血塗れの騎士
シチュエーション


「ご奉仕……して差し上げますね」

儚げで幼さを僅かに残したような、しかに気品も感じられる声が聞こえた。

充血してすっかりいきり立った肉棒を、無垢な唇が飲み込んでいく
圧迫感と口内の暖かさが性器から脳へと快感になって伝わっていく

どうしてこんな事態になったんだろう?
働かない頭で思考する。
確か任務でとある国の城に潜入して、衛兵に見つかりそうになって思わず飛び込んだ
この部屋で目の前の―――年の頃は18前後だろうか―――物静かげで清楚に見えた…その、裸の女性と
鉢合わせして、それから……そうだった、自分を見られたことと自分がこの女性に見いってしまったのが
ごっちゃになって混乱して、彼女を誤魔化そうとしているうちにいつの間にか彼女のペースに
飲まれて何故かこんな事に……

「んむ…じゅる、むぅ」

思考はそこで中断された。
唾液を潤滑剤として、いやらしい音を立てながら彼女の頭は往復運動を繰り返す。
吐き出され、唾液にまみれた自分のそれが露わになったかと思えば
彼女の唇に根本まで飲み込まれていく。

「はむ、フ…ひふぉひ、ひひへふふぁ?」

上目遣いで自分を見上げながら問いかけてきた。
気持ちいいですか、と聞いているのだろうか……
透き通るような瞳に見つめられるともう声も出せずにただ頷く事しか出来ない。

フェラによって男性器に与えられる快感ばかりではないのだろう、輝くような長い金髪を
振り乱しながら一心不乱に肉棒を咥えて舌を纏わりつかせ、その儚げな手で精嚢を転がす
彼女の淫らな姿にどうしようもなく劣情を掻き立てられたのだ。
されるがままになるうちに彼女の口内で先走りを滲み出していたそれは今にも暴発しそうなほど
脈打っていた。

今にも頭が真っ白になりそうなほどに高まっている快感の中
彼の中にはひとつの冷静な欲望が芽生え始めていた。

―――汚したい―――

彼女の、端正だがまだ幼さを残したその顔を、今こうして自分のものをしゃぶっている
その顔を、自分が出す白濁で染め上げてみたい。

「あ…んんっ……出る…ッ! んっ!!」

その結論に達したと同時に、抑えきれなくなった欲望が彼の中で弾ける。
おもむろに彼女の頭を右手で掴むと、暴発寸前のそれを彼女の口から引き抜き
左手で掴んだモノを彼女の顔へと向けた瞬間、その鈴口からおびただしい
白濁が彼女の顔へと降り注いだ。

「あ…きゃっ?」

悲鳴ともつかない声を上げて戸惑うように、彼女は眼前で痙攣しながら白濁を顔へと吐き続ける
男性器を見つめる。

「うん…ん…、はぁ…、え?」
「ん…ちゅる…」

彼は射精を終え激しく息をついた、モノは萎んでいって彼の思考も次第に冷静には―――ならなかった。
彼女が彼のモノを再び口に含んだのだ。
先端には飛び散らなかった白濁をためた肉棒を飲み込み、口内のそれを吸い込んでいく。
尿道に残った精液の残滓を吸い込まれて、その快感に軽く痙攣する彼。



「もう…顔に出すなんて酷いです」

しばらく放心していた彼に、白濁で汚れた顔をむくれたような表情にして彼女は言った。
しかし声色はそこまで不機嫌そうではない。

「ごめんごめん。 君のがあんまり気持ちよかったからさ」
「ふふっ、お褒めいただいてありがとうございます。
それでそのお返し…と言っては何なのですけれど…少しお願いしたい事があるのです」

冗談めかして答える彼に対して微笑みながら語りかける彼女。
この時彼は―――工作員としての未熟さゆえに―――完全に失念していた。
ここがどこで自分がさっきどういう状況だったのか
そして彼女の素性がどういうものなのか、という事にすら考えを及ばすことが出来なかった。
混乱と、性欲によってそういう思考は一時的に彼の頭から抜け落ちていた。

