、求められる。 予想だにしなかった奇襲に美由紀は悲鳴の様な喘ぎ声を上げ、ガクガク腰を前後に揺らした。 続けて奥を数回抉ってやると、 「んっ! あっ! やぁんっ!」 全ての力を使い果たして、俺の胸に倒れ込んできた。 俺は彼女を優しく抱き留めながら、からかい気味に尋ねてみる。 「感じ過ぎちゃったか?」 「たーくんの、いじわるぅ……」 美由紀は拗ねたような声音で、けれど甘えるように鼻を擦りつけてきた。俺は苦笑しながら上半身を起こす。 結合部からニチャッという音がして、溢れ出た愛液がビニールシートに水たまりを作った。 「ふぅんっ」 体位を変えたことで別の部分に刺激を受けたのか、美由紀が鼻にかかったような声を上げて、俺の首に手を回した。 彼女の浴衣はすっかりはだけてしまっていて、もう衣服の役目を半分放棄してしまっている。 胸どころか肩や背中も外気に晒されていて、手首の辺りででくるめられた袖と腰帯によって辛うじで彼女の身体にまとわりついていた。 下半身に目をやれば裾の方も乱れに乱れて、俺と美由紀を繋いでいる部分がはっきり見えてしまっている。 「やぁっ! あっ! んっ! はぁっ!」 俺は美由紀の尻を持ち上げると、座ったまま律動を開始した。 あまり激しい往復が出来ない代わりに、腰を回して彼女の膣内のいろんな所を突いてやる。 固い地面の上で跳ねているせいか時々鈍い痛みが走るが、膣から与えられる感覚の方がずっと強大で、 苦痛は意識の端に上ることもなく消えていく。 「ふぅあっ! ん、ん! あ、やぁっ! おくっ、あたってっ! ああっ!」 少し動きを大きくして奥をノックすると、美由紀は泣いているような声を上げながら、俺からの快感を受け取る。 膣襞がキュッとペニスに絡みついて、更に俺を求める。 下から突き上げられることによって彼女の身体と乳房が大きく上下して、桜色の蕾が俺の胸板を擦る。 結合部からはクチュクチュと水音が鳴り響き、二人の体液がビニールシートに落ちる。 「んんっ! はぁ、ああっ! あ、ふぁっ!」 そんないやらしい姿になっていても、美由紀はやっぱり綺麗で。 そんな美由紀を俺が乱れさせているんだと思うと、情動が加速して。 「あっ! あっ! んむっ! ん、んんっ!」 無防備な彼女の唇を奪い、奥を突き上げ、掻き回す。 舌を絡めて唾液を交換しながら、最奥を抉る。 「んっ! んふっ! ちゅ、あ、ひぅっ! んむ、ぴちゃ、はむっ、んんんんっ!」 上と下と、同時に奏でられる水音。 キスをされて舌を絡められ、しかし歯を食いしばり快感に耐えることも出来ない。 結果彼女は膣を突き上げられる刺激になすすべなく、全身を快感に灼かれていった。 「んちゅ、んんっ! ぷはぁ、は、あっ! あ、あ、あああっ!」 唇を解放されても、もう彼女は喘ぎ声を出すことしかできないようだった。 口の端からこぼれる唾液を舐め取ってやっても、それすら悦楽に変換してしまっている。 膣壁がキュッと締め付け襞を絡め、射精を促してくる。 俺のペニスも膣内でビクビクと脈打っている。 お互いそろそろ限界だ。 「ああっ! あっ! たーく、たーく、たーくぅんっ!」 美由紀が最後の力で俺の名を呼びながら、全身で俺を抱き寄せる。 腕を背中に回し、足を腰に絡みつかせ、乳房を俺の胸板で押し潰し、 決して離れないと言うように、俺のモノを奥深くまで飲み込む。 陰茎が最奥に達した瞬間、柔肉が今日一番強くペニスを締め付け、 「あっ! あああっ! あああああああぁぁぁぁぁぁっっ〜〜〜〜〜!!!」 俺は美由紀の一番奥に、精液を吐き出した。 頭の中が真っ白になる。 己の全てで美由紀を染めているような、そんな感覚。 美由紀はビクンビクンと断続的に放たれる精子の感触を胎内に受けて、何度も体を震わせていた。 まだ絶頂が続いているのかもしれない。 「あ……」 やがてペニスの脈動がおさまる。すると彼女の全身から力が抜け落ちて、俺に身体の全てを預けてきた。 俺の胸に顔を埋めながら、睫を震わせて快楽にまみれた幸福の余韻に浸っている。 「たーくん……」 甘えるように呼ばれた名前。 そして俺は答える代わりに、美由紀にそっとキスをした。 空に咲いた花が消えて、控えめに星が瞬く夜、二人で一緒に帰路につく。 でも、月明かりに照らされた影はひとつだけ。 何故かというと―― 「おんぶっ、おんぶっ、た〜くんのおんぶ〜♪」 「こらっ、揺れるな」 こういうわけなのだが。 コトを終えた後、軽いキスを交わしたりしてちょっとだけイチャついて、それから簡単に体を拭いて後始末をした。 服装も整え、さぁ帰ろうとしたところで美由紀が、 『腰抜けちゃって立てない〜』 そんなことを言い出した。 普段なら呆れるところだが、今回は俺にも原因があるわけで、素直に背中を貸し出した、と言うわけだ。 「えへへ〜〜。た〜くんのおんぶ、ひさしぶり〜♪」 こいつの脳天気な歌声を聞いていると、謀られたような気がしないでもないが。 「懐かしいね、たーくん」 今まで変な自作の歌を披露していた美由紀が、突然演奏を止めて囁いてくる。 「何がだ?」 聞き返した俺に、美由紀は両手に持った下駄をぶらぶらさせながら、 「こうやってたーくんにおんぶして貰って帰るの。子供の頃、私よくたーくんにおんぶして貰ってたよね」 昔を思い出しているのだろう、彼女は懐かしむような口調で言葉を紡いだ。 「そうだったな……」 俺も思い出の海に沈み、あの頃の記憶を再生する。 子供時代、楽しかった頃の思い出。 みんなで日が暮れるまで遊んで、美由紀と手を繋いで一緒に家路につく。 美由紀が転んで泣きやまないときは、おんぶして帰った。 今は周りを取り巻く環境も変わり、友人達も自分の道を往っている。 でも―― 「えへへ。実は私、たーくんにおんぶして貰うの好きだったんだ〜。 たーくんにおんぶしてもらいたくて、泣きやまないふりをしてたこともあったんだよ〜」 「知ってたよ」 「ええ〜〜!?」 俺と美由紀の関係は、変わらないんだなと、こうしていると、思う。 「あっ!」 突然大声を上げた美由紀に、俺は何事かと振り向いた。 彼女は照れたような笑みを浮かべながら、 「……なかのせーえき、たれてきちゃった」 「……………………」 「だってたーくん、いっぱい出すんだもん〜」 前言訂正。 俺と美由紀の関係も色々変わっていた。細かいところから大きなところまで。 「取りあえず家まで我慢してくれ」 「うん、いいよ〜。別に嫌じゃないし。 たーくんが私で気持ちよくなってくれた証拠だもんね〜」 「そういうこと大声で言うな」 でも、それは悲しくない。二人で選び、望んだ嬉しい変化だから。 「たーくんって、見かけによらずえっちだもんね〜」 「反論は出来ないが指摘するなっ」 変わってしまうことの寂しさと、変われることの喜びを胸に抱き、 「えっちのあとの、おんぶ〜おんぶ〜♪」 「歌うなっ!」 俺達はふたり一緒に、胸を張れるくらいに幸せになろう。 そして―― 「また花火、見に来ような」 「うんっ!」 SS一覧に戻る メインページに戻る |