シチュエーション
![]() 毎日、今日も明日も明後日ても、同じ変化がなくて退屈だけれども、 楽しいときがずっと来るって思ってた 「今日は調子どうだ?」 俺は鹿島澪(かしま みお) 女みたいな名前だが、れっきとした男だ 「今日はいい感じ、ってか、そうじゃなかったらあんたと話してないって」 で、今ベッドでけらけら笑ってるのは相沢香葉(あいさわかよ) 俺の幼なじみで、まぁけっこう、ってかかなり可愛い 「それもそうだな」 俺は頷きながら、いつものように本を何冊か渡す 「お、ありがと、今日はなに持ってきてくれたの?」受け取り、すぐにパラパラと軽く本を読み流す香葉 「俺の気に入っているやつ、とりあえず、明日全冊持ってくるよ」 「いつもいつも悪いね〜」 「なに、いつものことだろ」 それに、俺が好きでやってることだしな 口には出さず、心の中で呟く 「あ、そだ、今日は色々検査があるから、そろそろまずいかも」 「わかった、また明日来るよ」 「ふい、また明日ー」 香葉が大きく手を振る 別に手を振ることはないだろう そう思いつつ、俺は戸を開けて、部屋から出た 難病患者用の病室から ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |