シチュエーション
※百合 何か指が触れるたびに、まるで弱い電流でも流されているみたいに体がビクビクと反応していた。 怖い。 でも、大切なお友達の有紗ちゃんにそんな事言える筈もなくて、私は有紗ちゃんにされるがままになっている。 「あ、有紗ちゃん……!」 「へぇ、ここってこんな風になってるんだ」 「ひゃあっ」 有紗ちゃんの指が、私の胸の辺りを触っている。 その瞬間、なんだかこしょばいような、よくわからない、とにかくたまらなくなってしまって私は思わず鋭い声を上げてしまった。 その声を聞いてか、有紗ちゃんが眉をしかめながら私の方を見てきた。 「紗由里、ダメだよそんなに大きい声出しちゃ。みんなに見つかっちゃうよ」 「で、でも」 「でもじゃない。……紗由里はみんなに怒られたいの?」 「……お、怒られたくない」 病室を抜け出してきただけでも大目玉だっていうのに、普段滅多に誰も来ない倉庫の中にいる事がバレたら、きっと看護婦さんや先生に大目玉をくらっちゃう。 それは嫌。 だって、しばらく病室から出られなくなっちゃうし、有紗ちゃんとも会えなくなっちゃう。 でも、こんな、変な風に有紗ちゃんに触られてて、声が出てしまう。 どうしよう。 ……というか、有紗ちゃんはこんな所で何がしたいんだろう。 体の仕組みを勉強したい、なんていきなり言い出して。 お勉強なら、誰か大人に言えばいいのに。 「だって、教科書で勉強しても本物をみないとわからないでしょ」 「そう、だけど」 有紗ちゃんは私にいたずらっぽく笑いかけると、私が手にもって捲りあげていた寝巻きの裾を指差す。 「ここ、口にくわえてなよ」 「え?」 「これで声抑えられるでしょ」 なんだか腑に落ちないけれど、言われるままそうした。 急に恥ずかしくなってきて、私は少しだけ身を縮める。 体を預けていた机がキシ、と小さく音を立てる。 「じゃあ、続きするね」 こくりと頷くと、有紗ちゃんは更に胸の方へと顔を近づけてきた。 ど、どうしたんだろう。 なんで、こんなにドキドキするんだろう… 女の子同士だから、体なんて見られてもぜんぜん恥ずかしくない筈なのに、今こんな風に有紗ちゃんに体を見られていて、すごく恥ずかしい。 体の奥が、熱い。 「紗由里の胸、可愛い」 「ふぇ……?」 「もっと触っていい?」 私が反応を示す前に、もう有紗ちゃんは手を伸ばしていた。 なんだかその顔はすごく楽しそうで、興奮しているか顔が少し赤い。 有紗ちゃんの手が、胸に触れていた。 「……柔らかぁい」 「う、ふぅっ……」 「紗由里、胸結構大きいよね、ふふっ」 「……っ」 ど、どうしてそんな風に触ってるの? 触るだけなら、普通に触れるだけでいいのに、有紗ちゃんは感触を確かめるみたいに執拗に指を動かしている。 へ、変だよ、有紗ちゃん、何かおかしい……。 でも、そんな事も言えなくて、私はぎゅっと目をつぶるだけだった。 「可愛いっ……可愛いよぅっ……紗由里、紗由里っ!」 有紗ちゃんの行動はどんどんエスカレートして来た。 具合が悪いんじゃないかって思うくらいの荒い息で、とても夢中そうに触ってくる。 いや、そんなレベルじゃない。 胸だけを触っていた手は体を這うように滑っていて、有紗ちゃんの唇が私の胸に吸い付いている。 「っう……!!」 「さ、ゆり、さゆり……!」 体いつの間にか机の上に完全に押し倒される状態になっていた。 「あ、有紗ちゃん……?」 「ね、紗由里……紗由里の初めて、私に頂戴?」 「え?」 有紗ちゃん……? 一体何を言ってるのかな。 ギラギラとした目でこっちを見ている彼女は、なんだか有紗ちゃんじゃないみたいだ。 「な、何……」 「私たち、どうせ大人になんかなれないんだし、私、ちゃんと責任取るよ。だから、紗由里を頂戴、初めて、頂戴」 「有紗ちゃ、んんっ……!」 一瞬何をされたのかわからなかった。 少し息苦しくなって、それから……。 有紗ちゃんの顔がすぐ近くにある。 キスをされているんだ、と気づいたのはその時だった。 え、なんで……どうして? 「……紗由里、私、紗由里が好きなの、だから、いいよね?」 有紗ちゃんがクスリと口元を歪ませている。 続かない SS一覧に戻る メインページに戻る |