シチュエーション
![]() …あら、お見舞い?面会の方はこちらに記入し… …え?…262号室の女の子?……ええ、覚えてるわ。 随分前の話だから長くなるけど…いい? 知ってる?自分の最期を知らされた女の子は大抵3つに分けられるの。 自暴自棄になる娘 残された時間を諦観した様に静かに過ごす娘 最後まで懸命に生きようとする娘 あの子は――― 彼女は、『白衣の天使』と呼ばれた看護婦。 あの少女の担当だった女性。 …私は、あの少女の人生を追っている。 『ご家族の方へ、退院は許可できません。引き続き治療に専念を』 『でしょうね、入院費上乗せだわ』 数年前、一人の少女が急患でこの病院に運びこまれた。 『脈拍数低下!油断するな!』 『片方が赤色…噂に聞いた治療薬か…』 『…モルモット共には贅沢な墓場だ』 ここは『隔離病棟』、死人に口なし。 そして――看護婦の言葉で、物語の幕は上がる。 あれは、雪の降る寒い日だった。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |