世界のすべて(非エロ)
シチュエーション


白い壁。
白い天井。
白い床。
白いベッド。
白いカーテン。
手の届かない見えるだけの外界。
彼女にとってそこが世界のすべてだった。


「ヒロはほんとに暇なんだね」

病院の白い個室。そこにあるベッドに座っている色白で腰まである黒髪の少女が尋ねてきた少年に毒づく。

「まあな。それよりもこれ、頼まれてた本買ってきたぞ」

しかし少年ことヒロはそれを気にも留めずに本の入った紙袋を少女に手渡す。

「ありがと、いつも悪いね」
「ま、ここに来るついでだしな」

少女が礼を言うが、ヒロは照れながら素っ気無く答える。

「・・・」
「・・・」

そして始まる沈黙。その中で互いが互いを意識する。

「え、っと・・・じゃあ、俺帰るな。用はそれ持ってくるだけだったし」

先に沈黙を破ったのはヒロであった。ヒロが本を指差し、あざけるとそのまま少女に背を向け部屋から出ようとする。

「あ、ねえヒロ・・・今度の日曜日・・・外出許可が出たら一緒に出かけよ・・・?」
「ああ、楽しみにしとく。そのためにもちゃんと体に気をつけろよ、きり」

少女の・・・きりの申し出を聞き、ヒロはもう一度きりのほうに顔を向けて笑顔で返答する。






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