「俺に出来ることだったら何でも言ってくれよ、何だってやってやるからさ」
「ふふ、ではお言葉に甘えますね」

調子よく答える彼になお微笑みかける彼女は文字通りに隙だらけだった彼の手をとって
いつの間にか置かれている―――彼女と鉢合わせして以降の注意力散漫な彼には気付かれないように
いつでも取り出すことが出来ただろう―――手錠をその両腕にはめ込んだ

「……え?」

―――ガチャリ―――

ついで同じように足枷を戸惑う彼の両足にかける

「な、な、何を…」
「ごめんなさい。貴方が戸惑う気持ちは私にも分かるのですけど……」

立ち上がって装飾が凝らされた高価そうなクローゼットの方へと歩いていくと
彼女は精液に彩られた顔を沈ませて、申し訳無さそうな口調で呟く

その時ようやく彼は気付いた…というより考えが及んだ、自分のおかれている状況に。
あたりを見回す…広さもそれなりにあり調度品も良さそうなものがしつらえられている
自分の立っている場所も高価そうな敷物の上だ、相当位の高そうな人物の部屋なのだろう。
そしてあるものが彼の目に止まった、それは……
鎧だった。重厚で威圧感のある赤塗りの全身鎧、所々におどろおどろしい曲面主体の装飾と
触れれば切れそうなほどの鋭利な装飾がされている。
極めつけはその頭部だ、顔を覆う部分に至るまで仮面で覆われたそこは
耳の部分に至るまで裂目が入った口に、鋭く、敷き詰められている牙をむいた
悪魔をかたどったような兜であった

「こ、これは…まさか……」
「でも貴方がいけないんですよ、こんな所に来て、見てはいけないものを見てしまったんですから……」

彼が状況を把握しているうちに引き出しから取り出した拭き物で顔についた
精液を拭き取っていた彼女は、次いで服のようなものを取り出す

「く、くそ…見られちゃいけないものを見られたからって……だから俺をどうする気だ」
「ごめんなさい、『今の』私は貴方を傷つけたくはないんです、でも……」

彼女の取り出した服もある意味異様だった。
装飾の欠片もなく、その上一見した限りでは普通の服のようなたゆみ、ゆるみも見られない
まるで着る者の体にフィットしたような、体を包むためだけの黒一色のスーツ。

まず下半身に足を通していく、そして次はもう片足だ。そうして彼女の下半身は黒に覆われた
それが済めば真っ黒のボディスーツは引き上げられて彼女のなだらかな恥丘をも覆いつくした

「んっ…」

彼女から声が漏れる。熱の入ったような、そんな甘い声。
もしかして今履いてるアレがキツくて感じてしまったんだろうか、とその様子を
彼は思ったが、どうであろうと彼はその様子を見ていることしか出来ないし、
目を閉じるなり芋虫のように体を這わせでもしない限り見ざるを得ない
もしかして自分に見せ付けているのだろうか…という思考もおそらく無駄なものなのだろう

「ん…くぅっ…はぁっ……」

彼女は先程よりも強く、明らかに感じたような声を上げつつ上半身のスーツも同様にして纏っていき、
彼女の体躯は黒く染められていく。しかし下半身と少し違う事に彼は気付いた。
基本的に彼女の体型にフィットするように見えるそれは、胸の部分だけは
やけに寸法が小さい、特に大きい方ともいえない彼女の胸が入るにしても明らかに窮屈だろう。

いや、よくよく見てみれば下半身のヒップの部分もスーツを付けた後は
多少圧迫されているような気がする、つまりこれは……

(女の体型をごまかす為、か)

ついでに言うとフィットしているように見えたスーツ自体にも肉厚があるようだ
もちろん防御力も考えられた結果だろうが……

彼がそうこう考えられているうちに彼女の首から下は真っ黒なスーツに包まれた。
完全とは言わないまでも女性らしいラインは抑えられ、代わりにスーツの肉厚で
ほんの気持ち程度体型が逞しくなったように見えなくもない。
それにどちらかというと彼女の背は女性としては高めだという事に今更ながら彼は気付いた

