シチュエーション
いくつもの新しい命が生まれ、そして、いくつもの命が消える世界。 わたしは、この広い世界で独り、何の身寄りもあても無く、生まれ、そして、消える運命にある。 皆が言う。「何故、あなたはこんな世界で生きているの。」 皆が言う。「こんな世界に、生まれてこなければ良かったのに。」 皆が言う。「今度、世界が終わるとき、あなたは絶対確実に死ぬ。」 …それでも、わたしは生きたいと強く願う。 たとえ、儚い命だとしても。 この世に、生きた証を残したいと望む。 どこからか、声がきこえる。 天の声が言う。「本当に心から生きたいと望むのか。」 天の声が言う。「この世で生きることは茨の道、それでも、おまえは望むのか。」 天の声が言う。「この先、おまえを待つ運命が、あらゆる苦難と恥辱に穢されるものだとしても。」 「…ここに生まれることが叶った奇跡を想うなら。」 「…どんなに絶望的な未来しか、わたしに残されてないとしても。」 「わたしは、この一期一会の刹那の瞬間を、生き続けたいと心の底から願います。」 天の声が告げる。「おまえが生き残る道は唯一つ。」 天の声が告げる。「おまえが生きることを望む、名も無き世界の住人の…。」 天の声が告げる。「千の祈りが届くことのみ。」 だから、わたしは、決して希望をあきらめない。 わたしを救ってくれる、あなたを、待ち続けています。 この命が尽きる、その日まで…。 SS一覧に戻る メインページに戻る |