鎧の傍らに立つ彼女、鎧のパーツを一つ一つ外していく……

(血塗れの騎士、か……まさかこんな女の子だったなんてな)

血濡れの騎士という通り名で呼ばれる帝国軍の猛将、彼も噂くらいは聞いたことがある。
常に全身鎧を身に纏い素顔も正体も誰一人知ることは出来ないが、
噂によると血で染まったかのような恐ろしい容姿の鎧と凶暴・獰猛な性格を持ち
戦場ではその凶暴・獰猛な戦いぶりから共和国軍の兵を震え上がらせていたという

その正体を見てしまったとあってはただでは済まない……どころかまず殺されるだろう
もっとも工作員の自分としてはたとえ無駄になったとしてもそんな重要な情報を
知ることが出来ただけでも一生のうちの最後に残った幸運かもしれない…

(きっと動けない状態でご本人じきじきに殺されるんだろうなぁ)

彼が自分の今後について悲嘆にくれている間も彼女は鎧を装着し始めた。
本来指に当たるであろう部分から鋭い爪が何本も伸びている巨大な鎧の足に
彼女の足が押し入られていく

(って…足が微妙に上げ底かよ、あの鎧…)

腿、脛、腰といった具合に次々に彼女は鎧を装着していき、そのたびに
スーツで僅かに変わったとはいえ、彼女の華奢な体のラインが
鎧の重厚で頑丈そうなラインへと置き換えられていく


(ああ、でも当たり前の事だけどあの恐ろしそうな鎧の下にあるのは彼女の体なんだよな)

彼女の体が、血にぬれた獰猛な悪魔のそれに変わっていく様をぼうっと眺めながら
彼はこんな事を考えた。
そして…太く逞しく、さらに人の体さえも切り裂けそうな鋭利な爪の生えた腕によって
その胸をもおどろおどろしい鎧で包んだ彼女は、哀れむような視線を彼に向けた

「ごめんなさい…そして、さようなら……」

首から下からは女性の体の面影は全く見えずに、毒々しく威圧的な悪魔をかたどったような装飾を
除けば、まるで筋骨隆々の男性の体のラインだ。
唯一残った女性の顔を悲しくゆがめると恐ろしい悪魔そのものを象ったといっていい
仮面が据え付けられた兜を被り、その顔も鎧のそれにかき消される。
そして彼の目の前に、血塗れの騎士が現れた……

「フ…ファファファ……」

その仮面の下から聞こえてきたのは彼女とは似ても似つかない
底冷えのするような低い、恐ろしい男の声。

(あの兜か仮面だかで声を変えてやがんのか…)

「サテ、サッソクダガキサマニハシンデモラオウ」
「イヤ……タダデハコロサヌ。ミテハイケナイモノヲミテシマッタダイショウヲタップリトハラッテモラウゾ」

声ではなく、口調も全く別のものになっていることに彼が気付くのに時間はかからなかった。
彼と先ほど話していたときの幼さを残しつつも基本のある口調、「ごめんなさい」といった時の
相手を愛しむような口調、そんなものとは全く別の、相手をいたぶる事を楽しむような
残虐性がにじみ出るいやらしい話し方だ。

(声だけじゃなくて人格まで変わるらしいな、にしても……)

あの恐ろしい声を出しているのはさっきまで彼のモノを加えていた彼女の口で
残酷だと恐れられ、事実そのような雰囲気をかもし出している目の前の悪魔の正体は
あの天使のような(と彼は思っている)彼女だと考えると、どうにもおかしな気分になってきたのだ。

「マズハサキホドノレイヲソックリカエシテモラオウ…ククク…」

血塗れの騎士が鎧の前掛けを外すと股間部分の装甲が露になる
さらに何かの操作―――どういう操作なのかこの時点での彼にはよく分からなかったが―――を
装甲に施すと、股間部分の装甲が左右に割れ、そこからは彼のものよりずっと巨大で
グロテスクな意匠の凝らされた…赤黒い模造男根が現れた

「おいっ、マジかよっ!」


続く……?






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